ドラフトビールとは?生・クラフトビールとの違いは?温度やグラスが重要!

ドラフトビールを知っているでしょうか?中には聞いたことがないという方も居ることでしょう。ドラフトの意味や、国によって違う定義なども説明します。また、ドラフトビールと生ビールやクラフトビールとの違い、グラスが清潔なことやグラスの温度、サーバーの状態や注ぎ方など、ドラフトビールを美味しく飲むポイントについて詳しく解説します。あるいは、ビールの種類や分類についても、併せて紹介していきましょう。

ドラフトビールとは?生・クラフトビールとの違いは?温度やグラスが重要!のイメージ

目次

  1. 1ドラフトビールとは?
  2. 2ドラフトビールと生ビール・クラフトビールの違い
  3. 3ドラフトビールを美味しく飲むポイント
  4. 4ビールの種類と分類
  5. 5ドラフトビールは上手に注いで美味しく飲もう

ドラフトビールとは?

ドラフトビールについて、この記事では徹底的に探って詳しく解説します。とは言うものの、実は「ドラフトビール」を理路整然と立て板に水のごとく、説明することは至難の業です。日本国内においては、ドラフトビール=生ビールという理解で良いわけですが、日本以外の諸外国では定義は異なっています。

そのあたりの事情からはじめて、ドラフトビールと生ビール・クラフトビールの違いや、ドラフトビールを美味しく飲むポイントなど、あるいはビールの種類や分類にいたるまでを詳しく紹介していきます。

ドラフトの意味

「ドラフト」という言葉の意味は多岐にわたりますが、プロ野球で知られている意味では「選び抜く」ということになり、ビールの世界では「樽から汲み上げる」という意味になります。

本来は樽から直接くみ出したビールという意味であり、それが樽詰めにされたビールを指す意味になり、樽詰めビールのほとんどが非加熱ビールだったことから、非加熱ビールをドラフトビールと呼ぶようになったものです。

日本でのドラフトビールの意味

日本におけるドラフトビールの意味について、説明していきます。日本においては冒頭に述べたように、ドラフトビール=生ビールという認識でよいわけです。では、生ビールとは?と言うと、非熱処理ビール=生ビールということになります。

加熱処理とは?という意味についても触れておきます。一般の人は加熱処理と聞くと、ビールを火にかける意味の状態を想像してしまうのではと思います。

ビールの加熱処理というのは、低温の足湯に浸かる程度のイメージが正解です。この熱処理は、発酵・熟成を終えたビールに残存する酵母・細菌を除去する意味があって、ビールの保存性を高めるために行います。

この工程を、NASA開発の高性能フィルターを使用することで、置き換えたのが非熱処理ビールです。したがって、非熱処理ビール=生ビール=ドラフトビールという、図式が成り立つわけです。これは、あくまでも日本だけでの定義になります。

国によって定義が違う

国によって定義が違うと述べましたが、アメリカやイギリスでは、加熱処理がしてあっても生ビールと呼ばれることがあります。また、ドイツでは非熱処理ビールであっても、瓶や缶に詰められたビールをドラフトビールとは呼びません。逆に、加熱処理ビールでも、樽に詰められていればドラフトビールと呼ばれます。

あるいはこれが一番多い誤解かもしれませんが、日本においてもビヤガーデンや飲食店で飲むビールが生ビール・ドラフトビールであって、家庭で飲む瓶や缶のビールは生ではない、という人が多いのではと思います。

現在、日本で生産されているビールの大半は生ビールです。つまり、日本流定義で言えばドラフトビールであり、非熱処理ビールなのです。

ドラフトビールと生ビール・クラフトビールの違い

ドラフトビールと生ビール・クラフトビールの違い、についてこの章では解説します。ドラフトビールと生ビールが少なくとも日本では、同じものを指していることはすでに幾度か述べました。ここでは、生ビールとクラフトビールの特徴などを紹介していきます。

生ビールとクラフトビールの特徴

ドラフトビール・生ビールが非熱処理ビールであることは、すでに述べました。加熱処理ではなく、高性能のフィルターで不要な酵母や細菌を、除去していることにも触れました。生ビールとクラフトビールの違いは、この点にあります。クラフトビールのほとんどは、フィルターによる除去を行っていません。

実は、酵母というのはかならず除去しなければならないものかどうか、という問題があります。ビールの保存性はたしかに悪くなりますが、酵母は個性的な味や風味をもたらす存在でもあります。

