2018年10月04日公開
2024年08月08日更新
糖質制限ダイエットのやり方は?医師が推奨する正しい方法に注意点も紹介!
テレビや雑誌など、最近メディアで話題になっている「糖質制限ダイエット」。この糖質制限ダイエットで痩せたと絶賛している芸能人も多く、ダイエットに効果が期待できる方法です。しかし、糖質制限ダイエットは正しいやり方で実践しなければ、痩せるどころか太りやすくなったり、健康を損ねてしまう可能性もあるのです。糖質制限ダイエットのメリットやデメリットとともに、正しいやり方を紹介します。
目次
糖質制限ダイエットの正しいやり方を覚えよう
最近メディアでよく話題に取り上げられる「糖質制限ダイエット」。この方法を実践して、実際に痩せたという芸能人もいます。糖質制限ダイエットはダイエットの効果が得やすい一方で、間違ったやり方をすると太りやすい体質になってしまったり、健康を損なう可能性もあるのです。そこで、糖質制限ダイエットの仕組みやメリット・デメリットを理解して、正しいやり方を覚えましょう。
糖質制限ダイエットとは?
糖質制限は糖質を控えること
糖質制限ダイエットの「糖質制限」とは言葉のとおり、糖質を控えることです。私たちは普段の食事から、糖質をはじめとする様々な栄養を摂取しています。糖質も、私たちが活動する上で大切な栄養のひとつです。ではなぜ、その糖質を制限することでダイエットにつながるのでしょうか?そのメカニズムを詳しく解説していきます。
そもそも糖質とは?
そもそも「糖質」とはなにかというと、炭水化物のひとつです。私たちが生きていく上で必要な三大栄養素といえば、炭水化物、タンパク質、脂質です。炭水化物は主にエネルギーのもととなるものです。実はこの炭水化物にも種類があり、糖質と食物繊維に分けられます。食物繊維は腸の調子を良くし便通を改善してくれますが、体内で消化されないためエネルギー源にはなりません。つまり、糖質が私たちのエネルギー源となっているのです。
糖質制限ダイエットの仕組み
なぜ糖質制限ダイエットでは、糖質を制限することで痩せられるのでしょうか?ここから、糖質制限ダイエットのメカニズムについて解説していきます。
私たちは普段の食事から糖質をはじめとする様々な栄養を摂取しています。糖質を摂取すると、糖質は消化管内で消化・吸収されます。吸収された糖質が血中に送られることで、血糖値が上昇するのです。私たちの身体は恒常性(=ホメオスタシス)を持っており、常に身体を一定の状態に保とうとする働きがあります。この血糖値が上昇を身体が感知すると、血糖値を一定の状態まで下げるために分泌されるのがインスリンです。
インスリンは、血中の糖を内蔵にため込むことで血糖値を下げます。許容量の糖質であれば、普段の生活や活動の中で内臓にためこまれた糖質は消費されます。しかしこの量が多すぎると糖質を消費しきれず、余った糖が脂肪へと変わります。この脂肪が体内に蓄積されることで、結果的に太ってしまうというわけです。
糖質を制限するということは、血糖値の上昇を抑えることができ、インスリンの分泌量も少なくなります。そのため内臓にため込まれる糖も少なくなり、体脂肪として体内に蓄積されることを抑制できるのです。さらにエネルギー源となる糖質自体の摂取量を制限しているため、活動のためのエネルギーが不足します。この足りない分のエネルギーを補うために身体にある脂肪を消費するため、痩せられるというメカニズムです。
糖質制限ダイエットの正しいやり方とは?
