味噌汁を沸騰させてはいけない理由とは?沸騰させるとまずい?基本の作り方を解説

味噌汁はどうして沸騰させてはいけないのでしょうか?味噌汁を沸騰させるとまずい理由を栄養学的に解説します。味噌汁の基本の作り方を学んで、今日から美味しい味噌汁を作りましょう!沸騰させてしまったときの対処法も必見です。

味噌汁を沸騰させてはいけない理由とは?沸騰させるとまずい?基本の作り方を解説のイメージ

目次

  1. 1味噌汁を沸騰させるとまずいのは本当?
  2. 2味噌汁を沸騰させてはいけない理由
  3. 3味噌汁の基本の作り方
  4. 4味噌汁を沸騰させてしまった時の対処法
  5. 5美味しい味噌汁は沸騰させないのがコツ!

味噌汁を沸騰させるとまずいのは本当?

味噌汁の鍋で豆腐やわかめをお玉ですくっている

昔から和食の朝食には欠かせない味噌汁は、体を芯から温めてくれる栄養豊富な定番メニューです。インスタントの味噌汁も種類が豊富ですが、やはり煮干や鰹節できちんと出汁を取った味噌汁は格別の美味しさを味わえます。

そんな味噌汁は沸騰させてしまうとまずいとよく言われています。味噌汁を作っている間に他のおかずを作って目を離した隙に味噌汁が沸騰してしまった、という話もよく聞きます。ではなぜ味噌汁は沸騰させるとまずいのでしょうか?

実は単に味がまずいだけでなく、きちんとした理由がいくつかあるのです。それでは味噌汁を沸騰させるとまずい理由を詳しく見ていきましょう。

味噌汁を沸騰させてはいけない理由

旨味成分が分解される

味噌には赤味噌と白味噌があり、どちらも大豆を原料としています。味噌は樽の中で熟成させる過程で、米麹の酵母が味噌の中の糖を香り成分へと変化させてくれます。これが味噌独特の香りです。

味噌汁を作る際には大豆の旨み成分であるタンパク質が熱せられて、味噌からだし汁に溶けていきます。しかし65度以上まで温度が上がると、旨み成分のタンパク質は分解されてしまってだし汁に溶けてこなくなります。味噌汁をうっかり沸騰させてしまうことで、味噌から旨み成分が溶けだしてこなくなってしまうというわけです。

味噌の香りの元のアルコールが揮発する

味噌汁は「煮え花(にえばな)」といって、煮立ち始めた香りや風味が一番良い状態だとされています。味噌汁の良い香りの元であるアルコールは、発酵食品である味噌に多く含まれています。味噌が樽の中で熟成させる間に、酵母によって糖をアルコールやエステルなどの香り成分に変化させたものです。

アルコールなどの香り成分は、90度以上になると気化する性質があります。そのため水が沸騰する温度で加熱されると、アルコールは揮発してなくなり香りも失われてしまいます。また何度も温め直した場合も味噌の香りが損なわれていくようです。

味噌汁の香りが一番よくおいしく飲めるのは75度くらいとされています。沸騰直前は95度くらいなので、そこからお椀によそって食べる頃が丁度良い温度になるようです。

味が濃くなる

味噌汁を沸騰させると、水分が蒸発して煮詰まってしまいます。水分と味噌が丁度よく保たれていた状態から、沸騰により水分が蒸発すると味噌とのバランスが崩れて味が濃くなってしまいます。また長く煮立たせていると味噌の中の大豆や米粒が分離し、ザラザラした舌触りになります。風味も落ちるのでまずいと感じるようになるでしょう。

爆発する可能性もある?

味噌汁は沸騰させると爆発するという話をメディアで取り上げられていたことがあります。しかし実際味噌汁が爆発するわけではありません。爆発のように見える現象は突沸と呼ばれています。突沸とは、沸点を超えた液体が気体にならず、振動など何らかの刺激を加えた時に爆発的に沸騰することをいいます。

特にとろみのある液体を温めすぎた時に起こりやすい現象です。味噌汁でいうと、ステンレス鍋であまり具が入っていない味噌汁をかき混ぜないで熱し続けたときに突沸が起きることがあるようです。突沸すると熱い液体が飛び散ってやけどする可能性があります。突沸を防ぐためには、急激に温めないように注意してかき混ぜながら温めるようにしましょう。

乳酸菌が激減する

発酵食品である味噌には、乳酸菌や酵素が豊富に含まれています。しかし乳酸菌や酵素は熱に弱く、味噌汁を沸騰させると激減してしまいます。乳酸菌を体に取り入れることで腸内の善玉菌が増えるので、できるだけ生かして摂取したいものです。

乳酸菌や酵素を生かしたまま摂取するためには沸騰を避け、食べる直前に味噌を溶き入れるなどの工夫をするのがおすすめです。また具材に海藻やキノコなど食物繊維を豊富に含んだ食材を入れると、食物繊維が腸内の善玉菌のエサとなります。乳酸菌と食物繊維の相乗効果で、腸内環境の改善効果をより高めることができるようになります。

