2018年08月20日公開
2024年07月31日更新
満腹中枢を刺激する方法は?食欲コントロールでダイエットを成功?
満腹中枢を刺激することで食欲をコントロールし、ダイエットに導いてくれるという事実を知っていますか?満腹中枢は人間の間脳、視床下部にある中枢神経系のひとつで、人に満腹感を起こさせる発信源となる器官です。満腹中枢の性質をうまく利用して、食欲をコントロールすることができれば、際限なく食べてしまう前に満足感を得られ、食べ過ぎを防ぐことが可能です。本記事では満腹中枢の上手に刺激する方法、満腹中枢が働くまでの時間をいかに過ごすかについてなどダイエット成功に有効な情報を紹介しています。
満腹中枢がうまく働かずダイエットができない!
十分な量を食べても満足できず、また食べてしまう経験はありませんか?それは満腹中枢がうまく働いていないせいかもしれません。満腹中枢は間脳の視床下部にあり人に満腹感を起こさせる発信源ですが、その満腹中枢が正常な働きをしないことがダイエット成功を妨げる理由になっている場合があります。満腹中枢を上手に刺激して働きを利用できることは、食欲をストレスなくコントロールし、ダイエット成功を導いてくれるのです。
本記事では満腹中枢の基本的な知識から、その性質と働きについて解説するほか、ダイエットをするときに有用な満腹中枢を刺激する方法、また、満腹中枢を利用して食欲をコントロールする方法などについて説明しています。満腹感を司る満腹中枢の働きをうまく活用して、必要以上に食べすぎることを防止し、スマートにダイエットを成功させましょう!
満腹中枢について解説!
満腹中枢という言葉を耳にしたことがある人でも、その詳細について知っている人は多くないのではないでしょうか?ここではまず、満腹中枢と呼ばれる神経器官の基本的な知識から、食事と満腹中枢の関係について、また、人の成長においていつごろ満腹中枢を獲得するのかなどについて解説していきます。
満腹中枢とは?
満腹中枢とは、自律神経の調節を行う中枢神経系である視床下部において、腹内側視床下部核にあって満腹感を司る中枢のことを示します。一般に満腹中枢を刺激すると動物は摂食行動を抑制し、破壊すると餌をさらに摂ることが分かっています。すなわち、ダイエットの観点から考えると、満腹中枢には満腹感を起こさせる働きがあるため、すべての食事を食べ終わる前に満腹中枢を刺激することが重要なポイントになります。
すでに十分な量を食べているのに際限なく食べ過ぎてしまう人は一般的に、満腹中枢が刺激される前に、一気に胃の中に摂り込んでしまうことが原因の一つとなっている場合があります。早食いをやめて、ゆっくりと時間をかけて食べることによって、満腹中枢をコントロールし満腹感が得られるまでの時間をかせぐことができます。そうすれば自然と満腹感を感じて、食べ過ぎを抑えることが可能になるのです。
食事を始めて満腹中枢が刺激されるのにかかる時間は?
満腹中枢の性質を利用してダイエットの成功を導くには、食事を始めてから満腹中枢が刺激を受けるまでにかかる時間を意識することが大切です。これはどういうことなのかと言うと、私たちの体は食事の際に食べ物を摂取した後すぐに満腹中枢が反応するというわけではないのです。まず食事を始めると、咀嚼された食べ物が体の消化器官に運ばれていきます。
そして、食べ物に含まれているブドウ糖が消化吸収されると、血液中の血糖値が上昇し、それを脳が察知してそこでようやく満腹中枢が刺激されるしくみなのです。すなわち血中の血糖値が上昇するまでが、満腹中枢が働くまでの時間となるわけですが、ここまでにかかる時間はおよそ食後20分くらいと言われています。逆の見方をすれば食事開始から20分経たないうちは、私たちは食事から満腹感を得られないということになります。
そのような満腹中枢の性質を考えれば、食事開始からの20分間をゆっくりと食事をすることは食べ過ぎを予防する大切な方法です。20分が経つまでの間に、食べ物よく噛まずに流し込むように急いで食べたとしたら、その間、満腹感は得られませんのでいくらでも量を食べられてしまいます。食事をするときは「ゆっくりよく噛んで食べる」という昔から言われている言葉は、満腹中枢の働きを考えても実に理にかなった方法だと言えます。
満腹中枢に異常がみられる原因とは?