したがって、大手ビールメーカーが造るドラフトビール・生ビールと比較すると、クラフトビールには、雑味が多いという欠点と個性的な旨味が多いという長所があります。生ビールが作り手の差が出にくい特徴をもっているのに対して、クラフトビールは逆に作り手の差しか出ない特徴をもっています。

小規模な醸造所の個性的なビール

ドラフトビールや生ビールと称するビールは、大手ビールメーカーが製造の主流です。これに対して、クラフトビールは小規模な醸造所の個性的なビールが主流になります。中には、ドラフトビールでありクラフトビールでもあるビールを、造っている醸造所もないことはありません。

元々、手作りという意味のクラフトビールは「地ビール」と呼ばれているように、その土地土地の個性が売り物となっています。

Thumb生ビールの「生」の意味!瓶ビール/缶ビール/普通のビールとの違いは? | お食事ウェブマガジン「グルメノート」

ドラフトビールを美味しく飲むポイント

ドラフトビールについて、ここまで紹介してきました。そのドラフトビールを美味しく飲むポイントを、この章では紹介していきます。グラスやサーバーが、美味しく飲むためのポイントの中心になります。

清潔なグラス

ドラフトビールを美味しく飲むためには、清潔なグラスが不可欠になります。当たり前すぎて気抜けしちゃいますが、これは基本であり大切なポイントになります。目に見える汚れはもちろんですが、グラスに油分や洗剤の残りがあってはNGです。

これらは衛生上の問題だけではなく、ドラフトビールを美味しく飲むために必要な「泡を殺してしまう」ことになるからです。グラスを洗浄したらトーションなどで拭かずに、自然乾燥させるのがおすすめになります。グラスに繊維が付着する恐れがあるからです。

これらはすべて不必要な泡を発生させる要因となります。「必要以上の泡」を発生させ、「狙った泡」を発生させなくなるからです。あるいは一度使用したグラスに、また注ぐことも衛生面から言ってしてはならないことです。

適切なグラスを選ぶ

ドラフトビールを美味しく飲むためには、適切なグラスを選ぶことも大切です。ビールグラスも結構いろいろな種類があります。グラスの特徴と、合うとされているビールの種類を紹介していきます。よく知られている「ピルスナーグラス」は、細めで背が高いのが特徴です。ビールの明るい黄金色や爽やかな苦みを引き立ててくれます。

ピルスナーやラガービールが合います。一般的なグラスに「パイントグラス」があります。パイントにはタンブラー型・広口ジョッキ型・ラッパ型の、3タイプがあります。エールビールが合います。次に「ビアジョッキ」です。厚手が特徴で保冷効果もあります。さまざまなビールに合います。

この他にも「フルートグラス」や「ゴブレット」「スニフター」「チューリップ型」などがあります。一つのビール銘柄を、いろいろなグラスで飲み比べてみるの面白いかもしれません。

グラスの温度

ドラフトビールには美味しく飲める、それぞれの適温というものがあります。そして、ビールとグラスは夫婦のような関係です。ビールを適温にしておいても、そそいだグラスがまるで違う温度では意味を成しません

ヨーロッパには常温で飲むことを推奨される、ビールがけっこうあります。3~5℃の冷蔵状態から常温状態まで、飲むビールに合わせたグラスの温度管理も必要になります。

清潔なビール回路(ホース)

一般家庭はともかく業務でビールを扱っている店では、ビールのケグからサーバーを通して、グラスにビールを注ぐというのが一般的なパターンになります。この際の、ケグとサーバーをつなぐホースの管理も、ドラフトビールを美味しく飲むポイントになります。

このホースの洗浄には、主に3つがあります。「水洗浄」「スポンジ洗浄」「薬品洗浄」です。水やスポンジ、薬品などを、それぞれホースに通す洗浄法になります。これは衛生面からも必要なのですが、ビールの風味などの品質を確保するためにも必要な作業です。

ビールの温度

ドラフトビールの温度は、美味しく飲むために重要な要素です。けれども、前述したようにビールの最適温度はさまざまです。香りを楽しむエールビールなどは10℃が最適と言われています。世界各国のエールビールは、ほとんどが常温をすすめています。

日本のドラフトビールの場合は、3~5℃が適正温度です。これを保つのも季節によって大変なのです。特に、夏場では搬送されてきたケグは相当の高温になっています。次章のガス圧とも関連することですが、ケグからサーバーを経る間に、ビールを適温にするためのさまざまな工夫が必要になってきます。

