焼酎の度数は日本酒より強い?アルコール度数に20度と25度がある理由は?
焼酎の度数はどのくらいなのか知っていますか?焼酎好きの方なら当然判っていると思いますが、一般的な焼酎には20度と25度があります。今回は、焼酎のアルコール度数について徹底調査します。焼酎のアルコール度数は?高い理由は?焼酎と日本酒のアルコール度数を比べて調べてみました。また、度数に20度と25度がある理由、水割りなど強いアルコール度数を抑える飲み方を解説します。焼酎には原料の違いで種類がたくさんあることから、米焼酎、麦焼酎、芋焼酎、泡盛の特徴と、焼酎の原酒についても紹介します。
目次
焼酎のアルコール度数はどのくらい?
焼酎は、お酒好きの方にも人気があるお酒です。一般的にはアルコール度数の高いお酒として知られており、水割りやお湯割りなどで飲まれることが多いです。ここでは、一般的な焼酎のアルコール度数や、アルコール度数が高い理由を紹介します。
一般的な焼酎の度数
日本国内において流通している一般的な焼酎のアルコール度数は、20度から25度のものを最も多く見ることができます。焼酎は蒸留酒ですので、アルコール度数を高くすることを目的としていますが、低くすることもできます。アルコール度数の高いものは50度近いものもあり、また低いものは15度ほどしかないものもあります。
そもそもアルコール度数とは、摂氏15度において原容量に含まれているエチルアルコールの容量をいいます。焼酎や日本酒、ワインなどのアルコール度数が25度の場合、100ml中に25mlのアルコール分が含まれていということです。
また、アルコール度数25度と、アルコール度数25%は同じ意味で、表記の違いだけであり、同じ強さのお酒です。
焼酎の度数が高いのはなぜ?
焼酎の度数が高いのは、一般的にアルコール度数を高くするために作られた蒸留酒だからです。アルコール発酵された醸造酒を、連続式蒸留器や単式蒸留器蒸留で蒸留することで作られています。
蒸留とは、醸造酒を蒸留器で加熱することにより、沸点の低いエタノールが水よりもたくさん気化してくる原理を利用しています。気化したエタノールを集め、冷却することで液体に戻し、これを繰り返すことによりエタノールが濃縮され濃度が上がり、高いアルコール度数のお酒ができあがります。
焼酎と日本酒のアルコール度数を比べる
焼酎は日本酒と比べられることもよくあり、どのような違いがあるのが調べてみました。ここでは、日本酒のアルコール度数、酒税法により法律で定められたアルコール度数、製造方法によるアルコール度数の違いを紹介します。また、「日本酒のほうが酔いやすい」という噂について解説します。
日本酒の度数はどのくらい?
日本酒も酒類の一種で、日本特有の製法で醸造された醸造酒です。酒税法では、アルコール度数が22度未満のものと決められています。
法律で定められたアルコール度数
法律で定められたアルコール度数を紹介します。焼酎は酒類の一種で、醸造酒を蒸留して作った蒸留酒です。蒸留方法にも2種類あり、連続式蒸留焼酎と単式蒸留焼酎に分けられています。
酒税法では、連続式蒸留焼酎の場合、連続式蒸留機で蒸留したアルコール度数が36度未満のもので、甲類とも呼ばれています。単式蒸留焼酎の場合、単式蒸留機で蒸留したアルコール度数が45度以下のもので、本格焼酎や乙類と呼ばれています。
度数の違いは製造方法に関係している
焼酎と日本酒のアルコール度数の違いは製造方法に関係しています。酒税法としての分類も、焼酎は蒸留酒なのに対し、日本酒は醸造酒ですので製造方法に違いがあるためです。
一般的な日本酒は清酒と呼ばれ、米、米麹、水を原料としており、これをアルコール発酵させて、こしたものです。まず、蒸した米に米麹を使い、酵素の力よって米のデンプンを糖分に変える糖化を行いブドウ糖を作ります。そのブドウ糖を、清酒酵母に力でアルコール発酵させます。
この清酒酵母によるアルコール発酵では、16度から20%が限界とされています。醸造酒の濃度がこの限界値を超えると、アルコール発酵させるための清酒酵母自身が死滅してしまうからです。したがって、醸造酒である日本酒は、アルコール度数が22度未満と決められています。
焼酎は、アルコール発酵で作られた醸造酒を蒸留して作った蒸留酒です。原料に違いがありますが、途中までの製造方法はほぼ同じです。アルコール度数を高めるのが目的ですので、エタノールの濃縮をする必要があります。
このエタノールの濃縮をする工程が蒸留です。連続式蒸留器や単式蒸留器蒸留を使い、蒸留を繰り返すことでエタノールが濃縮されることで、アルコール度数の高いうえ、強いお酒ができあがります。
日本酒のほうが酔いやすい!?
