2019年03月27日公開
2024年09月08日更新
「けんちん汁」と「豚汁」の違い!由来や作り方・具材を比較
「けんちん汁」と「豚汁」の違いを知っていますか?どちらも人気の汁物で知らない人はいないと思いますが、もともとけんちん汁と豚汁は、豚肉を入れる入れないの違いだけでなく、由来や具材、作り方も違う別の料理なのです。実は、けんちん汁は醤油味で豚汁は味噌味だということも知っている人は少ないのではないでしょうか。今回は、そんなけんちん汁と豚汁の違いについて、調理法やレシピ、同じく具沢山の汁物のさつま汁との違いなども盛り込みながら説明します。
目次
けんちん汁と豚汁の違いはどこ?
けんちん汁と豚汁。普段の味噌汁よりも豪華で子どもから大人までみんな大好きな和食の人気定番メニューですが、けんちん汁と豚汁の違いを知っている人は少ないのではないでしょうか。豚肉が入っていないのがけんちん汁で豚肉が入っているのが豚汁だと認識していませんか?
今回は、けんちん汁と豚汁の違いについて、調理法やレシピ、同じく具沢山の汁物のさつま汁のことなども交えながら詳しく説明します。ぜひ参考にしてみて下さい。
けんちん汁と豚汁の歴史の違い
はじめに、けんちん汁と豚汁の歴史と由来の違いから説明します。けんちん汁は鎌倉時代、豚汁は明治時代以降から食べられていると言われています。今では同じような具材と調理法で親しまれているけんちん汁と豚汁ですが、もともとは発祥も由来も違う別の料理なのです。
けんちん汁は精進料理の一つ
出典: https://eonet.jp
けんちん汁は、精進料理の一つです。禅寺で修行僧が食べていた汁物で、豚肉が入っていないだけでなく、昆布やしいたけなどで出汁をとるのがもともとの調理法です。
けんちん汁の名前の由来は建長寺
けんちん汁の名前の由来は、鎌倉時代に建立された現神奈川県鎌倉市にある建長寺が由来という説が最も有力です。禅寺である建長寺の修行僧が、落としてくずれてしまった豆腐を野菜と一緒に醤油で煮たのが最初で、「けんちょうじ汁」が「けんちん汁」の由来とのことです。
豚汁はいつからある?
一方、豚汁は明治時代以降に出来たと言われています。由来の説はいろいろあり、北海道の屯田兵が食べていた屯田汁が由来という説や、山形県の芋汁が由来という説など、はっきりしていませんが、けんちん汁が精進料理なのに対して豚汁は家庭料理です。
「とんじる」と「ぶたじる」はどっちが正しい?
また、豚汁は「とんじる」と呼ぶ人と「ぶたじる」と呼ぶ人がいますが、どちらが正しい呼び名なのかもはっきりしていません。関東では「とんじる」、関西や東北、九州なのでは「ぶたじる」と呼ばれることが多いようです。
さつま汁は他と何が違うの?
また、同じような汁物に「さつま汁」がありますが違いは何なのでしょう。さつま汁は、薩摩地方発祥の郷土料理で、けんちん汁や豚汁と同じように根菜などの具材がたくさん入っています。根菜、こんにゃく、鶏肉、豚肉などの味噌汁といった感じがさつま汁です。
けんちん汁と豚汁の作り方の違い
次に、けんちん汁と豚汁の作り方の違いを説明します。豚肉を入れる入れない、具材を先に炒める、醤油ベースか味噌ベースかなどなどけんちん汁と豚汁の作り方と調理法には細かい違いがいくつかあります。知らなかったという人も多いと思いますので、ぜひ参考にして作ってみて下さい。
けんちん汁の調理法では豚肉を使わない
けんちん汁と豚汁の作り方の違いの一つ目は、「けんちん汁の調理法では豚肉は使わない」です。これは有名な違いです。豚汁に豚肉が入っているのに対して、けんちん汁は根菜などの野菜類とこんにゃく、豆腐などの具材で作られるのが一般的です。
けんちん汁の味付けは醤油ベース
けんちん汁と豚汁の作り方の違いの二つ目は、「けんちん汁の味付けは醤油ベース」です。この調理法はあまり知られていないようで、いつも味噌で作っているという人も多いようです。正しくは、けんちん汁はかつお出汁は使わずに昆布やしいたけで出汁をとり、醤油で味をつける汁物です。
豚汁は家庭や地域で作り方はさまざま
けんちん汁と豚汁の作り方の違いの三つ目は、「豚汁は家庭や地域で作り方はさまざま」です。豚汁には正しい調理法というのがなく、家庭や地域で入れる具材や作り方が異なります。具材を切っていっぺんに鍋に入れて煮込む場合もあれば、具材を丁寧に下ごしらえして順番も決めて作る人もいるようです。いろいろな味を試してみたいものです。
豚汁の味付けは味噌ベース
けんちん汁と豚汁の作り方の違いの四つ目は、「豚汁の味付けは味噌ベース」です。けんちん汁が醤油ベースなのに対して豚汁は味噌ベースなので、これは明確な違いです。牛丼屋では追加料金を払うと味噌汁が豚汁になったりしますので、豚汁は豚肉が入った豪華版味噌汁という感じでしょう。
けんちん汁と豚汁の具材の違い
