2022年03月25日公開
2024年11月20日更新
アオリイカにいるアニサキスを見つける方法とは?対策や注意点も
アオリイカにいるアニサキスという寄生虫について解説します。アオリイカやアニサキスの特徴や寄生しやすい場所、食中毒の症状などを詳しく説明!冷凍するなど食中毒を防ぐ対策も紹介しているため、アオリイカを食べるときの参考にしてください。
目次
アオリイカにいるアニサキスとはどういう寄生虫?
アオリイカは、噛むと口の中に広がる甘味や旨味が人気のイカです。その美味しさと高値で取引されることから、イカの王様と呼ばれています。
アオリイカは日本近海で獲れるため、刺身や寿司など生で食べる機会が多いでしょう。生で食べるときには、アニサキスという寄生虫による食中毒に注意が必要です。
この記事では、アオリイカに寄生するアニサキスの特徴や見つける方法について解説します。アオリイカを食べるときの注意点も紹介しているため、食中毒を防ぐ参考にしてください。
アオリイカに寄生するアニサキスとは?
アオリイカの特徴
アオリイカは、日本をはじめ世界中の沿岸部に生息する大型のイカです。色は半透明で胴体は丸みを帯びており、半円形の大きなエンペラを持っています。
アオリイカは、適度な厚みがあるためしっかりとした歯ごたえです。旨味成分が凝縮しており、噛むたびに甘みを感じられます。
1年中生息していますが、旬は9月から11月です。春から夏にかけて、浅瀬にきて産卵をします。釣りをするには、この時期が最適でしょう。
アニサキスの特徴
アニサキスは、魚介類に付着する寄生虫です。半透明の白色で、太い糸状の体を持ちます。幼虫の時期は、長さが約20~35mmで、甲殻類に渦巻き状で寄生することが多いです。
魚介類を食べて発症する食中毒は、生きたアニサキスによって起こります。生きたまま体内に入ったアニサキスが、胃や腸壁に食いつき、胃痛や腹痛が引き起こされるのです。
アニサキスは寄生虫(線虫)の一種です。
その幼虫(アニサキス幼虫)は、長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらいで、白色の少し太い糸のように見えます。
アニサキス幼虫は、サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、イカなどの魚介類に寄生します。
食中毒の症状
アニサキスによる食中毒の症状は、嘔吐や下痢、激しい胃痛や腹痛です。まれに、じんましんの症状が出ることもあります。
胃に侵入して胃痛や嘔吐を引き起こす場合は、食後数時間から十数時間後の発症です。腸に侵入し、腹痛や下痢を引き起こす場合は、食後十数時間から数日後に症状がでます。
アオリイカの体内にいるアニサキスを見つける方法
アニサキスが寄生しやすい場所
アニサキスは、魚介類が生きているとき、魚介類の内臓表面にいる寄生虫です。寄生している魚介類が死亡すると、筋肉に居場所を移動します。
内臓は調理の際に取り除くことが多いため、生きている魚介類による食中毒は少ないです。食中毒の多くは、魚介類が死亡した後に筋肉に居場所を移行したアニサキスによります。
死んでからあまり時間が経っていない場合は、内臓に近い場所に寄生している可能性があります。その場所を、目視で重点的にチェックすると良いです。
アニサキスを見つける方法
アニサキスは、長さが20~35mmのため、目視で見つけられない大きさではありません。ただし、渦巻き状になって小さくなっていることもあり、注意が必要です。
アオリイカの場合、色が似ているため見つけにくいでしょう。アオリイカをチェックするときは、イカの表面をライトで照らし、突起物の有無を確認します。できればスタンド式のライトを使うと、両手が使えて便利です。
突起物があったときには、指先で周囲を押してみます。体の一部が飛び出してきた場合は、骨抜きなどで引きだすのが良いです。1匹見つかると、その周りに他にも寄生している可能性があるため、丁寧に確認します。
アニサキスを食べてしまったらどうする?
