2018年08月16日公開
2024年07月30日更新
化学調味料とは?ほんだし・コンソメなどの調味料を例として紹介!
化学調味料とはなんでしょうか?みなさんは化学調味料についてどんなイメージを持たれていますか?世間的にイメージがよくない化学調味料ですが、実際のところはどうなのでしょうか?今回は化学調味料についてくわしく調査していきます。実際の例としてほんだしやコンソメ、味の素などの調味料の化学調味料についても紹介しますので、化学調味料とはなんなのか、化学調味料について気になる方はこの記事を読まれることをおすすめします。
化学調味料について知りたい!
食の安全性がニュースや新聞でも頻繁に取り上げられている昨今の日本。「食べてはいけない」という本がベストセラーになったことも記憶に新しいですよね。健康的な食生活を送りたい方に関心が高いのが化学調味料の存在です。今の日本では化学調味料を一切使用しない食生活を送るのは難しいと言われています。ですが、きちんとした知識を持ち、自分の手で安全な食品を選び取ることはとても大切なことです。
化学調味料は体に悪いとよく言われますが、本当のところはどうなのでしょうか?今回は化学調味料とはどんなものなのか、化学調味料とは本当に体に悪いのか、実際に化学調味料を使っている調味料や食品を例に挙げて徹底的にリサーチしていきます。味の素や、ほんだし、コンソメなどに含まれている化学調味料についても紹介します。食事に関心がある方も、そうでない方も知っておいて欲しい知識満載ですのでぜひご覧ください。
詳しく解説!化学調味料とは?
詳しく解説!化学調味料とは?
化学調味料とは、化学という言葉がついていることから、あまりよいイメージを持たれていませんが、実際に化学調味料とはどのようなものかというと、食品から科学の力でうま味を抽出した調味料のことをいいます。かつおや昆布などからだしを取るには、それなりの時間や手間がかかりますが、科学的な進歩と研究の結果、それらの食品からうま味成分が発見され、このうま味成分だけを精製したのが化学調味料になります。
化学調味料の原材料は、サトウキビなど自然の農産物を使用し、世界各国、各地域でとれるさまざまな農産物を原料としています。アジアではさとうきびやキャッサバ、アメリカではとうもろこし、南米ではサトウキビが主流となっていますが、一部の地域ではさとうきびだいこん、小麦などを原料にしている場合もあります。
化学調味料とはどんなものかを知るために、化学調味料の製造方法について紹介しましょう。一般的によく使われるグルタミン酸ナトリウムの製造方法を例に言うと、まずさとうきびなどの糖蜜やタピオカでんぷんにグルタミン酸生産菌を加えて醗酵液を作ります。醗酵液の中でグルタミン生産菌が糖をグルタミン酸に作り替え、発酵液中にたまったグルタミン酸を沈殿させて取り出し、グルタミン酸ナトリウムの結晶にします。
化学調味料とは、そのグルタミン酸ナトリウムの結晶を乾燥させて作ったもの、ということになります。化学調味料は味の素やほんだし、コンソメなどの調味料だけでなく、業務用の加工食品にも多用されています。加工食品の原材料欄に「アミノ酸等」と書かれているものは化学調味料を意味しますので、覚えておくとよいでしょう。
化学調味料の種類一覧
現在日本で生産されている化学調味料とは、大きく分けて4つに分類されます。グルタミン酸ナトリウムを原材料とするアミノ酸系うま味調味料、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム、リボヌクレオチドナトリムを原料とする核酸系うま味調味料、リボヌクレオチドナトリムを1~2.5%配合した低核酸系うま味調味料、リボヌクレオチドナトリムを6~12%配合した高核酸系うま味調味料になります。
日本において家庭用に市販されている化学調味料とは、商品パッケージに表示されているので消費者にも分かるようになっています。加工食品に使用される場合は調味料(アミノ酸)、または調味料(アミノ酸等)、調味料(核酸)といったように表示されているので、スーパーやコンビニなどで調味料を買う際には、一度見てみるとよいでしょう。
化学調味料とは?うま味調味料との違い
化学調味料とはうま味調味料と違うものなのか、その違いについて見ていきます。そもそも化学調味料とは、自然食品などのうま味成分を精製した調味料であるということはすでにお伝えしたとおりですが、化学調味料という言葉が生まれた経緯は、昭和30年代、NHKの料理番組内で味の素が登場した際、公共放送である立場上商品名が言えないため、代替措置としてうま味調味料のことを化学調味料と読んだことがきっかけです。
つまり、化学調味料とはうま味調味料と違いがあるわけではなく、実は同じもの、ということです。化学調味料という呼び名は、一般的にも広がり、多くの人がうま味調味料のことを化学調味料として認識するようになりました。その後日本では健康志向やグルメブームが広がり、科学という名前がついている化学調味料が化学物質のイメージや天然由来ではない食品を連想させるとして、名前が変更になりました。
1980年代以降は現在の日本のうま味調味料協会が、化学調味料に変わる呼び名としてうま味調味料という言葉を使用するよう提唱し、今では化学調味料という呼び名よりも、うま味調味料という呼び名の方が一般的となっています。化学調味料とはうま味調味料と同一のもの、ということを覚えておきましょう。
英語で科学調味料とはなんという?
