ラガービールとエールビールの違い!味わい・特徴などビールの基本を紹介
ラガーやエールなどビールには種類がありますが、その違いがわかりますか?日本で販売されているビールのほとんどがラガービールで、エールビールは馴染みがないという人も多いでしょう。クラフトビールの人気の高まりから、ラガービール以外のエールビールに親しむ人も多くなってきましたが、まだまだメジャーとは言えないのが現状です。発酵の仕方の違いで分けられるラガーとエール、種類によって全く違う味わいを楽しむことができます。この記事ではラガーとエールの違いを、おすすめビールと共に紹介していきます。
目次
ラガービールとエールビールの違いについて知りたい!
夏になると飲みたくなるのがキンキンに冷えた冷たいビールです。ビールにはエールビール、ラガービールなど種類があるのですが意外に知られていません。
日本ではラガービール、その種類の中でもほぼ1種類しか流通していないのが現状です。今回はビール好きなら知っておきたい、ラガービール、エールビールの違いについて紹介していきます。
ラガービールとエールビールは同じビールでも、発酵方法が違えば味わいも全く違います。その発酵方法の違いと味や特徴の違いを詳しく紹介します。おすすめのビールも紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ビールの種類
ビールは大きく分けて3種類に分けられます。3種類の中でさらに細かく分けるとそのビアスタイル(ビールスタイル)は100種類以上にもなると言われています。
まず、基本となるラガー・エール・自然発酵の3種類の違いを紹介していきます。普段日本で多く流通しているビールはラガービールです。美味しいビールはたくさんあるのにラガーしか知らないのは勿体無い話です。その違いを知って、ビールについて詳しくなりましょう。
ラガーの特徴
日本人にとってもっとも馴染みがあるのがラガービールです。「ラガービール」と商品名につくものがあるので、商品名がラガービールだと思っている人もいますが、商品名ではなくビールの種類のひとつがラガービールです。
ラガービールの特徴は、キレがありすっきりとした苦味と爽快な喉越しにあります。冷たく冷やしてゴクゴク喉越しを楽しみたい人におすすめです。日本で流通しているメーカーのビールは、このラガービールの中のピルスナーという種類がほとんどです。
現在クラフトビールの流行で、色々なビールが飲まれるようになってきましたが、やはり一番人気はラガービールです。日本人にとってもっとも馴染みがあり、愛されているビールと言えます。
エールの特徴
エールビールの特徴は、フルーティーな味わいと豊かな香りです。ラガーに比べて泡が少なく、豊かな旨味を感じることができます。エールビールは1500年も前に生まれた歴史が深いビールです。
苦味が少なくフルーティーな香りが楽しめるペールエール、ホップが多く配合され苦味が特徴のインディア・ペール・エール、白いヴァイツェン、黒いスタウトなど、同じエールビールでも種類によって味わいや見た目に大きな違いがあります。
日本では馴染みがあまりないエールビールですが、海外ではとても人気があります。その日の気分や食事によって飲み分けできる楽しさもあります。
自然発酵の特徴
ラガービール、エールビールと一線を画するのが「自然発酵」のビールです。ラガービール、エールビールが培養された酵母を使用しているのに対し、自然発酵のビールは培養ではない野生の酵母を利用して発酵させます。
そのため、管理が難しく今現在あまり作っている醸造所はありません。有名なところではベルギーのランビックという種類のビールです。ワインのように長期熟成して作られるため強い酸味が特徴で、癖があり飲む人を選ぶビールです。
ラガービールとエールビールの違い
ラガービールとエールビールは同じビールでも、歴史も製造工程も味わいも違うものです。それぞれの違いを詳しくみていきましょう。
発酵
ラガービールとエールビールの大きな違いは、酵母の違いと発酵方法の違いです。ラガービールはラガー酵母を、エールビールはエール酵母を使用します。
ラガービールはラガー酵母を使い、約5度から10度の低温で発酵します。ラガーは発酵が進むと酵母が下に沈むことから「下面発酵」といわれています。
発酵期間は7日から10日ほど、熟成期間は1ヶ月ほどです。ラガーは雑菌が繁殖しにくく製造管理が簡単で、一定品質を保たなければならない大量生産に向いていることから日本の多くのメーカーで作られています。
対してエールビールはエール酵母を使い、約20度から25度くらいの高温で発酵させます。期間も3〜4日と短く、熟成期間も2週間ほどです。
エール酵母は発酵することで浮かんでくることから「上面発酵」といわれています。イギリスやベルギーではエールビールが主流で、ラガービールが世界的に普及した後もエールが親しまれています。
歴史
ビールの歴史はエールビールの方が古く、ビールの元祖はエールといわれています。1500年ほどの歴史があるエールビールはイギリスで生まれたといわれています。