糖質制限ダイエットのメカニズムがわかったところで、糖質制限ダイエットの正しいやり方をみていきましょう。糖質制限ダイエットには、いくつかやり方があります。自分の目標や生活習慣を考慮して、無理なくできるやり方を見つけましょう。
三食ごはんを抜くやり方
1つ目は、1日3回食べるごはんのうち、三食ともごはんを抜く方法です。糖質の制限目標は、1食あたり10~20g以内、1日あたり30~60g以内です。ここでいう「ごはん」とは、炭水化物のことをさします。そのため、お米だけでなくパンや麺も含まれます。じゃがいもやさつまいもといった芋類、かぼちゃやレンコンなどの炭水化物の多い野菜にも注意する必要があります。
三食とも炭水化物を抜く方法は、制限が厳しい分効果ははやく表れますが、継続することが難しい方法といえます。糖尿病の患者さん向けの方法であるため、ダイエットや減量を目的とする場合は最初だけ三食ごはんを抜く方法で行い、目標体重に近づいて来たら徐々に制限も緩めていくと良いでしょう。
二食ごはんを抜くやり方
2つ目は、1日3回食べるごはんのうち、朝・昼・夜のいずれか二食で炭水化物を抜く方法です。1日あたりの糖質の制限目標は、70~100g以内です。このやり方だと、1日のうち1食は普段通り炭水化物を食べることができます。とはいえ糖質の制限目標がありますから、食べ過ぎはもちろんNGです。しかし三食とも炭水化物を抜く方法に比べると、ストレスが少なく継続しやすい方法といえるでしょう。
一食ごはんを抜くやり方
3つ目は、1日3回食べるごはんのうち、朝・昼・夜のいずれか一食で炭水化物を抜く方法です。1日あたりの糖質の制限目標は、110~140g以内です。糖質制限ダイエットのやり方の中では、最も制限が緩く継続しやすい方法です。効果が発揮されるのも緩やかにはなりますが、炭水化物が大好きな方や生活習慣的に炭水化物をたくさん抜くのが難しい方などにおすすめです。
どのやり方でも、三食バランスよく食べることが大切
糖質制限ダイエットは正しいやり方で実践することが重要です。ダイエットとなると炭水化物とともに脂質も制限しがちです。しかし糖質制限ダイエットはあくまでも糖質を制限する方法なので、脂質まで制限しないように注意してください。
脂質まで制限してしまうとエネルギーが不足しすぎて、体が飢餓状態になってしまう可能性があります。飢餓状態になると、身体は栄養をより吸収し蓄えようとします。つまり、太りやすい体質になってしまうのです。また脂質が不足すると肌のうるおいがなくなったり、便秘になることもあります。糖質を制限する分、タンパク質と脂質をしっかり摂るようにしましょう。
一食の中で炭水化物を完全に抜くことが難しい場合は、炭水化物の量を半分ずつ減らしても良いでしょう。また炭水化物を食べるときは、食事の一番最後に摂ることも、血糖値の上昇を緩やかにしてくれるためおすすめです。
糖質制限ダイエットのポイントは?
ここまで、糖質制限ダイエットの正しいやり方をご紹介しました。次に、実際に糖質制限ダイエットを実践するときに注意すべきポイントについてみていきましょう。
調味料やドレッシングに注意
糖質を制限する上で見落としがちなのが、調味料やドレッシングです。そもそも調味料やドレッシングに糖質が入っているという認識が薄く、料理にいれたりかけたりして使うものであるため、実際に食べるときに意識されにくい食品です。しかし、調味料やドレッシングにも意外と多く糖質が含まれている場合があり、注意が必要です。
たとえば調味料100gあたりに含まれる糖質の量は、中濃ソースには29.8g、ケチャップには25.6g、味噌は多いものだと32.3gも糖質が含まれているのです。ドレッシングも種類によって差がありますが、和風ドレッシングで15.9g含まれているものがあります。
ドレッシングは「ノンオイル」の商品もありますが、脂質が少ない分、糖質の割合が高くなっていることがほとんどです。糖質制限ダイエットを中に調味料やドレッシングを使う際には、「ノンオイル」や「低カロリー」という言葉に惑わされず、注意して糖質の量を確認しましょう。
糖質制限ダイエットに良い食べ物
制限ばかりでは続かないのがダイエット。何かを制限したら、その分バランスをとって食事を摂らなければ健康を損ねてしまいかねません。ここで、糖質制限中に食べても良い食べ物をご紹介します。
まず糖質制限中にしっかり食べていただきたいのは、タンパク質を多く含む食品です。お肉や魚介類、卵、大豆製品である豆腐や納豆、チーズをメニューの中心に取り入れましょう。ここでは脂質の量を気にする必要はありません。またビタミンやミネラルを摂るため、糖質の少ない野菜や海藻、きのこ類も適量摂ると良いでしょう。
糖質を制限している分、エネルギーが不足しがちです。肌のうるおいや便通を維持するためにも、良質な脂質の摂取が大切です。魚に含まれるDHAやEPA、オリーブオイルなどを意識的に摂ることが望ましいです。また間食には、ナッツやチーズを摂ると良いでしょう。
