イチゴを種から育てる方法とまき方は?種類の特徴と栽培の仕方も調査
フルーツの中でもダントツ人気のイチゴ!可愛くて美味しいイチゴ。イチゴがあるだけでテーブルが華やかになります。そんなイチゴの苗は見たことあるけれど、種って売ってるの?と疑問を持った人が少なくないのではないでしょうか?そこでイチゴを種から育てる為に種の採取方法、種を発芽させるコツなどや、イチゴの種類ってどれくらいあるのか?どんな種類があるのか?など、実は知らなかったイチゴの情報を紹介したいと思います。
目次
イチゴの栽培をする前に知っておくべきこと
パンケーキやパフェ、ショートケーキにヨーグルトなどの飾りに欠かせな果物の一つであるイチゴですが、イチゴがあるだけで華やかで美味しそうで女子にとってはテンションの上がる果物ではないでしょうか?そんなイチゴを自分で育てて収穫する楽しみを味わってみましょう。今回は、種からイチゴを育てる方法を紹介します。
イチゴの栽培を始める前に、まずイチゴにはどんな種類があるのかを調べ、どの種類が育てやすのか?種のまき方や育てる方法、特徴などから探っていきたいと思います。
イチゴの基礎知識
イチゴはバラ科の小低木で、特徴として茎は短くトゲを散生小さなトゲがあり、春に白い五弁の花をつけます。果実は赤く熟すと食べられます。種類は豊富で、毎年花を咲かせ、実をつける多年草です。生育適温は17~20℃と冷涼な気候を好み、寒さに強く雪の下でも越冬します。ビタミンCが豊富で生食でも、ジャムなどのように加熱しても食べられます。
イチゴの苗の植え付けは10月~11月ごろに行い、収穫は5月~6月です。しかし、現在はハウス栽培がほとんどで需要の多いクリスマスシーズンの12月が出荷量の最も多い時期といえます。イチゴは陽射しを好み乾燥に弱いが水分が多いとカビが生えたりと温度と湿度の管理が難しい特徴を持っており、害虫の被害も受けやすい植物です。
イチゴの栽培が盛んな県は、栃木県と福岡県です。栃木県では「女峰」と「とちおとめ」や「スカイベリー」が多く栽培され、福岡県では「とよのか」と「さちのか」や「あまおう」が多く栽培されています。その他に珍しい種類のイチゴ「ももいイチゴ」や「さくらももイチゴ」などの高級イチゴを徳島県佐那河内村で栽培されています。
世界的な生産地でみると、カリフォルニア州が温暖な気候と広大な土地に恵まれて多くイチゴの生産をしています。次にロシア・スペインが続きます。海外では日本の様に甘いイチゴを生産しておらず、加工品用がほとんどで酸味が強く保存性を重視した生産となっています。生食イチゴの生産では日本が世界一で、美味しさを追求し品種改良も盛んに行われています。
イチゴの種類
現在イチゴの種類は49品種あります。あまおう・あすかルビー・いばらキッス・さがほのか・さちのか・桃薫(とうくん)・とよのか・紅つやか・紅ほっぺ・ゆふおとめなど各生産地が競ってオリジナル品を開発しているようです。本当に多くの品種のイチゴが出回っていますが、大粒のイチゴが人気のようで「アイベリー」や「あまおう」、「さがほのか」などがスーパーでも人気で、おなじみの顔となっています。
こんなに多くの種類があるイチゴですが、家庭で種から育てるにはどの品種が向いているのでしょうか?品種改良されたイチゴが適しているか?元々露地栽培されていた品種がてきしているか?探っていきたいと思います。毎朝、赤く熟した摘み立てイチゴを朝食に並べれば素敵な一日になりそうです。
イチゴの種について
イチゴの種は特殊なイチゴを除いてですが、四季なりイチゴ「ワイルドストロベリー」くらいしか見つかりません。そもそもイチゴを種から育てても品種改良されている種からだと同じ品種にはならないので株分けして育てるのが基本のようです。品種改良が進むと一代交配種と呼ばれるもになり二代目の種から同じ甘さや大きさなどを受け継がないイチゴが出来るのです。
種が無いなら、自分だけのイチゴを育てる為に種を採取して発芽させてみましょう。種の採取方法は、イチゴの実を種のある部分だけ残して薄く切り取ります。それをキッチンペーパーに貼り付けて2~3日乾燥させます。種だけがペーパーの上にくっついて残っているので、水で洗うと上に浮かんでくる種と沈む種とに別れます。
