ブリの出世魚の順番と名前は?地域ごとの呼び名と大きさ・味の特徴一覧
ブリは脂が乗っていて煮付けにしたりすると美味しいため人気がある魚ですが、大きさによって呼び名が違うということは案外知られていません。数は多くないですが一部の魚の中には出世魚という、大きさによって呼び名が変わる種類があり、ブリも出世魚であるため大きさによって呼び名が違うのです。呼び名が違うだけで味が変わらない出世魚もいますが、ブリは呼び名が違うだけではなく味も違うので、呼び名や味について紹介していきます。
目次
ブリは寿司ネタでも人気が高い
ブリは煮付けにしても美味しいですが、お寿司も美味しいですよね。魚肉ソーセージや冷凍食品を製造・販売するマルハニチロが関東と関西地区に住む男女合わせて1,000人に「あなたの好きな寿司ネタは何ですか?」というアンケートを取ったところ、ブリが上位に入りました!
そのアンケートでは、10位がホタテ、9位がイカ、同率7位がイクラと生エビ、6位えんがわ、5位がネギトロ(軍艦巻き)、4位がマグロ中トロ、3位がマグロ赤身、2位がブリ、1位がサーモンという順番でした。老若男女に大人気のサーモンとマグロの間に入ったというのは、大健闘と言えるのではないでしょうか。
ちなみに、マルハニチロは2017年に「好きな魚は何ですか?」というアンケートも取っていて、9位にブリが入っています。世界中には約2万種類の魚がいるので、トップ10に入っているのは、こちらも大健闘だと言えます。
ブリはどんな魚?
出典: http://rokaru.jp
ブリのことを好きな方は多いですし、好きというほどではなくても存在は知っているという方が大半です。しかし、なんとなくしか知らず、詳しく知らないのではないでしょうか?そこで、ブリの魅力をもっと知ってもらうべく、ブリのアレコレを名前の由来から順番に紹介していきます。
ブリの名前の由来は何?
あまり見慣れませんが、ブリは漢字では「鰤」と書きます。冬が旬の時期なので、12月を表す師走の「師」という意味と、ブリは年齢を重ねた魚なので、年寄りを意味する「師」が付いています。
名前の由来としては、アブラが乗っていることから、アブラがなまってブラ、さらになまってブリになったという説があります。その他には、年を重ねていることから、年経(ふ)りたる→フリ→ブリになったという説や、身がブリブリしているかたブリになった、という説もあります。
ブリはどんな見た目?
全長1m前後の大きさで、重さは5kg前後です。カンパチと同じく紡錘形であることから、カンパチに似ていると言われていますが、カンパチの方が黄色がかっています。切った際の身の見た目は、ブリの方が落ち着いた色をしています。見た目からすると白身魚のように思いますが、ブリは実は赤身魚です。
ブリの生態
ブリはスズキ目アジ科の海水魚で、天然のブリは北海道から九州南部のオホーツク海や太平洋、瀬戸内海、日本海、東シナ海に生息しており、まれに沖縄県にも生息しています。房総半島や能登半島以南が産卵場で、産卵期は2月~3月です。養殖は九州・四国で行われています。
日頃魚は何を食べて生きているかなんて考えたことが無い方が大半だと思いますが、実は魚は植物食と動物食に分けられます。植物食の魚は、プランクトンやコケを食べます。それに対して動物食の魚は、小魚や甲殻類を食べます。ブリは植物も動物もどちらも食べる雑食で、生まれたばかりの頃はプランクトンを食べ、大きくなると甲殻類や様々な魚を食べるようになります。
ブリはどんな味がするの?
魚によっては天然ものが主に流通しているものや、養殖ものだけが主に流通しているものがありますが、ブリは天然ものも養殖ものも流通しています。天然ものは、脂がさらっとしていてあっさりとした味わいです。身が引き締まっていてしっかりとした食べ応えです。養殖ものは、脂が乗っていて甘味を感じる味わいです。身は柔らかいので、脂を楽しみたい方は養殖ものの方が良いかもしれません。
養殖ものは脂が乗っているだけではなく、春夏秋冬いつでも同じ味を楽しめるというメリットがあります。それは一見大したことないメリットのように感じます。しかし、春夏秋冬同じ味ということは、ハズレに出くわしにくいということで、小さいお子さんからお年寄りまで老若男女誰でも魚を気軽に食べられます。
ブリの値段は天然もの養殖ものどっちが高い?