ビールの原料は酵母とホップ、麦芽ですが、イギリスではホップの代わりにハーブを使ったエールが作られていました。ホップの入っているものをビール、ホップの入っていないものをエールと区別していましたが、その境目は時代とともに曖昧に。
そして様々な種類のエールビールが作られ、今現在もイギリスでメジャーなビールはエールビールです。一方のラガービールの歴史は、今から600年ほど昔のことです。600年ほど前15世紀の南ドイツで今のラガービールの原型ができたといわれています。
当時のビール造りは腐敗の少ない冬に行われていましたが温度管理が難しいものでした。しかし、低温でも発酵が進む事例が発見され、さらに19世紀になると細菌学者によって「低温殺菌法」が発見されます。
この発見と冷蔵技術によって、ラガービールは世界中に広まっていきました。ラガーの原型が作られたドイツでは、ビールといえばラガーのことを指し、様々な種類のラガービールが作られ地域に根付いています。
タイプ
ビールには様々なタイプがあり、ビアスタイル(ビールスタイル)として細かく分類されています。その種類は世界中で100以上もあると言われています。
ラガービール、エールビールと大きく分けられますが、その中でもさらに細かくスタイルは分けられています。日本ではラガービールのピルスナーが一般的ですが、せっかく100以上もスタイルがあるのですから、それしか知らないのは勿体無いともいえます。
味
材料は同じでも使う酵母と製造過程が違うことで、味わいは全く別のものになります。ラガービールは低温でゆっくり時間をかけることでマイルドな味わいになります。雑味がなくクリアですっきりと飲むことができ、喉が渇いた時や暑い夏などに冷たく冷やしてゴクゴク飲める爽快感と喉越しが魅力でもあります。
一方のエールビールは、豊かな味わいと芳醇な香りが特徴的です。ゴクゴク飲み干すというよりは、じっくりゆっくり味わう、といった方がぴったりです。ラガーは5度くらいが美味しいのに対し、エールは13度と、少し高めの温度で味わうのが美味しいといわれています。
ラガーが「淡麗辛口」と表現されるのに対し、エールは「芳醇旨口」と表現されます。この言葉はラガー、エールの特徴をよく表している四文字熟語です。
ラガービールの種類
たくさんあるラガービールの種類の中で代表的なものを5つ紹介します。100以上あるスタイルの中のほんの一例になりますが、覚えておくとビールの世界をもっと深く知ることができます。
ピルスナー
ピルスナーは世界中でもっとも飲まれているビールと言われています。100以上あるビアスタイルのうち、日本で作られているビールのほとんどがこのピルスナーです。
透明感のある黄金色で、すっきりとした喉越しを楽しむことができます。甘みが少なく、ホップの香りも感じられるもっとも一般的なビールです。
ヘレス
日本ではピルスナーが一般的ですが、ラガービール発祥のドイツで一般的なラガービールはヘレスです。ヘレスはドイツ語で「明るい」という意味です。その意味の通り綺麗な黄金色をしているのが特徴です。
味わいは麦芽の甘味を感じることができ、香りもフルーティーであっさりと飲めます。ホップの苦みは抑えめで、小麦の風味を味わうことができます。
メルツェン
メルツはドイツ語で3月という意味です。その名の通り3月に作られていたビールで、保存がきくように作られていたのでアルコール度数はやや高めです。
色はゴールドから赤みがかかったブラウンで、モルトの甘味がホップの苦みに勝っているのが特徴です。冷蔵技術がない時代には夏の間ビール造りは禁じられていたため、3月に作るメルツェンはドイツでは特別なものでした。秋の収穫祭には、腐敗を免れたメルツェンを持ち寄って飲み干すという習慣がありました。
デュンケル
デュンケルはドイツ語で「暗い」という意味です。その名の通り、ローストした麦芽を使っているので濃い褐色をしています。日本では稀に「ドュンケル」や「ドンケル」と表示されていることもありますが、同じ意味です。
味わいはさっぱりとしていながら、ローストした麦芽の甘味とコクを楽しむことができます。苦みは控えめでビールが苦手な人でも飲みやすくおすすめです。
シュバルツ
「黒」を意味するシュバルツはその名の通り、濃い黒色が特徴のラガービールです。濃く濃厚な色合いはローストした麦芽に由来するもので、ドイツの詩人、ゲーテが愛したビールとしても知られています。
意外にも苦みは少なく、ラガー特有のクリアな味わいを楽しむことができます。チョコレートやコーヒーのような独特の香ばしさも感じることができます。
エールビールの種類
それでは次はエールビールの種類を見ていきましょう。ラガービールとは違う特徴を持ったエールビール5つを紹介します。
ペールエール
ペールエールは、薄い黄色でフルーティーな香りが特徴的なエールビールです。苦味とコクのバランスが良く、エールビールのスタンダードとも言えるスタイルです。
ペールエールは喉越しを味わうビールではありません。大きなグラスに入れ、りんごのような洋梨のようなフルーティーな香りを楽しみながら、ちびちび飲むのがペールエールの味わい方です。そのため、ピルスナーに慣れている人には物足りなく感じるかもしれませんが、初心者にも飲みやすいビールです。
