ジンフィズの特徴と作り方!バーの力量が試される難しいカクテル!
ジンフィズというカクテルを知っていますか?ジンフィズはジンをベースに作られている長い歴史を持つカクテルで、シンプルな作り方であるにも関わらず、どんなバーテンダーにも完成度を高めるのが非常に難しいと言われています。レモンジュースの爽やかさが際立つ特徴的な見所があるジンフィズの知識をより深めてみませんか?ジンフィズをまず最初に頼むと良いとされる理由や数々のアレンジレシピ、合わせるのに最適な料理やおつまみも紹介します。
ジンフィズとは?
ジンフィズは、ジンをベースにしたカクテルの一種です。2種類以上の飲み物を掛け合わしたものは全てカクテルと言われますが、ジンフィズはアルコールを使ったものになります。また「フィズ」とは、「シューっ」や「シュワッ」のような擬音語を英語で表現したもので、炭酸水の音を表しています。
アルコールのジンに砂糖等の甘味とレモン等の酸味を混ぜて、そこに「シューッ」と鳴るソーダ水を加えて出来上がるのが「ジンフィズ」というカクテルなのです。
歴史
1888年後半のアメリカ南部のニューオーリンズに「インペリアル・キャビネット・サロン」と言うバーがありました。オーナーのヘンリー・ラモス氏が、ジンフィズの原型と言われるラモス・ジン・フィズと言うカクテルを考案したのが始まりだったと言われています。
特徴
ベースに使われるジンは大麦やライ麦やジャガイモ等から作られる蒸留酒の一種で、主にハーブや果物の皮やスパイスが風味付けに使われています。ジンのアルコール度数は40~50度と高めなのですが、他の材料と混ぜる事によって13度前後まで下がります。
ジン自体に甘みはあまりなく、レモンジュースとソーダと砂糖を加えて作る大変シンプルな作りでありながら、作るのがとても難しいカクテルと言われているのがジンフィズです。
味わい
ジン特有の独特の植物の風味とレモンジュースの酸味と砂糖のほんの少しの甘みを持つジンフィズは、さっぱりとした口当たりであまり甘くありません。そのため大変口当たりが良い爽やかな味わいとなり、ジンベースのカクテルを飲んだ事が無い初心者の方にもおすすめ出来るカクテルです。
レモンの酸味とジンの風味が見事にマッチした爽やかさがジンフィズにはあり、甘いカクテルが苦手な方には特におすすめ出来るカクテルです。
ジンフィズが難しいカクテルと言われる理由
ジンフィズは作る難易度が高い大変難しいカクテルの一つと言われています。シンプルな作り方であるにも関わらず味を安定させるのが非常に難しいようで、バーテンダーの中には作るのを嫌がる人もいる程難しいそうです。作り方に難しい行程が全くない分、奥が深いカクテルだと言われています。
バーテンダーの個性が出るカクテル
ジン・レモンジュース・ソーダウォーター・砂糖を用いて作るのですが、どんなに基本的な作り方通りに作っても、安定した味をなかなか保てない非常に作るのが難しいカクテルなのだそうです。それ故にジンフィズは作り手のバーテンダーの個性が特に強く出てしまうカクテルで、作り手一人一人の味は全く違います。
使用するジンの銘柄やレモンジュースのメーカーの違い、他にもカクテルの混ぜ方やどれだけシェイクするのかによって味わいに大きな違いが出てきます。個々のバーテンダーのセンスが大きく問われるカクテルで、シンプルな作り方に似合わず大変作るのが難しいカクテルと言われているのです。
作り方による味の違い
カクテルの作り方にも数種類あり、ジンフィズではビルド・ステア・シェークの技法を主に使います。ジンフィズは、ロング・ドリンクに分類されるカクテルの種類です。家庭でも出来るやり方からバーテンダーのようにしっかりと容器を振るやり方もありますので、どの名前の技法がどのやり方のなのか紹介します。
ビルド
必要な作業は必要な材料を入れるだけです。ビルドには氷を入れたタンブラーをまずは用意して、そこに順番に材料を入れていきます。氷は製氷機で作ったものでも良いですが、スーパーやコンビ二で売っているものの方がジンフィズを美味しく出来ます。
ビルドには混ぜる行程がありませんので、初心者でも簡単にカクテルが作れます。素材の味がそのまま残る味なので、マイルドさや調和によるマッチングはありませんが、一番簡単にジンフィズを作れる方法です。材料の調和を楽しみたいなら別の方法もありますので、そちらを試してみて下さい。
ステア
ミキシンググラスに氷とそれぞれの材料を入れて、バー・スプーンと言う一見マドラーのようなスプーンで混ぜ合わせます。この行程が「ステア」という技法で、比較的体積の近い液体同士を混ぜ合わせているのです。グラスの中身を混ぜ合わせたら、ストレーナーという液体だけをタンブラーに注ぐ器具を使ってジンフィズを注ぎましょう。
