落花生の収穫時期の目安や見分け方は?乾燥の仕方と保存方法も紹介
ビールのおつまみにピッタリな落花生。バターに絡めたピーナッツは子どもたちのおやつの人気ものです。そんな落花生を栽培してみませんか?栽培した人たちの共通の悩みは、いつ収穫すればいいのか、収穫時期の判断に困ったという声をよく聞かれます。また乾燥の仕方や保存方法も意外と知られていません。そこで栽培方法を簡単におさらいしながら、収穫時期を判断する簡単な目安や見分け方をはじめ、美味しくいただくために、どのように乾燥すれないいのか、また乾燥した後の保存方法について紹介します。
目次
あなたのまいた落花生は何?
落花生の収穫時期は、落花生の種類によってだいぶ違います。落花生は世界的に見れば、およそ1600種類にものぼります。日本で消費される落花生の9割は中国やインドなど海外で生産され日本に輸入されたものです。日本で生産されている1割の落花生の約75パーセントが千葉県で栽培されています。
その千葉県で生産されている落花生は主に4種類です。栽培用に販売されている落花生も、ほとんどがこの4種類といっていいでしょう。あなたのまいた落花生も、この4つの中の一つではないでしょうか。4つの落花生の収穫時期はまちまちです。この収穫時期の違う4つの品種の栽培を見ていきながら、収穫時期の目安をどうやって予測していくか、また収穫時期に一番ふさわしい時期をどうやって判断していくかを解説します。
落花生の種類
国内生産の主な落花生の種類
千葉県で栽培されている落花生の種類とその特徴を紹介します。国内産の落花生の食べ方は大きく、焙煎して食べる方法と、茹でて食べる2つの方法があります。焙煎して食べる品種の代表として「千葉半立(ちばはんだち)」と「中生豊(なかてゆたか)」があります。ゆでて食べる品種として主に「郷の香(さとのか)」と「おおまさり」が栽培されています。
落花生:千葉半立(ちばはんだち)
「千葉半立」は千葉県を代表する落花生です。甘みがあり濃厚な味で、しかも香りが立って美味しさ抜群の落花生です。ただ農家でも栽培が難しく収穫量も少ない最高品種です。
少し小粒で殻に黒い斑点がつきやすく、全体としての見栄えが良くありません。それでいて価格が高いので、落花生通でない人には敬遠されがちですが、落花生好きな人には好んで選ばれる品種です。収穫時期は10~11月ごろですが、具体的にいつ収穫するかの見分け方は難しい品種です。
落花生:中生豊(なかてゆたか)
「中生豊」は「千葉半立」の栽培の難しさと、小粒であり見栄えが今一つであることなどを解決するために、千葉県落花生試験場が品種改良したものです。したがって、やや大粒で見栄えもよく、殻も白くてきれいで、さっぱりした味わいの落花生となっています。何よりも栽培しやすさすいのが特徴です。収穫時期は千葉半立より1か月近く早目の9~10月頃です。
落花生:郷の香(さとのか)
「郷の香」は千葉県落花生試験場で「中生豊」から品種改良して生まれた新しい品種です。栽培しやすいのと収穫量が多い品種で、殻も白くて見栄えがよく、皮も渋みが少ないので、ゆで落花生として一番たくさん栽培されています。収穫は焙煎の中生豊よりもさらに早く8月末頃です。
落花生:おおまさり
大きさは比較的に大きい「中生豊」よりもさらに2倍近い大きさで圧倒されるジャンボさです。大きいから大味というのでない「大きなサヤで食味が勝る」ことから「おおまさり」と命名されただけあって、これまでよりも甘く、まろやかな美味しさで柔らかく、ゆで落花生にぴったりです。収穫時期は「郷の香」より半月ほど遅く、収穫後は2~3日以内にゆでないと品質が落ちてしまいます。
落花生の栽培
落花生栽培:土づくり
落花生は連作ができません。種をまく2~3週間前に菜園1平方メートル当たり2キログラムの完熟たい肥を入れ、苦土石灰を200グラムを散布して耕しておきます。さらに種をまく、あるいは苗を定植する1~2週間前に基肥として窒素3、リン酸10、カリ10の割合で1平方メートル当たり100グラムを入れて土になじませておきます。
落花生栽培:種まき
落花生の種まきは、5月中旬から6月上旬にします。土に直径5センチくらい深さ2~3センチくらいの穴をあけます。株間は種の種類によりますが、千葉半立と中生豊は30センチほど、郷の香は25センチほど、おおまさりは50センチとゆとりをもってまきます。サヤを割って中の子種を赤い皮を付けたまま2~3粒ずつまき、土をかけ水をあげます。
落花生の栽培:収穫時期までの中間管理