一般的に魚は、天然ものの方が値段が高いことが多いですが、ブリに関しては事情が異なり、基本的には養殖ものの方が値段が高いです。旬の時期の質がとても高い天然もののブリは養殖ものより高かったりしますが、旬の時期以外の天然もののブリは痩せているため安いです。
それに対して養殖もののブリは、成長の順番に合わせてコントロールされたえさを豊富に与えられている上に血抜きを確実に行えます。そのため、1年中脂の乗っている安定した味に仕上がるため、天然ものよりは高くなっています。と言っても、天然ものと比較すると高いというだけで、入荷量が安定しているのでリーズナブルな価格で売られていることが多いです。
ブリを購入する際のチェックポイントは何?
身が引き締まっていてハリがあるものが美味しいです。切り身を購入する場合は血合い(赤い部分)をチェックしましょう。血合いが褐色であれば古く、鮮やかな色であれば新鮮です。脂を楽しみたいのであれば白みが濃いブリを選ぶと脂が乗っているので、脂を楽しめます。逆に、脂はそれほど乗ってない方が良いという場合は赤みが強いブリを選ぶとさっぱり食べられます。
切り身になっていない一匹まるまるのブリを購入する場合は、切り身を購入する場合と一緒で、引き締まってハリがあるものを選びましょう。体にある黄色い縞模様やえらが色鮮やかで目が澄んでいるブリが新鮮です。天然ものが食べたければ尾が尖っているブリを、養殖ものが食べたければ尾が尖っているブリを選びましょう。
ブリにはどんな栄養素が含まれているの?
昔から魚には健康に良いというイメージがあります。単なるイメージだけではなく、実際に我々の健康に貢献してくれています。ではなぜ魚を食べると健康になるのでしょうか?それは多数の栄養素が含まれているからです。ブリも例外ではなく、栄養素が大きさに関係なくたくさん含まれており、特にナイアシンやDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)が豊富です。
ナイアシンは、牛レバーや鶏肉に含まれている栄養素です。健やかな肌を保つ効果が期待できるので、美肌になりたい方におすすめです。美肌になりたいと特に思ってない方もいらっしゃるかもしれませんが、ナイアシンは不足すると皮膚炎になることがあるので、美容に関心が無い方でもなるべく摂ることをおすすめします。
DHA(ドコサヘキサエン酸)は、サンマやマグロ等の青魚や、うなぎやシャケに多く含まれている不飽和脂肪酸です。DHA(ドコサヘキサエン酸)を摂取すると頭が良くなると多くの方が知っていますが、理由としては、DHA(ドコサヘキサエン酸)が脳を活性化するからです。DHA(ドコサヘキサエン酸)は身より皮の方が多いので、ブリを食べる時は皮も積極的に食べましょう。
EPA(エイコサペンタエン酸)はDHA(ドコサヘキサエン酸)と同じく、サンマやマグロ等の青魚やうなぎやシャケに多く含まれている不飽和脂肪酸です。EPA(エイコサペンタエン酸)は血液をサラサラにする作用があることにより、血栓が出来にくくなる効果が期待できます。つまり、不足すると血栓が出来やすくなり、動脈硬化を引き起こす恐れがありますので、どちらも積極的に摂取しましょう。
ブリの調理法にはどんなのがあるの?
ブリは数多くの調理法がある食材で、まず1番食されているのがやはり刺身です。刺身はブリの脂をダイレクトに楽しむことが出来るので人気です。次に人気なのがブリ大根です。醤油とブリのあらから出ただしが混ざり合った汁が浸み込んだ大根は絶品です。
その他には照り焼きやしゃぶしゃぶにするという調理法もあります。照り焼きはブリの脂の甘みを楽しめる調理法です。ブリをしゃぶしゃぶにしたことがある人は多くないかもしれませんが、さっぱり食べられるのでオススメの調理法です。
どちらも出世魚であるブリとカンパチの違いとは?
上述したようにブリとカンパチは似ていて混同しやすいです。2つとも美味しいのでどちらが優れているということはありません。味が少し違うためブリを食べようとしてカンパチを購入してしまい、思った味と違うという事態になる可能性がありますので、ブリとカンパチの違いを説明していきます。
出世魚であるブリとカンパチの見た目の違い
カンパチは上から見ると漢数字の「八」に見える黒い線が目の上から背中にかけてあります。ブリには無いので、それで見分けが付きます。切り身の見た目の違いとしては、カンパチの方が平べったい魚体なので、切った時に鋭角になり、ブリは均一になりやすいです。色は、天然ものの場合はカンパチよりブリの方がピンクがかった色です。養殖ものの場合は同じような色です。
出世魚であるブリとカンパチの味の違い
味も基本的には違いがありませんが、強いて違いを挙げるとすると、ブリの方が脂が乗っていてまろやかです。ただ、食感は分かりやすい違いがあります。ブリは柔らかいですが、カンパチはコリコリとしています。その辺りは好みに分かれると思うので、好きな方を選びましょう。
出世魚とは?
