米粉パンは高カロリー？グルテンフリーで糖質制限・ダイエットにいい？

米粉パンはその名前の通り、米を粉末にした米粉を使って作られたパンです。見た目は小麦粉で作った通常の食パンと変わりありませんが、その食感は小麦粉のパンよりもモチモチでしっとりしていて食べ応えがあり、食べたときの満足感の大きいパンでもあるのです。

そんな米粉パンは、最近流行の糖質制限ダイエットやグルテンフリー生活でも、注目の食材として人気を集めています。米粉パンは本当にダイエットに向いた健康食品なのか、小麦粉のパンとカロリーや糖質量などを比べてみました。

米粉パンを知るためには、まずはその原料である米粉について知る必要があります。特にパンにする以上、通常のパンに使用される小麦粉との違いは無視できません。米粉パンの原料である米粉のカロリーと糖質を、通常のパンの原料である小麦粉と比較してみました。

米粉パンの原料となる米粉には、実はさまざまな種類があります。米粉としては上新粉や白玉粉が有名ですが、平均的な米粉のカロリーは100gあたり374kcalとなります。

なお米粉となる前の精白米のカロリーは100gあたり358kcalと、同じ米でも米粉の方がカロリーが高くなります。精白米より米粉の方のカロリーが高いのは、精白米と米粉との水分量の差が原因です。水分量が少ない分、米粉の方がカロリーが高くなるのです。

米粉パンの原料となる米粉の種類によって糖質の含有量も変わりますが、一般的な糖質量は100gあたり81.3gとなります。米粉の実に8割以上が糖質ということになり、この点では米粉はダイエットには不向きな食品に見えてしまいます。

小麦粉も米粉同様に、いくつかの種類があります。代表的な小麦粉である薄力粉のカロリーは、100gあたり367kcalと米粉を下回ります。同様に中力粉は100gあたり367kcal、強力粉は100gあたり365kcal、全粒粉に至っては100gあたり約340kcalと、全ての種類の小麦粉のカロリーが米粉のカロリーを下回っているのです。

小麦粉のカロリーが米粉を下回っているのなら、糖質量はどうでしょうか？薄力粉の糖質量は100gあたり73.3g、中力粉は100gあたり72.3g、強力粉は100gあたり69.0g、全粒粉に至っては100gあたり約57gと、こちらも小麦粉のほうが下回っているのです。

米粉パンと小麦粉パンでは原料の粉の段階で、小麦粉パンのほうがカロリー・糖質共に低いことがわかりました。では実際にパンとして焼き上げた場合はどうなのでしょうか？米粉パンのほうがカロリー・糖質で低くなるのでしょうか？それともまた小麦粉パンのほうが低いのでしょうか？米粉パンと小麦粉パンを比較してみました。

米粉パンのカロリーは、100gあたり255kcalと粉のときと比べてかなり下がります。ただしこのカロリー量もあくまで目安であり、作り方や材料の配分を始め、ナッツなどを混ぜたりしても大きく変わってしまうので、購入する際にも成分表を確認するなどの注意が必要です。

米粉パンの糖質量は100gあたり50.4gと、こちらも粉のときより大きく下がっています。糖質量もカロリー同様に、作り方や材料の配分次第で大きく変わりますが、粉のときよりも食べやすい数値になっています。こちらも購入の際には、成分表に注意するようにしましょう。

小麦粉パンでは先ほどの粉の種類ではなく、小麦パンの中の代表格である「食パン」と「ロールパン」で比較してみましょう。食パンのカロリーは100gあたり260kcal～264kcal、ロールパンのカロリーは100gあたり316kcal～361kcalと、作り方や材料の配合はもちろん、資料によっても幅があります。

ただし共通していることは、米粉パンと比べて食パンもロールパンもカロリーが上がっていることです。理由は米粉パンは水分量が多く小麦粉パンは水分量が少ないことと、小麦粉パンには卵やバターといった高カロリーな材料を混ぜることが多いこと、足らない水分量を乳製品で調整する場合が多いことが挙げられます。

