2018年06月16日公開
2024年07月19日更新
ガラムマサラの使い方と効能を調査!ないときはカレー粉で代用できる?
インド発祥のカレーライスが日常的なメニューになるうちに、本格的なインドカレーやインド料理を楽しむ人も増えてきました。そうしたインド料理でよく耳にするのが、ガラムマサラというスパイスです。現在ではスーパーなどで気軽に手に入るようになり、家庭でもカレーにガラムマサラを入れるという人も出てきました。このガラムマサラはどんなスパイスなのでしょうか?なければカレー粉で代用できるものでしょうか?今回は、ガラムマサラの基本スパイスと効能、使い方について解説していきます。
目次
ガラムマサラとは?
ガラムマサラは、インドの代表的な香辛料です。
ガラムマサラは伝統的に家庭で作られるので、
ガラムマサラの基本スパイス
ガラムマサラの基本のスパイスは、シナモン、ナツメグ、
世界最古のスパイス:シナモン
シナモン(またはニッキ)は、どちらかというとお菓子(
がラムマサラの基本スパイスには様々な効能がありますが、シナモンには血行促進や抗酸化作用、血糖値を下げるなどの効能があるといいます。
ロートレックが愛したナツメグ
ナツメグは、
ナツメグといえば、19世紀末のフランスの画家ロートレックが、お酒の香りづけに愛用したことでもしられます。彼はナツメグの実とナツメグミルを持ち歩き、ポルト酒を飲むときに挽きたてのナツメグを入れたといいます。
ナツメグには発汗作用や食力増進の効能があるとされている一方で、近年の研究では毒性も報告されています。香辛料として摂取する程度では問題ありませんが、そのためか、最近の市販のガラムマサラやレシピでは、ナツメグを入れないものもよく見られます。
口臭消しにも使われたクローブ
クローブは、臭い消しに昔から使われているスパイスです。
料理では、肉料理で肉の臭い消しに、
清涼感のある香り:カルダモン
カルダモンはカルダモンコーヒーやチャイなど、
清涼感のある香りに、ピリッとした辛みとほろ苦さがあります。
カレーのいい匂い:クミン
クミンは、いわゆる「カレーのいい匂い」
炒めるとより一層香りがたつといいます。ニンジンにも合うので野菜炒めに振りかけて、いつもと違う味わいを楽しむ人もいます。
世界中の食卓にある香辛料:胡椒
今さら説明も必要のないもっともよく知られ、
胡椒の原産地はインドで、日本には平安時代頃には中国から伝わったそうです。唐辛子が伝来するまでは、うどんの薬味としても使われたといいます。
パクチーの種:コリアンダーシード
コリアンダーはパクチーの呼び名でも知られる香菜で、
カレー粉には欠かせないスパイスです。またカレーの仕上げに足すと、とろみがつけるのに役立つといいます。ガラムマサラでも、コリアンダーシードをメインにしたレシピもあります。
ガラムマサラをカレー粉で代用できる?
カレーを作る時に使われるカレー粉には、がラムマサラに含まれるのと同様のスパイスが含まれています。クミン、コリアンダーシード、カルダモンはカレー粉になくてはならないスパイスです。では、ガラムマサラを使った料理をするときに、ガラムマサラがなければカレー粉で代用できるでしょうか?ガラムマサラとカレー粉はどこが違うのでしょうか?
最大の違いはターメリック(ウコン)
なので、カレー粉をガラムマサラの代用として使う時には、カレー粉にはガラムマサラでは使用していないターメリックやトウガラシなどのスパイスが含まれていることを考慮しながら、他のスパイスの量を調整する使い方になります。レシピはガラムマサラを使う事を想定しているので、それ以外のターメリックやトウガラシなどのスパイスをレシピに追加しているかもしれません。
いずれにしても、カレー粉をガラムマサラの代用として使うと少し違った料理になるのは否めません。カレーの仕上げにガラムマサラを足すのを、カレー粉を追加して代用しても効果は得られないのと同じです。
カレー粉をガラムマサラで代用できる?
