2019年08月29日公開
2024年09月26日更新
サラダ油の原料には何が使用されている?他の油との違いは?使い方と合う料理も
サラダ油は精製度の高い品質名で、大豆・なたね・ひまわりなど9品目を原料とした場合に使われます。サラダ油は当初冷たい場所でも固まらないドレッシング用の原料として開発されました。サラダ油の特徴や他の油との違い、使い方を紹介します。
サラダ油とは?
食用油のコーナーで売り場面積を一番多く占めているのがサラダ油です。近年健康ブームで体に良い油として比較的最近登場し始めたのはエゴマ油や亜麻仁油ですが、これらはサラダ油とどのような違いがあるのでしょうか?他にもキャノラー油やオリーブオイル、ごま油、大豆油、ひまわり油などたくさんの油の種類があります。
このように種類が多いと実際に食用油売り場に行って購入する油の選択に迷う人も多いでしょう。オリーブオイルやごま油など植物の名前がついているものはわかりやすいのですが、料理の名前がついているサラダ油の定義は意外と知られていないようです。
では、サラダ油とはどのような油を意味するのでしょうか?このページでは、サラダ油の定義や油の種類、使い方などを紹介していきます。
原料
サラダ油の原料には決まりが有り、なたね・大豆・とうもろこし・ひまわり・ごま・サフラワー(べにばな)・綿実・こめ・ぶどうの9種類の種子を精製して抽出した食用油をサラダ油と言います。サラダ油には単独に種子を精製したものと2種類以上混ぜたものがありますが、2種類以上混ぜたものは調合サラダ油と呼ばれます。
サラダ油は日本独特の呼び名で、安心のしるしとされるJAS(日本農林規格)認定の工場で製造され審査をパスした食用油だけをサラダ油と呼ぶことができます。同じような製法と原料の安心できる食用油であっても、JASの審査を合格していなければサラダ油の名称は付けられません。
定義
サラダ油とは、精製度の等級名です。定義はJASによって正式に決められました。サラダ油としての条件は前述した9種類の種子を単独にもしくは混合させて純度高く精製したもので、0℃の低温の状態で5.5時間経過しても固まったり白く濁ったりしない油です。
JASでサラダ油の定義が定まったのは、サラダ油の発症に由来します。日本でサラダが食卓に上るようになったのは明治初期ごろと言われており、外国から生野菜の食習慣と同時にドレッシングの調味料も伝わってきました。美味しいドレッシングの条件は、低温でも油が濁らないことです。
日清製油は1924年に精製純度の高い油を開発し、日清サラダ油として販売したのが最初の登場です。JASは油の規格を定めるときに、精製純度の高い油の等級名としてサラダ油の名称をそのまま用いました。
特徴
サラダ油の大きな特徴は、冷蔵庫に入れても固まったり濁ったりしないことです。使いかけのドレッシングは通常冷蔵庫に保管しますが、サラダ油は低温でも結晶化しないので使いやすいことから日本で広く浸透していきました。
原料の種子から抽出しただけの油は、もともと天然のろう成分が含まれいるので低温では白く濁ったり固まったりします。そこで精製した油を長期間冷蔵して固まった結晶を取り除いたのがサラダ油です。サラダ油は匂いや味にクセがないため、手作りドレッシングやマヨネーズに大変重宝されています。
サラダ油と他の油との違い
油の種類はたくさんあるのですが、大きく分ければ3種類の分類の仕方があります。たいていの油はこの分類された中に入っているのですが、この分類の仕方が油の種類の理解をしづらくしている一面もあるようです。油の種類を整理してみましょう。
油の種類
油の種類は大きくわけて3つの分類方法があります。オリーブやごまなど原料による分類・サラダ油や精製油など精製度による分類・てんぷら油やサラダ油など用途による分類です。食用油は原料や精製度によって風味が変わり、熱を加えた時の酸化度合いや油の固まり具合によって適した用途が変わります。
揚げ物や炒め物、ドレッシングなどに欠かせない食用油ですが、サラダ油はすべての調理法に適していると言われており重宝されている油です。高温になりやすい揚げ物に適した油には、サラダ油の他にもなたね油の一種で加熱に強いキャノーラ油・酸化しにくいごま油・米油などがあります。
原料の違い
一般的にオリーブ油と呼ばれるモノはオリーブのみで抽出されたもので、ごま油はごまのみの抽出物です。このように原料が商品名となっているものは油の種類がわかりやすく、私たちが食用油として商品の違いを認識しているのは主に原料による違いでしょう。