レッドエール
レッドエールは薄茶色のような赤みがかったビールです。様々なスタイルがあり、カラメルのような甘さの物やキャンディのような甘さの物もあります。
甘さの割に、軽い口当たりで飲みやすいものが多く肉料理との相性も抜群です。ホップの苦みを味わうというよりは、モルト感を楽しみたい人におすすめのスタイルです。
ブラウンエール
ブラウンエールは1929年にイギリスで生まれたエールで、ホップの生産地から遠く輸送費がかかるという理由から、モルト風味の強いビールとして考案されました。
ホップの苦みは抑えられ、モルトの風味を楽しめるエールです。ローストした麦芽由来のカラメルやチョコレートのような風味が楽しめます。その一方で、アメリカンスタイルのブラウンエールは苦味が強いのが特徴になっています。
ダークエール
高温で焙燥した特に色の濃い麦芽を配合して作られるため、濃い黒色が特徴なのがダークエールです。ローストされたモルトが醸し出す、深みとコク、芳醇な香りと甘味が感じられます。
ダークエールは「スタウト」や「ポーター」と呼ばれることもあります。クリーミーで濃厚な香りと味わいはキンキンに冷やすのではなく、少しぬるめが美味しいと言われています。
インディアペールエール
インディア・ペール・エール(IPA)は苦味が特徴的なエールビールです。IPAはその昔、冷蔵技術がなかった時代に長い航海中でも品質が劣化しないようホップを大量に投入し作られました。そのため、ホップのアロマと苦味が最大の特徴となっています。
とても苦いのですが、苦さの中にもフルーティーさがあり複雑な旨味を楽しむことができます。使われているホップによっても味わいの印象は大きく変わります。アルコール度数はやや高めのものが多いのも特徴です。
ラガービールのおすすめ人気商品
ビールについて知ったところでおすすめのビールを紹介します。まずはラガービールのおすすめを3つ見ていきましょう。
キリン 一番搾り
日本で一番有名なラガービール、と言っても過言ではないおなじみすぎるビールが「キリン一番搾り」です。一番搾り麦汁のみを使い、麦の美味しさを引き出す製法はキリン独自のものです。
日本人の口に合うよう、日本人の好みを極めて作られたビールで、雑味がなくクリアな味わいが楽しめます。その美味しさはみなさんご存知の通り、もはや説明不要でしょう。
エビスビール
キリンビールと並び、日本を代表するメーカーであるサッポロの「エビスビール」。その歴史は古く、1890年にも遡ります。エビスビールはドイツのビール純粋令に基づき、こだわりを持って作られています。
エビスは素材の上質な旨味を引き出すため、長期熟成し作られています。深いコクとキリッとした喉越し、スーと喉を通った後に残る香りを楽しめます。ちなみに東京都恵比寿はこの「エビスビール」が由来となってつけられた地名です。
山口地ビールピルスナービール
「山口地ビールピルスナービール」はいわゆるクラフトビール (小規模な醸造所で作られるビール)と言われるビールです。時にビールは水が命ともいわれます。山口県鳴滝の名水を使って作られるピルスナーは、スッキリした飲み口で初心者にもおすすめの飲みやすい味わいです。
鮮度にこだわり、注文を受けてから瓶詰め、熱処理やろ過もしないことから「生きたビール」といわれています。
エールビールのおすすめ人気商品
次はエールビールのおすすめを紹介します。スタイルによって個性が違うエールビール。その中から選んだ、3つのおすすめを見ていきましょう。
よなよなエール
「よなよなエール」はヤッホーブルーイングというエールビール専門の醸造所が作ったビールです。ホップはアロマホップ「カスケード」という種類を使用し、グレープフルーツのようなレモンのような爽やかな柑橘系の香りが特徴です。
香りを楽しむために少しぬるめの温度で、ゆっくり味わってみてください。飲んだ後も香りの余韻が心地よく続きます。
キャプテンクロウ・エクストラペールエール
「キャプテン・クロウ・エクストラペールエール」は、オラホビールという醸造所が作ったビールでとにかくホップをガツンと感じることができるビールです。
自家栽培のホップを通常の倍以上使用、飲んだ瞬間ホップのアロマが鼻の中を駆け巡ります。とにかく強烈なインパクトのビールで、ホップの苦味と爽快感が病みつきになるかもしれません。
箕面ビールスタウト
大阪の箕面(みのお)生まれのスタウトが「箕面ビールスタウト」です。クリーミーな喉越しとほのかな甘み、スッキリとドライな後味のビールです。
箕面ビールスタウトは何倍杯でも飲みたい黒を追求して作られた、箕面ビールの自信作です。12度ほどのぬるめの温度でじっくり味わってください。
ラガーとエールの違いを理解してビールを味わおう!
ビールと一口に言ってもラガー、エールによってその味わいは全く違います。クラフトビール人気の高まりから、今はピルスナー以外もコンビニやスーパーでも見かけるようになりました。
ビールの世界はとても奥深く、知れば知るほど興味深いものです。ラガーとエールの違いを知って、今夜はいつもとは違うビールを楽しんでみませんか?