玉ねぎの収穫時期とタイミングは?保存方法・乾燥方法とご紹介!
玉ねぎは和洋中いろいろな料理に使える、私たちにとってもっとも身近な野菜のひとつです。収穫時期などについて知ることは、これから玉ねぎを栽培しようと思っている人たちはもちろんのこと、そうではない人たちにとっても役に立つ情報です。農家の人たちによる収穫時期・保存方法・乾燥方法を知ることにより、私たちが家庭でどのように玉ねぎを保存したらよいのかがわかります。腐らせることなく長期間保存する方法がわかると、箱買いができますので節約にもつながります。この機会に、玉ねぎについてもっと詳しくなりましょう!
目次
玉ねぎの収穫時期について知りたい!
いろいろな料理に便利に使える万能食材玉ねぎ。この記事を読んでくれている方は、実際に玉ねぎを育てている人でしょうか?家庭菜園でこれから玉ねぎを育てようという方にはもちろん役に立つ情報がいっぱいです。もし栽培するわけではない場合でも、収穫時期やタイミングを知ることにより、今までよりさらに美味しく玉ねぎを利用することができます。
また、保存方法や乾燥方法を知ると、割安で大量にまとめて購入することができますので節約につながります。これを機会に、1年を通して身近な野菜である万能食材玉ねぎについて、知識を深めましょう!
玉ねぎの原産地
玉ねぎはユリ科ネギ属の多年草。西アジアのイランあたりが原産地だと言われていますが、いろいろな説もあり確かではありません。西アジアで栽培されるとまもなく中国やヨーロッパに伝わりました。西洋に伝えられたのはとても古く、エジプトでは紀元前3000年ごろ、ギリシャでは紀元前1000年ごろから栽培されていたようです。日本には1770年ごろに北海道に伝えられました。
玉ねぎの品種:栽培時期による分類
玉ねぎには多くの品種がありますが、早生品種、中生品種、晩生品種などに分類されます。早生品種は新玉ねぎとも呼ばれるみずみずしい品種で甘くて美味しいのですが、貯蔵には向いていません。中生品種は食味と貯蔵性を兼ね備えた玉ねぎです、晩生品種となると、貯蔵している間に甘味が増してきて、10ヶ月ほど保存できる品種もあります。
また品種によって種をまく時期が異なります。北海道では春巻きの品種ですので、春に種をまいて夏から秋にかけて収穫します。関東より西の地域では秋まきの品種ですので、秋に種をまいて春から梅雨前の時期に収穫します。
玉ねぎの種類
次に別の観点から、玉ねぎの種類を見てみましょう。先ほどは栽培という観点からの分類でしたが、玉ねぎに含まれている硫化アリルの量に注目すると、甘玉ねぎと辛玉ねぎに分けられます。 甘玉ねぎは南ヨーロッパで生まれました。一方、辛玉ねぎは東ヨーロッパで生まれてアメリカで改良されました。日本で栽培されているのはほとんどが辛玉ねぎです。
最近ではいろいろな色の玉ねぎをスーパーでも見かけます。もっとも一般的なものは「黄玉ねぎ」です。収穫後によく乾燥させてから出荷するので、購入後も長く保存することができます。カレーやシチューなど、万能に使える種類です。
こちらは「白玉ねぎ」です。「サラダオニオン」や「サラダ玉ねぎ」とも呼ばれる、皮が薄くて白い玉ねぎです。辛味が少なくむしろ甘味さえ感じられるので、サラダなど生食に向いています。葉がついた状態で販売されているものも見かけます。主に愛知県や静岡県で栽培されています。水分が多いので保存はききません。
こちらは「赤玉ねぎ」です。皮が赤紫色で、「紫玉ねぎ」や「レッドオニオン」とも呼ばれています。玉ねぎ特有の辛味はあまりなく、甘みがあって生食に向いています。サラダに入れると彩りもよく、アントシアニンを含んでいるので栄養面でも優れていると言われています。品種としては、「アーリーレッド」や「湘南レッド」が知られています。普通の「黄玉ねぎ」と比較すると、保存はききません。
こちらは「新玉ねぎ」です。ほとんどは「白玉ねぎ」ですが、中には「黄玉ねぎ」もあります。春先にお店に並ぶ早生、極早生の品種になります。皮は薄く、甘みがありますのでこちらもやはりサラダなど生食に適しています。普通の「黄玉ねぎ」に比べると水分が多く日持ちがしないので、早めに美味しく食べてしまいましょう。
