2019年10月20日公開
2024年09月30日更新
牛乳の常温保存はいつまで大丈夫?常温で放置しても大丈夫な牛乳は?
牛乳は常温で、どれくらい放置しても大丈夫なのかを解説します。牛乳の種類ごとの違いや開封や未開封による保存性の違いから、どれくらいの時間までなら、放置可能なのかを詳しく説明します。また、常温で保存可能な牛乳についても紹介します。
牛乳は常温保存ができる?
毎日飲むため、牛乳を冷蔵庫に常備している家庭は、多いでしょう。牛乳といえば、「賞味期限が短い」や「要冷蔵」というイメージの人も多いかもしれません。買って帰って、すぐに冷蔵庫に入れようと思っていたのに、うっかり常温で放置してしまった経験はありませんか?長時間、常温で放置した牛乳は、捨てた方が良いのかと、迷うところです。
そもそも牛乳は、常温で保存可能なのでしょうか?答えは種類によって違います。「牛乳は、どれも同じでは?」と思った方も多いかもしれません。実は加熱殺菌の方法によって種類があります。さらに、未開封なのか開封後なのかによっても、保存可能な時間は変わってきます。
どれくらい常温で放置できるのかを、牛乳の種類や開封の有無に分けて詳しく解説します。また、常温保存可能な牛乳についても紹介します。うっかり冷蔵庫に入れ忘れた時の判断基準として、知っておきましょう。
牛乳は常温でどれくらい放置することが可能?
低温殺菌牛乳の場合
紅茶好きの間では有名なタカナシの低温殺菌牛乳。高温殺菌牛乳と違って紅茶の香りをしっかり残したままミルクティーが飲めるので紅茶好きはこちらを使う人が多い🥛三種類の茶葉飲み比べ! pic.twitter.com/B9b8L85Cqz
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低温殺菌牛乳とは、63~65℃で30分間、加熱殺菌されたものをいいます。日本で流通している牛乳のほとんどは、超高温殺菌されているので、低温殺菌牛乳を飲んだことがない人も多いかもしれません。
低温殺菌のメリットは、熱による生乳のタンパク質変性が少ないことです。生乳本来の風味を楽しめるので、あえて低温殺菌されたものを選んで飲んでいるという人もいます。デメリットは、一部の細菌が死滅せずに残るので、消費期限が短くなることです。
温度管理ができていなければ、細菌は増殖してしまい、腐敗が進みます。数時間であっても、常温で放置するのは避けた方が良いといえます。低温殺菌牛乳を購入した場合は、必ず10℃以下で冷蔵保存しましょう。
高温殺菌牛乳の場合
高温殺菌牛乳には、120~150℃で1~3秒間、加熱殺菌する超高温殺菌と、72℃以上で15秒以上、加熱殺菌する高温殺菌があります。日本で流通しているのは、超高温殺菌された牛乳がほとんどです。
低温殺菌に比べ、生乳中の細菌のほとんどが死滅することで、賞味期限が長くなります。したがって、超高温殺菌の場合は、多少常温で放置しても、すぐに飲めなくなる、ということはなさそうです。
未開封と開封後での違いは?
牛乳の消費期限や賞味期限とは、未開封の場合に、味や安全性の品質が保たれる期間のことです。開封後は、空気中の雑菌が入りやすく、腐敗が進みます。冷蔵保存していても、2日を目安に飲み切ることが望ましいとされています。
したがって、開封後に常温で放置してしまった場合は、飲まない方が無難といえます。また、コップなどで、口を付けてから常温で放置してしまった場合は、口からの雑菌により、さらに腐敗しやすくなっています。迷わず捨てるのが良いでしょう。
牛乳を常温で放置するとどうなる?
牛乳は、どれくらいの時間なら、常温で放置しても大丈夫なのでしょうか?常温の規定は様々ありますが、日本薬局方では、常温は15~25℃、室温は1~30℃と規定されています。このことから、30℃を超えるような真夏日や暑い車内、直射日光の当たる場所などは、常温とはいえません。
あくまでも30℃を超えない環境で放置した場合で、2時間・12時間・24時間に分けて、詳しく解説していきます。また、環境によっては、その時間内であっても、飲むのが危険なほど細菌が増殖している可能性もあります。
時間だけで判断せず、状態の変化も確かめてみましょう。分離して粒ができていたり、においがいつもと違う場合は、腐敗が進んでいる可能性があります。また、苦みや酸味があったり、加熱時に分離したりモロモロに固まる、などの変化がある場合も注意が必要です。
2時間放置した場合
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未開封のものを、常温で2時間放置してしまった場合を考えてみましょう。結論からいうと、2時間程度の放置であれば問題ないと考えられます。しかし、どれくらいまで大丈夫かを判断する際は、放置していた環境も考える必要があります。環境によって、差が出ますので、状態も観察する必要があります。
12時間放置した場合
12時間放置していた場合はどうでしょうか?こちらも、未開封で30℃を超えない環境、ということを前提に考えます。「何時間までは大丈夫」と明確に答えるのは、それを示した論文等がないため、難しいのですが、12時間が1つの基準といえます。
なぜなら、12時間を超えて常温で放置していると、急激に「酸度」が増したとの報告があるからです。「長くとも12時間まで」と思っておくと、うっかり冷蔵庫に入れ忘れた時に捨てるか捨てないか迷わずに済みます。
24時間放置した場合
24時間常温で放置していた場合を考えてみましょう。前述したとおり、目安は12時間になります。したがって、24時間放置してしまった場合は、かなり危険だといえます。飲むのは控えた方が良いでしょう。
常温保存可能な牛乳とは?
