妊婦が生魚を食べても大丈夫?食べる時の注意点やリスクは?

妊婦が生魚を食べても大丈夫なのか?を解説していきます。妊娠中のいつまで食べることができないのか?どうして妊娠中に生魚を食べてはダメなのか?についてを詳しく調査しました。妊婦が生魚を食べる時の注意点やリスクも併せて紹介します。

妊婦が生魚を食べても大丈夫?食べる時の注意点やリスクは?のイメージ

目次

  1. 1妊婦に生魚はダメ?
  2. 2妊婦に生魚がNGな理由
  3. 3妊婦が生魚を食べる時に注意すること
  4. 4妊婦は生魚を避けるべき?
  5. 5妊婦に生魚はダメではないが注意が必要

妊婦に生魚はダメ?

妊婦は生魚を食べてはダメという言葉をよく耳にしますが、妊婦でも生魚が無性に食べたい時があるかもしれません。特に刺身や寿司などの生魚が大好物な妊婦は、大きなストレスを感じてしまうでしょう。

妊娠中は特に食べ物には配慮しなければなりませんが、絶対に生魚を食べてはダメなのでしょうか?また、妊娠中のいつからいつまで生魚を食べてはダメなのかも気になるところです。

本記事では妊婦が生魚に注意しなければいけない理由や、食べた時のリスクを解説していきます。妊婦が食べても大丈夫と言われている生魚と選ぶときの注意点も併せて紹介しましょう。

妊婦に生魚がNGな理由

妊婦に生魚はダメと言われているのには、もちろん理由があります。妊娠中の身体はデリケートな上に、免疫も低下していることが多いです。そこで心配されるのが食中毒や食あたり、ウイルス細菌の感染と言われています。ここではさらに詳しく掘り下げて、どのようなウイルスや寄生虫がいる可能性があるのか、食中毒の原因なども解説します。

妊婦に危険なリステリア

リステリア菌は自然界に広く分布しており、河川や動物の腸など様々な所に潜んでいます。冷たい環境や10%以上の塩分にも強いので、冷蔵庫の中や塩漬けした食品でもゆっくりと繁殖していくのが特徴です。リステリア菌に感染してしまうと食中毒を起こし、発熱や悪寒・頭痛・背中の痛み・嘔吐などの症状が表れます。

万が一、胎盤や胎児にまで感染してしまうと流産や胎児の死亡に繋がる可能性もあります。特に妊婦は健康な大人に比べて20倍も感染する確率が高いと発表されているので注意が必要です。ちなみに、スモークサーモン・ナチュラルチーズ・生ハム・肉のパテなどにもリステリア菌が潜んでいる可能性があります。

予防法は賞味期限はいつまでかを確認して、熱に弱い菌なので火を通して食べることです。また、生の食材を触ったら手・食器・包丁・まな板などよく洗うようにしましょう。

妊婦に危険なアニサキス

アニサキス症は症状が2種類あります。

急性胃アニサキス症はみぞおちに激しい痛みを感じる・悪心・嘔吐の症状がでて、急性腸アニサキス症は激しい腹痛・腹膜炎症状がでます。

アニサキスとは、回虫目アニサキス科アニサキス属に属する線虫の総称で、全ての種類が魚介類に寄生しています。特にアジ・サバ・サケ・サンマ・カツオ・イワシ・イカなどに多く寄生しており、大きいと2~3cm程で目で見ても分かるくらいです。

アニサキス幼虫が寄生する生魚を食べてしまうと、アニサキス幼虫が食べた人の胃壁や腸壁に潜入して食中毒を引き起こします。みぞおちの激しい痛み・悪心・嘔吐・重症だと腹膜炎などを生じ、妊婦にとっても全身の体力を消耗し、胎児に良い影響を与えません。

予防法は、魚を購入する時は新鮮な魚を選び、アニサキスが寄生していないか目視で確認して下さい。内臓がある場合は、すぐに取り出して廃棄しましょう。また、アニサキスは、加熱(70℃以上)や冷凍(-20℃で24時間以上)で感染力を失うと言われています。

妊婦に生魚がダメなのは水銀のせい?

