小豆の栽培と苗の育て方のコツは?種まきや収穫の時期や方法も解説!
小豆はあんこやぜんざいなど和菓子に大活躍する豆です。北海道が全体の80パーセントを生産しており、そのうちのほとんどがあんなど加工用に用いられます。小豆の栽培は比較的簡単で種類に応じた栽培時期を見誤まらなければ、初心者でも栽培できます。小豆は苗になるまで成長させれば、ほとんど手間いらずで栽培できます。苗までの育て方のコツ、そして収穫の見極め方、鳥や害虫、病気などから守る方法を紹介します。
目次
和菓子や和食に欠かせない小豆の栽培方法を紹介
あんこの材料として名高い小豆は、ぜんざいやおしるこを始めとする和菓子には欠かせない存在です。また赤飯などの具材として和食にも登場します。小豆をあんこにする過程は煮詰める作業やアク取りの作業など手間暇がかかりますが、小豆そのものの栽培はそんなに難しいものではありません。大量の小豆を栽培するには大規模な畑が必要ですが、少量であれば、庭や畑、プランターでも栽培可能です。
小豆はマメ科の植物です。大豆やソラマメも同じマメ科の植物です。マメ科の植物を家庭菜園で栽培することは珍しいことではないことを考えると小豆も同じように栽培可能です。大豆より小ぶりであるため、栽培に必要に敷地も大豆以下で済みます。小豆の家庭菜園での育て方、種まきから収穫までのポイント、育て方に関する注意点などを紹介します。家庭菜園の初心者でも難しくない為、ぜひチャレンジしてみてください。
小豆栽培の80パーセントは北海道
小豆の作付面積の全体の80パーセントは北海道にあります。特に北海道の東に位置する十勝地方で小豆は栽培されています。小豆以外にも花豆やいんげん豆も北海道で多く生産されています。マメ科の成長に必要な要件に寒さはないのですが、北海道で栽培する小豆は病気や寒冷に強くなるように栽培環境に適した品種改良がおこなわれた小豆を使用しています。エリモショウズという品質が最も多くなっています。
ニュースでも取り上げられているきたあすかと呼ばれる新しい品種が開発され品種登録の出願を実施しています。小豆の加工用との多くはあんとして利用されます。そのため加工特性が生産性以上に重要な位置づけになります。小豆の種類は品種改良などが行われた結果、様々な種類があります。そのため、栽培する地域の気候に合わせた品種を利用することにより、失敗せずに小豆の栽培が可能です。
小豆の生産は沖縄を除く全国で栽培できるほど気候条件が厳しくないのが特徴です。北海道や東北地方などの寒冷地でも家庭菜園で栽培できます。粘土質でない畑であればどこでも栽培できるのがポイントです。海外では野生種が見つかるほど生命力にも強く、場所を選ばないのが小豆の特徴です。誰でも簡単に栽培できるマメ科の植物として家庭菜園で栽培を始める人が増えつつあります。
小豆の種類と品種
小豆の栽培は品種によって異なる
小豆の種類は豊富です。生産性や気候などを考慮して選択することも大事な要素ですが、小豆の用途の多くはあんに加工されます。そのため、加工にどれだけ適しているかを考慮して栽培する品種を選ぶかがポイントです。小豆の品種と加工特性について紹介します。まず普通小豆です。サイズも一般的なよく目にする小豆です。こしあんや羊羹などに適している品種です。
続いて北海道で数多く生産されているエリモショウズです。炊きあがりの風味がよい品種として人気です。エリモショウズもあんことして加工するのに適しています。寒冷地で栽培するのであれば、エリモショウズを使用すると失敗しにくくなります。きたろまんも北海道が中心の品種です。粒が比較的大きく、種皮が柔らかい特徴を持っています。ポリフェノールが豊かに含まれた品種です。
大納言は、煮崩れしにくいのが特徴です。そのため、つぶあんに加工したり甘納豆として利用するのに適しています。風味と色つやが良い品種です。丹波大納言は大納言の中でも最高品種です。赤みがかった色とつやを有しており、保存期間も長い品種です。備中白小豆は極上品の小豆です。白あんに使用され、高級和菓子店などで利用されています。
家庭の畑や庭、ベランダでも苗を栽培できる小豆
大豆と比較して小ぶりな苗
小豆はその名の通り豆のサイズが比較的小さいのが特徴です。家庭菜園での育て方で重要視するポイントとして育てやすさとともに、場所をあまりとらないサイズであることです。大豆は大きく場所もその分確保しなければなりません。しかし小豆は小さいため省スペースで栽培できます。収穫する物の大きさは株の大きさにも比例するため、全体的な大きさは小さくなります。小豆の育てやすさはサイズも手頃だからです。