食事を自分で手作りできれば理想ですが、忙しい毎日ではなかなかそうもいきません。そこで、コンビニでも買える商品も上手に活用しましょう。最近は、糖質制限をしている方のための商品も多くなっています。
まず一番におすすめするのは「サラダチキン」です。セブンイレブンを筆頭に、最近ではどのコンビニでも販売されるようになっています。味のバリエーションも増えており、コンビニによって味の種類や特徴に違いもあるため、いろいろなサラダチキンを食べ比べるものおもしろいです。
「どうしても炭水化物が食べたい!」という場合には、糖質が制限されたおにぎりやパンも販売されています。最も有名だと思われるのは、ローソンで販売している「ブランパン」です。穀物の外皮であるブランを使用したパンで、ノーマルのブランパンだと1個あたりの糖質は2.0gまで抑えられています。
ブランパンは種類も豊富で、ロールパンのようなものや食パン、チーズ蒸しケーキやソーセージデニッシュといった菓子パン・総菜パン系のものまで販売されています。コンビニの系列や店舗によって品揃えに差はありますが、糖質制限中に炭水化物を食べたくなったらぜひ探してみてください。
糖質制限ダイエットに控えたい食べ物
糖質制限ダイエットに良い食べ物の次は、糖質制限ダイエットに控えたい食べ物をご紹介します。調味料やドレッシングのように、普段は糖質がはいっていることを意識していない食べ物も多いと思います。普段意識していなくても意外と糖質が多い食べ物もありますので、ぜひ注意して食べ物を選んでみてください。
まず注意していただきたい食べ物は、牛乳です。タンパク質を含みカルシウムも摂取できるので良さそうですが、牛乳には乳糖が含まれています。牛乳100gあたりの糖質は4.7gですので、牛乳1杯飲むと約10gの糖質を摂取することになってしまいます。
カルシウム源としてはチーズを摂取し、牛乳ではなく豆乳を飲むようにしましょう。ただし、調製豆乳は牛乳と同じくらいの糖質を含んでいるので、注意が必要です。豆乳を選ぶときは、無調整豆乳を選ぶようにしましょう。
次に注意していただきたい食べ物は、果物です。果物はビタミンやミネラルを豊富に含みヘルシーな食材ですが、果糖という糖質を多く含んでいます。美容のために果物を食べるようにしている方もいらっしゃるかもしれませんが、糖質制限をする上では控えてほしい食材です。生の果物だけでなく、ドライフルーツやジュースも同様に控えてください。
野菜類にも注意が必要です。じゃがいもやさつまいもなどのいも類はもちろんですが、かぼちゃ、とうもろこし、にんじんやレンコンなどの根菜類も糖質が多いため、摂取する量に注意する必要があります。野菜を食べるのであれば、ホウレンソウや小松菜、レタス、白菜、水菜といった葉物野菜を中心に摂ると良いでしょう。
またダイエット中に気になることのひとつは、「お酒は飲んでもいいか?」ということではないでしょうか?結論からいうと、お酒はOKです。ただし糖質を制限しなければならないため、ビールや日本酒、カクテルなどの甘いお酒は控えましょう。糖質制限中にも飲んでよいお酒は、焼酎、ウイスキー、ブランデーといった蒸留酒になります。
とはいえお酒の飲み過ぎはダイエットだけでなく万病のもとですから、飲み過ぎには注意してください。またお酒のおつまみも食べ過ぎないようにし、ナッツやチーズといったタンパク質と脂質が中心の食べ物を選びましょう。
最後に糖質制限ダイエットで注意していただきたい食べ物は、精製された糖質を含む食品です。糖質制限中とはいえ、ごはんやパン、麺類などの炭水化物を食べる機会もあると思います。そんなときに白米や白いパン、白砂糖を使った食品はおすすめできません。
精製された糖質は吸収されやすく、血糖値が上がりやすくなります。そのため炭水化物を摂取するときは、白米より玄米、小麦粉より全粒粉、白い砂糖より黒砂糖、というように、なるべく精製されていない糖質を選びましょう。
また麺類好きな方には、麺に代わる低糖質なものとして「こんにゃく麺」がおすすめです。うどんや中華麺風に加工されたヌードル状のこんにゃくで、スーパーなどで手軽に購入できます。一見ヘルシーで低糖質だと思われがちな春雨は、実は主成分が炭水化物であるため、糖質制限ダイエット中には控えたほうが良いでしょう。
糖質制限ダイエットのデメリットとは?
糖質制限ダイエットの正しいやり方や実践するときのポイント、注意点を解説してきました。糖質制限ダイエットは正しいやり方で実践すれば、効果が確実に出やすい方法です。しかしその一方で、デメリットもあります。無理なく糖質制限ダイエットを実践するために、デメリットもしっかり理解しておきましょう。
甘党にはきついダイエット
糖質制限ダイエットは読んで字のごとく、「糖質を制限する」ダイエット方法です。お菓子やアイス、パンケーキ、フルーツなど、糖質がたっぷり入った甘いものが大好きな方にとっては、厳しいダイエット方法といえます。ストレスが溜まって、反動で食べ過ぎてしまっては意味がありません。糖質の制限目標量を意識しつつ適度に甘いものを摂取する機会を設けるなど、ストイックに制限しすぎないようにすると良いでしょう。
低糖質の食べ物は高い?
