2019年06月15日公開
2024年09月19日更新
調味料「さしすせそ」の順番の意味と効果は?みりんと酒はいつ入れる?
調味料の基本「さしすせそ」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?それぞれが調味料の頭文字を意味していて、この順番で調味料を加えると美味しくなるといわれています。しかし「さしすせそ」がそれぞれ何の調味料を指しているのか、はっきりとわかる方は少ないかもしれません。今回はそんな和食の基本「さしすせそ」について、それぞれ何の調味料を指していてどんな役割や効果があるのか、またみりんと酒を入れるタイミングについてお教えします。「さしすせそ」を覚えて、和食の基本をマスターしましょう!
調味料の「さしすせそ」が料理上手の基本
「さしすせそ」は、一般的に「さ」が砂糖、「し」が塩、「す」が酢、「せ」が醤油(せうゆ)、「そ」が味噌のことをいいます。主に和食で煮物を作る時などにこの順番で調味料を加えると、味が染み込みやすい順番なので美味しくなるといわれています。
この順番で調味料を入れることで、いつもよりも美味しい料理を作ることができるようになるようです。また、この順番で入れるのは美味しくなる以外にも理由がありそうです。それではそれぞれの調味料とその意味について見ていきましょう。
調味料「さしすせそ」の正しい順番と意味・効果
調味料を「さしすせそ」の順番で入れることにはどんな意味や効果があるのでしょうか?それぞれの役割と効果について解説していきます。
「さ」は砂糖
「さ」は砂糖を意味しており、料理に甘みをつける際に加える調味料です。一般的には白くてクセのない上白糖が使用されており、同じく白くてサラサラとしたグラニュー糖は主にお菓子作りに利用されます。また茶色い三温糖は上白糖よりもコクが深く煮込み料理に適しており、和三盆は主に高級和菓子に使用されています。
役割と効果
砂糖を一番最初に入れる理由は、甘みは食材に浸透しにくいので他の調味料より先に入れる必要があるからです。塩分を先に入れると、その後に砂糖を入れてもなかなか染み込まなくなってしまいます。砂糖は甘さを加えるだけでなく、ツヤや照りを出したり、旨みやコクを引き出してくれる役割を担っています。
「し」は塩
「し」は塩を意味しており、味が染み込みやすく、砂糖より先に入れると砂糖が染み込みにくくなるため後に入れます。塩は少量でも味に変化が出るので、塩加減が上手いと料理上手とも呼ばれます。
一般的に使用されているサラサラとした白い塩は精製塩で、海水などを原料に精製された塩です。他にも、精製前のまろやかな粗塩や風味豊かな岩塩があります。
役割と効果
塩は浸透圧の作用により、野菜の余分な水分や魚の臭みを食材の外に出してあげることができます。そのため下処理の時にもよく使われています。
甘みを引き立てて辛味を出し、あく抜きの効果も発揮します。水分を出すことで旨みがぎゅっと凝縮されて味を引き締めることができます。また塩を振ることで、変色を防止して保存が効くようになります。
「す」は酢
「す」はそのまま酢を意味しており、塩で水分を抜いてから酢を加えることで、食材に酢が染み込みやすくなります。酸味を加えるだけでなく、防腐作用もあることから昔から重宝されてきた調味料です。最も使われる酢が米酢で、米の甘みとまろやかさがあります。他には、フルーティーな果実酢や香り豊かな黒酢、健康志向の玄米酢などがあります。
役割と効果
酢は殺菌作用が高いことから、細菌の抑制や臭み取りの効果があります。また肉などの食材をやわらかくする役割があります。酢は熱を加えると酸味が飛ぶので、隠し味や仕上げに使用されることが多いです。
酢には酢酸やクエン酸が含まれているので、血液を弱アルカリ性にしてサラサラにしたり、血圧や血糖値の上昇を抑制する効果や疲労回復の効果が期待できます。
「せ」は醤油
「せ」は醤油を意味しており、和食には必須ともいえる重要な調味料です。昔は仮名遣いで醤油を「せいゆ」と書いていたため、しょうゆは「せ」と表記されています。醤油は大豆から作られる発酵食品で、加熱すると風味が飛んでしまうことから仕上げに近い段階で使用されます。
醤油は濃口醬油と薄口醤油があり、濃口醤油は主に関東圏で使用されます。名前から味が濃い印象を受けますが、実際に塩分が濃いのは薄口醤油のほうです。塩分や旨み、甘み、苦味などが含まれており、塩分量は塩の約6分の1程度です。他に、刺身や冷ややっこに使用されるたまり醤油があります。
役割と効果