苗はプランター栽培も可能
一戸建てでは庭や畑を持っている人もいます。小豆を栽培するのであれば、庭や畑を利用するのが一般的ですが、マンションのベランダでプランターを利用して育てる事も可能です。収穫したい小豆の量にもよりますが、加工する場合には大量の小豆が必要になります。あんこを作るのであれば、プランターで収穫できる量では少ないかもしれません。あんこづくりのための小豆は畑や庭で栽培するのがおすすめです。
小豆は毎年苗を栽培できる?小豆の連作障害
二年連続して小豆の苗の栽培はできない
連作障害とは、同じ作物を二年以上連続して栽培すると土の栄養分が不足して成長しにくくなったり、病気になりやすくなったりする障害です。同じ土地で二年以上連続して作物を栽培するのは基本的に避けるべきです。特にウリ科やナス科、マメ科は連作障害が生じやすい植物とされています。小豆もマメ科に属するため、同じ土地で栽培しないようにするのが鉄則です。育て方のポイントとして押さえておきましょう。
プランターを使えば苗の連作障害に悩まない
畑や庭を利用する場合、全面的に小豆を栽培してしまうと翌年連作障害のため栽培ができなくなります。そのため、畑や庭の一部で小豆を栽培し、翌年の栽培は、異なる場所を選ぶのが賢い方法です。一方プランターの場合、土を入れ替えれば、連作障害に悩む必要はありません。プランターでの育て方は連作障害を防止する適した栽培方法の一つです。
小豆の栽培~土づくりと準備
小豆の苗が好む土づくり
小豆が好む生育環境は水はけがよい土地であることと、やせ地であることです。プランターで育てる場合には、園芸店やホームセンターで販売している野菜栽培用の土を購入して利用します。地植えをする場合には、種まきの最低二週間前までに石灰を用いて酸性度を弱めます。そして一週間前には腐葉土や培養土を用いて土に栄養素を補給します。黒いマルチをかけて土を保護します。
小豆の苗の種類と栽培時期
小豆の育て方で最も重要なのが栽培時期です。どの時期に栽培するのかを知っておく必要があります。小豆を栽培の時期で分別すると大きく三種類あります。夏小豆、秋小豆、そして中間型です。夏小豆は主に北海道と東北以南に分かれます。夏小豆は日本の北側を中心に秋小豆は日本の西側を中心に栽培されています。北海道の夏小豆はしっかりと暖かくなった5月中旬頃に種まき時期を設定します。収穫は10月頃です。
東北以南で栽培される夏小豆の種まき時期は、一ヶ月程度早く4月中旬に行います。収穫も夏の終わりころの時期です。秋小豆は時期が後ろにずれます。6月中旬頃に種まき時期を迎え11月過ぎに収穫時期になります。いずれも暖かい時期に種まきを行い、収穫まで行い、霜などの影響を受けないようにする共通点があります。夏小豆の時期に秋小豆を撒くを生育弊害が生じたりするため、時期を見極めることが大事です。
小豆の栽培~種まき
種は園芸店で購入すると苗に育てやすい
土が完成したら、次は種まきです。種まきは適正な時期に行います。小豆はそれ自体が種です。乾燥小豆を購入して種として撒くことも可能ですが、園芸店やホームセンターで販売されている栽培用の種を購入することをおすすめします。住んでいる地域に適した小豆を取り揃えるなど見誤って栽培することを防止できます。また、プロの意見を取り入れ、栽培に失敗しないように種選びをすることが成功の秘訣です。
苗の適切な間隔
種まきは株同士の間隔が25センチから30センチになるように設定します。プランターで植えることができるのは一般的な60センチ程度の長さのプランターであれば、2株から3株程度です。鉢植えの場合には1株が限界です。3~4センチの穴を掘り、そこに2~3粒の種を入れます。種まきが完了したらたっぷりと水をやり乾燥を防止させます。発芽するまで毎日たっぷりと水やりをするのを忘れないように管理します。
苗はポットで育てることも可能
種まきはポットでの育て方もおすすめです。マメ類の種は鳥の格好の餌です。発芽してしまえばその心配もなくなりますが、鳥の被害を考慮する必要があります。マルチをかけて種を守ることも方法の一つです。それでも心配な場合には、ポットを用いて発芽させ、発芽後に畑に移植する方法もあります。プランターや鉢植えで育てている場合にはネットなどをかけて鳥被害を予防する方法が最適です。