種類によっては水銀を多量に含んでいる魚があり、小さい魚よりもイルカやクジラのような大きめの魚の方が水銀を多く含んでいます。人間の身体は水銀を体内に入れても排出することができるので、大量でなければ大丈夫です。しかし、妊婦のお腹の中の赤ちゃんは自分で水銀を排出することができないので、水銀の影響を受けてしまいます。

ただ、水銀に関しては極端に神経質にならなくても大丈夫です。赤ちゃんに及ぼす影響としては、例えば音を聞いた時の反応が1/1000秒以下の極小単位で遅れることで、そのことによって社会生活が困難になるような重篤なものではありません。

予防法は水銀を多く含む可能性のある魚を毎日食べ続けることは避けて下さい。水銀の含有量が少ないサバやイワシなどの青魚を中心に食べると良いでしょう。

キンメダイ、メカジキ、クロマグロ、メバチマグロ、エッチュウバイガイ、ツチクジラ、マッコウクジラにも水銀が含まれています。また、これらの魚介類よりは少ないですが、キダイ、マカジキ、ユメカサゴ、ミナミマグロ 、ヨシキリザメ、イシイルカ、クロムツも水銀を含んでいます。

妊娠中は食中毒の危険が高まる?

妊娠中は生魚を食べることを避けた方が良いのはもちろんですが、どうしても食べたくて食べてしまった、うっかり生魚を口にしてしまったという場合もあるでしょう。しかし、食べたからといって誰もが食中毒になったり重い病気にかかったりする訳ではありません。体調に変化がなければ大丈夫なので、いつまでも心配する必要はないです。

妊婦は免疫力が低下し、食中毒にかかりやすく重症化しやすいという認識は持っておきましょう。妊娠中に体調が優れない時や疲労感が激しい時などは、生魚は避けておくようにして下さい。もし、生魚を食べて体調に異変があれば、いつまでも我慢せずに速やかに病院へ行って診てもらいましょう。

また、妊娠中は女性ホルモンの影響で70%の妊婦が、逆流性食道炎を起こしやすいそうです。妊婦は消化器官の機能が低下することも覚えておきましょう。

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妊婦が生魚を食べる時に注意すること

先述したようなリスクを負う可能性を避けるために、妊婦は生魚を食べたらダメだと言われています。しかし、何が何でも絶対にダメだと言う訳ではありません。どうしても生魚が食べたい時は、注意して食べれば生魚を食べることができます。そんな時はどのような点に気を付けて食べればよいのか、ポイントを解説していきましょう。

生魚の種類を決めて食べる

生魚を食べる時は、まず魚の種類を考慮しましょう。例えば水銀含有率の少ない青魚を中心に選んだり、水銀含有率の高いマグロやキンメダイでも食べる回数(頻度)を減らせば大丈夫です。しかし、水銀はいつまで加熱しても消えることはないので、生魚以外でも注意する必要があります。マグロを大量にパクパク食べるのは、危険ですので避けて下さい。

妊婦が一回の食事で食べても大丈夫とされている量の目安は、切り身だと一切れ・お刺し身だと1人前・お寿司だと1貫程度です。また、ウナギに含まれるビタミンAを過剰摂取すると、胎児の奇形などを引き起こすと言われています。しかし、1回につき1貫程度を食べるのであれば大丈夫です。

以下の量や回数を気にせず食べられる刺身の引用一覧を参考にしながら、数種類の生魚を組み合わせて楽しむのも良いでしょう。

量や回数を気にせず食べられる刺し身

キハダマグロ、ビンナガマグロ、メジマグロ、カツオ、タイ、アジ、イワシ、サケ、サバ、サンマ、ブリ、チゴダラ、アカムツ、イカ、タコは量や回数を気にせずに食べられる刺し身です。水銀含有率が高いと言われるマグロ、のどぐろも、その全てが高いわけではありませんので気にせずに食べても大丈夫です。

妊娠中の初期は生魚を避ける

妊娠初期はつわり症状が出る妊婦もいて、つわりはいつまで続くのだろうと落ち込んで精神的にも肉体的にも特にデリケートな時期です。生魚を食べたら流産するのではないか、胎児に悪影響ではないかと不安も高まるでしょう。

しかし、妊娠初期に生魚を食べたのが原因で流産率がアップするという訳ではありません。妊娠初期に流産してしまう原因のほとんどが、染色体異常によるものだと言われています。ただ、生魚を食べたことによって食中毒に感染してしまったら、母体はもちろんのこと胎児に影響を与える可能性はあるでしょう。

生魚をいつからいつまで食べてはダメだという制限期間は特にありません。しかし、妊娠初期で体調の変化を激しく感じる方や食べたことでいつまでも不安になってしまう方は、生魚を食べるのは避けた方が良いでしょう。

よく噛む

生魚に寄生しているアニサキス幼虫は、体に傷が付くとすぐに死滅してしまう特徴があります。刺身や寿司を食べる時はよく噛んで食べるようにすれば、アニサキス幼虫が分断して死滅するので大丈夫です。しかし、感染症の心配はないと言ってもアニサキス幼虫を噛み砕くことは、想像しただけでもあまり気持ちの良いものではありません。

アニサキス幼虫は長さ2~3cm、幅0.5~1mmの太めの白糸のような形をしています。食べる前に注意してよく見れば、見付けることが可能なので確認して食べるようにして下さい。刺身の場合は、1枚1枚を確認しながら食べるくらい気を付けることをおすすめします。