種をまいて5~7日後には発芽します。本葉が3~4枚になったら間引きして1株にします。花が咲き始めたら全体に1平方メートル当たり1握り(30グラム)の追肥をして除草を兼ねて土寄せをします。ご存知の通り落花生は花が咲き終わり、そこから子房柄が出て地中に潜りサヤをつけます。子房柄が潜りやすいように土を寄せてあげます。たくさんの子房柄が潜り終わった頃に二度目の土寄せをします。
落花生の開花期と収穫時期の目安
落花生の収穫時期の目安は、それぞれの種類の落花生の開花期から予測することができます。落花生の開花期とは、自分が栽培して育ってきた落花生の半分近くの株に一輪でも花が咲きはじめた時点をいいます。開花期は地域の気候や温度によって違いますから、必ず作業日誌あるいはカレンダーに開花期を記録しておくことが大切です。
落花生の試し堀による収穫期の適期判断
それぞれの落花生の開花期から収穫時期の目安が分かります。でも実際に育てている栽培条件は同じではありません。あくまで目安でしかありません。最終的に収穫時期の一番適切な見分け方をするためには、もう一つ”試し堀”が必要です。収穫時期の目安の1週間前に1株を試しに掘り出して、その株の8割のサヤがしっかり網目になっていたら収穫適期という見分け方ができます。以下、それぞれ4つについて見ていきます。
千葉半立の収穫時期の目安と収穫適期
千葉半立の収穫時期の目安は開花期から95日
「千葉半立」の収穫時期の目安は開花期のおよそ95日後です。農林水産省の実際の栽培データーをもとに収穫時期の目安について解説します。種をまいたのが5月26日でした。開花期が7月6日でしたので千葉半立の目安の95日を加えた10月9日が収穫時期の目安となります。もし、あなたの栽培した落花生の開花期が7月10日だとしたら、これに95日をプラスした10月13日が収穫時期の目安になります。
千葉半立の収穫時期の適期
収穫時期の目安が開花期(7月6日)プラス95日で10月9日と予測できるので、1週間前に試し堀をします。その結果、サヤの80パーセントが網目がしっかりしていたら収穫と判断します。このような見分け方で開花期がはっきりすれば収穫時期の目安がつき、試し堀をして適期の判断ができるのです。株の下葉の枯れてくる時期と一致するという見分け方もありますが、農家でもそうした見分け方は難しいので注意してください。
中生豊の収穫時期の目安と収穫適期
中生豊の収穫時期の目安は開花期から80日
中生豊は収穫時期がズレると食味が著しく損なって不味くなってしまうので特に収穫時期は要注意です。葉の色だけの見分け方だと、適期の判断を失敗する可能性があります。中生豊の目安は開花期後80日です。実際の栽培データーによると種をまいたのが5月28日で開花期が7月1日でした。中生豊の目安は80日後ですから7月1日プラス80日で9月19日が収穫時期の目安と予測できます。
中生豊の収穫時期の適期
収穫時期の目安が予測できたので、この日の1週間前に試し堀をします。試し堀した1株のサヤの網目が一部だけだったら収穫適期ではありません。予測した収穫時期の目安の日まで待って収穫することになります。せっかく手塩をかけて栽培した落花生です、時期を逸することなく一番美味しい時の見分け方を間違えずに収穫したいものです。
郷の香の収穫時期の目安と収穫適期
郷の香の収穫時期の目安は開花期から70日
ゆで落花生の郷の」の収穫時期の目安を予測をしてみましょう。郷の香の目安は開花期後70日です。実際の栽培データーによると、種をまいたのが5月22日で、開花期が6月27日でした。この開花期に70日を足した9月5日が収穫時期の目安となります。繰り返しますが、もしあなたが郷の香を栽培したとして、その開花期が6月25日だとしたら、これに目安の70日を加えた9月3日が収穫時期の目安となります。
郷の香の収穫時期の適期
予測した収穫時期の目安の日取りが近づいてきたら1週間前に試し堀をします。試し堀をした株のサヤを見た結果、もし網目が一部しかついていないようなら、1週間経って、もう一度試し堀をしてみてください。今度はほとんどのサヤに、しっかりと網目があったなら収穫することにします。収穫時期の目安だけでなく、試し堀と組み合わせ、必要なら二度目の試し堀をすることで収穫時期の適期の正確な見分け方をすることができます。
おおまさりの収穫時期の目安と収穫適期
おおまさりの収穫時期の目安は開花期から85日
おおまさりの場合です。おおまさりの収穫時期の目安は開花期から85日です。実際の栽培記録を参照すると、種をまいたのが5月22日で、開花期が6月29日でした。この日から85日後が収穫時期の目安と予測されます。このように収穫時期の目安は、開花期にそれぞれの品種の目安の日数をプラスすることで予測することができるのです。そのためには、ご自分の栽培している落花生の開花期を把握しておく必要があります。