小豆は苗に育てるまでがポイントです。発芽して苗まで成長すれば、その後の成長過程で失敗することはほとんどありません。そのため、土づくりから種まきをするときがいかに失敗しないで育てるのかがコツです。しかし種まきの時期さえ間違わなければ、基本的に小豆は発芽、そして苗まで順調に成長してくれます。育てやすいのが小豆の特徴です。
小豆の栽培~苗の育て方
苗は間引き不要なお手軽さ
発芽したら次は苗の育て方です。ポットで育てた場合には、根を切り取らないように多めの土と一緒に畑や庭に移植します。鳥の被害はなくなるためマルチをかけている場合には外します。逆に付けていると苗の成長を阻害してしまいます。基本的には小豆の場合には間引きが不要です。間引きがない分栽培が楽という意見もあります。ただし摘芯を行うと収穫量を増やすことができるため、状況に応じて実施することがコツです。
苗が成長すると草丈が大きくなる
小豆はマメ科の植物ですので天に向かって成長します。しかし逆に草丈が大きくなりすぎないように調整することも手動でできます。草丈が高くなるとその分倒れやすくなります。風が吹いたり雨に当たったりすると一層倒れやすくなります。そのため支柱を活用すると倒壊を防止できます。株の周囲に支柱を立てて、周囲に糸を張ります。小豆は支柱や紐を頼りに支えにして成長しますので、倒壊の防止になります。
小豆の栽培~水やりや肥料
苗になるまでの水やり
どの植物でも同じですが、種まきから発芽までは水やりを欠かせず行うことが鉄則です。たっぷりと水分を与えることで成長を促進します。ただし小豆の場合には、そこまで神経質になる必要はありません。発芽までは状況がわからない為、土がよほど乾燥しない程度に水やりをすれば十分です。発芽後もしおれてきたと感じたら水やりをする程度で十分です。もともと生命力が強いため、水不足でも成長に影響を及ぼしません。
苗への肥料のやり方
肥料も小豆の育て方ではあまり必要としません。植え付けるタイミングで少量の肥料を株の周囲に与えておくだけです。それ以降の追肥も必要ないのが特徴です。小豆は野生種が存在するほど生命力が強い植物です。やせ地を好む性質もあり、肥料や水は適量で十分成長します。水やりや肥料は家庭菜園でも常に手間がかかります。水やりや肥料やりが少ない為、手間がかからない植物として人気です。
小豆の栽培~成長過程の育て方
順調に小豆を栽培すると花を咲かせます。花を咲かせることができればもう少しで収穫です。小さく黄色いきれいな花です。花が咲く時期で行わなければならないことは特にありません。しかし夏の植物ですので、常に害虫や病気の心配は必要です。手間がかからないからといって放置する育て方は禁物です。害虫の被害状況や病気の確認など観察することは毎日行うことが大事です。
小豆の栽培~収穫
花の時期が終了するといよいよ待ちに待った収穫時期です。さやに入った小豆が収穫できます。さやの成熟度の応じて収穫時期を見極めます。同じ株でもそれぞれのさやの成熟度合いは異なります。見極め方は、さやの色が薄茶色になり、固く乾燥したさやから収穫します。収穫は基本的に手摘みです。株全体を一気に収穫したい場合には、全体の7割程度のさやが薄茶色になっている状態が目安です。
さやが枯れたころが収穫なので、さやを振って確認し収穫時期を見極めることもできます。カラカラと音を立てるようになれば、小豆の収穫時期が来た証拠です。成熟前の一時期など収穫時期を見極めることが難しい野菜のなかで小豆は完全に枯れるのを待ってから収穫するため、初心者でも見極め安いのが特徴です。収穫時期では種まきと同様に鳥被害に気を付ける必要があります。ネットなどをかけて鳥から小豆を守ります。
小豆の栽培~害虫対策
小豆は夏に育てる植物です。そのため、害虫など小豆の成長を阻害する敵の活動も活発な時期です。きちんとした害虫対策をしておく必要があります。蛾の幼虫は小豆の葉にくっつき葉を食べます。また、若い頃のさやの中に入り込んで実を食べるケースもあります。目に見える大きさなので、見つけたら駆除します。防虫ネットなどを活用すると被害にあいにくくなりますので利用価値ありです。
小豆の栽培~病気対策
小豆の育て方で注意しなければならないのは連作障害です。連作障害により病気が発生しやすくなります。前年度にトウモロコシを栽培しておくと小豆の病気が発症しにくくなるという説もあります。病気の発生は土の管理が影響することが多く、土作りをしっかりと行うことで防ぐことができます。乾燥には比較的強いのが小豆の特徴ですが、湿気には弱く病気を誘発します。長雨などが予測されるときには対策を施します。