出世魚とは何なのか知らない方がいらっしゃるかもしれませんが、年齢によって呼び名が変わる魚のことを言います。年齢だけではなく他の面でも特筆すべき違いがあります。それを知ると魚屋やスーパーに行った時にどの魚にすべきか分かりやすいと思いますので、出世魚の種類や大きさによる呼び名の違いなどを紹介していきます。
出世魚と呼ぶ理由
魚には当然肩書きが無いので、出世しないのに出世魚と呼ぶのは不思議な感じもします。ではなぜ出世魚と呼ぶのでしょうか?昔は、徳川家康の小さい頃の名前が「竹千代」であったことが有名であるように、人間も小さい頃と大人になってからの名前が違いました。その影響により、大きさが変わったことにより名前が変わる魚を出世魚と呼ぶようになりました。
出世魚の種類
出典: https://mofmo.jp
世界中で魚は2万種類生息していると言われています。しかし、出世魚の種類はそう多くありません。ブリ、スズキ、ボラ、クロダイ、カンパチ、サワラ、マイワシ、コノシロです。これらの魚の呼び名を大きさによる順番で紹介していきます。
出世魚の代表格スズキ
夏に旬を迎える高級魚の一つであるスズキは、出世魚の代表格です。スズキの呼び名の順番は、40cm以下の大きさのときはセイゴ、40cm~60cmの大きさの時はフッコ、そして60cm以上になるとスズキと呼ばれるようになります。
もう一つの出世魚の代表格ボラ
一般的にはお目にかかる機会が少ないながらも実は美味しいボラも出世魚の代表格です。ボラの呼び名の順番は、18cm以下の大きさの時はスバシリ、18~30cmの大きさの時はイナ、そして30cm以上になるとボラと呼ばれるようになります。
釣りで人気があるクロダイも出世魚
美味しい上に見た目が格好良いことから釣りで人気のクロダイも出世魚です。クロダイの呼び名の順番は20cm以下の大きさの時はチンチン、25cm~30cmの大きさの時はカイヌ、30cm以上の大きさになるとクロダイと呼ばれるようになります。
見た目が似ているカンパチも出世魚
ブリと見た目が似ているカンパチも出世魚です。カンパチの呼び名の順番は、35cm以下の大きさの時はショッコ、35cm~60cmの大きさの時はシオゴ、60cm~80cmの大きさの時はアカハナ、そして80cm以上の大きさになるとカンパチと呼ばれるようになります。
和食には欠かせない素材であるサワラも出世魚
クセが無い味であるため和食の素材として欠かせないサワラも出世魚です。サワラの呼び名の順番は50cm以下の大きさの時はサゴシ、50cm~60cmの大きさの時はナギ、そして60cm以上の大きさになるとサワラと呼ばれるようになります。
ブリと同じくリーズナブルな価格のマイワシも出世魚
ブリと同じく色んな料理に使えるにも関わらずリーズナブルな価格のマイワシも出世魚です。マイワシの呼び名の順番は、10cm未満の大きさの時はカエリ、10cm前後の大きさの時はコバイワシ、15cm前後の大きさの時はチュウバイワシ、そして20cm以上の大きさになるとオオバイワシと呼ばれるようになります。
寿司ネタとして密かな人気があるコノシロ
知名度は高くないですが、旨味が強いため寿司通に好まれるコノシロも出世魚です。コノシロの呼び名の順番は、5cm以下の大きさの時はシンコ、7cm~10cmの大きさの時はコハダ、13cmの大きさの時はナカズミ、そして15cm以上の大きさになるとコノシロと呼ばれるようになります。
ブリは地域によって呼び名が違う?
出世魚が大きさによって呼び名が違うことがお分かりいただけたと思います。実はブリは、大きさだけではなく、地域によっても呼び名が違うのです。関東の呼び名の順番は、20cm前後の大きさの時はワカシ、30cm前後の大きさの時はイナダ、60cm前後の大きさの時はワラサ、70cm前後の大きさの時はメジロ、そして80cm以上の大きさになるとブリと呼ばれるようになります。
関西の呼び名の順番は、20cm前後の大きさの時はワカナ、40cm前後の大きさの時はツバス、60cm前後の大きさの時はハマチ、70cm前後の大きさの時はメジロ、そして80cm以上の大きさになるとブリと呼ばれるようになります。
お祝い事にブリを出してみよう!
ブリを初めとする出世魚は、その名前の縁起の良さからお祝い事に出されることが多い魚です。最近は出世魚を出さない家庭も増えてきましたが、出世魚をお祝い事に出せばマナーに厳しい方に褒められます。ブリは出世魚の中でもリーズナブルな魚なので、お祝い事に気軽に出してみてはいかがでしょうか?