栄養価が低下する

味噌汁には他にもタンパク質やカリウム、イソフラボンなど体に良い栄養素が豊富に含まれています。タンパク質は筋肉や髪の毛、血液などを作る必須の栄養素で体を作るだけでなくエネルギー源としての役割を持っています。また発酵によりアミノ酸に分解されると肝機能の働きを助ける効果もあります。

カリウムは細胞の浸透圧を維持し、神経刺激の伝達などの働きがあるほか、ナトリウムの吸収を抑制して血圧を下がる効果もあります。イソフラボンは、女性ホルモンであるエストロゲンと似た働きをするので、新陳代謝を促進して肌や髪を健康に保つ働きやコレステロール値を抑制する働きなどがあります。

他にも味噌汁には中性脂肪やコレステロール値を下げる効果を持つ栄養素も含まれています。味噌を沸騰させるとこれらの栄養素の摂取が難しくなり、栄養価が低下する恐れがあります。

味噌汁の基本の作り方

味噌汁を沸騰させるとまずいということは分かりましたが、それではより美味しい味噌汁にするにはどうすればよいのでしょうか?美味しい味噌汁の基本的な作り方を紹介します。

出汁をとる

味噌汁は味噌の風味を生かすだけでなく、出汁をきちんと取ることで香りも味もぐっと美味しさが増します。出汁は作り置きすることもできますが、使う前に出汁を取るほうが香りが強くより美味しい味噌汁を作れるでようです。味噌汁の出汁には昆布、煮干、鰹節と昆布などいくつか種類があります。それぞれの出汁の取り方を見ていきましょう。

昆布

昆布は上品な旨みを楽しめる出汁で、水を入れた鍋に入れます。弱火で20分くらいかけて沸騰する前に取り出します。沸騰すると昆布の風味が落ちてしまうので注意が必要です。一晩水に浸けておくと、ぬめりや臭みが出にくくなります。

煮干

煮干は魚そのものの風味を味わえるので、コクがあり個性的な特徴があります。頭とワタを取り除いたら、水を入れた鍋に入れて30分以上浸します。強火で沸騰させ、沸騰したら弱火でアクを取りながら5~10分煮出しましょう。

鰹節と昆布

鰹節は旨みと芳醇な香りが特徴で、昆布と合わせて使われることが多いようです。昆布で取っただし汁を沸騰させて鰹節を入れます。鰹節がすべて沈んだら火を止めて濾します。渋みの原因になるのでかき混ぜないようにしましょう。

作り方

美味しい味噌汁の作り方は、まず具材を煮る時には火が通りにくい食材から入れるようにします。具材はさまざまな種類がありますが、バランスよく組み合わせると良いです。じゃがいもや人参、大根などいも類や根菜類は火が通りにくいので、出汁の下ごしらえの段階から煮ると良いでしょう。

2つ目は、煮え花のタイミングで味噌を加えることです。具材に火が通ったら沸騰しているお湯の火を止めて、お湯がぐつぐつしてない時に味噌を溶き入れましょう。味噌を入れたら沸騰させないように気を付け、豆腐は味噌を溶いた後に入れます。

味噌汁を沸騰させてしまった時の対処法

どんなに美味しい味噌汁の作り方で作っていても、うっかり目を離して味噌汁を沸騰させてしまったら栄養を損なうだけでなく、味や香りも美味しくなくなってしまいます。ではそんなときにはどうすれば良いでしょうか?

少量の味噌を加える

味噌汁を沸騰させてしまったら、慌てずまず火を止めます。そこで味噌の風味と旨みを復活させるために、新たに少量の味噌を加えましょう。あまり多く入れると味が濃くなるので、10g程度の味噌を入れます。味を調整しながら少量ずつ味噌を溶き入れて、味噌の風味と香りを回復させます

味噌汁を翌日温め直すときにも、少量の味噌を加えると風味と香りが復活して美味しく頂けるようになります。

吸い口を加える

味噌汁は吸い口を加えることでぐっと風味や香りが美味しくなります。吸い口とは味噌汁に添える香り付けのことで、ネギや生姜、柚子、山椒、七味唐辛子などのことをいいます。

適温で作られた美味しい味噌汁に吸い口を加えれば、風味や香りが格段にアップしてより美味しくなります。沸騰して風味が飛んでしまった味噌汁でも、吸い口を加えることによって味噌とは違った香りや風味が出て美味しく味噌汁を楽しむことができるでしょう。

美味しい味噌汁は沸騰させないのがコツ!

ご飯、味噌汁、卵焼きなどが並んだシンプルな和食献立

味噌汁を沸騰させると、旨み成分が分解されたりアルコールが揮発したりするため、香りや味が美味しくなくなってしまいます。また味噌に含まれている乳酸菌や酵素などの栄養成分が激減し、栄養価も低下してしまうでしょう。

味噌汁を沸騰させないことだけでなく、昆布や鰹節などでしっかり出汁を取り、火が通りにくい具材から入れて煮え花で味噌を溶き入れるなどちょっとしたコツを知っているだけで、いつもの味噌汁がぐっと美味しくなります。ぜひ今回紹介した美味しい味噌汁の作り方を参考にして、いつもより美味しい味噌汁で食卓を豊かにしましょう!

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