海外の食べ物はジャンク、というイメージが強かったのですが、今では昔の話となっています。例えばアメリカでは日本人よりも健康志向の人の割合が日本よりも多くなっていて、オーガニックフードは当たり前に浸透しているそうです。アメリカでは化学調味料を使用しないレストランも増えていて、店頭にも表示されているほどです。
英語で科学調味料とはどう表現するのかというと、Mono Sodium Glutaminate、略して「MSG」と呼ばれています。 化学調味料を使用しないレストランは「NO MSG」と表示され、人気となっているそうです。アメリカでここまで化学調味料が嫌われることになった背景は、1960年代までさかのぼります。アメリカで中華料理を食べたアメリカ人が食後に眠気、顔面の紅潮、頭痛、体のしびれなどの症状が現れたことがありました。
こうした背景から料理に大量の化学調味料を使う料理に気をつけなければならない、という共通認識が生まれたそうです。その後の調査で化学調味料と男性の症状の因果関係は認められなかったものの、実際化学調味料を摂取して具合が悪くなる海外の人もいるそうです。私たち日本人は化学調味料を幼い頃から摂取しているので、化学調味料の耐性が体についていると言われ、化学調味料を摂取して具合が悪くなる人は少ないそうです。
化学調味料は体に害がある?
アメリカでは化学調味料不使用を謳うレストランが登場したり、中華料理を食べて体調が悪くなるチャイニーズレストランシンドロームの原因が科学調味料ではないか、という説が流れたりして、化学調味料は体に害があるというイメージが根強く付いています。では、本当のところ化学調味料とは体に害があるか、ということですが、今現在報告されている調査結果によると、大量に摂取しなければ危険性はないと言われています。
そもそもグルタミン酸は、生物の体内にもともと存在していて、私たちが植物や動物のタンパク質から毎日摂取している物質です。化学調味料のように工業的に生産されるグルタミン酸も自然界に存在するグルタミン酸と成分は全く同じで、体内でも同じように代謝されています。化学調味料とはグルタミン酸ナトリウムということは前述しましたが、食品衛生法では食品添加物の調味料に分類されています。
日本の法律で定められた発がん性や遺伝毒性などの安全試験結果に基づき、厳重な審査を経て食品添加物に認定されているため、そこまで怖がって摂取する必要はありません。また、うま味調味料は塩や砂糖と同じように長期保存しても品質は変わらないと言われています。化学調味料とは、長期保存試験の結果に基づき、食品衛生法でも賞味期限を表示しなくても良いとされている調味料とされています。
では、化学調味料とは世界的にみるとどうかというと、国連の国際食糧農業機構(FAO)と世界保健機構(WHO)による食品添加物専門会員会(JECFA)は1950年代以降毎年開催され、多くの食品添加物の安全性評価を行っていますが、化学調味料のグルタミン酸ナトリウム、イノシン酸やグアニル酸ナトリウもともに一日の摂取許容量を制限する必要もなく、乳幼児も同じように代謝できる安全性な添加物であることが確認されています。
また、欧州共同体(EU)でも食品科学委員会による食品添加物の安全性審議が行われていますが、化学調味料とはJECFAの審議結果と同様安全性が確認されています。化学調味料とは日本だけでなく、アメリカやヨーロッパでも繰り返し厳しい安全性試験を全てクリアし、国際的にも安全性が評価されています。
