薄力粉と小麦粉・強力粉の違いを調査!使い分けや代用はできる?
薄力粉と小麦粉は同じ物だと思っていませんか?普段からよくお料理に使用する小麦粉ですが、何となく使い分けている薄力粉や強力粉の違いについて考えてみることはお料理のアレンジにも役立ちます。この記事では薄力粉と小麦粉の違いや特徴、代用方法の紹介をしていきます。
目次
薄力粉と小麦粉に違いはあるの?
薄力粉と小麦粉はレシピの中でも混同して表記されていることがあります。普段から何となく使い分けている薄力粉や強力粉などの違いを正しく知ることで、料理のレパートリーが広がっていきます。この記事では薄力粉と小麦粉の違いや特徴、使い分け方から代用方法までまとめていきます。
薄力粉と小麦粉の違いを知る
小麦を粉にしたら小麦粉
小麦粉とはその名の通り小麦を製粉した物のことをそう呼びます。小麦には複数の種類がありますが、小麦に含まれるタンパク質である「グルテン」の質や量によって区別しています。グルテンの含有量によって特徴が変わってくるので、それぞれ料理の用途に合わせて小麦粉を使い分けています。
小麦はデンプン粒とグルテンなどで構成されています。独自のタンパク質であるグルテンには水を加えてこねると粘りと弾力性が出てくる性質があります。水でこねた生地からデンプンを洗い流すことで、グルテンのみを取り出すことも可能です。小麦粉からグルテンを取り出して加工した物がお麩(ふ)です。
お菓子作りのときにレシピを参考にしようとすると、薄力粉と小麦粉が混同されて表記してあることを見かけます。なので、薄力粉と小麦粉は同じ物だと思う方もいるかもしれませんが、厳密に言えば薄力粉は小麦粉の一種と言うことになります。グルテンが少なく適度にやわらかい軟質小麦を粉にしたものが薄力粉です。
一般的に日本の家庭でよく使われる小麦粉の種類は3種類、薄力粉と中力粉、強力粉があります。それぞれグルテンの質と量の違う小麦を製粉して使い分けているわけです。お菓子作りにこだわる方が同じ薄力粉の中でも数種類を使い分けるのは、微妙に異なるグルテンやミネラルの量で変化する焼き上がりを気にしてのことです。
薄力粉の特徴と用途
グルテンが少なく適度にやわらかい軟質小麦を製粉したものが薄力粉です。薄力粉のグルテン含有量は8.5%以下となっています。グルテンが少なければ少ないほど、きめが細かく粘りが出にくいので、ふんわり、さっくりとした軽い口あたりに仕上がります。
薄力粉はケーキやクッキーなどの製菓全般や天ぷらの衣によく使用されています。ケーキをふんわりと、天ぷらの衣もサクッと仕上げることができます。お菓子作りのレシピで小麦粉と表記されているのは、一般的に製菓用の小麦粉は薄力粉なのでそう表記したのでしょうが少し不親切です。
中力粉の特徴と用途
グルテンの量は中くらいの中間質小麦を製粉したものが中力粉です。中力粉のグルテン含有量は9%前後となっており、伸びがよくて適度なコシもあります。練るほどにグルテンの弾力性や粘りが出るので、コシの強い仕上がりになります。
中力粉はうどん粉としても知られています。うどんの他にも餃子の皮やお好み焼きなどにも使われることがあります。あまり家庭で使われることはありませんが、薄力粉と強力粉の間ほどのグルテン量であることを利用し、一般的には薄力粉で作るクッキーや強力粉で作るパンなども作れる汎用性の高い粉として使用されることもあります。
強力粉の特徴と用途
グルテンの量は多く、粘りや弾力性に富む硬質小麦を製粉したものが強力粉です。強力粉のグルテン含有量は12%以上となっています。中力粉と同じくよく練るほどにグルテンの弾力性や粘りが出るので、パンなどがよく膨らむようになります。
強力粉はパンを焼くときのためにストックされている方も多いかもしれません。パンの他にはピザや中華麺などにも使用されています。パンをご家庭で焼く方が増え、製菓用の薄力粉のようにグルテンとミネラルの量の違う強力粉が何種類も販売されている様子をよく見かけるようになりました。
それぞれの小麦粉同士での代用方法
中力粉や強力粉で薄力粉の代用は可能?