この技法はショートカクテル向きなのですが、ジンフィズはロングカクテルなのでステアの技法を使うカクテルではないと思われがちです。しかし材料に使われれているジンやレモンジュースの比重が近いので、この技法を使ってもジンフィズを上手く仕上げる事は出来ます。
シェーク
ステンレス製の手のひらサイズのシェーカーを上下に振っている光景こそ、まさしくバーテンダーがカクテルをシェイクしている行程です。シェーカーを上下に振る事により、素材が混ざり合います。ステアよりもしっかりと混ざるので更に味に一体感が生まれます。
ジンの苦味・レモンジュースの酸味・砂糖の甘味が一つの味となり、味わいにマイルドさが加わります。シェーカーに入れて振る事により、それぞれ素材の主張が弱く丸くなり他の素材との調和が生まれます。調和したジンフィズの味わいを是非ご自身で確認してみて下さい。
ジンフィズの美味しい作り方
ジンフィズを美味しく作るために必要なのは材料となるジンとレモンジュースと砂糖とレモンスライスだけですが、何度も言っているように非常に作り方が難しいカクテルですが、美味しく作るレシピも存在しています。手順に沿って作れば美味しく出来ますのでまずは作ってみましょう。
シェーカーを使った作り方
こちらはシェークで作りますので、ステアのジンフィズ よりもまろやかさのある味わいがあるはずです。一つ一つの味が強調されているビルド・ステアと一体感のあるまろやかさがあるシェークで作ったジンフィズを、それぞれ試してみてどちらがお好みのものなのか見極めてみて下さい。
材料
- ドライジン 45ml
- レモンジュース 20ml
- 砂糖またはガムシロップ 小さじ2杯
- ソーダウォーター 適量
- 氷 タンブラーを8割満たす量
- レモンスライス 1枚
作り方
- ドライジン・レモンジュース・砂糖またはガムシロップをシェーカーでシェークします。腕ではなく手首だけで上下前後に振るようにすると、素材同士が均一に混ざり合います。
- タンブラーに氷を入れて、その上からシェークした液体を注ぎます。くれぐれも氷に直に当たらないように液体を注いで、急激に液体が冷えるのを避けて下さい。
- ソーダウォーターを加えて全体に行き渡るように、バー・スプーンを使って一度だけタンブラーの中を混ぜましょう。
- 最後にレモンスライスの断面が、グラスの側面から見えるようにタンブラーの中間辺りに入れて完成です。
シェーカーを使わない作り方
シェーカーを使わずに作る技法にはビルド・ステアの2種類ありますが、紹介した技法はステアして作っています。お好みのものが出来上がるまでに試行錯誤を繰り返す事になるかもしれませんが、ジン・レモンジュース・砂糖の分配と氷の量と一つ一つの大きさにこだわってみて下さい。
材料
- ドライジン 45ml
- レモンジュース 20ml
- 砂糖またはガムシロップ 小さじ2杯
- ソーダウォーター 適量
- 氷 タンブラーを8割満たす量
- レモンスライス 1枚
作り方
- ドライジン・レモンジュース・砂糖またはガムシロップを氷の入ったタンブラーまたはミキシンググラスに注ぎます。バー・スプーンを使って材料を良く混ぜ合わせるのですが、くれぐれも分離しないように慎重に混ぜて下さい。
- ソーダウォーターをタンブラーが8割満たされるまで注ぎます。ミキシンググラスを使ったのなら、氷が入ったタンブラーに混ぜ合わせたジンを氷に当たらない様に注いで下さい。ソーダウォーターを注ぐ時も氷に液体が当たらないように、タンブラーの側面に沿うように入れると良いでしょう。
- ソーダウォーターの炭酸が抜けてしまわないようにゆっくりと材料を混ぜ合わせて完成です。最後にレモンスライスを側面から見えるように飾って下さい。
美味しく作るコツ
ジンフィズを美味しく作るには気をつけるべき点がいくつかあります。その点さえ抑えておけば、自宅でも美味しく作る事が出来るはずです。
ジンフィズで一番重要になのは材料のバランスなので、全ての材料の比率を完璧に把握しておきましょう。混ぜ合わせる際にはくれぐれも材料同士が混ざらずに分離しないようにしましょう。液体を氷に当てないように慎重に注いで下さい。ソーダウォーターを入れた際には、炭酸が飛ばないように混ぜすぎには注意が必要です。
飲み方
氷の入ったロングタイプのグラスに入ったカクテルなので、長い時間楽しむ事が出来ます。量が多いのでゆっくりと氷が解けていくと共に味も変化していくので、その変化を楽しみながら飲むのが正しい飲み方です。あんまり長い時間をかけ過ぎると、本来のジンフィズの味が損なわれてしまいますのでその点には気をつけましょう。
