鰆の旬の時期は春と冬で2つある?関西や岡山は何月なのか調査!

鰆は漢字に春がつくように、春が旬の魚だと多くの人に認識されていますが、鰆の旬の時期は春だけではなく冬にも旬を迎えるのを知っていますか?今回は鰆の関東・関西での旬の時期の違いや、鰆の産地で有名な岡山は何月が旬なのか?鰆を使った郷土料理「ばらずし」についてなど、鰆に関するさまざまな情報をくわしく調査しました。この記事を読めば、旬の美味しい時期に鰆を食べることができます!

鰆の旬の時期は春と冬で2つある?関西や岡山は何月なのか調査!のイメージ

目次

  1. 1鰆は春に関係する魚?鰆について知ろう
  2. 2鰆の旬は関東と関西で異なる!
  3. 3鰆の産地で有名な岡山と名物料理
  4. 4鰆は栄養も豊富!?
  5. 5鰆は旬の季節が2つあって楽しめる魚!

鰆は春に関係する魚?鰆について知ろう

サワラを漢字にすると魚偏に春と書いて「鰆」になります。ということは、春に関係する魚なのでしょうか?しかし、鰆の旬は春だけではなく、冬にも旬の時期があるとなるとなぜ春という漢字がつくのか気になります。鰆の旬の時期や、鰆と春の関係など気になることも多いですが、まずは鰆の生態などについて見ていきましょう。はじめて知る情報もきっと多いはずです。

鰆の生息域と産地

鰆はサバの仲間で、スズキ目・サバ科の海水魚です。鰆の生息域は日本だと北海道南部から九州までの日本各地の沿岸が鰆の生息域です。広い範囲で見ると、中国沿岸や東シナ海、オーストラリア東海岸沖にも生息しています。日本での主な産地は福井県・石川・京都・長崎など九州や関西、北陸などが主な産地です。また、岡山の瀬戸内海は昔から鰆の主な産地として有名です。

鰆は出世魚!

出世魚(しゅっせうお)とは、産まれたときから成魚まで成長するにつれて、違う名前に変わる魚のことです。私たちに馴染みのあるブリも出世魚で、35cm以下はワカシ、35~60cmはイナダ、60~80cmがワラサ(ハマチ)80cm以上のものがブリというように変わっていきます。

鰆も同じくこの出世魚で、40~50cmの時にはサゴシという名前で、50~60cmの時がナギ、60cm以上となった時に鰆という名前になります。他にもマグロやスズキ、コハダなども出世魚の仲間です。

鰆と呼ばれるようになった理由

鰆がなぜサワラと呼ばれるのか理由を知っていますか?名前は鰆の見た目からつけられているんです。鰆の見た目はかなり細長い形をしており、そのスマートな狭い腹ということから狭腹(さはら)という名前がついたとされています。別の由来もあり、昔は鰆にある斑点をイサハダと読んでいて、その「イ」が無くなってサハダになりサハラに変化したとも言われおり、鰆の名前には様々な由来が存在しています。

鰆の旬は関東と関西で異なる!

サワラは夏場以外ならほぼ1年を通して美味しく食べられる魚とされていますが、最も美味しく食べられる旬の時期は関東と関西で異なります。鰆の旬の時期はなぜ関東と関西で異なるのでしょうか?そこには鰆の生態がかかわっていることがわかりました!それでは、鰆の旬の時期が異なる理由などについて詳しく見ていきましょう。

鰆は回遊魚なので季節によって異なる

じつは鰆はサンマやイワシ、マグロやサケと同じ回遊魚の仲間です。回遊魚とは、群れを作り成長に合わせて住む場所を変えて、決まった時期や季節に広い範囲を同じ経路で移動する魚のことを言います。回遊魚は沿岸を通る時期がその地方の旬となります。これが、鰆が関東や関西など獲れる場所によって旬の時期が異なる理由です。

脂がのった鰆は刺身が美味しい!

「サワラの刺身は皿までなめる」という言葉が存在するくらい、鰆の刺身はとても美味しく、マニアの間では「刺身の王様」とも言われています。鰆は傷みやすいため、本当に鮮度のいいものしか刺身として食べることができないので鰆の刺身はとても貴重です。

鰆の身は柔らかく、味は淡白でさっぱりとしたクセのない味です。また、皮と身のあいだに独特の旨味と香りがあるため、皮をつけたままお造りにすることが多いです。皮がついていると柔らかい身に皮の歯ごたえがアクセントとなり、食感も楽しめるようになっています。

そんな味覚も食感も楽しめる鰆ですが、じつは春に獲れたものと冬に獲れたもので味が大きく変わります。淡白でさっぱりとした味は春に獲れた鰆です。春に獲れる鰆は産卵前なので白子や卵に栄養がいき、脂が少ないためさっぱりとした味になっています。

対して10月以降~12月をすぎた晩秋から冬の時期に獲れる鰆は寒鰆(カンサワラ)と呼ばれ、寒い海を泳いで引き締まったその身の脂肪は14~16%と大変多く、脂の乗った鰆の刺身は口の中でとろけるような柔らかさと、淡白でも深みのある味わいを楽しめます。一般的には春に獲れる鰆よりも寒鰆のほうが刺身として人気が高いです。

関東で鰆の旬は?

