穴子には毒があるって本当?摂取した場合の症状・さばき方も解説

穴子には毒があるということをご存じでしょうか。この記事では、穴子の毒についてどの部分に毒があるのか、毒の症状、また穴子のさばき方について解説していきます。穴子を調理などで取り扱う方は、是非この記事をチェックしてみてください。

穴子には毒があるって本当?摂取した場合の症状・さばき方も解説のイメージ

目次

  1. 1穴子とは?
  2. 2穴子の種類
  3. 3穴子は生で食べられるの?
  4. 4穴子の血液やヌメリには毒がある
  5. 5穴子のさばき方
  6. 6穴子の毒について知っておこう

「穴子って毒があるって聞いたけど本当?」
「穴子って生で食べることができるの?」
このように普段何気なく食べている穴子ですが、料理などで取り扱ってみようと思った時、どうやって調理すればいいのかなどいろいろと疑問に思うことがないでしょうか。


この記事では、身近にいる穴子の種類から、穴子の持っている毒についての説明や摂取した場合の症状、穴子のさばき方などを紹介していきます。


この記事を読むことで、穴子の毒に対する知識や、どのようにすれば毒を取り除くことができるのか、穴子のさばき方についてなどを理解することができ、調理を行う際に役立てることができるでしょう。


穴子を調理などで取り扱おうとする方は、是非この記事をチェックしてみてください。

穴子とは?

穴子はウナギ目アナゴ科黒アナゴ属の生き物です。見た目は薄茶色の身体をしており、全体的に白い斑点模様があります。


よく鰻と間違えられることもありますが、鰻はウナギ目ウナギ科ウナギ属に属し、同じウナギ目ではありますが、異なった生き物になります。


それぞれ生息地も異なってきます。穴子は産卵後も浅瀬などの海で生活する『海水魚』ですが、鰻は産卵と孵化は海で行いますが、その後は河川や湖沼などの淡水で生活する『降河回遊魚』になります。

穴子の種類

日本でも食材としてなじみの深い「穴子」ですが、様々な種類の穴子が生息しています。


どんな種類がいて、それぞれの大きさや特徴はどのように違いがあるのでしょうか。また生息地はどのあたりにいるのでしょうか?


ここでは日本でも身近にいる代表的な穴子を紹介していきます。

マアナゴ

日本で「穴子」として一般的に認識されている魚です。


アナゴの仲間では食味が優れており、他の穴子より小骨が弱く、処理しやすいのも人気です。穴子の代表料理である穴子のてんぷらや煮アナゴはもともとマアナゴを使用した料理になります。


北海道以南、琉球列島までの沿岸砂泥底に生息し、見た目が茶色っぽく、側線上に目立つ白色点列があります。


マアナゴは最大1mくらいまで成長します。30cm未満のマアナゴは東京湾ではメソと呼ばれています。

チンアナゴ

チンアナゴは、インド洋から西太平洋の熱帯域に生息し、流れの強いサンゴ礁の海底にすむ魚です。顔が日本犬の「チン」に似ていることからこの名前がつきました。日本でも琉球諸島、伊豆半島など、太平洋岸に生息しています。


色は灰白色で小さな黒い水玉模様があるのが特徴です。体の大きさは成魚で30~40cmまで成長します。


とても臆病な性格で、他の魚が近づくとすぐに砂の中に隠れてしまいます。普段は砂の中から顔と胴体の一部を出して、潮の流れる方向に顔を向けて漂ってくるプランクトンなどを食べています。

クロアナゴ

マアナゴと似ていますが、より大型で見た目が黒っぽい色をしています。


主に南太平洋沿岸の岩礁域に生息し、マアナゴ同様、側線上に点状の模様があり、薄いのが特徴です。


ただしマアナゴより味が劣り、大型のため小骨がしっかりしているので、あまり食べられることがない魚です。ちゃんと下処理を行えばおいしく食べることもできるので、まったく食べることがないというわけではありませんが、基本的に釣れるとリリースされる魚になります。

ダイナンアナゴ

穴子の中でも最も大型で、最大サイズは1.5mにもなります。よくクロアナゴと混同されやすいですが、上からみるとクロアナゴよりずんぐりとしていて太く、ペットボトルぐらいの太さがあります。


クロアナゴと同様にマアナゴよりも側線上の点状模様が薄く、黒っぽい体色をしています。


丁寧に下処理すれば美味しい魚ですが、小骨は強く、あまり食べられることは少ないです。


釣りの世界では大型のサイズも頻繁に釣れるので、主にゲームフィッシングの対象として狙われています。

穴子は生で食べられるの?