醤油は味付けの最も大事な役割を果たし、香り付けや色付けなどに使用されます。熱し過ぎると焦げて風味が失われるため、基本的に料理の最後に入れます。煮物の場合は、砂糖と一緒に煮ることで長時間に手も風味が飛びにくくなります。
食材に照りや焼き色を付ける効果があり、その香りから魚や肉の臭みを取る役割も果たします。醤油独特の香ばしい香りが食欲を高め、消化を助ける効果を発揮します。
「そ」は味噌
「そ」は味噌を意味しており、一説によるとソースなどもここに分類されるようです。味噌も醤油と同じく、日本特有の発酵食品なので、仕上げの段階で加えます。沸騰させたり長時間加熱したりすることで風味や香りが飛んでしまうので、味噌を溶いたら沸騰させないように加熱をします。
甘みや塩味、旨みなどのいくつもの旨みが重なり合っている味噌は独特の調味料で、種類も様々です。一般的には米や麦から作られる赤味噌で、料理全般に向いています。関西で一般的な味噌は甘口の白味噌で、名古屋の味噌煮込むうどんや味噌カツなどに使用される濃い色の八丁味噌などもあります。
役割と効果
味噌は肉や魚の臭み消しや、食材の香り付けなどの役割があります。またコクを出す効果もあり、醤油と同じく香りが飛んで焦げやすいため、熱しすぎないように仕上げの段階で使用します。
味噌は原料の大豆にイソフラボンやビタミンEが含まれており、その抗酸化作用から老化を抑制する効果があります。また食物繊維により腸内環境を整えて、便秘解消やダイエット効果も期待できます。さらにコレステロールの増加を抑制する働きがあり、メラニンの生成を抑えて美白効果もあるといわれてます。
「さしすせそ」以外の調味料を入れる順番
調味料を入れる順番の基本は「さしすせそ」でしたが、ではこれ以外の調味料はいつ入れればよいのでしょうか?一般的に使用される酒やみりん、ソースを入れるタイミングについて考えてみましょう。
酒
酒は調理する際には欠かせなく、材料を柔らかくして味を染み込みやすくします。そのため早めに入れたほうがよく、だしを入れた後で砂糖を入れる前に加えるのが良いです。一般的に調理に使用される酒は、清酒に塩を加えた料理酒で、旨みのもとであるアミノ酸が多くなるように酢を添加したりと工夫されています。
役割と効果
酒は、魚や肉の下ごしらえには調理する前に少量ふりかけて使用すると、臭みを取って食材を柔らかくしてくれる効果があります。干物に少量かけてから焼くと、塩気がやわらいで身がふっくらと仕上がります。さらに調味料の浸透も良くなり、煮物などに加えることで煮詰める時間が少なくてもやわらかな仕上がりが期待できます。
みりん
みりんは、本みりんとみりん風調味料に分けられます。本みりんはアルコール分が多く酒に近いため、他の調味料より先に加えると良いです。本みりんを煮物などに使用するときは、砂糖より前に煮切りをしてアルコール分を飛ばします。
みりん風調味料は、アルコールがほとんど含まれず糖分が多いため、煮込み料理の場合は砂糖と同じタイミングで、風味付けの場合は風味を飛ばさないよう最後の方で加えます。
役割と効果
みりんは味の染み込みを良くして、型崩れを防ぐ効果があります。また料理の仕上げとして加えると、ツヤや照りを出して見た目が鮮やかになります。酢の物の仕上げに煮切りをしたみりんを加えることで、まろやかになり味がまとまります。
ソース
ソースは、ケチャップやマヨネーズ、中濃ソースなどがあります。ケチャップはウスターソースと合わせてハンバーグソースにしたり、マヨネーズと合わせてオーロラソースにしたりします。マヨネーズはポテトサラダなどの調味料としても使えます。
中濃ソースは、調理にする場合はハンバーグソースに混ぜてみたり、カレーの隠し味などにも使用できます。どれもそれだけで旨みのある味やコクがしっかりついているので、仕上げの直前や隠し味に使用されることが多いようです。
役割と効果
ソースはそれ自体で味が確立されているので、料理に仕上げとして味付けをする役割があります。適度な量を加えることで、食材を生かしながらしっかりと濃く旨みのある味付けをしてくれます。
ソースには酢やスパイスが多く含まれており、疲労回復や食欲増進の効果があるといわれます。ソースの味を引き締めて、防腐効果や殺菌効果も期待できます。
調味料の「さしすせそ」の意味を理解して活用しよう
調味料の「さしすせそ」は、その加える順番にはきちんとした意味があり、食材に味を染み込ませやすくしたり、身を引き締めたりやわらかくしたりと、それぞれの調味料にきちんとした役割や効果がありました。
意味をきちんと理解すると入れる順番を覚えやすく、料理をするときにも活用しやすくなります。ぜひ料理の基本「さしすせそ」をしっかり覚えて、より美味しい和食料理作りを実践してみましょう!