ビール温度に合ったガス圧

ほとんどの飲食店では、ビールメーカーから配布された「温度カード」というもので、ビールに合ったガス圧を管理しています。瞬冷式と空冷式に分かれていますが、ケグにこのカードを当てると、ケグの温度によって適正ガス圧が表示されます。

真夏の場合、長く外気温にさらされたケグなどは、このカードの範囲内から外れることもあります。このケグからビールを注げば、グラスは泡だらけに間違いなくなります。そのケグはしばらく使用できません。

樽の設置環境

樽の設置環境も大切です。生ビールのケグ(樽)は極端な温度状態に置いてはなりません。振動もおすすめできません。したがって、夏場などは、業者が配達してきた樽をすぐさま使用することはNGになります。

冷暗所で落ち着かせることが、美味しいドラフトビールを飲むためのポイントになります。もちろん、樽を高温や氷結するような場所に設置するのは論外です。

注ぎ方

美味しいドラフトビールの注ぎ方のポイントは、サーバーのコックを手前に全開で引いて、斜めにしたビールグラスの内側にコックを密着させて、泡が立たないように注ぎ入れます。適量まで注いだところでコックを止めて、グラスを立ててからサーバーのコックを押します。

仕上げの「泡付け」です。泡が注がれますが、この時にコックの先端をビール液面には付けません。

フロスティミスト

フロスティミストとは?ドラフトビールを注いだ際に、ビールの層と泡の層との間に形成される層のことです。よく見ないと分かりづらいですが、本来のビールの層の色よりはやや濃い色めの層です。このフロスティミストがドラフトビールを口に含むたびに、泡補充装置のような役割を果たして、泡持ちを良くしてくれるのです。

ドラフトビールの美味しさの持続にもつながります。泡跡のレーシングができるのも、このような時です。グラスがきれいに洗浄されている証でもあります。

ビールの種類と分類

ここまでドラフトビールについて、詳しく解説してきました。ビールの種類と分類には、まだまだ多くのカテゴリーがあります。そんなビールの種類と分類をこの章ではしょうかいしていきます。

スタイルは100種類以上

ビールには発酵というカテゴリーで分けると、3種類があります。上面発酵で造られる「エール」に上面発酵で造られる「ラガー」そして自然発酵の「ランビック」です。その下のカテゴリーには「スタイル」と呼ばれる100以上に及ぶビールの種類があります。ピルスナーやスタウト、バイツェン、IPAなどもすべてスタイルの1種類です。

酵母による分類

ビールを分ける、酵母による分類には3種類あると述べました。ここでは、その3種類のラガー・エール・ランビックについて解説していきます。

ラガー

ラガーというのは、下面発酵酵母という種類の酵母を用いてビールタンクの底の方で、低温で時間をじっくりと掛けて発酵させたビールです。この製法で造られたビールはキレのある辛口で、爽快な香りがあります。ラガービールは冷やして飲むのに適しています。

エール

エールというのは、上面発酵酵母を用いてビールタンクの上方で、常温発酵させて造られます。濃厚でまろやかな風味が特徴で、芳醇な香りがあります。エールビールは常温か、少し冷やした程度が適温です。

ランビック

ランビックというのは、ベルギーの首都ブリュッセルのパヨッテンラント地域のみで、自然発酵によって造られるビールです。自然に生息する野生の酵母が、バクテリアにさらされることで発酵するビールです。かすかな酸味と特有のフレーバーが特徴のビールになります。

原料や色・熱処理の有無

ラガービールは赤みがかった琥珀色で、エールビールは白みがかった金色が特徴です。ランビックは濁りがあって、純粋なものは無炭酸で酸味があります。いずれのビールも非熱処理のビールになります。

Thumbラガービールとエールビールの違い!味わい・特徴などビールの基本を紹介 | お食事ウェブマガジン「グルメノート」

ドラフトビールは上手に注いで美味しく飲もう

ドラフトビールについて意味や定義などを、ここまで詳しく解説してきました。ドラフトビールと生ビール・クラフトビールの違いについてや、ドラフトビールを美味しく飲むポイントなども紹介しました。また、ビールの種類や分類についても併せて紹介しました。

この記事を参考にして、ドラフトビールは上手に注いで美味しく飲もう!ではありませんか。

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