かぼちゃの語源はカンボジア?ポルトガル?種類や産地も紹介!
かぼちゃはおなじみの野菜ですが、その名前の語源について考えたことはあるでしょうか?かぼちゃの名前の語源なんてと思っても、その語源について知っている人は少ないことでしょう。実はかぼちゃの名前の語源にはいくつか説があるのです。かぼちゃの名前の語源には、かぼちゃの歴史が関わっていて、ポルトガルから入ってきたこととも密接な関係があります。かぼちゃの語源はカンボジアとする説の他、いくつかの語源説があるのです。そんなかぼちゃの語源と、日本におけるかぼちゃの歴史や産地の他、代表的な種類を紹介します。
かぼちゃの語源はカンボジアにある?
かぼちゃというと、普段からよく食卓に上がるとても馴染みのある野菜ですが、その名前の語源について考えてみたことはあるでしょうか?かぼちゃに限らず野菜の名前の語源にはいろいろありますが、かぼちゃの名前の語源は一体何なのでしょうか?
かぼちゃの名前の語源は諸説ありますが、語源の中でもカンボジアを由来とする語源説が最も有力というのです。ですがかぼちゃの名前の語源はこれだけでもないというのです。かぼちゃの名前の語源とはいったいなんなのか、さまざまな語源がある理由とその語源の意味も見てみましょう。
かぼちゃの歴史と語源
かぼちゃとはどんな歴史をもったどんな野菜で、その名前の語源は一体どこから来ているのでしょうか?馴染みのある野菜であるにもかかわらず、かぼちゃの歴史も語源も良くは知らないものです。そんなかぼちゃの原産地や、複数ある語源とその語源の持つ意味、日本でのかぼちゃの歴史について紹介します。
かぼちゃの原産地
かぼちゃの原産地は元々諸説ありましたが、紀元前7000年~5500年という古いメキシコの洞窟の地層からかぼちゃの種が発見されたことで、数あったかぼちゃの原産地説はメキシコとグアテマラの中南米地域ということで落ち着きました。
さらにもともとのかぼちゃは果肉も薄く繊維質で、味も水っぽくて苦味が強く、可食部も少なかったことが遺跡から出土した標本からも伺われ、古代メキシコ人はかぼちゃは果肉を食べるものではなく、種を炒って食べていただけでなく、その硬い外果皮を容器に使っていたのです。
かぼちゃの果肉が食用となったのは、偶然突然変異でできた果肉の甘いかぼちゃを、アメリカ原住民が品種改良して栽培種へと発展させていったことで、次第に現在のかぼちゃになったと考えられています。
かぼちゃの語源
かぼちゃの名前の語源は一体何なのでしょうか?かぼちゃの語源には諸説ありますが、その中でも有力な語源には2つの説があります。かぼちゃの語源の中でも有力な2つの語源説と、その語源の持つ意味について紹介していきます。
カンボジア語源説
かぼちゃの語源はカンボジアから来ているというのが、このカンボジア語源説です。このカンボジア語源説とは、ポルトガル語でカンボジアを意味するCamboja(カンボジャ)から、転じて訛ったものがかぼちゃの語源とする説が最有力の語源説です。
カンボジア語源説には一時期似たような語源説がネット上で出回ったこともありました。同じポルトガル語を語源とするものの、「Cambodia abóbora」(カンボジャ・アボボラ、「カンボジアの瓜」の意)が語源とする説です。
ですがこの語源説ではポルトガル語として間違っていて、ポルトガル語でCambodiaという語形自体がないため、この語源説は今は否定されています。
カンボジア語源説にはこの他にも、某テレビ番組で紹介された語源説として、かぼちゃのことを聞かれた人が、どこから来たのか聞かれたと勘違いしてカンボジアと答えたのがかぼちゃの語源になったという説もありますが、この語源説には否定的な意見が多いです。
さらにポルトガル人が現在の大分県である豊後の国にかぼちゃを持ち込んだときに、「シャムの東の国のカンボチャ産」と説明したのが語源とする説もあり、事実天文年間(1532年~1555年)に豊後国大名・大友義鎮(宗麟)に献上されたのが最初の東洋かぼちゃとされていることから、有力な語源説のひとつになっています。
ポルトガル語源説
かぼちゃのもうひとつの語源説もポルトガルに関係します。ポルトガル語ではかぼちゃなどの瓜類をabóbora (アボボラ)といい、このアボボラが語源となり訛ったものが、「ぼうぶら」「ボーボラ」という方言の語源となったとする説です。
かぼちゃの呼び名の語源には、この他にも中国の南京から持ち込まれたことから「南京かぼちゃ」「南瓜(ナンキン)」が語源となった「南京」や「唐茄子」といった呼び方もあります。中国でも「南蛮渡来の瓜」が語源となって「南瓜(ナングァ)」と呼ばれているのです。
日本でのかぼちゃの歴史