下に沈んだ種だけを取り出して栽培用の種として使いましょう。ですが種苗法というものがあり、新品種の種苗を育成した人が登録をすると育成者権が25年間保有するこができ、育成者権者以外の人が利用する場合は、育成者権者の許諾が必要となりますので、念のため農林水産省の品種登録データ検索にて育成権の消滅した品種を確認して試してみましょう。
採取した種の選別方法
塩水選(えんすいせん)という一定濃度の塩水に種を入れて浮かんだ種は取り除き、沈んだ比重の重たい良質の種だけを選び出す方法があります。高確率で発芽をさせたい人は、この塩水選を試してみてください。
種の選別は、農家などが効率的に発芽させる為にするものですので家庭菜園では必要ないかもしれません。なぜならば、沈まなかった種が必ず発芽しないという訳ではなく、発芽の確立が低いというだけで、命が芽生えるかもしれない種ですので全て蒔いてみて、芽がどれくらい出てくるかを楽しむのも良いと思います。
イチゴの種を育てる方法
種のまき方
まず種のまき方には、おおまかに4つの種類があります。「点まき」「すじまき」「ばらまき」「ポットまき」です。間隔が狭くても大丈夫な植物は「すじまき」、間隔が必要な植物は「点まき」、種を蒔いた後に土をかぶせる必要のない植物は「ばらまき」というように、植物の特徴によって蒔き方を選びます。
種のまき方:点まき
等間隔で丸く穴を空けていき、その穴に2粒くらいずつ入れてゆき、土をかぶせて手のひらでゆっくりと押さえます。すこし大きめの種で間引きせず、比較的大きくなる種類の植物に適しているまき方です。
種のまき方:すじまき
筋状に同じ間隔でまく方法で、支柱などを使って溝をつくりそこへ蒔いていくとやり易いでしょう。種が小さめであまり大きく育たない種類に適しているまき方です。
たねのまき方:ばらまき
土の表面一面に均等にまきます。種が極小で発芽の際に陽射しが必要な種類の植物に適しているまき方です。イチゴはこのまき方が向いています。
出典: https://horti.jp
たねのまき方:ポットまき
発芽にあたって温度や陽射しなど細かい管理が必要であり、発芽や苗の育成に手間が必要で栽培が難しい種類の植物はこのまき方が適しています。このまき方もイチゴに適していると言えます。
イチゴは「ばらまき」か「ポットまき」
イチゴは発芽にも陽射しを必要とする特徴があるため、種を蒔いてから土を被せてはいけないので平たい容器で「ばらまき」かセルトレーやポットを使った「ポットまき」が適しています。
イチゴの種をまいてみよう
イチゴの種は陽射しを大変好みます。陽射しがなければ発芽しないですし、種がとても小さいので土に埋めると埋没してしまい発芽率も悪くなります。ですので土は被せません。土の上に種を沢山ばらまいて濡らしたティッシュを被せて発芽を待ちましょう。乾いてきたら水をあげますが、湿っている程度がいいので霧吹きなどで水を吹きかける方が良いでしょう。
土は種まき用土が売っていますので、それを使うと失敗も少ないでしょう。とにかく水はけ良い土と風通しの良い場所、日当たりの良い場所というのが条件です。また、サカタのタネでおなじみの種の会社から「ジフィーセブン」という吸水させるだけで培養土ポットになる初期育成肥料入りの便利で優れたものがあるので、そちらを使われるのも良いと思います。
ポットやセルトレイでの種のまき方
ポットやセルトレイを利用しての種のまき方は、一つのポットに種を1~3粒くらいにしましょう。イチゴの発芽を促すには酸性の土が向いています。また、温度は20℃前後が適していますが、カビの生えやすい温度です。イチゴの特徴としてカビに弱いので風通しのいい場所でカビが生えないように管理しましょう。
イチゴの発芽初期の根は本当に糸のように細く傷がつきやすので出来るだけ触らないことも必要ですし、常に土を湿らせた状態を保たなければいけませんが、通気性も必要で水分が多すぎるとすぐに枯れてしまいます。出来るだけ太陽の光が当たる場所に置き、一日3回霧吹きで水をかけて湿らせなければならず、大変ですが発芽した時の喜びは大きいことでしょう。
20日~30日くらいで発芽します。とにかく日が当たる場所で乾かないように気長に待つしかありません。それから双葉がでて本葉が2枚出るまでに10日~14日くらいです。本葉の形から少しイチゴらしさを感じてくることでしょう。更に10日くらいたつと数枚ギザギザした葉が出てきますが、まだまだ小さいのでもう少し育てましょう。
イチゴの種は眠りが深い!