次に、正常であれば食欲をコントロールしてくれる満腹中枢ですが、時として異常を示す場合があります。どんなときに満腹中枢の働きが異常となるのか、その原因について調べてみました。まず、先進国の若い女性に多い心身症である過食症は原因の一つと言えます。過食症を発症すると、空腹中枢と共に満腹中枢に機能の麻痺が見られ、食べても食べても満足できなくなり食べ過ぎてしまうのです。
満腹中枢に機能異常が見られる原因の二つ目は、認知症です。認知症になると満腹中枢が正常に働かなくなり、結果食べたことを忘れて何度も食事を要求したり、いくら食べても満腹感が得られなくなったリします。認知症になった人が満腹中枢の機能の衰えにより、過食状態になることは珍しくありません。
満腹中枢が機能異常になる原因の三つ目は、生活習慣の乱れから起きるレプチンの分泌低下です。睡眠時間が不足したり夜遅い時間に食事をすると、レプチンの分泌が低下します。レプチンとは食欲と代謝の調整を行うホルモンで、視床下部に作用し満腹中枢の働きを高めるはたらきがあります。夜更かしが過ぎるなど規則正しい生活から離れた生活をしていると、レプチンの分泌が減少し満腹中枢の機能異常を引き起こすと言われています。
満腹中枢が機能異常になる原因の四つ目は、ストレスです。生活習慣の乱れによるレプチン分泌低下にも共通しますが、ストレスを受けると自律神経系がうまく働かなくなり、結果としてレプチンの作用が低下します。また、一般に強いストレスを受けている人は食事をすることで幸福感を得られ、食べ過ぎてしまうという側面もあります。これは食べることで脳内にセロトニン、ドーパミンが分泌しストレスに対抗しようとしているからです。
生まれてすぐの赤ちゃんには満腹中枢がない!
私たちヒトは成長のどの段階で満腹中枢の機能が発達するか、知っていますか?実は生まれてすぐの赤ちゃんには満腹中枢がないと言われています。満腹中枢が発達していない間の赤ちゃんは親が授乳量をコントロールする必要があります。
生後間もない赤ちゃんは満腹中枢が働いていないため、一日に何度もチビチビとおっぱいを飲んだり、逆に飲み過ぎてマーライオンのように吐き出してしまったりと、飲む量のコントロールをすることができません。とはいえ、ミルクは消化時間の関係で3時間おきにあげる必要がありますが、母乳の場合は消化も早いため満腹中枢が発達していないからと言って飲み過ぎるということはありませんので安心しましょう。
赤ちゃんの満腹中枢はいつから働く?
それでは、赤ちゃんの満腹中枢はいつから働くのでしょうか?一般的には赤ちゃんが満腹中枢の機能を獲得するのは、生後4か月前後になってからと言われています。ただし個人差が大きいので赤ちゃんの様子を見ながら対応する必要があります。
生後4か月前後になると、1回の授乳時間が短くなったリ授乳間隔が空いたりします。これは赤ちゃんの脳の中で満腹中枢が働き始めたというサインでもあります。それまでの期間と比べ、飲んでいる時間が短くなるため大丈夫かな?と心配になることもあるかもしれませんが、成長している証しですので安心しましょう。
満腹中枢は犬にはないという噂は本当?
犬には満腹中枢がない、という噂を聞いたことがありませんか?好きな食べ物をあげればあげるほど食べてしまうことから、そのような話題になったのかと思われますが、事実は違います。しかしながら、人間と同様犬にも満腹中枢が働きはじめるまでの時間があり、その時間までの間ドカ食いをしてしまうことから食べ過ぎてしまう傾向にあるようです。
つまり、犬には確かに満腹中枢があるのですが、「満腹感に鈍い」動物であると言えます。動物としての本能的に食べ物がある時に、すかさず食いだめをしておこうということから、ドカ食いになってしまうのです。ですから、まだ食べているから足りないのかな?とは安易に思わずに、餌は適量を用意し、与え過ぎないようにしたいところです。
満腹中枢を刺激する方法を紹介!
満腹中枢を刺激することで満腹感を得られ、食欲をコントロールすることが可能です。それでは満腹中枢を刺激するためにはどんな方法があるのでしょうか?具体的に満腹中枢を刺激する方法について詳細を調べてみました。
満腹中枢を刺激して食欲をコントロールする方法を紹介!