小麦粉パンのカロリーが増えてしまったのであれば、糖質量はどうなったのでしょうか？食パンの糖質量は100gあたり約44.4g、ロールパンの糖質量は約46.6gと、こちらは米粉パンを下回ったままになっています。

理由は米粉が元々お米であり糖質の多い穀物であることに対して、小麦粉の素である小麦はタンパク質の多い穀物だからです。

米粉パンが小麦粉パンより優れていると言われる点に、グルテンフリーという点が挙げられます。粉のグルテンフリーが何を指して、どんな優れた効果があるのかをまとめてみました。

グルテンフリーとは、小麦に含まれる小麦タンパクのグルテンを食事から除く食事療法です。通常は小麦アレルギーを始め、グルテン不耐症などのさまざまなグルテン関連障害で、小麦を食べられない人の治療を目的としたものなのです。

グルテン関連障害は、小麦アレルギー以外はまだ日本での認知度が低く、検査を受けられる機関も少ない障害です。原因不明の関節痛や神経痛、疲労や頭痛にうつ状態など、さまざまな身体障害が出ますが、通常の検査では異常が出ない厄介な障害です。

お金をかけずにできる簡単な検査方法が、「グルテンフリーの生活を3週間続けてから、グルテン入りの食事をしてみて反応を見る」ということになります。

つまりグルテンフリーとは本来病気の治療方法であって、ダイエットには関係ないことなのです。また小麦はさまざまな食品に使われているため、多くの食品に対して制限がかかるのも特徴です。特につなぎで小麦粉が使われていることも多いため、原材料に気を配るなどの注意も必要になるのです。

では本来グルテン関連障害の治療法であるグルテンフリーが、なぜダイエット法として知れ渡ったのでしょうか？そこには元々の「ダイエット」の意味が関係しています。

ダイエットとは本来「減量・体重減少」という意味ではなく、「疾患・体重調整のための食事療法や食事制限」を指すのです。そのため原因不明とされる体調不良に苦しんでいたスポーツ選手や、主にアメリカのセレブたちの間で効果があると流行したため、日本では痩せる効果があると誤解されたと思われます。

米粉パンを小麦粉パンと比較してみた場合、粉の状態はともかくパンにしたときには米粉パンのほうがカロリーは低めになります。ですが糖質量はやはり小麦粉パンよりも高く、米粉パンがダイエットに効果があるのか、納得できない点が多いのも事実です。なぜ米粉パンがダイエットにおすすめなのかまとめてみました。

米粉パンの減量である米粉には、小麦粉と比べて油の吸収率が低いという特徴があります。数値で具体的に説明すると、小麦粉の油の吸収率が38％となっているのに対して、米粉は21％となっているのです。

そんな米粉で作った米粉パンは、揚げ物の衣に使うときにも小麦パンを使うより無駄に油を吸わず、簡単にカロリーカットした食べ方ができる強みがあるのです。

米粉パンには優れた栄養効果もあります。先ほど米は糖質の多い穀物、小麦はタンパク質の多い穀物と紹介しましたが、必須アミノ酸の含有バランスを数値化したアミノ酸スコアは、米粉パンの原料である米粉のほうが優れているのです。

そのため米粉パンは小麦粉パンよりもアミノ酸スコアの優れたパンであり、小麦粉パンのアミノ酸スコアが44であるのに対し、米粉パンは65とかなり高めの数値なのです。同じ量を食べるのであれば、米粉パンのほうが小麦粉パンよりもより良質のタンパク質を、効率良く摂る食べ方ができるのです。

米粉パンは小麦粉パンよりも、カロリーが低めで良質なタンパク源として栄養のあるパンですが、ダイエット中の食べ方には注意も必要なパンです。米粉パンのダイエット中のおすすめの食べ方と注意点をまとめてみました。

米粉パンのダイエット中の上手な食べ方は、おかずは洋食よりも和食にするのがおすすめです。米粉パンの良さであるカロリーの低さを活かしダイエット効果を高めるためには、おかずのカロリーも高くならないように注意したほうが良いからです。

