2022年08月31日公開
2024年05月25日更新
エイを食べるならどんな調理方法がおすすめ?レシピや捌き方を解説
食用のエイについてご存じでしょうか?この記事では食用エイについて説明しています。さらには具体的なレシピや捌き方、エイを取り扱う際の注意点も紹介しているので、本記事を読めばエイを余すことなく味わうコツを知ることができます。
突然ですが、エイを食べたことはありますか?エイといえば観賞用としてはポピュラーで、水族館では、裏面が顔のように見えてなんとも愛くるしいですよね(実はあの顔のように見える部分は、目ではなく鼻孔だそうです)。
しかし、食用としては馴染みのない方が多いのではないでしょうか。あまり食用のイメージがないエイですが、実は日本国内にも日常的にエイを食べる地域があります。
本記事では、エイに関する基本的な情報や日常的にエイを食べる地域などをご紹介します。また、捌き方や調理法、レシピなど実際に使える情報も知ることができるので、エイが手に入った際にはぜひご参考にしてください。
エイの特徴は?日常的に食べる地域とは?
エイは軟骨魚類に分類され、なんと約530種類もの存在が確認されています。世界中の海洋に広く分布し、一部の種類は淡水にも適応しています。
多くのエイは平らな体に長く伸びた鞭状の尾を持つ見た目が特徴です。「エイ」と言われたらこの形状を想像する方が多いのではないでしょうか。中には背びれが退化した結果、毒針になった種類や、体幹部が細長くサメのように見える種類も存在しています。
水族館などで観賞用として馴染みのあるエイですが、驚くことに棘や尾を除くとほぼ全てが食用になります。
エイを日常的に食べる地域として挙げられるのが、北海道です。北海道ではエイは「カスベ」と呼ばれ、家庭料理としても重宝されています。冬になるとスーパーの鮮魚売り場で「カスベ」が並ぶ光景が見られます。
北海道から九州まで沿岸部に広く分布しているにも関わらず、北海道がエイを食す主な地域になっている理由は、エイの特徴にあります。エイは鮮度が落ちやすく、死後の分解作用によって異臭を放つという特徴を持ちます。
このことから内陸部の市場での流通量は非常に少ないようです。
エイはどんな魚?美味しいって本当?
エイは身体が薄く、大きなヒレが特徴の魚です。身体の部分はヒラメやカレイと似ていますが、ヒレの大きさが比になりません。その見た目から魚という認識は薄いかもしれませんが、れっきとした魚類です。
エイは古くから食用とされてきた魚ですが、高い収穫量とは裏腹にその消費量は年々減っています。観賞用としてのイメージが強いことも相まって、エイを食べる人は少なくているようです。
しかし、鮮度が良い状態ではクセがなく、淡白な白身魚です。エイを含む軟骨魚類は死後の分解作用によってアンモニアが生成され、異臭を放ちます。そのため、エイを美味しく食べるためには鮮度の良さが第一条件です。
一方で、アンモニアには防腐作用があるため、現代のように冷蔵技術が発展していなかった時代には山間部でも食べることができる海の幸として重宝されていたようです。
エイを食べる地域は北海道
エイを食べる主な地域は北海道です。
前述した通り、北海道でエイは「カスベ」という名前で親しまれています。「カスベ」の由来は諸説ありますが、「役に立たない」という意味の「カス」が転じてできた言葉だと言います。アンモニアによる異臭で食べることができないという意味からついた名前のようです。他にもアイヌ語が由来しているという説もあります。
北海道でのエイの親しまれ具合といえば、エイ専門の居酒屋さんがあるほど!この後にご紹介する様々な美味しいエイの食べ方で楽しむことができます。
北海道民にとっては身近な存在で、外食だけではなく、家庭でもよく食べるようです。新鮮な魚が獲れる北海道ならではの食文化ですね。
北海道に行った際にはぜひ食べてみてはいかがでしょうか。
おすすめの調理方法
淡白な味のエイは比較的どんな調理法でも美味しく食べることができます。