逆に、ガラムマサラをカレー粉の代用にできるかということをトライした人もいるようです。ガラムマサラは前述したように決まったレシピはなく、スパイスの組み合わせは市販のものでも千差万別です。そのガラムマサラで代用してカレーを作ってみても「カレー」にはならなかったといいます。
カレー粉なしのカレーのレシピを見ると、カレーの主要スパイスであるクミン、コリアンダーシード、ターメリック、カルダモン、唐辛子を組み合わせて、ガラムマサラは補助スパイスという使い方で仕上げに入れているようです。
ガラムマサラカレーというガラムマサラをメインの香辛料をつかったレシピもありますが、見てみるとガラムマサラは、クミンやコリアンダーシードを中心に自分で挽いて加えています。ガラムマサラをカレー粉の代用にするには、自分でカレー粉に似たブレンドのガラムマサラを作って利用する場合に限られるようです。また、あまり煮込まないカレーに向くようです。
ガラムマサラの効能
ガラムマサラの基本スパイスには、さまざまな効能があります。それが混ざり合わさることによる相乗効果が期待できます。
ガラムマサラの効能①血行促進
ガラムマサラの基本スパイスのシナモンには、血の巡りを良くする毛細血管拡張の効能があります。また、もう一つの基本スパイスのナツメグには体を温める効能があり、冷え性改善に役立ちます。
ガラムマサラの効能②アンチエイジング
ガラムマサラの基本スパイスのクローブをはじめとして多くのスパイスには抗酸化作用の効能があります。活性酸素は老化の原因とされていますので、抗酸化作用の効能はアンチエイジングに役立ちます。
ガラムマサラの効能③減塩効果
スパイスの効いた料理では、塩分があまりなくても味わいが出ます。ガラムマサラは減塩と意識せずに減塩料理を美味しく食べるという使い方ができます。それによって、塩分の摂りすぎによる高血圧や動脈硬化などの様々な病気の予防になります。
ガラムマサラの使い方:カレー
ガラムマサラと言えば、カレーの仕上げに香りづけに使うのが定番です。入れるタイミングは、煮込んで火を止める寸前に入れるというレシピをあれば、お皿に盛りつけてから振りかけるというレシピもあります。
魚のカレーでは、臭みけしに最初から加える使い方のレシピもあるようです。また、牛乳や生クリームで作る白いカレー「コルマカレー」のレシピでは、具材を炒める時にガラムマサラを加えています。
いずれの場合でも、ガラムマサラを加えることでカレーの味わいが劇的に変わると大評判です。また、がラムマサラは市販のものより手作りするとより好みの香りづけができるし、挽きたてを料理に加えられるので効果大といいます。
ガラムマサラの使い方:タンドリーチキン
カレーに次ぐインドの代表的な料理は、タンドリーチキンでしょう。本場インドの様々なスパイスの組み合わせをカレー粉で代用したレシピが多いですが、ガラムマサラにターメリックを加えたレシピもあります。好みの部位のチキンをレモン汁で揉み、ガラムマサラ、ターメリック、ヨーグルト、ニンニクと生姜のすりおろしなどで作ったマリネ液に1,2日漬けこみ、グリルで焼きます。
カレー粉を使ったレシピのタンドリーチキンは黄色っぽい色をしています。しかし、インド料理レストランで出てくるタンドリーチキンは赤っぽい色です。カレー粉がもともとないインドの家庭では、クミン、コリアンダーシード、ターメリック、カルダモンに加えて、パプリカやチリパウダーを足すようです。これらのスパイスに少し付け加える形で、ガラムマサラをチキンを漬けるマリネ液に足す使い方のレシピもあります。
ガラムマサラの使い方:人参の炒めもの
ガラムマサラは、カレー粉のように炒め物に一振りするとスパイシーないつもと違う炒め物になります。野菜炒めをはじめ、ゴーヤチャンプルー、きんぴらごぼうなどにも振りかけると、いつもと違う味わいになります。その時はいつもより他の調味料の使い方を少なめにすると味が濃すぎなくなり、減塩効果にもなります。
