人参の食べ過ぎは健康にも悪影響?適切な摂取量と食べ過ぎが危険な理由

人参を食べ過ぎると起きる健康被害について、まとめています。柑皮症の対処法や、人参を食べ過ぎると太るといわれている理由を詳しく説明しています。人参に含まれる栄養素や、1日の適切な摂取量についても紹介します。

人参の食べ過ぎは健康にも悪影響?適切な摂取量と食べ過ぎが危険な理由のイメージ

目次

  1. 1人参は食べ過ぎに注意が必要?
  2. 2人参の目安摂取量と栄養がもたらす効果
  3. 3人参を食べ過ぎると起きる健康被害
  4. 4人参は摂取量を守って食べ過ぎないようにしよう!

人参は食べ過ぎに注意が必要?

人参は一年を通して値段の変動がほぼなく、料理でとても使いやすい野菜です。濃いオレンジ色が特徴で、人参を料理に入れることで、料理のいろどりが鮮やかになります。また、人参は緑黄色野菜の一種で、栄養価がとても高いです。

日常的に使いやすく、体にとても良い人参ですが、食べ過ぎると体調に影響を及ぼす可能性があります。人参の食べ過ぎによる代表的な健康被害は、柑皮症や太ることが挙げられます。では、1日の人参の摂取量目安や食べ過ぎによる悪影響、柑皮症の症状について具体的に紹介します。

人参の目安摂取量と栄養がもたらす効果

1日の摂取目安量

人参には、ビタミンAが豊富に含まれています。ビタミンAの1日の摂取量は、男性900μgRAE、女性700μgRAEが適量とされています。Mサイズの人参には、1本あたり760μgRAEのビタミンAが含まれています。女性であれば、人参を1本食べると、1日のビタミンA摂取量を超えてしまいます。

ビタミンAの摂りすぎで体に大きな害を及ぼすことはありませんが、頭痛を引き起こしたり、栄養が偏ったりする可能性があります。人参は1日1本までとし、他の野菜もバランスよく摂るように心掛けると、健康的な食事といえるでしょう。

栄養素

人参に含まれる栄養素(1本あたり)
栄養素 含有量
エネルギー 54kcal
カロテン 8600μg
ビタミンA 760μgRAE
ビタミンC 5.84mg
ビタミンK 4.38μg
葉酸 33.58μg
ビオチン 4.09μg
カリウム 394.2mg
カルシウム 39.42mg
食物繊維 2.8g
糖質 9.4g

人参には上記のような栄養素が豊富に含まれています。中でも、人参の皮には特に多くの栄養があります。人参を調理するとき、皮を剥くという人がほとんどです。しかし、皮を剥くと栄養価が大幅に減ってしまいます。多くの人が人参の皮だと思っている部分は、実の一部であり、剥く必要はありません。

本来の人参の皮は、とても薄く、出荷前の洗浄で剥がれ落ちてしまいます。つまり、スーパーなどの店頭で売っている人参は、すでに皮剥きが終わった状態であるということです。火を通せば柔らかくなるため、人参は丸ごと食べるのがおすすめです。

効果効能

人参に特に多く含まれる栄養素は、カロテンやビタミンA、カリウム、食物繊維です。カロテンは体内でビタミンAに変換されます。ビタミンAには、皮膚粘膜を強くしたり体の抵抗力を上げる効果があります。さらに、最新の研究では、抗癌作用も期待できるとの報告もあります。

カリウムには利尿作用があり、体内に溜まった余分な塩分を、尿として排出する効果があります。体内の塩分量が少なくなると、血管への負担が減るため、血圧が下がります。また、尿として余分な水分も排出されるので、むくみの解消にも繋がります。

食物繊維には腸内で膨らんで腸壁を刺激し、蠕動運動を活発にする効果があります。蠕動運動が起こると、腸内の便が外へ押し出されるため、便秘が解消します。食物繊維には糖質の吸収を緩やかにする作用もあるので、太る心配が少なくなります。

人参を食べ過ぎると起きる健康被害

肌が黄色くなる「柑皮症」の心配

柑皮症は「かんぴしょう」と読みます。柑皮症とは、カロテンの摂りすぎにより、皮膚が黄色っぽくなる症状のことです。病気ではないため、皮膚の変色以外の症状はありません。柑皮症は健康に害を及ぼすことはなく、病院に行かなくても問題ありません。人参にはカロテンが豊富に含まれているため、食べ過ぎると柑皮症になる可能性があります。

柑皮症はカロテンの摂取量を控えれば、自然と治ります。柑皮症は、重篤な病気の症状である黄疸(おうだん)と勘違いされやすいですが、別物です。黄疸の場合は、皮膚だけでなく白眼の部分も黄色っぽくなったり、尿の色が茶褐色になったりします。