こちらは「葉玉ねぎ」と呼ばれる種類で、玉の部分がふくらむ前に収穫した玉ねぎになります。辛味が少ないので、サラダや酢の物に最適です。葉の部分は甘味とねばりがありますので、ワカメなどといっしょに酢味噌で和えて「ぬた」で美味しく食べられます。
こちらは「ペコロス」と呼ばれている品種です。普通の「黄玉ねぎを」間隔をあけずに栽培したもので、ミニサイズの玉ねぎです。「小玉ねぎ」とも呼ばれるこの品種は丸ごとシチューなどの煮込み料理に入れると荷崩れしにくいので便利です。また見た感じも可愛いらしいものです。写真のようなものの他に、皮が赤い「ルビーオニオン」や白い「パールオニオン」といった品種もあります。
玉ねぎの生産地:国内
玉ねぎは北海道から九州まで幅広い地域で栽培されています。生産量のトップは北海道で、日本全体の生産量のおよそ半分をしめています。中でも北見市は北海道玉ねぎの約4割を生産しています。2位の兵庫県は淡路島のブランド玉ねぎで有名です。3位は佐賀県になります。2位と3位は年によって入れ替わりがありますが、いずれにしてもこの3道県で日本の玉ねぎ生産量の約8割をしめています。
玉ねぎの生産地:国外
日本国内で広く栽培されていますが、実は輸入量の多い野菜でもあります。国内での自給率は約8割で、残り約2割を輸入に頼っています。そのうちの約8割は中国産で、他にはアメリカ、ニュージーランドから輸入しています。
玉ねぎの収穫の時期
このように日本全国幅広く栽培されている玉ねぎです。そのため収穫の時期は、品種だけでなく作られている場所によって開きがあります。北海道では8月から10月に収穫期を迎え、南の佐賀県では4月から7月にかけて収穫期を迎えます。このように産地によって収穫期が異なることと保存のきく野菜であることから、1年を通して美味しい玉ねぎを食べられるわけです。
玉ねぎの収穫時期:北海道
北海道での栽培は他の地域とは異なり、種を春にまいて8月から10月にかけて収穫を行ないます。代表的な品種は「スーパー北もみじ」で、辛味が強く保存性に優れています。また「北はやて2号」という品種は「スーパー北もみじ」より辛みが少ないのが特徴でやわらかめのタイプです。
玉ねぎの収穫時期:兵庫県
兵庫県では淡路島の玉ねぎが有名です。新玉ねぎの場合、種まきは9月で、3月から5月にかけて収穫を迎えます。新玉ねぎは、極早生(ごくわせ)種・早生(わせ)種という品種になります。淡路島では「ターザン」、「ターボ」といった中生種や、「もみじ3号」といった晩生種も育てられています。それらの収穫は夏から秋にかけてになります。
こちらは兵庫県淡路島の玉ねぎ食べごろを表しているカレンダーです。同じ地域であってもいろいろな種類の玉ねぎを栽培していること、さらに貯蔵期間が長い品種がありますので、一年を通して美味しい玉ねぎの時期ということになります。
玉ねぎの収穫時期:佐賀県
佐賀県の玉ねぎは、3月中旬ごろから極早生品種である「貴錦」が出荷されます。その後は兵庫県と同様に、早生、中生、晩生といろいろな品種が次々に出荷されます。品種としては「貴錦」の他は「レクスター」「七宝早生7号」「ターザン」などが有名です。
玉ねぎの収穫時期:中国
中国では広い地域で生産されていて、中でも、山東省、甘粛省、雲南省が主な生産地です。また、地域によって気候に違いがあるので、1月から10月にかけて、南部から北部へと収穫のタイミングが異なっているので継続的に出荷されています。
玉ねぎの収穫時期:アメリカ
アメリカにとって日本は、カナダ、メキシコに次ぐ第3位のたまねぎの輸出先国ですが、近年では日本国内で国産玉ねぎの供給が安定しているので輸入量は減っています。それでも、秋から春にかけて出荷される北海道産が不足している時には、それを補う形で6月以降に出荷されています。写真はコストコで販売されていたアメリカ産玉ねぎです。
玉ねぎの収穫のタイミングは?
玉ねぎは収穫時期が近づくと、葉がバタバタと自然に倒れていきます。これが収穫のタイミングが近づいていることを示していると言われますが、なぜこのように倒れていくのでしょうか?
