山椒の実の効能は？下ごしらえ・アク抜き方法や効果的な使い方も！

日本料理の二大香辛料のひとつとされている山椒は、みかん科の落葉低木で、実のなる雌木と花だけ咲く雄木があります。その雌木は秋になると小さな実を沢山つけることから、子孫繁栄につながるとされてきました。そして、山椒は古くは「ハジカミ（椒）」と呼ばれてましたが、中国から伝えられた生姜も「ハジカミ（薑）」と呼ばれていました。そこで、山の香り高い実ということで後に、山椒と呼ばれるようになりました。

山椒は香辛料として有名です。熟す前の青い実を使う青山椒は、つくだ煮や漬物に使われ、熟して割れた実をすりつぶした粉山椒はウナギのかば焼きなどに用いられます。しかし、薬効としても山椒は使われることが多く、葉・果皮・樹皮どこをとっても効果や効能があります。漢方や薬膳にも多く使われ、「大建中湯（だいけんちゅうとう）」や「当帰湯（とうきとう）」は山椒が配合されている漢方薬です。

山椒は古来から肉や魚の防腐・匂い消しとしても使われていました。今でも関西の方ではご飯のお供としてよく食されていて、山椒の実のつくだ煮などは、夏のお弁当に加えると防腐作用の効果効能が抜群です。また食中毒を防ぐため、川魚に山椒を添えたりします。山椒の実は使い方によっては人命をも助けるのです。

防腐作用と同じく、殺菌消毒効果もあるのが山椒です。京都の名産品でもある「ちりめん山椒」は水を一切使わず作る保存食なので、殺菌消毒効果は欠かせません。また、ぬか床を作る時に山椒をちりばめておけば、防腐・殺菌・消毒効果とすがすがしい辛味を体感出来ます。山椒の実をぬか床に入れる量の基本はないですが、鷹の爪を入れる量と同じと考えればよいと思います。

山椒に含まれる成分で「サンショール」というのがありますが。この成分は、血管を広げて血流を良くする効果があります。発汗作用や新陳代謝も良くなるので、1日0.2gを摂取すると、足先から指の先までポカポカになるというデータがあります。血流が良くなるということは、毛細血管も元気になり、肌にハリやツヤも出てくるため、美容関係からも注目視されています。

ピリリと辛い山椒は食欲増進にも効果があります。この鼻に抜けるような香りは料理に爽やかな辛味を与え、風味を良くしてくれます。夏は食欲不振や夏バテになりやすいので、山椒を取り入れた料理を取り入れてはいかがでしょうか？夏によく食べる鰻のかば焼きは、鰻の栄養素が夏バテに効果的ですが、山椒はその鰻の食欲増進につなげるという効果的な役割を担っています。

ここまで山椒の実は、冷え性や食欲増進に効果的と説明してきましたが、この二つを解消することによって便秘も自然と改善されます。。便秘の原因ののひとつとして、大腸に便が数日溜まってしまう「慢性便秘」があります。これは寒くなると多くなり、腸が冷えで委縮して動きが鈍くなることが原因です。そこで、山椒の実を摂ることにより、血流が良くなり食欲も増加することで、腸が活発に動き便秘の改善になるのです。

時には人々の命も危険にさせる、生活習慣病の予防にも山椒の実は効果的です。生活習慣病とは、偏った食事・運動不足・飲酒・喫煙・ストレスをためる生活を続けると、高脂血症・高血圧・糖尿病など動脈硬化を引き起こす病気で、本人が気づかないうちに進行する怖い病気です。山椒の実は脂質の酸化を防ぐ防腐作用、血流を良くする効能があるため、生活習慣病を知らずに予防しているのです。

山椒の実の成分の中にゲラニオールという成分があります。これはアロマオイルなどにもよく使われる成分で、バニラに似た香りを持ちます。効能としては抗メランコリック（憂鬱）作用や興奮作用が含まれており、抗うつ効果としても有名な成分です。アロマオイルが苦手という人でも、山椒の実を毎日少しずつ摂ることで毎日の生活に刺激を与えてくれると思います。