アニサキスは、体内に入ると1週間以内に死滅します。傷みが軽い場合は、自然治癒や胃腸薬を飲んで治すことも可能です。
場合によっては合併症を引き起こし、重傷になることもあります。傷みがひどいときは、できるだけ早く医療機関を受診し、内視鏡手術などで除去してもらうことがおすすめです。
アオリイカを食べて食中毒にならないための対策
対策①冷凍する
食中毒対策には、アオリイカを冷凍する方法も効果的です。アニサキスは、マイナス20度で24時間以上凍らせると死滅します。
購入する前に鮮魚店などでしっかり冷凍されていれば、一度死滅しているため安心です。死滅すれば、食べても体への害はありません。
家庭用冷蔵庫の冷凍室の温度は、通常マイナス18度です。生のアオリイカを冷凍するときは、温度設定をチェックしてください。
対策②加熱する
アニサキスは、加熱により死滅させることも可能です。70度以上の加熱は即効性がありますが、60度でも1分加熱すれば死滅します。
筋肉の奥に潜んでいる場合、表面を焼くだけでは死滅しないことがあります。アオリイカは、沸騰したお湯で1分以上茹でるか、煮込み料理で使うと安心です。炙って食べたいときは、内臓を取り除いた新鮮なアオリイカを使うようにします。
対策③なるべく薄く切る
アオリイカの捌き方次第で、食中毒を防ぐことも可能です。内臓を取り除いて皮を剥ぎ、目視でアニサキスの有無をチェックしながら、スライスします。このとき、明るさを保つためライトで照らすと良いです。
アオリイカを捌くときに、切り口からアニサキスが見つかることがあります。薄く切るほど、見つけられる可能性が高いです。複数見つかった場合は、生で食べるのは諦めて、加熱するのがおすすめです。
アオリイカを食べるときの注意点
注意点①冷蔵庫や調理温度に気をつける
アオリイカに寄生するアニサキスは、冷凍や加熱によって死滅させることが可能です。冷凍の場合は、マイナス20度で24時間以上の冷凍によって殺せます。
家庭用冷蔵庫の冷凍庫は、マイナス20度以下でない場合が多いです。温度調節ができる場合は、マイナス20度以下になるように調整し、できない場合は加熱調理します。
また、加熱の場合も70度以上か60度で1分の加熱が必要です。低温調理では、死滅できない可能性があります。60度以上に設定するか、一度60度で1分以上茹でてから低温調理器に入れるようにしましょう。
注意点②食中毒とアレルギーは違う
消費者庁は、アレルギーを引き起こしやすい食品として、7品目に表示を義務付けています。イカは、この7品目にはあてはまりませんが、表示が推奨されている食品です。
アオリイカを食べてじんましんの症状が出た場合は、食中毒ではなくアレルギーの可能性も考えられます。病院を受診して、原因を知っておくことがおすすめです。
注意点③誤った情報に気をつける
食中毒に対しては、誤った情報が行き交っているため注意が必要です。アオリイカに酢や塩、ワサビなどの調味料をかけると、アニサキスが死滅するという情報があります。これには科学的根拠はありません。死滅には冷凍か加熱が必要です。
また、細かく噛むことによって食中毒の症状が起こるという情報もあります。アニサキスは、生きたまま胃や腸に入って食中毒を引き起こすため、この情報も誤りです。
アオリイカはアニサキスに注意して食べよう
アオリイカは、口に広がるほんのりとした甘味としなやかな食感が人気のイカです。刺身や寿司として食べる他、沖漬けや焼きイカ、フライなどさまざまなアレンジができます。ただし、食中毒を引き起こすアニサキスが潜んでいる可能性があるので、注意しましょう。
アニサキスは、見つけ方を知ることで、目視でも取り除くことが出来ます。また、適切な対策をすることによって、死滅させることも可能です。この記事を参考にしてアニサキスに気を付け、アオリイカの美味しさを堪能してください。