焼酎と日本酒では、「日本酒のほうが酔いやすい」などといわれることがあります。どちらもお酒ですので同じように酔いますが、製造方法により違いがあります。
日本酒はアルコール発酵させた状態で飲みますが、焼酎はさらに蒸留する工程があり、不純物なども一緒に除去しています。つまり、不純物が少ないクリアなお酒です。
それに対し醸造酒の日本酒には、どうしても不純物が残ってしまい、酔いやすい原因とされています。体に悪いものではありませんが、アセトン、フーゼル油、タンニンなどの不純物が残り、日本酒のほうが酔いやすいといわれています。ですので、日本酒よりも焼酎の方の色が透明に近いといわれています。
焼酎のアルコール度数に20度と25度があるのはなぜ?
一般的に見ることのできる焼酎は、20度と25度のものが多いと思います。ここでは、アルコール度数に20度と25度がある理由と、アルコール度数20度の焼酎の歴史を紹介します。
同じ銘柄でも20度と25度がある
焼酎は同じ銘柄でも、アルコール度数が20度と25度の2種類が作られていることがよくあります。 一般的な原酒のアルコール度数は、麦や米焼酎の原酒は43度から44度、芋焼酎の原酒は37度から38度です。
焼酎は、数種類の原酒をブレンドしたり、割り水を加えアルコール度数を25度前後に調整して販売されています。通常、同じ銘柄の場合、原酒は同じものをつかい、割り水の分量により20度と25度を作りわけています。
20度の焼酎は戦後混乱期に生まれた
アルコール度数20度の焼酎の始まりを紹介します。20度焼酎は、第二次世界大戦直後の混乱期に作られ始めました。終戦後は貧困の時代でもあり、酒税は日本にとって重要な財源で、当時、高い酒税が課せられ高価なものでした。タバコやお酒の嗜好品も不足しており、質の悪い密造酒がたくさん作られたのが始まりです。
20度の焼酎は、安いことから広く出回り、正規の酒造会社が作る25度の焼酎が売れなくなるほど影響がでました。国では、昭和28年に密造酒への対抗措置として酒税特別措置法をつくり、特別に20度焼酎の税金を安くし、販売を許可しました。その結果、酒造会社では安い20度焼酎を作り始め、密造酒は売れなくなり現在まで製造されています。
地域の好みに合わせて造り分けている
同じ銘柄の焼酎でも20度と25度があるのは、好みが分かれるのが一番の理由です。25度の焼酎をストレートやロックで飲みたい方は25度を選択するしかありません。
25度の焼酎を水割りやお湯割りで飲む場合や、使いたい割りものがある場合は、好みが分かれるようです。また、25度の焼酎では、水割りなどで割ってもアルコールが強いという方は20度の焼酎を選ぶようです。このように、消費者のニーズにより購入される焼酎が選ばれるので、20度と25度を造り分けています。
価格的には酒税法により違いがあります。同じ量の銘柄でも、20度よりも25度の方が高い価格で販売されています。
地域的には、第二次世界大戦終戦後に、20度焼酎が最初に造られたといわれる宮崎県内では、現在でも、数多くの20度の本格焼酎が造られています。なお、宮崎県では、20度焼酎を水割りで飲む場合もあります。
焼酎の強いアルコール度数を抑える飲み方
ここでは、強いアルコール度数を抑える飲み方を説明します。水割りやお湯割り、ソーダ割りのほか、その他の割ものを紹介します。
水割りやお湯割り
強いアルコール度数を抑える飲み方の1つ目は、水割りやお湯割りです。水割りやお湯割りは一般的な飲み方で、焼酎と水を5対5で作った場合、半分のアルコール度数になり、強いアルコール度数を抑えることができます。
水割りやお湯割りのメリットは、強いと感じるアルコールを、自分好みのアルコール度数に調節することができ、味わいを変えることなく、楽しむことができます。
ソーダ割り
強いアルコール度数を抑える飲み方の2つ目は、ソーダ割りです。ソーダ割りのソーダには色々な種類があり、甘さを抑えたカロリーゼロのソーダや、色々なフルーツの果汁の入ったソーダなどがあり、お好きな味わいの焼酎を楽しむことができます。