続いては金銭面でのデメリットです。低糖質の食べ物は、糖質の高い食べ物に比べて割高な傾向があります。例えばコンビニで購入できるサラダチキンは、1パックで213~275円(税込み)です。サラダチキンは低糖質で糖質制限ダイエットにはおすすめの商品ですが、1パックでコンビニおにぎりを2個は購入できる値段です。
コンビニ商品以外でも、お肉やお魚などのタンパク質製品はお米やパン、麺類と比較すると、ボリュームに対する価格は少々高くなります。様々な食品をバランスよく選び、豆腐や納豆などの比較的安価なタンパク質製品を利用して、食費がかかりすぎないように工夫しましょう。
依存している人はイライラ状態に
普段の食事が糖質に偏っている方は、糖質を制限することでイライラしやすくなる場合があります。それまで糖質に依存していた身体が、急に糖質が不足することでイライラしてしまうのです。普段の食事が糖質に偏っている方は、いきなり厳しい糖質制限をするのではなく、徐々に糖質を制限して身体を慣らしていくようにしましょう。
糖質制限ダイエットの注意点
糖質を摂りすぎるとどうなる?
糖質制限ダイエットでは糖質を制限していきますが、この糖質を摂りすぎるとどうなるのでしょうか?まず起こり得るのは、体重の増加です。糖質に限ったことではありませんが、エネルギーを摂取しすぎると体重の増加につながります。糖質は過剰になった分が体脂肪として蓄積してしまうため、体重・見た目ともに太ってしまうのです。
また糖質を日常的に摂りすぎていると、糖質依存の状態に陥ってしまう可能性があります。糖質依存の状態になると、常に甘いものが食べたくなります。糖質は食べれば食べるほどより摂取したくなるという傾向があるため、依存状態になると抜け出すのが難しくなります。
糖質をたくさん摂取していると通常より血糖値が高くなり、その分インスリン分泌も過剰になります。すると上昇していた血糖値が急激に下がります。この血糖値の急激な変化が体に様々な悪影響を及ぼすのです。精神的な影響としては、気分の浮き沈みが激しくなったりイライラする原因になります。
身体的な影響としては、倦怠感や疲れやすさなどエネルギー不足を感じやすくなります。少量の甘いものは脳のエネルギーになり、やる気が出たり集中力を増す効果があるといわれていますが、多量の糖質は血糖値の急激な変化をもたらすため逆効果になってしまうのです。
さらに、インスリンが多量に分泌される状態が続くと、インスリンに対する感度が悪くなります。すると、インスリンが分泌されているにもかかわらず高血糖状態が続くようになり、糖尿病へとつながってしまう可能性があるのです。
摂りすぎた糖質は消費・貯蔵しきれず、中性脂肪に変換されます。中性脂肪が増えると、肝臓に蓄積されて脂肪肝になったり、血液中の中性脂肪濃度が高まり動脈硬化の原因ともなります。
糖質制限ダイエット中の不調に注意
以上のように、糖質の摂り過ぎは私たちの身体にとって良くない影響を与えてしまいです。しかし逆に、糖質を過度に制限したときにも体の不調をきたす場合があります。糖質を制限しすぎると、身体は低血糖状態になります。軽度の低血糖では眠気や倦怠感、さらに進むと頭痛や吐き気、最悪の場合は痙攣や意識障害を起こし、昏睡状態に陥る場合もあります。
通常の糖質制限で重度の低血糖状態に陥ることは考えにくいですが、眠気や倦怠感といった軽度の症状が出ることは十分に考えられます。糖質制限中にこのような症状が出た場合には無理をせず、飴など少量の糖質を摂取しましょう。また糖質の制限を少し緩めて、食事で摂る糖質の量を調製するようにしましょう。
過度の糖質制限は危険
以上のように、過度の糖質制限には危険が伴うことを解説しました。不要な危険を防ぐために、糖質制限は過度にやりすぎず緩やかに制限しましょう。また糖質制限のために食事自体の量を減らし過ぎず、身体を作るためのタンパク質とエネルギー源となる脂質をしっかりと摂るよう意識してみてください。
糖質制限ダイエットはやり方が大事
今話題の糖質制限ダイエットについて解説してきました。糖質を制限することでダイエットにつながりますが、糖質も私たちの身体には必要な栄養のひとつです。糖質を「厳禁」にするのではなく、あくまで「制限」する方法ですので、ご自身の体調に合わせて無理なく実践してください。糖質制限ダイエットを正しく実践して、健康で理想的な身体を目指しましょう!