化学調味料とは、国際的にも安全が評価された信頼のおける調味料であることは確かなのですが、何事も摂取しすぎはよくありません。例えばあじの素やほんだし、コンソメなどの化学調味料の味に慣れてしまうと、味覚が破壊されて本来の美味しさがわからなくなるという可能性が指摘されています。化学調味料とは大量摂取さえしなければ問題ですが、砂糖や塩のように大量に摂取しても気づかないので注意が必要です。
出典: https://0bi8.com
化学調味料は家庭で摂り過ぎに注意するほか、外食した時に知らず知らずのうちに摂取している場合も多いので、せめて家庭では簡単に味が美味しくするために化学調味料を多用するのではなく、できれば愛情たっぷりのだしを使用することをおすすめします。
化学調味料が入っている調味料や食品は?例を挙げて紹介
化学調味料が入っている調味料や食品は?例を挙げて紹介
化学調味料とはどんなものなのか、ということについて解説してきましたが、具体的にイメージしていただけましたでしょうか?ここからは実際の商品を例に挙げて化学調味料について深堀していきます。例えばお味噌汁や煮物など、和食を作るときに便利な味の素のほんだしです。本来はほんだしではなくかつお節や昆布から丁寧にお出汁を取るのが一番美味しいですが、毎日の調理に時間も手間もそこまでかけることはできません。
忙しいときにも、さっとだしの旨みを再現できるのがほんだしです。ほんだしに使用されている化学調味料とはどんなものか知るために、ほんだしの原材料名を見てみます。すると、調味料(アミノ酸等)、食塩、砂糖類(砂糖、乳糖)、風味原料(かつおぶし粉末、かつおエキス)、酵母エキス、小麦たん白発酵調味料とあります。ほんだしはかつおをベースに砂糖、食塩、グルタミン酸ナトリウムなどを混ぜて出来たものということです。
ほんだしには上記のように多数の化学調味料が含まれています。ほんだしを使うと誰でも簡単にだしがとれると思われがちですが、毎日摂取し続けるのはあまりおすすめしません。ほんだしは日本JAS企画から安全性が認められているので、摂取るることが体に悪いということではありませんが、何事も摂り過ぎは体に毒です。忙しい時はほんだしと無添加のだしパックなどを交互に使うなど、工夫してほんだしを使うのが良いでしょう。
コンソメに使用されている化学調味料とは?
続いてスープやポトフなど料理に活躍する味の素のコンソメです。コンソメの化学調味料とは原材料を見ると、食塩、乳糖、砂糖、食用油脂、酵母エキス、ビーフエキス、香辛料、しゅうゆ、たん白加水分解物、野菜エキス、調味料(アミノ酸等)、酸味料、カラメル色素と記載されています。こちらもほんだし同様、コンソメにアミノ酸等の化学調味料が使用されていることがわかります。
コンソメに含まれている酵母エキスは、酵母とついているので自然由来と思われがちですが、コンソメの酵母エキスは酵母原料からの抽出物をエキスにしたものです。パンやビールを製品化する過程でできた酵母の産業廃棄物になるものを使用しているので、製造過程を見る限りコンソメの酵母エキスは人工的な添加物とあまり変わらないことが指摘されています。コンソメの酵母エキス自体に毒性はありませんが、不純物が多くなります。
例えば食品アレルギーを発症したり、味覚障害を起こすなどの危険性があるそうなので、コンソメの摂取しすぎには注意が必要です。また、コンソメに含まれるたんぱく加水分解物は分類上化学調味料ではなく食品にあたりますが、コンソメにコクやうまみをもたらす目的で使用され、人工的に加工製造されているものです。このようにコンソメには化学調味料と、それに似通った化合物が多用されているので、摂り過ぎには注意が必要です。
味の素に使用されている化学調味料とは?