続いては、けんちん汁と豚汁の具材の違いを説明します。味は醤油ベースと味噌ベースで違うことを説明しましたが、豚汁とけんちん汁の具材は豚肉を入れる入れない以外は共通しています。この点は薩摩のさつま汁も同じです。それではもう少し詳しく説明します。
けんちん汁の主な具材
はじめに、けんちん汁の主な具材です。ごぼうやにんじん、大根などの根菜を多く使います。芋は里芋を使うのが一般的ですが、里芋の代わりにじゃがいもを使ったりもします。その他、こんにゃくや豆腐を入れます。
今では家庭で作るけんちん汁は顆粒のかつお出汁を使うことも多いと思いますが、けんちん汁は精進料理の一つですので、もともとは昆布やしいたけで出汁をとっていました。
豚汁の主な具材
次に、豚汁の主な具材です。けんちん汁との一番大きな具材の違いで、豚汁には豚肉が入ります。その他の具材はけんちん汁と同様に、根菜類、里芋やじゃがいもなどの芋、こんにゃくや豆腐などです。白菜や油揚げ、きのこ、ねぎも豚汁で人気の具材です。豚汁は家庭料理ですので、出汁はかつおや昆布、しいたけ、いりこ何でも使います。
けんちん汁の基本レシピ
それでは、嬉しい「けんちん汁の基本レシピ」の紹介です。寒い季節はもちろん一年中食べたいけんちん汁の基本レシピは、一度は作ってみたいレシピだと思います。ぜひ参考にして作ってみて下さい。
材料
- 豆腐(木綿) 1/2丁
- 長ネギ(白い部分) 1本
- 里芋 150グラム
- 大根 100グラム
- ごぼう 1/2本
- にんじん 1/3本
- 油揚げ 1枚
- だし汁 700cc
- こしょう 少々
- A.ゴマ油 小さじ1と1/2
- A.サラダ油 小さじ1
- B.薄口しょうゆ 大さじ2
- B.塩 小さじ1/3
ゴマ油で具材を炒めることと、隠し味で使うコショウがポイントのけんちん汁の基本レシピです。材料は3~5人前です。
作り方
- 大根は7~8mm、にんじんと里芋はそれぞれ5~6mmに切ります。大根とにんじんは半月切りまたはいちょう切り、里芋は半月切りまたは輪切りです。
- 長ねぎは1cmに、ごぼうは5~6mmにそれぞれ斜めに切ります。油揚げは短冊切りにします。
- 切った里芋とごぼうは炒める直前までそれぞれ水にさらしておきます。
- 豆腐は炒めた時に水気が出すぎないようにキッチンペーパーで軽く水気をふき取っておきます。
- ゴマ油とサラダ油を鍋に入れて中火で熱します。ねぎと油揚げ以外の具材を入れて炒めます。
- 全体に油がまわったら豆腐と入れて木べらなどで軽くほぐします。
- 混ぜながら1~2分程炒め、分量外の塩で下味を付けます。
- だし汁を入れ、沸騰したら弱火にしてねぎを油揚げを入れ、8~9分煮ます。
- 大根と里芋が柔らかくなったら薄口しょうゆと塩で味をととのえて出来上がりです。
豚汁の基本レシピ
最後に、「豚汁の基本レシピ」です。冷蔵庫にある具材をいろいろ入れれば出汁を使わなくてもしっかりと味がつくのが豚汁の嬉しいところです。けんちん汁と合わせてこちらのレシピもぜひ試してみて下さい。
材料
- 豚バラ薄切り肉 150~200グラム
- 大根 100グラム
- にんじん 1/2本
- ごぼう 1/3本
- 玉ねぎ 1/2玉
- 里芋 4個
- 長ねぎ(白い部分) 1本
- いんげん 7~8本
- 味噌 大さじ5~6
- 唐辛子 好みで
- サラダ油またはゴマ油 小さじ1
- 水(またはだし汁) 1リットル
たくさん作れば翌日も楽しめます。うどんを入れたりカレーにしてもおいしい豚汁レシピです。材料は6~8人前です。
作り方
- 豚バラ肉は3cmくらいに切ります。
- 大根とにんじんは5mm程の半月切りまたはいちょう切りに、ごぼうはささがきにして水にさらします。
- 玉ねぎは薄切りに、長ねぎは1cmくらいの斜め切りに、いんげんは5cmくらいの斜め切りにします。
- 里芋は一口大に切ります。
- 鍋に油を入れて熱し、豚肉といんげん以外の具材を入れて中火で炒めます。
- 全体に油がなじんできたら一度火を止めて、豚肉を広げながら並べます。
- 再び火をつけて中火で数分間炒めます。
- 水またはだし汁を入れ、強火にして沸騰させます。
- 沸騰したらアクをとり、半量の味噌を入れ弱火で7~8分煮込みます。
- 大根と里芋が柔らかくなったらいんげんを入れて2~3分煮込みます。
- 最後に残りの味噌を入れて出来上がりです。
- 好みで七味や一味をかけて食べます。
けんちん汁も豚汁も欠かせない家庭料理
いかがでしたか?家庭料理に欠かせない人気汁物のけんちん汁と豚汁を、違いをふまえて基本レシピで作ってみたくなったのではないでしょうか。基本がわかったら、次は好みの具材や冷蔵庫に余っている具材を使ったアレンジレシピ、鶏肉を入れたさつま汁に挑戦するのも楽しそうです。家族も喜んでくれること間違いなしです。