ヨーグルトは常温でも保存できる?乳酸菌が増える?賞味期限も解説!
冷蔵保存が絶対と思われがちなヨーグルトですが、実は常温保存も可能な場合があります。ヨーグルトの種類によっては、冷凍することで、アイスのようにいつもとは違った食感を楽しむこともできます。ヨーグルトの保存方法を、常温や冷蔵、冷凍とわけてまとめています。またおすすめな解凍方法や、乳酸菌を増えるようにする自家製ヨーグルトや、賞味期限が過ぎたものは食べられるかなどもまとめています。
ヨーグルトは常温保存して大丈夫か?
ヨーグルトは冷蔵保存技術のない時代に開発された食品
ヨーグルトの起源とされているのは、紀元前数千年、人間が牧畜を始めた頃です。牛の乳を木桶や革袋に入れておいたところ、偶然に入り込んだ乳酸菌によって、乳が固まり始めたような状態になったことで、飲むだけでない牛乳の活用方法があったそうです。そこから、遊牧民たちにより、羊、山羊、牛、馬などの乳を生乳よりも保存性が良くなり、動物性たんぱく質、ビタミン、ミネラルを含む食品として利用されるようになりました。
当然ながら、紀元前も遊牧民たちにも、現代のような冷蔵保存技術はありませんでした。それでも、生乳の保存を高められたのは、乳酸菌のおかげです。1850年代にフランス人の発酵微生物学の始祖といわれるパスツールによって、酸っぱくなった乳の中に存在する微生物が発見されて、乳酸菌と名付けられました。それから1900年代になると、ブルガリアで乳酸菌を含むヨーグルトを食べると、健康長寿になることが研究されました。
こうしてヨーグルトの起源から考えても、ヨーグルトは必ずしも、冷蔵という技術がなくても、生乳と乳酸菌があれば、作れることがわかります。常温で保存されたヨーグルトを食べ続けた、ブルガリアの人たちが長寿であるということからも、ヨーグルトは常温保存も可能なことが分かります。
ヨーグルトを常温で放置すると味はどうなる?
購入したヨーグルトを、冷蔵庫に入れ忘れて、常温で一日置いてしまったたものを食べるのは、ためらってしまう人もいるかもしれませんが、食べられます。ただ、常温で放置したものは、通常通り冷蔵庫で保存したものよりも、酸っぱく感じるようになります。酸味を感じて、腐ったのではないかと思うかもしれませんが、この酸味は、腐敗菌ではなく、乳酸菌の働きです。
ヨーグルトが酸っぱく感じるのは、乳酸菌が増えたせいです。ヨーグルトの中には、たくさんの乳酸菌が存在していて、生乳に乳酸菌を加えることで、発酵してヨーグルトになります。昔からヨーグルトを手作りさせていた人たちは、経験から冷蔵や冷凍ではなく、常温か少し温かい状態に置くことで、乳酸菌が増えることを知っていました。
常温よりも高めの35度から45度くらいが、多くの乳酸菌が活発に活動するとされています。買ってきたヨーグルトを、冷蔵庫にしまい忘れて、25度くらいの常温に置いた場合でも、乳酸菌が少し増えて、酸っぱくなるというわけです。腐った食品で酸っぱい臭いがするものもありますが、ヨーグルトを常温保存した場合では、酸性のヨーグルトの中では腐敗菌は増えにくいので、ほとんどの場合食べても問題がありません。
ヨーグルトの常温保存方法
腐敗菌が増えないなら、ヨーグルトを冷蔵庫でなくて、どんな場所でも常温に置いておけばよいかというと、そうではありません。一晩くらいであれば、涼しい場所に置いてあれば問題ないですが、数日になるようなら10度をこえないくらいの場所が目安になります。冬場のコンロや電化製品から離れたキッチン、野菜室といったくらいであれば問題なく保存できます。ただし、未開封の状態のヨーグルトに限ります。
10度以下であれば、ヨーグルトに含まれる菌の活動も低下しているので、味の変化もほとんどありません。10度を超えると、活動を始める菌もあり、温かくなるにつれて、乳酸菌の活動も活発になりすぎて、酸味を増して酸っぱくなり、乳酸菌そのものが増えすぎると死滅してしまうこともありますので、常温でも涼しい場所がおすすめです。
開封したヨーグルトは必ず冷蔵庫で保存
スーパーやコンビニなどで販売されているヨーグルトは、アルミ蓋で密閉されています。こうしておくことで、腐敗菌の進入を防止し、酸化も防いでいます。一度開封したものは、空気中の雑菌が入り込み、そのヨーグルトを常温においておくことで、腐敗菌が増えることもあり得ます。温度によっては、腐敗が早く進みカビが発生したり、色が変ったりすることもあります。
10度以下であれば常温での保存も可能ですが、販売されているヨーグルトは「要冷蔵」と表記されているように、冷蔵庫という低温下で保存した場合の、味を保つ期間が設定されています。温度変化が激しい場所、20度以上になる場所では保存しないことと、開封したものは、必ず冷蔵庫で保存するようにしてください。
ヨーグルトの乳酸菌は常温保存で増える!