ほんだし、コンソメに続き、味の素に使用されている化学調味料とはどのようなものがあるのでしょうか?味の素の原材料は調味料(アミノ酸等)となっていて、グルタミン酸ナトリウム97.5%、イノシン酸ナトリウム1.25%、グアニル酸ナトリウム1.25%となっています。主成分はグルタミン酸ナトリウムで、日本ではサトウキビを原料としています。
味の素の主な原材料、グルタミン酸ナトリウムはグルタミン酸のナトリウム塩とのことで、この物質のL体が調味料として使用されています。味の素にはかつお、しいたけのうまい成分であるレボヌクレオダイドナトリウムが加味されているそうです。グルタミン酸は、1969年にマウスおよびラットによる実験で幼体への視床下部などへの悪影響が指摘されて、一日の摂取許容量が制限されたこともあります。
今ではJECFAなどでテストが行われ、通常摂取では人に対する毒性は確認されないという結果が出ています。ただし、グルタミン酸ナトリウムの性質として、過剰摂取を感知できないという問題があり、例えば知らず知らずのうちに食べ過ぎる傾向にあります。塩などの調味料は過剰に摂取すると辛すぎて食べられませんが、味の素などはある程度の分量を超えると味覚の感受性が飽和状態になり、同じような味に感じてしまいます。
飲食店でも過剰投入してしまう例もあり、調味料として一般的な使用では考えられない分量のグルタミン酸ナトリウムを摂取してしまう場合もあります。グルタミン酸ナトリウムを原料とする味の素は味を調える調味料ではなく、うま味をプラスするためのものです。例えばチャーハンやパスタなどに使用するときは、耳かきいっぱい程度で十分にうま味を感じることができることを覚えておきましょう。
化学調味料が使用されている商品例:お茶
あまり一般的に知られていませんが、化学調味料が使用されている商品としてお茶があります。本来お茶の旨みは、グルタミン酸、テアニンなど20種類ほどの自然のアミノ酸に所以します。中でも高級玉露茶にはアミノ酸が多く含まれていて、それがお茶の甘味とうまみを生み出し、高級茶のおいしさにつながっています。しかし、安いお茶にはお茶に旨みを足すために、グルタミン酸ナトリウムが添加される場合があります。
また、鮮やかなお茶の緑色を出すために重炭酸アンモニウムや、炭酸水素ナトリウムが混ぜ込まれているケースもあります。お茶に化学調味料が含まれているかどうかは、原材料名のところに茶調味料(アミノ酸)、重炭酸アンモニウムなどと表示されているので、購入の際にチェックしましょう。例えば茶の表示のみのシンプルなお茶は、化学調味料が使用されていないお茶になります。
また、もうひとつの見分け方として例えばお茶の袋を開けた時にキラキラした粉が付着していたら、化学調味料のグルタミン酸ナトリウムを使用していることがわかります。さっぱりとしたお茶はグルタミン酸ナトリウムなどの添加物が添加されている可能性が低いのですが、まろやかで甘いお茶は化学調味料が添加されていることが多いため、注意が必要です。
化学調味料が使用されている商品例:ラーメン
ラーメン通の間で意外と有名なのが、有名ラーメン店の味の秘訣が化学調味料だったということが指摘されたことがあります。本来ラーメンのスープには、とんこつ、煮干、かつおぶし、さば節などを豊富に使用し、長時間かけてじっくりと旨みを引き出して作られるものですが、一部のラーメン店では化学調味料で旨みを補っている場合があるそうです。
最近では例えば無化調ラーメンとして、化学調味料を使用していないことを大々的に謳っているラーメン店も登場しています。ただしスープに化学調味料を使用していないからといって、例えばチャーシューや煮玉子などに化学調味料を全く使用していないかというとそうではありません。外食において、化学調味料を一切使用していないお店を探すのはこんなんですが、摂取を控える努力はできるのでお店を選ぶようにしましょう。
また、化学調味料に注意しなくてはならないのは外食のラーメンだけではありません。カップラーメンや即席ラーメンにも化学調味料は使用されています。というのも、化学調味料を使用すると、簡単に旨みを引き出すことができるからです。またスープには相当の塩分量も含まれているため、カップラーメンを食べるときは例えばスープは飲み干さない、などの配慮をして食べることをおすすめします。
化学調味料が使用されている例:お菓子
化学調味料が使用されている例として、お菓子はどうでしょうか?例えばカルビーのポテトチップスの原材料を見てみると、じゃがいも、植物油、砂糖、チキンコンソメパウダー、食塩、デキストリン、コーンスターチ、ビーフコンソメパウダー、粉末しょうゆ、オニオンエキスパウダー、香辛料、トマトパウダー、調味動物油脂、調味料(アミノ酸等)、香料、酸味料、カラメル色素、甘味料(ステビア)などが記載されています。
ここでも化学調味料である調味料(アミノ酸等)の表示が見つかりました。ほんだしやコンソメでも使用されていた化学調味料がポテトチップスにも使用されていたのです。そのほかのお菓子にも化学調味料は多用されている事実があります。子供のおやつに食べさせる時などは、例えば量を控える、毎日食べ過ぎない、化学調味料不使用のお菓子も用意するなどの努力が必要なようです。
摂り過ぎに注意して化学調味料とは上手に付き合おう!
化学調味料についてどんなものか解説してきましたが、参考になりましたか?世間的に化学調味料は悪、というイメージを持たれている方もいますが、確かな機関によって過剰摂取でなければ問題性はないと実証されているので、そこは安心して良いと思います。ただ、何事も摂り過ぎには注意が必要です。上手に化学調味料と付き合って、健康的な食生活を送りましょう。