煮付けや唐揚げ、干物など......。北海道では様々な食べ方で食べるようです。また、エイはコラーゲンを多く含むため、煮付けにした後の煮汁で煮こごりを作って食べるなど、楽しみ方は様々です。
肝の味が評判
ヒレの部分を食べることが多いエイですが、実は肝が美味しいのだそう。
エイを日常的に食べる北海道民の中には、身以上に肝が美味しい!と絶賛する方も多いのだそうです。日本酒との相性は格別です。
エイの肝は身以上に鮮度が大事なので、本土ではなかなかお目にかかれないかもしれませんが、北海道でエイの肝をメニューに見つけたらぜひ食べてみてください。
新鮮なら刺身も美味しい
北海道に住んでいてもなかなか出会えないというのが、エイのお刺身です。
何度も言うようですが、エイは鮮度が命で、少しでも鮮度が落ちると独特の香りが出てしまうため、食べることができません。
北海道でもエイのお刺身を食べることができるのは、鮮度を保ちやすい冬のみだそうです。鮮度管理がきちんと施されたエイのお刺身は絶品です。
コラーゲンが多く含まれているため、お刺身にすると食感はモチモチとしており、弾力があります。他の魚のお刺身ではなかなか味わうことのできない食感かもしれませんね。
お刺身といえばワサビをつけて食べるのが王道ですが、エイにはなんと生姜をつけて食べるのが美味しい食べ方なんだそうです。モチモチとした食感にさっぱりとした生姜の風味は相性抜群に間違いありません。
定番なのは煮つけ
エイを食べる際の調理法として定番は煮付けです。
家庭でエイを食べる時も、煮付けにして食べることが多いようです。カレイやヒラメといった身の薄い白身魚も煮付けにすることが多いので、イメージがつきやすいのではないでしょうか。
しかし他の白身魚と異なる点があります。エイは骨が柔らかく、食べることができるのです。このことから、エイの煮付けは身のふっくらした部分と軟骨のコリコリとした食感を同時に楽しむことができます。煮込む際に生姜の薄切りを加えると臭みも取れ、より美味しく食べることができますよ。
また、煮付けを作った後の煮汁を捨ててしまってはいけません。エイにはコラーゲンが多く含まれていることから、煮汁を冷やして固めると煮こごりを作ることができます。
エイの旨味成分をたっぷりと含んだ煮こごりまでぜひ味わってみてください。通常煮こごりを作る際は、エイ本来に含まれるゼラチン質の作用を利用して固めますが、固まりが悪い場合は寒天を加えて作っても美味しく食べることができます。
唐揚げもおすすめ
淡白な味わいのエイは唐揚げにして食べるのもおすすめです。
煮付けと同じく家庭でも楽しまれることの多い調理法です。
エイを唐揚げにする時には骨を取らず、そのまま衣をつけて揚げます。そうすることで、ホクホクの身の中からコリコリとした食感の軟骨が顔を出し、二つの食感を楽しむことができます。
煮付けにしても唐揚げにしても、二つの食感を一度に楽しむことができるのは骨まで食べることができるエイならではの美味しさですね。
干物はおつまみにぴったり
お酒のアテにぴったりなエイの調理法が干物にすることです。
エイヒレと言われれば、お酒好きの方ならおつまみとして食べたことがある方も多いのではないでしょうか。干物にすることで旨味が凝縮されるため、少し炙るとお酒のアテとして食べるには格別です。
エイを使ったレシピ2選
ここからはエイを使ったレシピを三つご紹介します。
新鮮なエイが手に入った際には本記事を参考にして、ぜひエイを存分に味わってください。
1:レシピ名 カスベ(エイ)の煮付け
一つ目はエイを食べる際にポピュラーな調理法、煮付けです。
初めに調味料のみを煮立たせることで味を染み込みやすくしたレシピです。生姜の香りも立ち、食欲をそそりますね。
15分ほどで作れる簡単なレシピですので、ぜひ試してみてください。
2:レシピ名 エイの唐揚げ【カレー風味】
二つ目のレシピは、エイの唐揚げです。
唐揚げも北海道の家庭ではよくみられる、エイの食べ方です。
本記事でご紹介するエイの唐揚げはカレー風味にすることで臭み消しと食欲増進を図ったレシピです。暑い夏にはビールやハイボールといったお酒も進みそうですね!