春になり気温が上昇していくと、葉が増えていきます。葉の数を増やしながら、土の中の玉ねぎはどんどん成長していきます。葉の数が増える時期が終わると、葉鞘部が空洞化します。そうすると、玉ねぎは葉の重さを支えることができなくなり、葉は次々に倒れます。収穫のタイミングは玉ねぎが教えてくれるとも言われます。
葉がこのように倒れたあとも、土の中の球はさらに肥大を続けています。ただ、倒れてからは病気にかかりやすい状態ですので、あまり放っておくことはできません。葉が倒れてから1週間後が収穫のタイミングと言われています。品種や地域により違いはありますが、秋まき玉ねぎの収穫時期は、5月から6月の晴天の日です。
こちらは栽培している方が収穫するタイミングが早過ぎたと言っていた玉ねぎの例です。まだ葉が青々としています。玉ねぎの成長具合とお天気も注意しなければなりませんので、タイミングをはかるのは本当に難しいことです。
こちらの写真は葉が倒れてから1週間様子を見て、タイミングをはかっているところです。このあと、専用の収穫機を使って掘り出しています。
葉が倒れたあとにすぐに収穫すると、玉ねぎがまだあまり肥っていないことがありますし、長く置いておくと腐りかけている場合もあります。収穫のタイミングは難しいようです。タイミングがわかりづらい時には、葉が倒れてすぐくらいの時期に、その日にすぐ食べる分だけを収穫して成長を確認することをおすすします。慣れないうちは、一度に収穫するより何回かに分けて様子を見ましょう。
収穫後にすぐに食べる場合は少々雨が降っている日でも大丈夫ですが、保存する場合には必ず晴れたタイミングで収穫しましょう。できれば、何日か晴れの日が続き畑の土が乾燥している日がベストです。雨の日は玉ねぎの表面に湿った土が付きやすくなり、そこから腐りやすくなります。梅雨前の晴天の日が収穫のよいタイミングです。
玉ねぎの収穫のタイミングを逃すと?
では収穫のタイミングを逃すと、玉ねぎはどうなってしまうのでしょうか?葉が倒れたあとも玉が肥大することがわかっていると、できるだけ大きくなって欲しくて収穫を遅らせたくもなります。けれども時期を遅らせて大きくなり続けた玉ねぎは、裂球して病原菌が侵入してしまう可能性もあります。ですので、収穫のタイミングは逃さないようにしましょう。
玉ねぎの収穫時期:手作業による根切り
ていねいに抜き取られた玉ねぎは、ひとつひとつ手のひらでやさしく土を取り除いてあります。洗っているわけでもないのに表面がきれいになっているのがわかります。
収穫のあとは、畑に並べて半日ほど天日にあてて表面の水分を飛ばし乾燥させます。2-3日は乾燥させると言っている人もいます。あまり何日も日にあてていると玉ねぎの中の水分まで抜けてしまいます。玉ねぎに限らず、栽培の方法にひとつの正解はなく、皆さん試行錯誤しながら自分のやり方を見つけているようです。
表面を乾燥させたら、茎と根を切り取ります。では根切りはなぜ必要だと言われているのでしょうか?収穫後に根がついていると、空気中の水分やわずかに触れた土の水分を吸おうとします。根に含まれている水分は乾燥の妨げやカビや病気の原因になります。そのため、根の働きを止めるために、根切りをしておいた方が安心だと考えられています。
茎は上を数センチ残して切っています。あまり近くで切り落とすとそこから雑菌が入る恐れがあるので、少し残す必要があります。いずれ乾燥しますので、この茎の部分はじゃまにはなりません。
玉ねぎの収穫時期:機械による根切り
こちらは農家で使われることのある玉ねぎ根切機です。農家では規定のサイズの玉ねぎを作る必要がありますので、ある程度まで育つと収穫前でも根切りをして成長を止める場合もあるそうです。家庭菜園の場合は大きさにばらつきがあっても問題ありませんし、収穫したものからすぐに食べるのであれば根切りにこだわる必要はないという考え方もあります。
玉ねぎの収穫時期:乾燥方法
収穫した玉ねぎは日陰につるして乾燥させます。こうして貯蔵しているうちに表面が茶色く乾いて丈夫になり、ふだんスーパーで見かけるような玉ねぎになっていきます。表面が乾燥した皮に覆われていると、内側を湿気から守ってくれるようになります。
玉ねぎの収穫時期:淡路島での吊るし方
写真は淡路島の玉ねぎ小屋です。収穫された玉ねぎは比較的すぐに出荷する物もありますが、こちらは長期保存するための小屋になります。収穫した玉ねぎをつるして乾燥させて旨味が増してから出荷します。淡路島の中でも特に南あわじ市はこのような小屋が多く見られる地域です。
玉ねぎの収穫時期:軒下での吊るし方