穴子の料理といえば、加熱調理された料理がほとんどで、蒲焼や蒸し物、揚げ物や煮物などが挙げられます。


穴子を生食で見かけないのは、血清中などに毒が含まれるためで、生のまま食すと、吐き気などの中毒症状を引き起こすため注意が必要になります。


しかし、この毒は熱に極めて弱いため、加熱をしっかりとしていれば毒性はなくなり、問題なく食べることができます。


ただし産地などでは、鮮度の良いものをしっかり血抜き・洗浄すると、洗いや薄造りなどで食べることができます。食感も歯ごたえがあり、おいしいと親しまれています。

穴子の血液やヌメリには毒がある

穴子のようなウナギ目の魚は血液やヌメリには、「100 kDa」というタンパク質の毒が含まれています。


しかし穴子の毒は熱に弱く、60℃度以上で約5分の加熱をすれば毒性を失いますので、通常の加熱調理をすれば食品衛生上の問題はありません。


生の穴子の処理に不安がある時は、湯通ししてから食べると安心して食べることができます。


出典・参照:自然毒のリスクプロファイル:魚類:血清毒|厚生労働省

毒の強さはどのぐらい?

穴子の毒の強さについてですが、新鮮な血液を大量に飲んだ場合は、下痢や嘔吐、皮膚の発疹、チアノーゼなどを引き起こします。またひどくなると無気力症や不整脈、さらに心身の衰弱、感覚異常や麻痺、呼吸困難などが引き起こされることもあります。場合によっては死亡することもあるでしょう。


出典・参照:自然毒のリスクプロファイル:魚類:血清毒|厚生労働省

毒の症状は?

穴子の毒の症状ですが、血清が目や口に入ると激しい灼熱感や粘膜の発赤が発症します。傷口に入ると、炎症や化膿、浮腫などが引き起こされます。こうした症例は穴子を調理する人の間では有名であり、ウナギ血清毒は食品衛生より公衆衛生の点で問題となるでしょう。


出典・参照:自然毒のリスクプロファイル:魚類:血清毒|厚生労働省

穴子のさばき方

穴子のさばき方ですが、生きている穴子は首根っこの中骨まで切って生き締めにします。


背を手前にして、目の下に目打ちを打ちしっかり固定し、背ビレの下から包丁の先端を刺し入れます。


腹の皮を残しながら、中骨に沿って包丁を引いていきます。この際、穴子の腹の部分は三角形の形状をした骨になっているので、包丁の刃をやや斜め上に向けて引いたほうが、身が残らなくなります。


そして穴子が回らないように左手を添えながら包丁を進めていきます。最後は尾の先端まできれいに引き落としましょう。


穴子が背開きになったら、手で内臓を取り除いていきます。


逆さ包丁に持ち替え、中骨の際に沿って切れ込みの筋を入れていきます。この時は尾の先端までしっかりと筋を入れるようにしましょう。


次に頭の切り口から包丁を入れ、中骨をそぎ取っていきます。その際に包丁の腹を使って、中骨を浮かしながら小骨をスッと切っていくときれいに取れていきます。


中骨をそぎ取ったら、尾の先端から包丁を入れてヒレを引き落とします。


最後に首をはねれば完了となります。

穴子の刺身の作り方

穴子の血液には毒が含まれています。まずは血抜きをしっかりして、毒素を取り除くようにしましょう。


その後、前項で述べた手順で穴子をさばいていきます。終わりましたら、皮を引き、一口大に切っていきます。


大きなサイズの穴子は小骨が気になる場合があるので少し骨切りをしておくと、食感が気にならなくなります。

穴子の毒について知っておこう

ここまで穴子は日本でもなじみの食材である一方、血液やヌメリには毒が含まれていることを紹介してきました。


しかしその毒は、熱に弱く、加熱調理をしっかり行えば毒性がなくなります。


しっかり血抜きを行って毒素を取り除けは、刺身で食べることもできます。


穴子を調理する際は、毒性に対する知識をしっかり身につけ、適切な処理を行ってから調理しましょう。

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