皮膚が黄色っぽくなったときは、眼や尿の色を注視して、柑皮症か黄疸かの判断をしましょう。黄疸の場合は、肝機能の低下が起こっている可能性が高いため、すぐに病院受診する必要があります。

糖質が高いことで太る可能性

人参に含まれる糖質は、Mサイズの人参1本あたり9.4gで、野菜の中では多い方です。人参には、炭水化物やショ糖などの栄養素が多く含まれています。これらの栄養素のおかげで、人参は甘く食べやすい味になっています。しかし、炭水化物やショ糖は糖質が高い栄養素なので、それらを多く含む人参も高糖質になります。

糖質が高いため、人参を摂取しすぎると太る原因となってしまいます。糖質の摂取量は、1日130g以下にすると太りにくいとされています。主食や他の食材に含まれる糖質量とのバランスも考えて人参を摂取するようにすれば、太る心配が少なくなるでしょう。

生の人参は消化不良になりやすい

人参には多くの食物繊維が含まれています。食物繊維とは、人間の消化器官では消化しきれない物質の総称です。食物繊維を多く摂取しても、体内には吸収されず、便として排出されます。食物繊維は、水分を吸収して膨らむ性質を持っています。摂取しすぎると、体内で膨らんだ食物繊維が、他の食物の消化を妨げて消化不良を起こす場合があります。

食物繊維には水に溶けやすい水溶性食物繊維と、水に溶けにくい不溶性食物繊維があります。人参を加熱した場合、水溶性食物繊維の多くは流れ出てしまいます。しかし、生の人参を食べると、水溶性食物繊維も不溶性食物繊維も摂取することになるため、食物繊維の摂りすぎになる可能性があります。

また、食物繊維は適量であれば、腸の働きを活発にし、便秘解消に役立ちます。しかし、摂取する量が多すぎると、腸に詰まって蠕動運動を鈍くするため、便秘の原因にもなってしまいます。

ビタミンCを壊す酵素に注意

人参には、アスコルビン酸酸化酵素という物質が含まれています。このアスコルビン酸酸化酵素は、ビタミンCを破壊するといわれていますが、この説は間違っているのではないかという見方が強くなっています。アスコルビン酸酸化酵素には、ビタミンCを酸化型ビタミンCという、別の物質に変化させる作用があります。

ビタミンCと酸化型ビタミンCは、体に別の効果をもたらすとされていたため、アスコルビン酸酸化酵素とビタミンCは、相性が悪いと考えられていました。近年の研究で、ビタミンCも酸化型ビタミンCも体内では、同じような働きをするという研究結果が発表されました。

この発表をうけ、アスコルビン酸酸化酵素はビタミンCを破壊するという表現を、あまり使わないようになってきました。しかし、これはまだ研究段階のことで、ただの一説にしか過ぎません。アスコルビン酸酸化酵素とビタミンCの関係性は、これからの研究でさらに詳しく解き明かされていくことでしょう。

妊娠中の人参の食べ過ぎは危険を伴う

人参には、ビタミンAが多く含まれています。ビタミンAには体の抵抗力を上げ、風邪やインフルエンザにかかりにくくする効果が期待できるため、妊婦は積極的に摂った方が良いとされている栄養素です。しかし、過剰摂取すると胎児の器官形成異常が起こる可能性が高まるといわれています。

妊娠初期は多くの器官が形成される時期であるため、特に注意が必要です。妊娠中期以降は、胎児の器官形成がほぼ完了しており、大きな影響はないとされています。しかし、妊娠中は胎児への影響を考え、ビタミンAの摂りすぎにならないよう、食事内容を考えましょう。1日の人参摂取量を、70g以下に抑えると安心です。

また、妊娠中は出産時の負担を減らすために、体重の増加量に気を配る必要があります。人参は糖質が高く、食べ過ぎると太る可能性が高い野菜なので、その点においても食べ過ぎ注意といえます。

人参は摂取量を守って食べ過ぎないようにしよう!

人参は様々な料理に使うことができるため、つい食べ過ぎてしまう野菜です。人参を食べ過ぎても体に大きな悪影響を及ぼしませんが、便秘や太る原因となる可能性があります。1日の摂取量を適切にし、バランスの良い食事になるよに心掛けましょう。

人参は栄養豊富で、体にとても良いです。少量の油で炒めたり和えたりすると、栄養素の吸収率がアップします。皮を剥かず、油と一緒に調理をすると、人参の栄養素を最大限に取り入れることができます。正しい調理法で美味しく人参を食べ、健康になりましょう!

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