関東地方での鰆の旬の時期は、12月~2月にかけての冬に旬を迎えます。ですので、さきほど紹介した寒鰆は関東地方で獲れる鰆となります。関東地方では白身の味を楽しむため、脂の乗った寒鰆が好まれており、鰆に脂が乗っていて美味しい時期ということからも冬が旬とされてます。

関西で鰆の旬は?

関西地方での鰆の旬の時期は、春先から初夏である3月~6月にかけて旬を迎えます。春は鰆の群れが瀬戸内海に産卵するために訪れ、鰆が大量に獲れることから関西地方ではその時期が旬とされています。関西地方では産卵期の鰆を獲って食べるため、鰆の真子や白子を食べる文化があります。

美味しい鰆の見分け方

旬の時期がわかったところで鮮度が良く、美味しい鰆の見分け方について紹介します。まずは見た目ですが、目が透き通っているものを必ず選びましょう。そして美味しい鰆はお腹のラインがふっくらとしているのが、脂の乗っている証拠になります。逆にお腹のラインが直線的であったり、えぐれているような形をしているものは脂の乗りが薄いです。

皮肌は張りとツヤツヤとした光沢があるもの、背中にある斑点がはっきりとしていて鮮やかで、背中とお腹側の銀白色がはっきりとしているものが新鮮です。身はギュッと硬いものがおすすめです。鰆の切り身を選ぶときは、切り口がなめらかなもの、皮よりも身が張り出てプリッとしているもの、血合いの色が鮮やかな赤色ではっきりしているものを選びましょう。身は白いものよりピンクがかった色のものが美味しいです。

鰆の産地で有名な岡山と名物料理

上質な鰆が獲れると有名な岡山は「鰆の値段は岡山で決まる」と言われるほど日本の中で一番鰆の消費量が多い県です。鰆を愛する岡山で、鰆は春を呼ぶ魚と呼ばれている理由や、鰆を使った名物料理ばらずしなどについて見ていきましょう。

岡山で鰆は「春を呼ぶ魚」

岡山で鰆が「春を呼ぶ魚」と言われているのは、鰆が春に瀬戸内海へ産卵にやってくることからそう呼ばれてます。鰆という漢字が魚偏に春でできているのも、春にやってくる魚という意味や、春に多く獲れること、鰆が瀬戸内海にやってくると春の訪れを知るということから作られた漢字だと言われています。また岡山では昔から「鰆が来ないと春が来ない」とも言われているほど、岡山では鰆は春を呼ぶ魚として認識されています。

鰆を使った岡山名物「ばらずし」

岡山の味である名物料理のばらずしができたのは江戸時代初期まで遡ります。そのころ岡山藩主が出した贅沢を禁止し、日常生活で節約するようにという倹約令が発令されました。そして「食膳は一汁一菜とする」となったときに、それなら具材を沢山入れて「一菜」にしようという庶民の知恵からばらずしが生まれたという説があります。現在のように豪華なものになったのは、明治時代ごろからと言われています。

ばらずしの特徴は、生ものはそのまま使わずに酢でしめたり、焼いたり炊いたりした鰆やえび、アナゴなどの海の幸や、かんぴょうや干ししいたけの戻し汁で煮込み、具のひとつひとつに味付けがされたにんじんやれんこん、ごぼうなどの旬の野菜と山の幸がたっぷりと使われているのが特徴です。

沢山の具材を使って作るばらずしは、色とりどりで見栄えもとても綺麗なため、岡山では昔からお正月や結婚式、桃の節句に端午の節句やお盆など、人が集まる時やハレの日には欠かせない定番料理として食べられていました。このように昔から岡山で愛され、脈々と受け継がれてきたばらずしは農林水産省の「農山漁村の郷土料理百選」にも選ばれています。

お店や地域によって「隠し寿司」「岡山ばら寿司」「まつり寿司」など呼び名が変わったりしますが、全て同じばらずしです。ちらし寿司とばら寿司の違いは、ちらし寿司はご飯の上に具材が乗っていますが、ばらずしは具が酢飯に混ぜ込まれています。

岡山名物ばらずしレシピ

お家で作れるばらずしのレシピを紹介します。材料は米5号・すし酢150cc・出汁昆布10cm・ごぼう1本・鰆片身・えびお好みの数・イカ1杯・干ししいたけ6~7個・絹さや1パック・卵5個。