よく噛んで食べるということは消化にも良いことなので、生魚を食べる時以外にも心掛けておくようにしましょう。

鮮度に注意する

妊婦が寿司や刺身などの生魚を食べる時は、鮮度に気を付けることが大切です。冷蔵庫で賞味期限を過ぎていつまでも保存しているような寿司や刺身は、避けるようにして下さい。せっかく選ぶ魚や食べる量が問題なくても、保存状態の悪い生魚を食べてしまうと、食中毒にかかるリクスが高くなります。夏場は特に細心の注意を払って下さい。

例えば、スーパー等で寿司を購入する時は、製造から時間が経っていないものを選ぶようにします。購入したらいつまでも持ち歩かずに、できるだけ早く帰宅して冷蔵庫で保管して下さい。氷や保冷剤を入れて持ち帰るとより安全です。また、回転寿司で食べる場合は回ってくる寿司ではなく、直接注文するなどの心掛けをすると良いでしょう。

保管する際は、生で食べるものと調理用の生肉、生魚とは雑菌が移らないように別々にしておきます。刺身を切るまな板や包丁はいつも清潔に保っておきましょう。

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妊婦は生魚を避けるべき?

妊婦が魚を食べるとダメと言われる理由を解説してきましたが、実際に食べて大丈夫だったという妊婦の声も少なくありません。どうしてもリスクにばかり目に入ってしまいますが、魚を食べると良いこともあります。

生魚を避けた方が安全ではありますが、絶対に生魚はダメだと決めつけずに食べても良い魚の種類を知り十分気を付ければ、食べても良いでしょう。ここでは妊婦が魚を食べると摂取できる栄養や、生魚の他にも気を付けるものなどを紹介していきましょう。

妊婦にはいつもより多く栄養が必要

魚にはカルシウム・良質なたんぱく質・DHA・EPA・タウリンなど、優れた栄養素が豊富に含まれています。特に妊娠中は胎児の成長に必要な栄養を送るためカルシウムが不足になりがちです。間食に煮干しを食べたり、しらすやししゃもなど骨まで食べることができる魚を取り入れると効果的です。

また、スペインの環境疫学研究センターの研究では、妊娠3ヶ月までに多くの魚を食べた妊婦の子どもは、認知機能テストで高得点を記録したと発表されています。これは、神経組織の発達や脳に必要な成分DHAが、子どもの認知機能の発達に有効だからだそうです。

参考までに妊婦に特に必要と言われている栄養素は、ビタミン、カルシウム、マグネシウム、葉酸、鉄分などです。つわりが治まったら、いつまでも好きなものばかりを食べるのではなく、いろいろな食材からバランス良く栄養を摂ることが大切と言えるでしょう。

妊婦が摂りすぎてはいけないもの

妊婦には生魚以外にも注意して食べなければならないものが沢山あります。例えば、アルコールは胎盤を通して胎児の成長や発達に悪影響を与える可能性があるので基本的には飲まないようにしましょう。カフェインは胎児の発達の影響に加え、妊婦も貧血や高血圧を引き起こす要因になる可能性があるので控えめにします。

また、海藻類(特に昆布)に多く含まれるヨウ素は、胎児の甲状腺機能が低下する可能性があるので、許容量を守りましょう。ひじきに多く含まれるヒ素の過剰摂取は妊婦に悪影響なので、乾燥ひじき5gを週2回までの摂取が適切です。

ビタミンAは胎児が成長する上で必要な栄養成分ですが、うなぎやレバーに含まれている動物性ビタミンA(レチノール)を過剰摂取すると胎児に口蓋裂や水頭症が発生する危険性が高まると言われています。特に妊娠初期には摂取量の注意が必要です。

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妊婦に生魚はダメではないが注意が必要

妊婦が生魚を食べても大丈夫なのか?注意すべき点やダメと言われる理由を解説してきました。水銀や食中毒などが懸念される点もある生魚ですが、魚の種類や量をきちんと守って食べれば問題ないです。また、食べる時には目視で安全かを確認し、よく噛むようにして下さい。

妊娠中は何かとナイーブでデリケートな時期なので、リスクばかりを恐れて食べるのが怖くなる時があるかもしれません。しかし、妊娠中は胎児が成長するためにも十分な栄養が必要な時期です。食べることをいつまでも避けてばかりいると、お母さんと赤ちゃんに必要な栄養分が不足してしまいます。

妊婦の体調が良ければ、たまには気分転換に寿司や刺身を楽しむのも良いでしょう。妊婦が食べる食べ物に正しい知識を持って、妊娠中でも安全で快適な食生活を送って下さい。

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