ソーダ割りも水割りなどと同様に、自分好みに強いアルコール度数を調節できるほか、炭酸のシュワシュワした爽快な飲み応えが楽しめ、女性にも人気の飲み方です。
その他の割もので楽しめる
強いアルコール度数を抑える飲み方は、その他の割もので楽しめます。緑茶割り、牛乳割り、コーヒー割りなど色々な割りもので楽しめます。
また、同じ水割りでも前割りという飲み方もあり、焼酎と水を混ぜ一晩寝かせてからいただく飲み方もあります。一晩寝かせたら、火にかけ人肌程度に温めて飲む方法で、まろやかな味わいの焼酎を楽しむことができます。
焼酎は原料の違いで種類が豊富
日本酒と焼酎の最大の違いは原料にあります。日本酒は、米、米麹、水を原料としているの比べ、焼酎は原料に米のほかに、麦、芋なども使われ、琉球諸島で作られる有名な焼酎の泡盛などがあります。ここでは、それぞれの特徴や、原酒について紹介します。
米焼酎
米焼酎は、日本酒と同様に米を原料としています。有名な生産地は、熊本県南部の人吉・球磨地方で、古くより米が豊富に作られており、幕末に向けて藩を上げて米焼酎作りが盛んに行われていました。
現在でも人吉で作られるものは球磨焼酎と呼ばれ高い人気があり、米どころの新潟県、秋田県、山形県でも作られています。
米焼酎は、常圧蒸留による香りと味が豊かなものや、減圧蒸留による香りと味を抑えたものがあり、日本酒に近いフルーティな味が特徴です。
麦焼酎
麦焼酎は、ウイスキーやジン、ウォッカど同じように、大麦を主原料とています。発祥は長崎県壱岐で生産され始めた壱岐焼酎で、大分県で生産されている麦麹に麦を掛け合わせる麦焼酎も人気があります。
麦焼酎は、香りにクセがなく、軽いタイプのものが主流で、一番飲みやすい焼酎といわれています。香ばしさを強調した銘柄や、主張を抑えて飲みやすくした銘柄などがあり、全国で広く作られているのが麦焼酎です。
芋焼酎
芋焼酎は、江戸時代から南九州でたくさん作られている、さつま芋を主原料としていす。鹿児島県と宮崎県南部が主な生産地で、現在では多くの酒造会社でさつま芋を100%使った芋焼酎を販売しています。
芋焼酎は、さつま芋独特の芳醇な甘みのある香りが特徴で、水割りやお湯割りで割っても、味が薄まりづらく美味しく飲めます。ゆえに、好き嫌いがハッキリとしていましたが、最近では、軽いタイプの芋焼酎も作られるようになってきました。
泡盛
泡盛は、沖縄県で作られる伝統的な蒸留酒で、泡盛麹黴(アワモリコウジカビ)と呼ばれる黒麹菌で造った米麹のみを原料として作られた焼酎です。
泡盛の製造方法は一般的な焼酎とは異なり、ほとんどの泡盛が原料にタイ米を使い、原料の米すべてを米麹にし、水と酵母を加えて発酵させる全麹仕込みで行われます。
蒸留方法には、伝統的な常圧蒸留と、新しい減圧蒸留があり、味わいの違う泡盛を作り分けています。常圧蒸留で作られる泡盛は、甘みと香りを楽しめ、減圧蒸留で作られる泡盛は、口当たりが軽やかでソフトな味わいが楽しめます。
泡盛は、さらに熟成期間で味わいを調整します。初期熟成、中期熟成、古酒化期の3段階に分類され、時間経過とともに刺激臭がなくなり、香りとまろやかさが増してきます。そして、3年以上熟成された古酒の泡盛は、風味が凝縮された濃厚な味わいを楽しめます。
原酒
原酒とは、蒸留後にできた原酒に、割り水やほかの焼酎をブレンドしていないものをいいます。また原酒は、製造方法や原料により違いがあります。
アルコール度数にも違いがあり、一般的な製造方法で作られた、米と麦焼酎はアルコール度数が43度から45度、芋焼酎は37度から40度です。一般的な泡盛は30度、古酒の泡盛は40度くらいがです。
原酒はアルコール度数が高いため、それぞれの独特な強い香りやクセがあり、原酒はそのままの味わいを楽しむことができます。
焼酎はアルコール度数を理解して楽しもう!
今回は、焼酎のアルコール度数について紹介しました。焼酎は醸造酒を蒸留することで作られているため、日本酒に比べ、アルコール度数が高くなっています。
ロックやストレートは、そのままの味を楽しむこともできますし、水割りなどでアルコール度数を調整しても美味しくいただけます。ソーダや色々な割りもので、違った味わいを楽しめるのもよいところです。