山椒の実は5月～6月頃しか出回らない旬な香辛料なので、長期保存するためにも下ごしらえをしなくてはいけません。アク抜きする方法は色々ありますが、一番大切なのは、購入したらすぐアク抜きをすることです。山椒の実は日にちがたつと色がだんだん黒くなって、香りや爽やかな辛味が抜けてしまいます。それを防ぐためにも4日～5日以内にはアク抜きをして、山椒の実本来の香りや辛味を楽しみましょう。

アク抜きをするにはまずお鍋にたっぷりのお湯を沸かし、塩を少々入れ山椒の実を茹でます。だいたい6分間くらいが目安ですが、指で山椒の実をつぶせる程の柔らかさになったら湯切りをしてください。そのあと、水にさらします。水にさらす時間は人それぞれです。刺激的な辛さを求める人は30分～2時間ほどで水気を切ります。通常は4時間～半日が良いと思います。

アク抜きが終わったら、山椒の実を枝から外します。茹でて水気を切った後の方が枝が簡単に取れます。枝が実に少し残っていても問題はありません。枝を取るのに少し時間はかかると思いますが、山椒の実は使い方次第で色々応用できると思います。長期保存をするなら、保存袋に空気を抜いて小分けにし、冷凍庫に入れておくと、1年くらいは保存可能だと思います。

山椒の実の食べ方は沢山あります。旬の時期が短い香辛料ですが、下ごしらえをして保存しておけば、旬が過ぎても味わうことができます。まず、先ほど下ごしらえの方法を説明した青い実は「実山椒」とも呼ばれ、代表的な食べ方はちりめん山椒です。炊き込みご飯に入れたり、えのき茸やシーチキンと炒めてもピリリとした辛味がアクセントになって食欲をそそります。

また、山椒の実のもう一つの食べ方として「粉山椒」があります。これは旬を過ぎて秋になると、皮が割れて硬くなります。それをすりつぶして薬味にする使い方です。麻婆豆腐や焼き鳥、パスタなどにも用いられ、さっぱりとした味わいにします。山椒の実は、魚や肉の脂質を和らげる効果もあるので、使い方を工夫すればもっと色々なレシピがあると思います。

山椒の実を色々な料理にアレンジする食べ方として塩漬けにする方法があります。下ごしらえをした山椒の実を乾燥させ、山椒の実の30%の塩を混ぜ合わせます。水気を取り、瓶に入れ塩を少々まぶして冷蔵保存をすると出来上がりです。自分の好きな野菜と混ぜて冷蔵保存すると山椒の浅漬けになり、おかずが足りない時の一品やお酒の肴にも相性が合うと思います。

山椒の実をつくだ煮にすると、食べ方次第では子供でも食べられるかもしれません。下ごしらえをした山椒の実をひたひたになるくらいの水と一緒に鍋に入れ煮込みます。そこに入れる調味料は山椒1に対して醤油2、酒2、みりん1の割合で入れてください。30分ほど煮て水気がなくなったら出来上がりです。魚の煮付けやおにぎりの具材としても重宝します。

ここまで、山椒の実の効果や効能、使い方や食べ方をご紹介しましたが、気を付けなければいけないのは食べ過ぎです。「山椒は小粒でもぴりりと辛い」ということわざもあるくらい、刺激的な食べ物です。使い方や食べ方を間違えると胃腸を刺激する作用が強いので、下痢をしたり最悪の場合、意識障害になるかもしれません。時には毒になってしまう山椒の実ですが、自分に合った適正量を間違わなければ、確実に良い効果があります。

もし、山椒の実を食べて、舌がしびれるような感覚になったら牛乳やヨーグルトを摂ってください。乳製品は粘膜をつくる性質があるので、一時的でも舌のしびれるような感覚は収まると思います。山椒の実は料理のアクセントとして少量使用するのが望ましいでしょう。旬の時期が短いからと言って多量に摂取するのは絶対に控えてください。

山椒は部位によって旬が違います。「花山椒」は4月～5月、「実山椒」は6月、「粉山椒」は秋です。どの山椒も旬の時期は短いですが、きちんとした下ごしらえによって長く保存ができる香辛料です。毎日の日課として少量摂取すれば、冷え性が取れるかもしれません。また、体調が少し優れなかったり、気持ちが少し落ち込んでいる時は山椒の実を料理に一振りして、いつもとは違った味わいを楽しんでください！