グルテンの量の多い中力粉や強力粉は薄力粉の代用にはなりません。しかし、ご家庭で楽しむお菓子作り程度でしたら中力粉でも代用できます。中力粉で代用した場合は薄力粉よりグルテンが多い分粘り気が出てしまい、硬い食感のクッキーやボソボソしたケーキになります。レシピの調整で随分緩和されるので研究するとグッと美味しくなります。
強力粉や中力粉を薄力粉の代用にする方法
グルテンの少ない薄力粉をそのまま中力粉や強力粉の代用として使うと粘りや弾力性が足らず、ブツブツ切れるうどんやゴワゴワしたパンになります。しかし、強力粉や中力粉が必要な量に足らなくて不足分を薄力粉で補いたい場合などでしたら薄力粉を混ることも可能です。何割まで薄力粉を混ぜて良いかは経験して判断することになります。
薄力粉と強力粉を混ぜて中力粉の代用にする方法
薄力粉と強力粉を混ぜて中力粉の代用にすることは理論上可能です。しかし、こちらも割合が難しいので何度か試してみる必要があります。薄力粉と強力粉を混ぜる機会は意外と多く、餃子の皮やフランスパンを作るときにもブレンドして使用する場合があります。
全粒粉や地粉も小麦粉の仲間?
小麦を丸ごと味わう全粒粉
健康志向の方に人気の全粒粉は色が茶色っぽく、独特の風味を楽しむことができます。一般的な小麦粉が表皮のふすまや胚芽をのぞいて製粉するところ、全粒粉は小麦の粒をまるごと製粉しています。ミネラルや食物繊維などの栄養は豊富ですが、グルテンは少なめ。用途に応じて薄力粉や強力粉と混ぜて使用します。
マクロビの地粉は薄力粉?強力粉?
最近よく耳にするマクロビオティック、マクロビでは地粉と呼ばれる小麦粉を使用します。この地粉でお菓子もパンも作っているところからわかるように、中力粉であることがほとんどです。一般的にマクロビの地粉は国産の中力粉を意味します。中力粉1つで何でも作る技術はマクロビのレシピからも学ぶことができます。
デュラムセモリナも小麦粉?
パスタなどの原材料として有名なデュラムセモリナも小麦粉の一種です。グルテンが多くて硬いのデュラム小麦を粗挽きにしたものをそう呼びます。デュラム小麦の胚乳は黄色味を帯びているため、粉は薄い黄色をしています。基本的に日本の家庭ではあまり見かけませんが、パンやピザ、生パスタなどを作るときに使用できます。
片栗粉も小麦粉の仲間?
片栗粉はジャガイモのデンプン
片栗粉はその名の通りユリ科のカタクリの根茎から精製したデンプンのことでしたが、現在の片栗粉はジャガイモのデンプンで製造されています。小麦粉とは全く関係なくグルテンも含まれていません。この片栗粉の特性を利用して、中力粉に片栗粉をブレンドし薄力粉に近い食感にすることも可能です。
片栗粉はジャガイモのデンプンですが、そのほかにトウモロコシのデンプンのコーンスターチ、葛(くず)のデンプンの葛粉などがあります。同じデンプンですがそれぞれに特徴があるので使い分けられています。これらは全くグルテンを含まないのでサクサクほろほろのクッキーの材料としても人気があります。
他の粉を小麦粉の代用にする方法はないの?
食物アレルギーの関係で小麦粉を使用できない方もいますし、グルテンフリーダイエット中でグルテンを含むものを口にしたくない方もいます。そんな時に代用される粉に米粉があります。米粉にグルテンは一切含まれていませんので、ふっくらしたパンを焼くには努力が必要ですが、そのほかの料理やお菓子作りなどにも工夫すれば使用可能です。
ライ麦が原料のライ麦粉は素朴なハード系のパンの材料にも使われています。どうしてもグルテンが不足して上手にパンが焼けないときなどは、グルテンパウダーも販売されているので使ってみるのも良いかもしれません。色々な粉のブレンドも慣れてくると自分なりのレシピが自然と生まれてきます。
小麦粉の違いを理解してお料理上手!
いつものお料理にも出番の多い小麦粉ですが、小麦粉にも色々な種類があり、それぞれの違いや特徴によって使い分けられていることがわかりました。小麦粉の種類や特徴を正しくすることでお料理中にも応用がきくようになります。これからは自分でお料理のレシピを作り出す楽しみを感じてみましょう!