病気になった株を発見したら、除去します。除去しないでおくと周囲の株に病気を移す可能性もあります。病気になった株は土に埋め戻すなどは絶対に行わず、焼却処分など完全に除去することが大事なポイントです。病気も毎日の観測で発見することができます。植物も生きているため毎日観察して異常が発生していないか確認することが必要です。
小豆の栽培~鳥対策も必要
小豆などマメ科の植物の育て方で注意するのは鳥です。種や収穫目前の実は鳥の餌になりやすいのです。害虫や病気の被害は一部の株に影響を及ぼすため、影響範囲は比較的少ないのですが、鳥被害は全体に影響を及ぼします。鳥は集団行動をするため、一晩のうちに食い尽くされてしまうケースも少なくありません。そのため、成長過程にある小豆の鳥対策は必須です。
鳥は虫と比べてサイズが大きいため、防護ネットなどを使用する場合には、粗い素材でかまいません。防護ネットを設置できない場合には、反射テープや紐を張り巡らせる方法でも効果はあります。種はポットなどを利用して別な場所で栽培するのも一つの方法です。収穫時期は、別の場所に移すことができないため、防護ネットや紐を活用して鳥を寄せ付けない工夫をしておくことがコツです。
小豆の水耕栽培でもやしを作る
小豆を水耕栽培することでもやしを作ることができます。もやしは大豆の水耕栽培で作るものですが、小豆でもマメ科で同じですのでもやしを作ることができます。小豆を水に浸して発芽するまで待ちます。水は頻繁に交換することが必要ですが、夏場の時期であれば、一週間程度で収穫できます。冬場の寒い時期でも二週間もあれば、立派なもやしを栽培できます。もちろん大豆からもやしを家庭で作ることもできます。
小豆の収穫後の選別作業と保管方法
小豆は収穫後にすぐに食べることができるわけではありません。収穫後にすぐに調理するケースが少ないためです。そのため、保管するための作業が発生します。小豆は収穫後日当たりと風通しの良い場所で乾燥させます。カラカラになるまで十分乾燥させます。天気が良い日の日中のみ天日干しを行い、それ以外の時間は倉庫で保管します。もちろん天日干しの際にも鳥の対策は必要です。
天日干しが完了すると選別作業です。殻や粒が割れている小豆などを目で確認して取り除きます。中には病気になってしまっているものや虫食いが発生しているものもあります。これらを一緒に保管すると問題ない小豆までダメになってしまうため、選別は保管の上で重要な作業です。選別作業が終わるときれいな色の小豆だけが残ります。この状態で数ヶ月保管することが可能になり、使いたいタイミングで利用できます。
小豆の栄養素
小豆は和菓子など甘いスイーツに利用されることが多いマメ類です。そのため栄養素についてあまり深く考えられることはありません。しかし小豆にも豊富な栄養素が含まれています。小豆を食べ続けることは健康を維持する上でもとても重要です。小豆には食物繊維が多く含まれています。便秘の予防や腸の活性化に役立ちます。またビタミンも豊富です。ビタミンは糖質をエネルギーに改善する効能を持っています。
ポリフェノールも豊富に含まれているのが小豆の特徴です。ポリフェノールは動脈硬化の予防や生活習慣病の改善や予防に良いとされています。活性酸素を体内から除去することで体内の酸化を防止する役目を持っています。サプリメントなどにもポリフェノールが配合されるようになり、有名な栄養素です。亜鉛や鉄分、カリウムなども豊富に含まれています。これらも健康を維持するのに必要不可欠な栄養素です。
家庭菜園で小豆の栽培にチャレンジしてみよう
育て方が簡単な小豆は自宅の家庭菜園で栽培する事もできるマメ科の植物です。ほかの野菜や植物と比較しても手間暇がかかないのが特徴です。種まきから苗育て、収穫までの期間が約半年かかる長めの栽培期間が必要ですが、その分収穫できたときの喜びは大きくなります。害虫や病気以外にも鳥の被害にも気を付けなければならないなど注意点もありますが、初心者でも育てやすいのが小豆栽培の特徴です。
収穫した小豆は、あんにして和菓子やスイーツに利用したり、甘納豆として食べることもできます。保管期間も長く、次の収穫まで持たせることもできます。家庭菜園では徐々に人気が上がってきている種類です。畑や庭がなくてもプランターで栽培することもできます。家庭菜園で小豆を育ててみませんか?