米粉パンのおかずとして洋食を選んだ場合、パンに合うおかずとして真っ先に思い浮かぶのはベーコンやハム、バターを使った卵料理など、脂質が多い高カロリーなおかずが多くなります。野菜でビタミンなどの栄養を足す場合でも、ドレッシングに油が使われていればカロリーは上がってしまうため注意が必要です。

卵を使ったおかずでもシンプルな卵焼きや、ビタミンなどの栄養補給におひたしや煮物を合わせるなど、和風料理と組み合わせる食べ方がカロリーカットと栄養補給の両立がしやすくおすすめです。

米粉パン1枚で時間がないからと食事を済ませていては、栄養不足できれいに痩せることはできないので要注意です。どうしても米粉パンを使った一品で、栄養補給とダイエット効果の両方を狙う食べ方をする場合には、栄養バランスを重視したサンドイッチがおすすめです。

忙しいときには、ゆで卵やノンオイルのツナ缶など準備が簡単で良質なタンパク質と、ビタミンが豊富な野菜をたっぷりと使い、味付けにもカロリーの低い塩コショウやケチャップといった調味料を使うことで、お手軽でダイエット効果も期待でき、栄養補給にも良いヘルシーなサンドイッチが完成します。

米粉パンがダイエットに効果的なのは、噛み応えがあるため良く噛んで食べる食べ方が合うパンでもあることです。食事は良く噛む食べ方をしたほうが満腹中枢を刺激するため、良く噛むことは食べ過ぎに注意する必要も減ります。

忙しい朝でもできるだけ時間を作って良く噛む食べ方を続けるように注意すれば、食べすぎを防ぐと共にダイエット中のストレスも減らすことができるのでおすすめです。

米粉パンには玄米パンや胚芽パンもあります。米粉パンの玄米パンは、米粉だけだとまとまりが悪く固くなりやすいため、通常一般には市販されていません。そのため玄米米粉100％のパンを食べたいときには、自分で作るか通販などでの入手になります。

そんな手に入りにくい玄米パンですが、そのカロリーや糖質量がどのくらいなのか調べてまとめてみました。

玄米パンといっても先に紹介したように、小麦などのつなぎを入れたものが一般的です。そのため商品によってそのカロリーには大きなばらつきが出ますが、目安としての玄米パンのカロリーは6枚切り食パン1枚(約60g)あたり159kcalです。

玄米パン1枚あたりのカロリーは低めで、通常の米粉パンよりも食物繊維などの栄養も豊富ですが、米粉パン同様食べ過ぎには要注意です。

玄米パンの糖質は、つなぎにどれだけ小麦粉を使ったかで大きく変わります。目安としての糖質量は6枚切り食パン1枚(約60g)あたり27.4g程度になります。市販されている玄米パンの中には、砂糖が加えられているものもあり、糖質量はさらに高くなることもあるため要注意です。

胚芽パンは米粉パンではなく小麦粉パンになります。ただしクックパッドなどには胚芽米を入れた手作りパンのレシピもあり、工夫次第では米の胚芽を入れた胚芽パンを作ることもできます。そんな胚芽パンの一般的カロリーは1枚(約60g)あたり163kcalになります。

胚芽パンは小麦粉パンのため、グルテンフリーではありません。カロリーも食パンほどではないものの高めになるので要注意です。

胚芽パンの目安の糖質量は1枚(約60g)あたり26.4gで、玄米パンよりも低くなります。糖質の多い米粉を使っていない、小麦粉パンならではの糖質量と言えるでしょう。ただしこちらも材料の配合分量はメーカーごとに大きく異なるため、原材料はもちろんのこと成分表にも注意して購入しましょう。

米粉パンは糖質量は通常の食パンよりも多いものの、米粉ならではの特徴でダイエットにも十分使えるパンです。特にグルテンフリーでないとパンを食べられない人にとっては、小麦を使っていない米粉パンは特別なパンと言っても良いでしょう。

米粉パンと小麦粉パンの特徴を上手に使い分けて、ダイエットやいつもの食生活をちょっと変えてみたいときに、米粉パンを取り入れてみてはいかがでしょうか？