満腹中枢を刺激して食欲をコントロールする方法について紹介します。普段の食事の際に気をつけられるようなことから、間食を利用する方法まで、いずれも簡単に試せることばかりです。
ダイエットには規則正しい食生活と運動が欠かせませんが、それにプラスして満腹中枢の性質を利用した食欲コントロール方法を意識的に実践してみましょう。きっとダイエット成功の助けとなることでしょう。
食事はゆっくりと時間をかけよう
満腹中枢の性質を利用するために、まずできることは食事時間のコントロールです。普段の食事はゆっくりと時間をかけておこないましょう。「食事を始めて満腹中枢が刺激されるのにかかる時間は?」で先述したとおり、食事開始から約20分ほどして血中のブドウ糖濃度が上がり、脳にある満腹中枢に刺激を与えるよう指令を出します。そして満腹中枢に刺激を受けた人は満腹感を得て、食欲が制限されます。
出典: https://yarn.jp
満腹中枢が刺激を受け、食欲をコントロールするまでの時間に、ドカ食いになってしまわないよう気をつけましょう。食事を始めてからの約20分間は、満腹感を得られない時間帯ですから、特に気をつける必要があります。食卓を共にする友人や家族とおしゃべりを楽しみながら、ゆっくりと時間をかけて食事をすることで、満腹中枢が刺激されるまでの時間を十分に稼ぎましょう。
咀嚼回数を増やそう
次に、食べものをゆっくり時間をかけ、よく噛んで食べることにより満腹中枢を刺激し、食欲をおさえることも分かっています。よく噛んで食べなさい、とは誰もが子供時代から言われた言葉かと思います。それでは実際に私たちが普段食事をするとき、自分の咀嚼回数がどれくらいなのか知っていますか?
現代人が咀嚼をする回数は平均して、一口当たり10回から20回と言われています。食事1回あたりの咀嚼回数に均せば平均620回という計算です。これが、江戸時代に生きた人では1465回、鎌倉時代では2645回ということですから、いかに現代人の咀嚼回数が少ないかよくわかります。現代の私たちが食べているものが、昔に比べて柔らかいものが多いということのしるしでもあります。
咀嚼をすると歯の付け根や咬筋(こうきん)から脳にメッセージが伝わり、神経物質ヒスタミンが作られます。そのヒスタミンが今度は満腹中枢を刺激し、人は満腹感を感じるようになるというメカニズムです。咀嚼回数を意識的に多くすると、同じ量を食べていても得られる満腹感、満足感が大きくなります。よく噛むことは貧血予防や美容にも効果があると言われており、この点でもメリットだらけのダイエット方法と言えるでしょう。
甘いものを上手に利用してみよう
甘いものを上手に利用するとは、一見するとダイエットに反する事柄のように思うかもしれません。しかしながら、満腹中枢の働きを上手に活用するには甘いものの摂取は有用な方法と言えるのです。満腹中枢は血中のブドウ糖濃度を察知して刺激を受け、食欲をコントロールする指令を出します。ですから、血中にブドウ糖を送り込むことでその働きを導くことは理にかなった方法です。
ダイエットのためには糖質制限は必須ですが、だからといってノンシュガーゼロ糖質の商品ばかりを摂取し過ぎていると、満腹中枢が働かなくなり食事による満足感を得ることができません。低血糖による空腹状態を避けるためにも急激に血糖値があがる食べ物は避けるべきですが、緩やかに血糖値を上げる食品を積極的に摂取することは満腹中枢の機能を利用する上でも重要なポイントとなるでしょう。
規則正しい生活をして体内時計を正常化しよう
満腹中枢の機能が異常となる原因のひとつに、不規則な生活があると述べました。そこで、満腹中枢のはたらきを正常に戻すためにも、規則正しい生活を送り、体内時計を正常化する必要があります。満腹中枢に刺激を送る物質の一つレプチンは、睡眠時間が5時間になると分泌量が約15%も低下することが分かっています。まずは睡眠時間をきちんと確保することが何より重要であると言えます。
また、私たちは経験的に夜遅くになるとお腹が減ってしまうということを感覚的に知っているのではないでしょうか?夜遅くに食事をするとその栄養素はダイレクトに脂肪になりやすく、ダイエットには大敵です。早めに就寝して早起きをすることで体内時計は正常化し、食欲のコントロールが容易になります。満腹中枢を上手に刺激できる状態にするためにも規則正しい生活は不可欠なのです。
血糖値のコントロールをしよう
ダイエットと血糖値のコントトールは切っても切れない関係にあります。血糖値が急激に上がれば、それに反するように体は低血糖の状態となります。そして一旦低血糖になれば、私たちは空腹を抑えることが困難になります。とはいえ、食欲コントロールを司る満腹中枢を刺激するためには血糖値は必要です。では、どのように血糖値をコントロールすればいいのでしょうか?