乳酸菌てどんな菌?
ヨーグルトの起源でも、乳酸菌の働きが増えることで、生乳がヨーグルトになることを説明しましたが、乳酸菌は、炭水化物に含まれる糖などを消費して、乳酸をつくる細菌の総称です。自然界には多種多様な乳酸菌がありますが、人間の体の中に存在している乳酸菌は、ビフィズス菌、アシドフィルス菌といったものがあります。腸内を酸性にして、腸内にあるものが腐敗しないようにしたり、腸の働きを助けて便秘改善の効果があります。
さらに、乳酸菌が腸内にたっぷりとあることで、免疫機能が上がったり、中性脂肪や血中コレステロールの低下といった働きもしていることが分かり、これによって、健康長寿につながるともいわれます。健康にとって、よい働きをする乳酸菌は善玉菌で、良い働きをプロバイオティクスと呼んで、注目されています。プロバイオティクスが正常でなく、乳酸菌が少なくなると、大腸菌やブドウ球菌などが増えて、体調を崩してしまいます。
常温放置で市販のヨーグルトが増える!
乳酸菌は種類が豊富で、活発に増える温度、働きやすい温度がそれぞれにあります。市販されている「カスピ海ヨーグルト」に含まれている乳酸菌は、20度から30度くらいの常温で、発酵をする特徴があって、このヨーグルトと牛乳を合わせるだけで、ヨーグルトの量を増やすことができます。常温くらいか、ほんのりと温かいくらいにした牛乳とカスピ海ヨーグルトをあわせて常温に1~2日置くと牛乳もヨーグルトになります。
市販のブルガリアヨーグルトの場合は、常温では乳酸菌の働きがあまりよくありません。温めた牛乳とヨーグルトをあわせて、体温より高いくらいの温度、40~45度くらいに保温しながら半日くらい置くと、ヨーグルトの量が増えます。長時間、保温状態に置き過ぎると、酸味が強くなるので気をつけてください。
ヨーグルトの賞味期限について
ヨーグルトを常温保存した際の賞味期限
ヨーグルトを10度から15度くらいの涼しい場所での常温保存した場合は、未開封であれば、表示されている賞味期限までは、問題なく食べることができます。常温保存をして、賞味期限内であっても開封したときに、腐敗臭がしたり、色が変色したりしている場合は、食べないようにしてください。
約4時間前に作った自家製ヨーグルト今回は固まるのがはやい 朝には食べられる固さになっていそう😃 pic.twitter.com/G2qM7utFAS
— HANA__KO (@HANAKO73548165) November 22, 2019
市販のヨーグルトや乳酸菌と牛乳をあわせて、自家製のヨーグルトを作る場合は、乳酸菌の種類にもよりますが、常温保存可能であるものであっても2日くらいで食べきるか、ヨーグルトができたら冷蔵庫で保存するのがおすすめです。自家製ヨーグルトの場合は、清潔なスプーンや容器を使っているつもりでも、空気中に含まれれるさまざまな菌が入り込むので、常温保存が長くなると腐敗してしまうこともあるので、気をつけてください。
ヨーグルトは賞味期限切れでも食べて良い?
開封したヨーグルトを冷蔵庫で保存しておいたけれど、賞味期限が昨日までだった、未開封だけれど賞味期限を3日過ぎている、というときには、食べてよいものか迷います。賞味期限は、美味しく食べられる期間なので、それを少し過ぎたからといって、食品として食べられなくなるものではありません。冷蔵保存するヨーグルトを、未開封のまま冷蔵庫で保存していれば、賞味期限から5~7日であれば食べることができます。
オガマ収穫祭に出店していたホイタラから買ったスプーンで期限切れのヨーグルト食べよう。 pic.twitter.com/AA96KyqLrY
— はなればなれ珈琲 (@cafe_apart) November 19, 2019
開封したものでも、蓋をして冷蔵庫で保存していれば、賞味期限を2~3日過ぎたものでも食べることができます。ただし、開封したもので、蓋をしてない場合や、常温に置いたものは、濃い黄色から茶色になっていたり、酸っぱい臭いがきつくなっていたら、食べるのは止めてください。適切な保存状態にあったもので、白いヨーグルトが少し黄色になっている、透明な液体が増えている、酸味を感じるという程度であれば食べられます。
ヨーグルトは腐るとどうなる?
ヨーグルトも賞味期限を過ぎて、しばらくすると腐ります。腐ってしまったヨーグルトは、カビが生える、色が黄色から茶色になる、ツーンと酸っぱい異臭がする、といった変化をします。この状態になってしまったヨーグルトは、常温でも、冷蔵でも保存してあるものは、未開封、開封に限らず、食べるのを止めてください。
発酵も、腐敗も菌による食品の変化で、現象としては同じものです。人間にとって、良い働きをしたり、食品を美味しくしてくれるものを発酵と呼んで、人に害を及ぼすものを腐敗と呼んでいるだけの違いです。発酵食品であるヨーグルトは、賞味期限内が美味しい味を楽しんで食べられ、未開封であれば1週間くらい賞味期限を過ぎても食べることはできますが、数週間も経ったものは腐敗している可能性があります。
ヨーグルトは冷凍保存できる?