かぼちゃが日本に伝えられたのは、1541年にポルトガル船によってカンボジア産のかぼちゃが、大分県豊後の国の大友家に献上されたときとされています。その後もポルトガルやスペインの宣教師によって、日本への寄航の際に持ち込まれ続け、1573年ごろに長崎県に伝わったころから日本でも栽培され始めました。
その後かぼちゃの栽培は徐々に広がり、1620年ごろから東北地方で、1670年ごろからは京都周辺で、東京周辺ではさらに遅く1740年ごろからかぼちゃの栽培が普及していったといいます。さらに中国品種のかぼちゃは16世紀~17世紀の間に、アメリカ品種のかぼちゃは1800年代の半ばに日本に伝わったといわれています。
かぼちゃの種類
かぼちゃの語源はわかりましたが、先の歴史でも軽く触れたように、かぼちゃにはいくつかの種類があります。現在日本で流通しているかぼちゃは、大きく分けて3種類になります。それぞれの種類のかぼちゃについて、その特徴などを紹介していきます。
日本かぼちゃ
かぼちゃの中でもポルトガル人によって、カンボジアから日本に渡来したとされているかぼちゃがこの日本かぼちゃです。南京かぼちゃもこの日本かぼちゃに含まれ、最近は大量に流通はしていませんが、日本料理店を始め業務用として人気があります。
特徴としては水分量が多めのため食感がネットリとしていて、でんぷん質が少ないため甘味もさっぱりしています。日本かぼちゃは水分が多い割には煮崩れしにくく、生のままサラダで食べることもできます。
日本かぼちゃは表皮色はさまざまで、主なものではやや黒みがかった緑色をした、ごつごつの表面をした種類が多いです。品種としては「黒皮かぼちゃ」や「菊座かぼちゃ」、「バターナッツ」や伝統野菜の「鹿ケ谷かぼちゃ」といったものがあります。
西洋かぼちゃ
かぼちゃの中でも現在主流として食べられている種類がこの西洋かぼちゃになります。もともとは19世紀に飼料用としてアメリカから導入された種類のかぼちゃで、明治時代に品種改良が進んだ結果、食用として急激に普及したものです。
特徴としては果肉が粉質のためホクホクとした食感で、加熱調理によってより甘味が引き出される、果肉の柔らかい種類のかぼちゃです。日本かぼちゃよりもカロリーが高いものの、日本かぼちゃの5.5倍のカロテンを含み、ビタミン量も多いのが特徴です。
西洋かぼちゃは濃い緑色の表皮に薄い緑色のストライプのような模様が入るものが多く、果肉の色は濃い赤みがかったオレンジ色が特徴的です。「えびす南瓜」や「坊ちゃんかぼちゃ」といった有名どころから、生食可能な「コリンキー」や「プッチーニ」といった種類があります。
ペポかぼちゃ
出典: https://tenki.jp
ペポかぼちゃは元々は北南米で作られていた種類のかぼちゃで、日本ではあまり栽培されていなかったものの、地域的に見れば作っているものも多くあり、近年でいえば金糸瓜(そうめんかぼちゃ)やズッキーニがこの種類のかぼちゃになります。
「おもちゃかぼちゃ」と呼ばれることもあるように、食用としてよりも観賞用として扱われることもあります。ハロウィン用のオレンジ色のかぼちゃといえばわかりやすいことでしょう。食べるときはペポかぼちゃ単体ではなく、他の食材と一緒に調理されるのが一般的です。
かぼちゃの主な産地
かぼちゃの産地といえばどこが有名なのでしょうか?またなぜ名産となっているのでしょうか?かぼちゃの生産量の多い県とその理由を紹介します。
北海道
北海道は日本のかぼちゃのほぼ半分を生産しています。北海道のかぼちゃ栽培が盛んな理由は、栽培地である内陸部の昼夜の寒暖差が大きいため、糖度の高い美味しいかぼちゃが育ちやすいことにあります。
かぼちゃの町と呼ばれる「和寒町」だけで、かぼちゃを日本一生産しているだけでなく、町をあげて有機栽培に取り組むなど、町全体で生産を後押ししています。そのためよりかぼちゃの生産量が多くなっているのです。
鹿児島県
鹿児島県は全国のかぼちゃの約5%を生産しています。鹿児島県では品種改良に力を入れて需要を増やし、ブランドかぼちゃの「加世田のかぼちゃ」などを生産しています。気候もかぼちゃ栽培に適しているため、全国でも有数の生産地になっているのです。
茨城県
茨城県は全国のかぼちゃの約4.4%を生産しています。茨城県では「江戸崎かぼちゃ」や「みやこかぼちゃ」などのブランドかぼちゃが多数生産されていて、それぞれ地域ごとに品種改良や生産性の向上を図ることで、年々その生産量を伸ばしています。
元々茨城県は水はけが良く農産物の生産には適した土地柄のため、この先も茨城県内各地域の更なるブランドかぼちゃ誕生が心待ちにされているのです。
かぼちゃには歴史がある
かぼちゃは日本に入ってきた経緯から、その名前の語源がポルトガルに関わる点でも、日本の歴史が垣間見える野菜です。そして語源の名残りが色濃い方言で呼ばれる野菜でもあります。日本でも独自に品種改良されたかぼちゃを楽しみつつ、時にはその語源と歴史を思い出してみてください。