ここまでは、常温でどれくらい保存可能かを述べてきましたが、どの牛乳も10℃以下で要冷蔵の商品です。日本では要冷蔵であることが、当たり前と思っている人が多いかもしれません。しかし実は、常温保存が可能な牛乳もあります。それが「ロングライフ(LL)牛乳」です。
ロングライフ牛乳
ロングライフ牛乳は、常温保存が可能なうえに賞味期限が長いという特徴があります。一般的な牛乳の賞味期限が1~2週間のところ、ロングライフは2~6ヶ月と驚くほど長いです。この保存性の高さから、災害時などの非常用として常備している施設もあります。また、常温保存ができるので、キャンプなどでも利用しやすいです。
なぜ常温保存が可能?
どうして冷蔵保存しなくていいの? ロングライフ牛乳製造の秘密とは https://t.co/ME21nrTEXw pic.twitter.com/geSMm96hFt
— レタスクラブ (@lettuce__club) April 9, 2019
常温で保存可能な理由は、3つあります。まず1つ目は、135~150℃という高温で、瞬間的(1~3秒)に滅菌しているためです。2つ目は、容器が違うためです。紙とポリエチレンの間にアルミ箔を入れ、光と空気を遮断しています。3つ目は、無菌状態でパックに充填しているためです。
このように、未開封容器の中では無菌状態のため、高い保存性が得られるのです。ただし、ロングライフ牛乳とはいえ、開封後は雑菌が入って普通の牛乳と同様になります。10℃以下で冷蔵保存の上、できるだけ早く飲みきる必要があります。
ここでの常温とは、夏期において外気温を超えない温度のことです。直射日光が当たって、高温になるような場所での保存は、避けましょう。
海外の常温保存可能な牛乳
日本では、まだあまり馴染みのないロングライフ牛乳ですが、海外では、ごく普通に売られている国が多くあります。欧米では、日本よりも牛乳の消費量が多く、大容量で賞味期限が長いものの方が、需要があるようです。海外では、どのような牛乳が流通しているのかを紹介します。
フランス
フランスでは、流通している牛乳の90%以上がロングライフです。スーパーには、多くの種類のロングライフ牛乳が、常温で棚に積み上げられています。冷蔵で販売されているものは、ごくわずかです。ロングライフ牛乳の殺菌方法である「超高温瞬間加熱殺菌法」はフランスで考案されました。
このことから、フランスでのロングライフ牛乳の歴史は古く、ロングライフ牛乳が主流である理由の1つになっています。ちなみに、フランスでは生クリームや、ヤギやヒツジのミルクも常温で販売されています。フランスでは、常温の牛乳・乳製品を買い置きしている家庭が多く、需要の高さがうかがえます。
アメリカ
アメリカでもロングライフ牛乳が多く流通していますが、日本との違いは、何といってもその種類の多さと容量の大きさです。アメリカで販売されているものは、1ガロン(約4リットル)・ハーフガロン(約2リットル)・1クォート(約1リットル)のペットボトル入りが主流です。
日本では、1ガロンもあると、飲みきる前に腐敗してしまいそうです。しかし、アメリカでの牛乳の消費量は、日本とは桁違いですので、すぐに無くなるのでしょう。また、種類も様々で、豊富な種類が流通しています。
牛乳の常温保存まとめ
牛乳を常温で、どれくらい放置しても大丈夫かは、種類や開封の有無によって違います。超高温殺菌のもので未開封であれば、12時間が判断基準になります。しかし、あくまでも目安です。常温で放置してしまった時間と合わせて、自分の五感で状態を確かめることが大切です。
また、牛乳を買い置きしたい時や、賞味期限を切らしてしまうことが多い人は、ロングライフ牛乳の利用も検討してみてください。