ヨーグルトは冷凍保存に向かない
市販されている無糖のヨーグルトは、冷凍保存には向いていません。冷凍しても良いのですが、解凍した時には、ヨーグルトが分離してしまい、水っぽくなったり、ヨーグルトの特徴のなめらかな食感がなくなり、舌触りも悪くなることもあります。
ただどうしても食べきれない時や、セールで少し多めに購入した時には、冷凍することも可能ではあります。乳酸菌は0度以下になることで、働きをとめて冬眠状態になりますが、ヨーグルトを冷凍しても栄養状態が変わるものではありません。
ヨーグルトをなるべく美味しく冷凍する方法
無糖のヨーグルトは、開封してからしばらく時間が経つと、表面に薄い黄色っぽい水分がでてくることがあります。この水分をホエイといって乳酸菌が正常に働いている証拠でもあります。ただ冷凍後、解凍するときに、このホエイが大量になって食感が悪くなることがあるので、美味しく冷凍するためには、コツがあります。
昨日ツイートした自作フローズンヨーグルトバー、やり方再アップ。
— にゃいった@大阪 (@nyaitter) June 19, 2015
小分けヨーグルトに棒(俺は割り箸折ったやつ)刺す→凍る→容器と中身の境目に別の箸ぶっ刺して「クイッ」とやる→容器割れて簡単に中身取り出せる。 pic.twitter.com/7lYZEAZCcE
無糖のヨーグルトに、砂糖やジャム、はちみつなどの糖分を加えて混ぜることで、解凍したときにもホエイが増えることを防げます。無糖ヨーグルトであれば、冷凍可能な保存タッパーにいれて、糖分を加えて良く混ぜて蓋をして、冷凍するのがおすすめです。市販の加糖されているヨーグルトや、フルーツなどを合わせてあり小分けパックのものであれば、そのまま冷凍しても大丈夫です。
ヨーグルトを冷凍したときの賞味期限
ヨーグルトを冷凍した場合、無糖のものでも加糖されているものでも賞味期限は、1カ月くらいになります。それ以上冷凍庫で保存しても、食べられる場合もありますが、食感も悪くあまりおいしいものではなくなってしまいます。冷凍したものを、一度解凍させて、再度冷凍することはやめてください。ただ、冷凍しても賞味期限が延びることはないので、冷凍しても賞味期限内で食べることをすすめているメーカーもあります。
自家製のヨーグルトのタネ菌として保存する場合も、1カ月を目安にしてください。ただ冷凍したものは、乳酸菌が冬眠状態にあるので、牛乳とあわせてヨーグルトが増えるようになるまでには、適切に解凍して、適温で増やすよりも、時間がかかります。
ヨーグルトは冷凍しても栄養が壊れない
ヨーグルトを冷凍しても、乳酸菌は冬眠状態になるだけで、栄養が壊れるわけではありません。解凍して、冬眠状態から乳酸菌が覚めれば、再び発酵の働きを開始するものがほとんどです。だからこそ、自家製ヨーグルトのタネとしてヨーグルトを冷凍しておいても、再び牛乳と合わせることで、ヨーグルトを増やすこともできます。冷凍すると、食感は変化しますが、栄養が壊れるわけれはありません。
冷凍したヨーグルトの解凍方法
冷凍させたヨーグルトを食べる時には、そのままアイスとして食べても問題ありません。ヨーグルトのように、なめらかな食感に近づけたいときには、冷蔵庫に移して自然解凍させるか、電子レンジで40秒ほど加熱して解凍することも可能です。糖分を加えたものは、半解凍くらいがシャーベット状で美味しく食べられるものもあります。
自家製ヨーグルトを作るために、冷凍保存したヨーグルトの場合は、冷蔵庫か室温において、自然解凍するのがおすすめです。このときに、水分上のホエイが増えていたら、クリーム状のヨーグルトとよく混ぜ合わせるようにして使ってください。電子レンジで解凍させたものは、高温には弱い乳酸菌が死滅してしまうことがあるので、牛乳と混ぜても、ヨーグルトが増えるという役割をしなくなる可能性があります。
ヨーグルトは適切な環境での常温保存なら食べられる!
ヨーグルトは乳酸菌がたくさん含まれて、健康にも良い食品です。冷蔵保存がおすすめですが、高温にならない涼しい場所での常温保存であれば、捨てる必要もなく、食べることができます。カスピ海ヨーグルトなどのタネを使って、適温で保存することで、手軽に自家製のヨーグルトを増えるようにしていくこともできます。保存方法を間違えたからとすぐに捨てずに、ヨーグルトを上手に活用してください。