おおまさりの収穫時期の適期
予測した収穫時期の目安の日が近づいてきました。その1週間前に先ず試し堀をします。収穫時期かどうかの適期の見分け方はサヤの網目です。サヤにしっかり網目があれば収穫適期と判断します。併せて落花生の茎や葉の状況も見てみましょう。自分の菜園で収穫適期の目安と株の葉の具合の相関関係を見比べることで、来年以降の収穫適期の判断材料がより正確になるかもしれません。
落花生の収穫後の最初の食味
ゆで用の落花生だけでなく焙煎用の落花生でも、収穫して新鮮なうちに、ゆでて食べられるのは自家栽培した人だけが持つ特権です。焙煎用の落花生が市場に出る頃は乾燥していて、それをゆでて食することはできません。自分で栽培し収穫したてだからこそ、ゆでて食べることができるのです。その香ばしく濃厚で、柔らかい食感の美味しさは最高です。ぜひ、焙煎用の落花生も乾燥させる前にゆでて一度味わってみてください。
焙煎用の落花生を収穫したら
焙煎用の落花生の地干し乾燥
堀りとった落花生は、そのままだとカビが生えやすいので、その場でサヤを上にして根や茎、葉で支えるようにして1週間ほど置いておく地干しをします。地干しをすることで少し乾燥して、軽くなり運びやすくなった株を円筒状に積み重ね、さらに40~50日にわたって乾燥させます。これを落花生の栽培農家では野積みといいます。じっくり乾燥させることで渋みが抜け甘みが増し、味わい深い落花生になります。
これは、落花生栽培の農家が、広大な畑で大量に収穫し乾燥させる際に考え出した方法です。稲の天日干しと同じように、水分が多く重たい収穫物をその場で作業することで労力の省力化できます。もし、家庭菜園で大した収穫量でなければ、物干し竿やつい立に吊るして地干し代わりに乾燥させて、サヤだけにして風通しの良い軒先に吊るしておいても十分です。要は50日ほどかけて、じっくり十分に乾燥させることが目的です。
焙煎用落花生の脱莢(だっきょう)
50日かけて乾燥した落花生は、カラカラと音がします。サヤの他に根や茎、葉がついています。これをサヤだけ切り離す作業を脱粒(だつりゅう)あるいは脱莢(だっきょう)といいます。落花生の栽培農家では脱粒機械で大量にサヤだけ切り離します。家庭菜園では手あるいは栽培ハサミで切り離します。
焙煎用の落花生の保存方法
乾燥落花生の保存
これまで解説した40~50日にわたって自然に乾燥させた焙煎用落花生は、高温多湿を避けた冷暗所での保存が一年以上の長期保存に適しています。一般の家庭では冷蔵庫や冷凍庫がいいでしょう。その場合も酸化防止のために空気を抜いて密封して保存すると新鮮さを保つことができます。必要な分だけ出して使うことができます。サヤ付きでもサヤなしでもキチンと乾燥したものであれば同じ方法で保存できます。
前述したような、しっかり自然乾燥した殻付きの落花生であれば、ネットに入れて雨に濡れない涼しい風通しの良い場所に吊るしておいても1年は保存できます。必要な分を取り出して使い、翌年の種として使うこともできます。種として使う場合は冷凍した落花生は冷凍により落花生の中の水分が氷って細胞の一部が破壊されてしまうため使えません。使うとすれば殻のまま密封して冷蔵保存した落花生なら大丈夫です。
加熱した落花生の保存
焙煎したような加熱処理した落花生は、落花生の油脂が酸化しないように空気を抜いて密封した袋に入れて冷蔵庫・冷凍庫に入れておけば美味しいままに保存することができます。ただ常温に戻すときには密封状態のまましばらく常温に適温させてから、封を開けないと結露が発生すして美味しくなくなるので注意が必要です。
ゆで用落花生を収穫したら
ゆで用落花生の郷の香とおおまさりは、焙煎用の落花生のように干す手間はいりませんが、生での保存ができません。収穫したら茎や葉や根とサヤを切り離して1~2日の内にゆでてください。塩加減は好みによりますが、圧力鍋で7~8分、普通の鍋で30分くらいで食べごろにゆで上がります。加熱した落花生の酵素は不活性化され冷凍中や解凍時の変色や味の変化を防ぎます。冷凍保存で長く保存できます。
まとめ:正しい収穫時期の判断は開花時期にあり!
自分で栽培した野菜や作物は、スーパーで購入した物に比べてとてもおいしく感じます。それは落花生とて同じです。でも、正しい収穫時期をキチンと判断すれば、美味しく感じるだけでなく、実際!数倍、本当に美味しい落花生を味わうことができます。
それほど落花生の収穫時期の判断は大切です。落花生を栽培するときは開花期を正確に記録して収穫時期の目安を予測します。その予測した収穫時期の目安の1週間前に試し堀をして収穫適期を見極めることが大切です。