血糖値をうまくコントロールする方法は、摂取する食べ物を低GI値の食品にすることです。GI値とは「グリセミック・インデックス(Glycemic Index)」の略で、その食品が体内で糖に変わり血糖値が上昇するまでの速度を計ったものを言います。血糖値を緩やかに上げることができる低GI値食品は、例えば玄米や全粒粉のパスタ、大豆食品などで、甘み調味料では白砂糖よりもてんさい糖が低GI値食品です。
例えば同じ炭水化物でも低GI値食品を積極的に選んで摂取し、血糖値の上がり方を緩やかにコントロールすることができれば、結果的に満腹中枢を正しく働かせ、食欲もコントロールしやすい状態にすることが可能です。
歯ごたえのあるものを食べよう!
咀嚼回数を増やすことでホルモンのヒスタミンが分泌され、満腹中枢に刺激を与える効果があることはすでに述べましたが、咀嚼回数を増やすためにも、食事に積極的に歯ごたえのあるもの、噛み応えのある食品を取り入れる方法が有効です。
大根やにんじん、ごぼうなど食物繊維が豊富な根菜類は噛み応えのある食材です。硬めの素材を使って調理したり、また同じ素材であっても大き目にカットするなど工夫して食事を作れば、自然に咀嚼回数を増やすことができるでしょう。同時に、食物繊維は糖類の吸収を緩やかにしてくれる性質があるため、血糖値の上昇をコントロールするうえでも有用な食材と言えます。
薄味にして食べ物の味をしっかり味わおう!
咀嚼回数を増やすことで満腹中枢を刺激する方法は、先述の通りですが、咀嚼回数を増やすのに料理をするときに薄味にすることも効果があります。食べ物を薄味にすることで、人は食べ物の味をよりよく味わおうと自然としっかり噛んで食べようとします。しっかり噛んで食事をすれば、食材本来の自然で優しい味や旨みに気付くことができるでしょう。不要な塩分を減らすこともでき健康とダイエットに効果があり、一石二鳥と言えます。
ストレスをためずに自律神経を正常に!
ストレスが強くかかる生活を送っていると、自律神経系が乱れることが分かっています。満腹中枢は自律神経系のバランスが乱れると正常に働きません。人はストレスを感じている時に、食欲が増す傾向にあります。人間関係や仕事などのストレスが蓄積することのないよう、意識的にリフレッシュできる方法を見つけておくとよいでしょう。
食事の前に水を一杯飲んでみよう!
食事をする少し前に一杯の水を飲むのも、食べ過ぎを防ぐのに有効な方法です。食事前の一杯の水は胃を膨らませ、空腹感を紛らわせることができます。また、体のめぐりを良くし、代謝をあげるのにも効果があります。塩分が多い食事といっしょにとると、血中の塩分濃度を抑えむくみ予防にもつながるでしょう。
満腹中枢の正常化には運動が役立つ!
満腹中枢の機能を正常化するには、運動が有用であるということが判明しています。イギリスのラフバラー大学の研究では、人は運動後に食欲が抑えられ、運動をしなかった場合と比べて摂取カロリーが300キロカロリーほど減ることが分かったと報告されています。
研究ではウォーキングなどの運動をすると、食欲を強めるホルモンの「グレリン」を減らし、逆に食欲を抑えるホルモン「ペプチドYY」を増やすことが明らかになりました。ペプチドYYは、糖や中性脂肪、体重のコントロールに重要な役割を果たしていると考えられており、視床下部に作用して食欲を抑え食事の量を減らすことが分かっています。
運動をすれば空腹になり、食欲が増進してしまうのでは?と心配している人も多いかもしれませんが、上記の研究によればそれは誤解であり、むしろウォーキングなど適切な運動は食欲のコントロールに役に立つということなのです。
摂食障害などの異常は専門家の力を借りて治すことが大事
満腹中枢が機能異常となる原因の一つに、過食症があるということは上ですでに解説しました。過食症をはじめとする摂食障害については、専門医の力を借りて治療することが大事です。過食症は何らかの心理的社会的な要因が主原因として考えられていますが、その症状はさまざまで一般に疾患が長期化すればするほど所見は悪化していきます。
過食症からくる中枢性の機能異常は、専門医による治療が必須です。治療としては、早期治療を行うために病識をつけること、認知行動療法などの精神療法を受けること、それに、薬物療法などがあります。薬物療法については、対処療法的に抗うつ剤を使用することもあります。決して一人で悩まず、病院で相談してみましょう。
満腹中枢を刺激してダイエットの成功を目指そう!
満腹中枢を刺激することで食欲がコントールされ、ストレスなくダイエットの成功に導くことができます。満腹中枢の刺激の方法としては、満腹中枢が働くまでの時間を踏まえてゆっくりと食事をとること、咀嚼回数を増やしてレプチンの分泌を促すこと、規則正しい生活を送り睡眠時間をきちんと確保することなど様々な工夫を紹介しました。満腹中枢を上手に活用してダイエットを成功させましょう!