イチゴは、しっかり寒くなる冬を迎えることで「もうすぐ春がくる」と思い発芽の準備をする植物です。ハウスで育ったイチゴの実は寒い冬、つまりしっかり低温にさらされるという状態がないので、休眠状態です。ですから、種を蒔いてから発芽までが約1か月もかかってしまうのです。では、どうしたらイチゴの目を覚ますことができるのでしょう。
イチゴに冬が来たと思わせる
他の植物を育てたことのある人ならご存知かもしれませんが、脱脂綿などに水を含ませてそこに種を包みます。それを冷蔵庫のチルド室に3日ほど入れておきます。それから前に紹介した種のまき方で育てる方法です。チルド室で冬を再現することで、イチゴの種が春が近いと思い、発芽の準備を始めます。この方法で種を蒔くと、10日前後で発芽します。
出典: https://fusal.jp
採取した種をそのまま蒔いて発芽まで待ち育てる方法か、チルド室に種を入れて目を覚ませてから種を蒔いて早く発芽させ育てる方法のどちらか自分に合った、育てる方法を選んで試してみてください。二つの育てる方法の両方を選んで、半分ずつ試してみるのも違いが観察できて面白いでしょう。
植替えできるまでしっかり育てる方法
イチゴの特徴を理解する
何度も伝えますが、イチゴの種の特徴は湿り気を必要とし陽射しも十分に必要です。それから発芽してからは急速に成長しますので肥料を与えなければ上手く育ちません。しかし、本当に小さな種から出てくる芽は驚くほど小さいのです。非常に繊細な扱いをしなければ枯れてしまいます。肥料も濃すぎると肥料焼けで枯らしてしまう原因になります。
芽が出てきたら、スプレーで肥料を一日に3~4回吹きかけます。肥料の濃度ですが、500ccの水に液肥を1滴程度の薄いものにしましょう。本葉が2枚以上出てきたら植替えの準備をはじめましょう。
植替えのタイミングは?
種のまき方の段階で、ポットやセルトレイを利用して蒔いた場合はもう少し大きくなるまでポットで育てましょう。普通にプランターなどに種を蒔いた場合は本葉が3枚くらになったら植替えの目安です。品種の特徴や蒔いた時期でここまでにかかる日数はまちまちですし、種それぞれでも発育のスピードが違うので、本葉3枚を目安にしましょう。
植替えするときに使う土は、イチゴの栽培に向いている土壌酸度ph6.0~6.5ですので酸度を測り酸性に傾ていたならば苦土石灰をまき混ぜたりしなければいけません。イチゴの栽培専用の土が売っていますので初心者はそちらがおすすめです。それから、イチゴの根は細く繊細ですから植替えの際に、慣れた人でも半分くらい枯らしてしまうようです。
ポットで種から植替え時期まで
種からイチゴを育てる方法の中で、植替えが一番難しいのではないかと思います。ですから、しっかり本葉が沢山出てきて根も丈夫になる大きさまでポットで育てる方法が得策でしょう。どうしても本葉3枚の時期に植替えがしたい人は、種のまき方で紹介した「ジフィーセブン」を使いましょう。ジフィーセブンならば根を痛めることなく簡単に植替えが可能です。
ジフィーセブンの底から根が出てきたら植替えの時期ですので、プランターや好きな植木鉢にイチゴ専用の土を半分くらい敷いて、その上に育った苗をジフィーセブンごと乗せます。隙間に土を埋めていき、水をたっぷりあげて3日くらい日蔭で様子を見てから日光の当たる場所に移動させます。
種類を問わず肥料が必要なイチゴ
その後も、液肥を薄めて作った肥料水をスプレーで毎日吹きかけてあげると、肥料が均等に行き渡りすくすくと育ってくれます。ホームセンターで見かけるイチゴの苗くらいの大きさまで育てば、定植をします。プランター(深さ20cm前後、幅65cm)なら3株くらい、6~7号鉢なら1株ずつ植えましょう。通気性に優れた素焼きのものが適しています。
定植後のイチゴを育てる方法
定植する時にイチゴの苗の中心部分(クラウン)が土で隠れないように気を付けましょう。水が溜まって腐りやすくなり、枯れる原因になります。どんなイチゴの種類でも、お日様が大好きというのがイチゴの特徴です。
陽射しも肥料も美味しいイチゴの必須アイテム
イチゴ栽培用の土にはあらかじめ肥料が入れられていますが、成長と供に栄養が足りなくなりますので追肥が必要となってきます。イチゴの甘さや美味しさは土と肥料で変わってきますので、肥料を与える時期や回数またどのような肥料を与えればいいか紹介します。
定植してから1か月以上過ぎたら暖効性の肥料を追肥してあげましょう。もしくは、液体の肥料を一週間に一回くらい与えてもいいでしょう。種を植える時期や環境によって成長の速度は違いますが上手くいけば白い花が咲きますので、受粉をしてくれる虫がいないようなら耳かきなどで花の中心を軽く叩いてあげましょう。
種から育てるイチゴのまとめ
思っていたよりも、デリケートなイチゴの栽培でした。カビや雑菌に弱いので室内で水耕栽培をするのもおすすめです。常に陽射しを必要とする特徴も鉢植えや水耕栽培など移動が簡単にできる栽培方法なら対処できそうです。種を採取するところから、実がなるまでにかなり時間がかかりそうですが、どんな実が出来るのか楽しみにして挑戦してみてください。