また、がラムマサラは人参と相性がよいといいます。人参をハムやツナと炒める時の味付けに使えます。芳醇なスパイスと人参の甘みがマッチして病みつきになるそうです。
ガラムマサラの使い方:かぼちゃのスープ
オニオンスープやトマトスープにガラムマサラを足して、スパイシーに仕上げるレシピがあります。野菜の甘みとガラムマサラの相性がよいようです。ガラムマサラが入ったかぼちゃとピーナッツバターのスープは、油を全く使っていませんが、濃厚で味わい深く代謝アップも期待できる一品です。
ガラムマサラかぼちゃスープの作り方は、玉ねぎをみじん切りにして酒で蒸し煮し、かぼちゃと水を入れて煮込みます。かぼちゃが柔らかくなったらお玉でつぶして、ピーナッツバター(無糖)、ガラムマサラ、塩少々いれて仕上げます。器に盛ったら、トッピングとしてかぼちゃの皮や生姜などを乗せます。
ガラムマサラの使い方:炊き込みご飯ビリヤニ
インドには、世界の3大炊き込みご飯と言われるビリヤニがあります(あと2つはパエリアと松茸ごはん)。代表的なチキン・ビリヤニの作り方は、まずタンドリーチキンと同様のマリネ液を作りチキンを漬けこみます。このマリネ液にガラムマサラを入れます。漬けこんだチキンを、あめ色になるまでいためた玉ねぎの中にマリネ液ごとにいれて炒めます。
お米は、タイ米などのインディカ米を3分塩水で茹でてからお湯を切ります。そしてそのお米と炒めた鶏肉+マリネ液を4層になるように鍋に入れてオーブンで焼き上げるといいます。かみしめるごとに芳醇な香りが口から鼻に抜けるような味わいだといいます。
家庭で簡単にできるように炊飯器で代用して炊き上げるレシピもあります。またチキンではなく野菜をふんだんに使った野菜ビリヤニもあります。
ガラムマサラの使い方:キャベツのサラダ
ガラムマサラはサラダにも使えます。ポテトサラダやかぼちゃサラダの仕上げに一振りすると、いつもと違うエスニックな味わいがします。ガラムマサラは甘みのあるイモ類ととても相性がいいです。
インド料理店では、ガラムマサラを使ったキャベツのサラダを出すところがあります。インド風コールスローです。作り方は、キャベツと人参を千切りにします。ピーマンはみじん切り、玉ねぎは薄切りにして水にさらします。そして、フライパンでオリーブオイルとクミンシートを熱します。温まったらガラムマサラ、生姜のみじん切り、塩コショウ、酢を入れます。ボールに刻んだ野菜と温めたガラムマサラのドレッシングを混ぜ合わせます。
最後に刻んだクルミを混ぜ合わせて出来上がりです。まさにガラムマサラ、「温かいものを混ぜ合わせた」サラダになります。
まだまだあるガラムマサラを使ったオススメ料理
ガラムマサラを使った料理はまだまだあります。単にいつもの野菜炒め、焼き鳥、唐揚げ、焼きそばに振りかけて違う味わいにすることもできます。特におすすめはフライドポテトです。いつものフライドポテトがエスニックに早変わりです。野菜グリルに振りかけても美味しくできます。
他にも「厚揚げと野菜のカレー風味煮」、「ししとうと長芋のゆず炒め」といった和風の料理に使う例もあります。パンの生地に入れてスパイシーなパンを作るレシピもあります。幅広い使い方ができる香辛料です。
市販ガラムマサラのおすすめ
ガラムマサラは手作りが一番ですが、忙しい現代人には時間の余裕がなかなかないので、市販品で代用する事も多いでしょう。ガラムマサラは決まったレシピがないので、市販のガラムマサラもメーカーによって入っているスパイスはまちまちです。
カレー研究家によると、市販のガラムマサラを購入するときにまずチェックするべきは辛み成分だそうで、それが唐辛子がはいっているか胡椒がはいっているかで風味はかなり変わってきます。辛さが欲しい場合は唐辛子がはいっているものを、辛みがあまりほしくない場合は胡椒だけが入っているもの、あるいは唐辛子も胡椒も入っていないものを選びます。