家庭菜園で玉ねぎを栽培している場合には、淡路島のように玉ねぎ小屋を建てることはできません。納屋があればいいのですがそれもない場合も多く、皆さんそれぞれ工夫して吊るし方を見つけています。。
いろいろな吊るし方がありますが、大切なポイントをここで整理します。玉ねぎは湿気に弱く、常温で日の当たらない風通しのよい場所にのが吊るすのが基本です!この考え方は家庭で購入した玉ねぎを保存するときにも役に立ちます。
玉ねぎの収穫時期:4つ1組での吊るし方
こちらは大変工夫されている吊るし方です。同じくらいの大きさの玉ねぎ4つをビニールひもで縛ったものになります。初めに2つ1組にしたものを作り、ひもをねじります。それらを組み合わせて4つ1組のものを作っています。ひもをねじることにより、玉ねぎが抜け落ちにくくなっています。
4つ1組にした玉ねぎを物干し竿にかけて乾燥させています。日が当たらないように、北側のベランダなどに吊るすのがポイントです。
玉ねぎの収穫時期:ひとつひとつ分けた吊るし方
玉ねぎ同士が接しているとそこから腐りやすくなります。写真はひとつひとつバラバラになるようにビニールひもで固定する吊るし方ですので大変手間がかかりますが、丹精込めて作った玉ねぎを大切に保存している様子がわかります。。
玉ねぎの収穫時期:物干し竿を用いた吊るし方
こちらの方の吊るし方も物干し竿に吊るす方法ですが、なんと、玉ねぎを吊るすために物干し竿を高い位置に設置しています。確かに天井近くに固定されていて、これなら雨が当たりにくくなります。
玉ねぎの収穫時期:狭い場所での吊るし方
狭い場所でも工夫して、いろいろな種類のものを吊るし保存しています。こちらの方は最初は突っ張り棒に吊るして落ちてしまったそうなので、やはり重さには注意した方がいいようです。
家庭で購入後の玉ねぎの保存方法
それではスーパーや八百屋で購入した玉ねぎはどのように保存したらいいのでしょうか?玉ねぎは湿気が苦手で、常温で風通しの良い場所を好みます。まず考えられるのはベランダに吊るす方法です。とは言え、特に都会のマンション住まいの場合には、景観など気をつかうこともあります。
玉ねぎの吊るし方:マンションベランダでの工夫その1
最近のマンションではベランダに洗濯物を干すのが禁止のところもあります。景観を考えるとベランダに吊るせない場合には、こんな吊るし方もあります。こちらは100円ショップで購入したものを使って、ラックを作った例です。風通しがよいものを上からかけていますので安心です。
玉ねぎの吊るし方:マンションベランダでの工夫その2
同じくベランダでの吊るし方ですが、一工夫があります。玉ねぎの薄皮がはがれてお隣のベランダまで行ったり、あるいは玉ねぎが抜け落ちてしまうのに備えて、ネットをかけています。これなら、風通しをそこなうこともありません。
玉ねぎの吊るし方:マンションベランダでの工夫その3
こちらは使い古しのストッキングを使った保存方法です。玉ねぎを入れたら結び目を作り、またその上に次の玉ねぎを入れて結び目を作るという作業を繰り返していきます。玉ねぎの大きさにもよりますが、ひとつに4から5個は入れることができますので、両足分で10個ほど保存できます。使うときには、ひとつ分ずつ切り取っていきます。目立たないように、ベランダのすみに吊るすことができます。
玉ねぎを吊るさないで保存
吊るし方をいくつか紹介してきましたが、南向きの日当たり抜群のベランダしかない場合もあります。こちらは手作りの玉ねぎ用ラックです。ワイヤーネットを結束バンドで組み合わせて作っています。家で玉ねぎを栽培していなくても、箱買いしてしまった場合にそのまま置いておくと腐るのが早いです。このようなラックがあると、おしゃれに便利に野菜を保存することができます。
玉ねぎは湿気が苦手で、本来は常温保存です。けれども夏場は冷蔵庫に入れて保存した方がよいでしょう。その場合はビニール袋ではなく新聞紙に包んで野菜室に入れましょう。写真は100円ショップで売られていた麻の袋です。その中に新聞でくるんだ野菜を入れて保存していたという例です。
【まとめ】収穫した玉ねぎを上手に保存・乾燥しよう!
今回は玉ねぎの収穫時期とタイミング、そしていろいろな保存方法・乾燥方法を紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか?これから家庭菜園で栽培する人はぜひ参考にしてください。買ってきた玉ねぎはビニール袋のままつい冷蔵庫に入れてしまいがちですが、できれば風通しのよい日陰につるして長く保存して、毎日のいろいろなお料理に使いましょう。