食用油の原料にはごまなどサラダ油の原料として用いることができる9種類の原料の他にも、オリーブやココナッツ、エゴマ、亜麻仁、キャノラーなどがあります。指定されている9種類以外の原料を純度高く精製してもサラダ油とは呼びませんが、調合サラダ油の中に指定以外の食用油を混合することは可能です。
原料の最も大きな分類は、なたね油やオリーブ油など植物から生まれた植物性油と、ラードやバターなど動物から生まれた動物性油です。
精製度や添加物の違い
出典: https://heim.jp
食用油として販売されているものはどれも同じ精製度と考えがちですが、実は商品によって違いがあり、それによって風味や香りなども違ってきます。食用油は主に精製度の違いが4段階あり、それに伴い呼び名も変わります。低い順から紹介しますと、エキストラバージンオイル・半精製油・精製油・サラダ油です。
店頭でよく目にするエキストラバージンオリーブオイルはオリーブを絞って濾過しただけの油で、こちらは一切の精製が行われておりません。中には不純物も混じっており、冷たい場所では一番固まりやすい油です。次の半精製油は風味を生かすことを念頭に少しだけ精製した油です。風味のあるごま油は半精製油の場合が多いようです。
精製油とは精製して色や臭いをしっかりと取り除いたもので、てんぷら油は精製油です。サラダ油とは精製油をさらに精製して一定の基準数値をクリアした油で、冷蔵庫の中でも固まりや濁りが現れません。
原材料は純粋な油だけでなく乳化剤や酸化防止剤など添加物が加えられています。また、冠動脈性心疾患を引き起こすリスクを高めるトランス脂肪酸がふくまれているので、使い過ぎには注意しましょう。
サラダ油の使い方と合う料理
サラダ油は臭いや色にクセがないため、使い方で気をつけなければならない点は特にはありません。素材を邪魔する要素もなくどのような料理にも合う油です。では、ここからはサラダ油を使ったおすすめの料理や使い方を紹介します。
炒め物や揚げ物
サラダ油の一般的な使い方は炒め物や揚げ物です。炒め物に油を使う目的は2つ有り、1つはフライパンに油を入れて食材がフライパンにはりつき焦げるのを防ぐためで、もう1つは食材の旨みを引き出すためです。
油で炒めると油が食材をコーティングして食材の中に旨みを閉じ込めるので美味しく成りますし、筑前煮など煮物でも先に油で炒めて煮ると一味違ってきます。
揚げ物の場合は油の使い方や揚げ方によって食感が変わる場合があります。食材をカラッと揚げるためには、揚げ油は最低でも3cm位は欲しいものです。油の温度が下がるとカラッとなりにくいため、食材は少しづつ入れて揚げるのがおすすめです。
食材にもよりますが、一度使った油は油こし紙で濾して、次に使う時少し新しい油を継ぎ足すとカラッとなりやすく無駄になりません。その後の油は炒め物などに使うとよいでしょう。
ドレッシング
サラダ油はもともとドレッシングに使える油として開発されました。そのため臭いやクセがなく、どのような素材とも相性が良いです。ドレッシングの調合の基本は、油2・酢1・塩0.1の割合と言われています。この割合にシソやごま、柑橘類の搾り汁、玉ねぎのみじん切り、生姜汁など好みの食材を入れると自分好みの手作りドレッシングができます。
油は原料や精製度の違いにより香りや口当たりが違ってきます。サラダ油の代わりにオリーブ油やコーン油など使ってみると一味違ったドレッシングを楽しむことができるでしょう。
マヨネーズ・マーガリンの原料
サラダ油はマヨネーズやマーガリンの原料として使われています。マヨネーズは手作り可能で、分量は油200cc・卵60cc・酢30cc・塩コショウ5ccです。油はおよそ68%でマヨネーズの半分以上は脂肪分ですので、食べ過ぎに注意してください。
マーガリンは作り方や原料は違いますが、パンやケーキなどバターと同等の使い方がされる食品です。マーガリンは油脂・粉乳・ビタミン類・食塩などを加えて練り合わせた加工品ですが、油脂には大豆油やねたね油など調合サラダ油60%の他に魚油や豚脂、牛脂が含まれています。
サラダ油の特徴を活かして使おう!
サラダ油とは不純物が少なく最も高く精製されている品質のものを言います。当初ドレッシングの原料の食用油として開発されました。色や臭いにクセがなくどのような料理にも合いやすい油で、炒め物や揚げ物の残りを冷蔵庫に入れても固まった油で口当たりが悪くなることはありません。
サラダ油は温度の低い場所でも固まりや濁りが起きないので、手作りドレッシングに大変重宝です。ただし、サラダ油は調理を美味しくする作用があるのでつい頻繁に使いがちですが、健康を考えて食べ過ぎに注意しましょう。