ジンフィズのアレンジ
素材や作り方を若干変える事によって様々なアレンジを楽しむ事ができるのも、ジンフィズの魅力の一つです。元々甘味の少ないジンフィズですが、アレンジを加える事によって甘めのものや少し変わった味のものも楽しめるようになります。
卵を使ったアレンジ
意外な組み合わせかもしれませんが、ジンフィズを卵と合わせたアレンジレシピがあります。卵を使ったジンフィズのアレンジレシピは数種類ありますので、紹介します。
ゴールデン・フィズ
ゴールデン・フィズは基本のジンフィズに卵黄のみを加えたもので、卵黄の栄養価が取れる健康的なアレンジカクテルの一つです。さっぱりしている中に卵黄の濃厚さとコクが残っていますので、コクの深い味を求めているのならおすすめです。
日本では風邪を引いた時に、卵酒を飲んだりしませんか?海外でもエッグノッグという卵を使った飲み物があります。疲れがなかなか取れない時や滋養強壮の為に飲むと良いと言われています。
シルバー・フィズ
ゴールデン・フィズは卵黄だけを加えたものですが、シルバー・フィズは卵白のみを加えたものになります。卵白とソーダの泡で全体的に白色にアレンジされたシルバー・フィズは、マイルドな味わいが女性に人気の舌触りの滑らかなフィズです。口溶けが実にまろやかで飲み易いアレンジレシピの一つです。
ロイヤル・フィズ
完全栄養食品の卵丸々一個をジンフィズに足したもので、口当たりが非常に滑らかな上にコクもあります。正にゴールデン・フィズとシルバー・フィズの良いところだけを残したようなフィズで、栄養価が高くアルコール度数も低めに抑えられているので、女性に人気があるようです。
トム・コリンズ
ジンフィズに使う材料の分量を変え、オールド・トム・ジンという希少価値が高いジンの一種を使うとトム・コリンズというカクテルになります。トム・コリンズはシェークタイプのカクテルで、ジンフィズよりも甘めの味わいが特徴です。現代ではあまり見られなくなってしまったという古い歴史が刻まれているのが、オールド・トム・ジンです。
甘めにアレンジ
もしジンフィズに甘さを足したいなら砂糖の量を増やし、自分の好みの甘さに調節するのが一番確実な方法です。他にもジンの種類を変えて、タンカレー・マラッカジン等の甘めのジンを使用して、甘いジンフィズにする事も出来ます。
アルコールが苦手な場合
アルコールが苦手で控えめなものを飲みたいなら、ジンフィズ全体のジンの割合を減らしてしまいましょう。もしくは、ジンフィズを自家製のレモンスカッシュから作ってみてはいかがでしょうか?元はレモンスカッシュにジンを注いで出来たカクテルですので、レモンスカッシュの方にこだわってみるのも良さそうです。
ジンフィズに合う料理やおつまみ
ショートカクテルよりもアルコール度数が低くさっぱりとした口当たりが特徴のジンフィズは、色々な料理と一緒に楽しむ事が出来ます。イタリアンやフレンチ等とも相性が良いですが、その中でも特にジンフィズと合うものを紹介しましょう。
おすすめの料理
ペスカトーレのようなパスタやガーリックブレッド等のイタリアンやフレンチ料理をジンフィズと合わせると良いでしょう。フレンチのコース料理を合わせてみるのも、良さそうです。他にもビーフステーキや魚介類を使った焼き物等こってりとしている味の濃いものと合わせると、ジンフィズの爽やかさがなお際立って魅力的な味わいとなる事でしょう。
おすすめのおつまみ
おつまみはあまり凝っていないものを合わせると良いでしょう。例えばホウレン草のお浸しやフランスパンにパテを載せただけの簡単なもの等、軽くお腹を満たす程度の軽いものと合わせるとジンフィズのさっぱりとした味わいがおつまみの旨みも同時に引き立ててくれる事でしょう。
他にもオイルサーディンやアンチョビ等の脂っこくて塩味の効いている魚介類等が、ジンフィズの軽やかさをより良くしてくれます。
ジンフィズでバーの個性を楽しもう
ジンフィズをまず最初に注文して、そのバーのレベルや個性を見極めてみましょう。作るのが難しいと言われるジンフィズの味が貴方好みのものなのか、将来的にそのバーでカクテルを楽しみ続けたいのなら見極めは大事です。
個性的なジンフィズが自分に合うものなら、アレンジされたジンフィズも頼んでみて色々と楽しんでみましょう。ジンフィズから始めるカクテルの嗜み方を高みまで極めて、それぞれのバーをの個性を余すところ無く楽しむ事が出来たら今後もバーで楽しくカクテルを飲めます!