調味料は、しいたけの戻し汁含んだ水400cc・砂糖大さじ3・醤油大さじ2・みりん大さじ2です。鰆はばらずしを作る前日から用意します。皮をついたままの状態でお刺身のように切り、すし酢に一晩つけておきます。鰆を漬けたすし酢で酢飯を作るので絶対に捨てないでください。米を研いで出汁昆布を入れます。水の量はすし用のメモリに合わせ、炊けたらすし酢を混ぜておきましょう。ごぼうはささがきにしてアク抜きをしておきます。

次に干ししいたけを水で戻して短冊切りにします。しいたけの出汁が出た水は鍋に移し、砂糖・醤油・みりんで先ほどのごぼうとしいたけを汁気がなくなるまで煮ます。イカは皮を剥いて短冊切りにした状態で塩茹でし、えびや絹さやも同じく塩茹でにします。卵は砂糖と塩を混ぜてうすく焼き、錦糸卵状に切ります。全ての材料の調理が終わったら、酢飯にごぼうを混ぜ込み、その他の具材を綺麗に飾り付ければ完成です。

鰆は栄養も豊富!?

鰆に含まれる主な栄養素はタンパク質・脂質・ビタミンA・ビタミンB群・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンK・ナトリウム・マグネシウム・カルシウム・カリウム・リン・鉄・亜鉛などです。鰆は高タンパク質で良質な脂質が多く、DHAやEPAにビタミンも豊富なのが特徴です。

鰆には健康維持に欠かせないDHAとEPAが豊富

鰆に含まれる栄養で最も注目すべきは青魚に多く含まれるという、必須脂肪酸のDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)です。人間の体内ではほとんどつくることのできないDHAやEPAは健康維持にかかせない成分のため、健康のために積極的に摂りたい栄養成分で、厚生労働省がDHAとEPAを摂取することを勧めているほどです。DHAは脳神経の発達や保護に、脳を活性化させる効果があります。

記憶力や学習能力を向上させるため、子供には特に必要な栄養成分です。また、アルツハイマーの症状改善にも効果があります。その他にも、血液中のコレステロールを掃除し、血液をサラサラにする作用もあるため、鰆に多く含まれるカリウムと合わせて高血圧や脳梗塞の予防に期待ができます。免疫機能を調節する効果も持っており、アトピーなどのアレルギー症状の予防にも効果的です。

EPAもDHAと同じく、血液をサラサラにし血管を柔軟にする作用があります。EPAは摂取すれば血液中に増えやすく、その効果はDHAよりもEPAの方法が明確です。EPAは中性脂肪を燃やす効果があるので、コレステロールを掃除するDHAと合わせて摂れる鰆は、肥満予防の効果が期待できる食べ物と言えるでしょう。また、EPAはドライアイにも効果があります。

鰆に多く含まれるビタミンD

ビタミンDの効果は、カルシウムとリンの吸収を促す作用があり、健康で丈夫な骨や歯を作るのに効果がある栄養素です。身長を伸ばすことや骨粗しょう症、骨の老化の予防などに効果的です。また、カルシウムが不足しがちな妊婦さんにも摂っていただきたい栄養素です。ビタミンDを摂ってカルシウムを吸収させることで、カルシウム不足によるイライラを抑え、精神安定の効果も得ることもできます。

ビタミンDには他にも、私たちがかかりやすい風邪やインフルエンザ、鼻炎などの感染症予防に効果があります。また、がん予防や糖尿病予防にも効果があるとされており、ビタミンDもDHA・EPAと同じく、健康維持に重要な栄養素と言えます。

鰆は旬の季節が2つあって楽しめる魚!

鰆の生態や関東と関西で旬が異なる理由についてや、岡山で愛されている理由など鰆に関する情報を紹介しましたが、いかがでしたか?漢字からして春だけが旬だと思っていた鰆が、冬にも旬を迎えるというのは知らなかったという方も多いのではないでしょうか?味も変わってくるとは驚きです。ぜひ機会があれば12月~2月に獲れた寒鰆と3月~6月に獲れた春の鰆を食べ比べしてみていただきたいです。

鰆には老若男女問わず必要な栄養がたっぷり含まれていることもわかりました。鰆の身はとても柔らかいため消化がよく、お子様からご年配の方まで安心して食べられるので、積極的に食べていきましょう。照り焼き、塩焼き、煮物どんな調理でも美味しくいただける鰆ですが、紹介したレシピを参考に岡山の名物ばらずし作りにチャレンジしてみるのもおすすめです。

ちらし寿司とくらべると少し手間はかかりますが、岡山で愛され続けるばらずしをぜひお家でも楽しんでみてください。酢飯や鰆のほどよい酸味と、野菜の甘辛い味付けの絶妙なバランスにほっぺがおちること間違いなしです。美味しく栄養豊富な魅力いっぱいの鰆を、ぜひ旬の時期に美味しくいただいてみてください!

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