他の白身魚や鶏肉と違って、新鮮なうちに湯通しをして臭みが回らないようにしておくことがポイントです。
美味しく、コラーゲンも一緒に摂取できるので肌の調子が気になる方にもぴったりのレシピです。
エイの捌き方や注意点
この項目では、エイの捌き方や注意点をご紹介します。
あまり知られていませんが、エイには毒があり、何の知識もなく捌こうとするのは危険です。身の薄が薄く、大きなヒレを持つエイ独特の捌き方や捌く際の注意点をご紹介しますので、参考にしてください。
エイを触る時は毒棘に注意!
エイは多くの種類が尾に毒針を持っています。この毒針は尾棘(びきょく)と呼ばれ、先が尖っており、ノコギリ状になっているのが特徴です。
種類によって毒の程度は様々ですが、日本近海でもよく見られるアカエイの尾棘は猛毒と言われているので、特に注意が必要です。
尾棘に刺されると毒が注入されるだけでなく、ノコギリ状であることから皮膚が切り裂かれてしまう場合もあります。
エイに刺され、毒が体内に回ると直後から殴られたような痛みを感じ、その後ズキズキとした疼くような痛みに変わります。刺されてから数時間は痛みが残り、人によっては発熱や嘔吐、血圧低下、けいれんなどの症状が表れます。さらにひどい場合には、意識障害や呼吸困難を起こし、最悪の場合、死に至ることもあります。
刺されないことが一番ですが、万が一刺されてしまった場合はすぐに救急車を呼び、病院へ行きましょう。また、エイの毒はタンパク質系の成分であることから、熱に弱いという性質を持ちます。そのため、刺された幹部を40℃ほどのお湯に浸けると毒素が中和され、痛みを和らげることができます。
参照:アカエイ(危険な生き物4)[せとうちネット]|環境省
出典:https://www.env.go.jp/water/heisa/heisa_net/setouchiNet/seto/setonaikai/clm5-4.html
エイの基本的な捌き方
尾棘があるエイですが、正しく捌けば美味しい身や軟骨、肝を味わうことができます。
市場で売られているものは尾棘が切り落とされているものがほとんどですが、ご自身で釣り上げた場合などには必ず先に尾棘を落としましょう。
エイはぬめりがある魚なので、まずは捌きやすいように表面のぬめりを取ります。出刃包丁やたわしを使うと簡単に取ることができます。表面だけでなく、裏面のぬめりも取りましょう。
ぬめりが取れたらいよいよ包丁を入れます。ここでのポイントが、エラの外側に沿って包丁を入れることです。いくら軟骨魚類とは言え、エラ周りの骨は分厚く硬いので、少し外側を沿わせるように切りましょう。
最後に他の魚と同じように表面の皮を剥けば完成です!
しかし、ここで忘れてはいけないのが肝です。身に負けないくらいの美味しさだというエイの肝は、ヒレを捌いた後お腹を割けば取り出すことができます。
基本的な捌き方を知り、余すことなくエイを味わってください。
様々な調理方法でエイを美味しく食べよう!
北海道以外ではあまり馴染みのないエイですが、他の魚にはないホクホク感とコリコリ感を同時に味わうことができる、美味しい魚です。
調理法も豊富で、様々な楽しみ方ができる魚なので、エイが手に入った時にはぜひ本記事を参考にし、エイを存分に堪能してください。