カレー粉で有名なエスビー食品は、胡椒も唐辛子も入ったスパイシーなガラムマサラを販売しています。また、多種類のスパイスを販売するマスコットは、ガラムマサラもマイルド、レギュラー、レッドと3種類販売しています。レッドが辛みが強いものになります。本格インドのガラムマサラを購入したい人は、MDH社が定番です。ガラムマサラをよく使う人には安価でコスパもよくおすすめです。
様々なカレーのルウやカレーレトルトを販売しているハウス食品は、胡椒だけ入ったガラムマサラを販売しています。子供のために辛くないカレーをいつも作り、自分が食べる時はガラムマサラを振りかけて辛みを足しているある主婦からの、いつもハウスのガラムマサラを掛けて美味しくたべていたが、ヱスビー食品にしたら辛みが強すぎで合わなかったという口コミもありました。
カレー研究家が一番おすすめの市販のガラムマサラは、胡椒も唐辛子も入っていないユウキ食品のガラムマサラだそうです。辛みがない分と使用範囲が広がるメリットがありますし、辛みがないほうが香りをより楽しめるというメリットもあります。なお、ユウキ食品は胡椒と唐辛子を加えた緑のパッケージのガラムマサラも販売しています。
辛さのメーカーや商品によって差はありますが、肝心の香りについてはそれほど各社の間で差はないそうです。つまりどの商品を買っても外れはないということだそうです。
ガラムマサラの作り方
ガラムマサラは、まさしくインドの「おふくろの味」ですから、手作りが基本です。さまざまなスパイスを自分で選んで配合する楽しさがあります。
がラムマサラの作り方はシンプルで、スパイスを選び、炒って、ミキサーかスパイスミルで粉状にします。そうはいっても最初はどんなスパイスを選んでどのくらい配合すればいいか分からないという人は、ガラムマサラのレシピはネットにいくつか出ていますし、作り方のビデオをありますのでそれを参考にするといいでしょう。
いくつかのレシピを見ると、クミン、コリアンダーシード、カルダモンのいずれかをメインのスパイスにして、それに基本スパイス(シナモン、ナツメグ、クローブ)と辛み成分の胡椒か唐辛子のどちらかか両方を配合しているようです。辛みだけ自分の好みで調整するといいです。基本スパイスのナツメグを入れないレシピもよく見かけます。
ガラムマサラを作るのに必要なのは、スパイスを炒るためのフライパンと粉末にするためのミルです。中には炒らないで生のまま粉末にするレシピもあります(コリアンダーシードは炒る必要があります)。また、ミルを使わずすり鉢や棒を使って挽くと昔ながらのガラムマサラの手作り気分になれます。
もっと手間をかけずに、すでに粉末になっている各スパイスをスプーンで混ぜ合わせて作るというやり方もあります。香りはホールのスパイスから挽いた方がずっとたちますが、スパイスの配合をいろいろ試すには便利です。
作り終わったガラムマサラは、すぐに料理に使うと香りを十分楽しめます。使いきれず余った場合はガラスの瓶などの密閉して保存すれば1か月くらいは持ちます。
ガラムマサラを使って料理の幅を広げよう!
いかがだったでしょうか?インドの「おふくろの味」であるガラムマサラは、カレー以外にもさまざまな料理に使えるスパイスであることを見てきました。スパイス一つ一つに多くの効能があるので、そのスパイスを混ぜ合わせたガラムマサラは、ミックススパイスだからこその効能の相乗効果があります。
これまでガラムマサラをカレー粉で代用していた方は、これを機にガラムマサラを使ってみてはいかがでしょう。また、カレーの仕上げにだけ使っていた方は、他の料理でも試してみてはいかがでしょうか?料理の幅が広がる事間違いありません。