2019年06月12日公開
2024年09月18日更新
タコライスは何故この名前に?タコライス誕生の秘密と美味しい作り方のレシピ
タコライスは沖縄のソウルフードとして有名な料理ですが、タコライスという名前なのにタコは使われていません。タコが入っていないのに、なぜタコライスという名前が付けられたのか、その由来を知っているでしょうか?実はタコライスの誕生には秘密があるのです。今回はタコライスの由来や特徴的な味、タコライスが誕生した秘密などタコライスについてすべて解明していくとともに、家でも作れる美味しいタコライスの基本的な作り方を紹介していきます。
タコライスとは?
それではまず、タコライスとはどんな意味があるのでしょうか?その名前が付けられた由来や、ピリ辛な味の秘密を探っていきましょう。
沖縄で愛されるソウルフード
タコライスとは、牛ひき肉に調味料を加えて調理したタコミート、千切りのレタスやチーズ、トマトなどをお皿に盛ったご飯の上に順にのせた形が一般的です。食べ方はドライカレーやそぼろご飯に似ていて、その上にトマトベースの赤いサルサ(スペイン語でソースという意味)やケチャップをかけて食べます。
タコライスの発祥地は沖縄で、沖縄のソウルフードとして定番の人気を誇っています。沖縄県では、スーパーやお弁当屋さん、学校給食にまでメニューとして提供しているほど一般的です。
全国でもケンタッキーフライドチキンや吉野家、ほっかほっか亭などでメニューとして登場させることもあるほど、沖縄だけでなく全国的に人気の高いメニューです。
メキシコ料理のタコスが由来
タコライスの「タコ」は、メキシコ料理のタコスを由来としています。そもそもタコスとは、ピリ辛に炒められたひき肉と玉ねぎ、レタス、トマト、千切りチーズなどをとうもろこしで作られた薄い生地であるトルティーヤにのせて巻いたものです。この上にサルサをかけて食べるのが、メキシコ料理でもポピュラーであるタコスです。
このタコスを日本風にアレンジし、白いご飯の上にタコスで使う具材とサルサをのせて食べるタコライスが誕生しました。タコス+ライスでタコライス、というネーミングが由来です。スペイン語で「タコ」は「軽食」という意味があり、タコスはタコの複数形です。
タコライスの味
タコライスはタコスを原型としているので、少しスパイシーな味が特徴です。合いびき肉と玉ねぎを炒めて、ケチャップやウスターソース、カレー粉などのスパイスで味付けをして、そこにレタスやアボカド、トマトなどの野菜を合わせてご飯にのせます。
家庭にある材料で作ることもできますが、チリパウダーやタバスコを入れるとより風味と辛さが増して、本格的なタコライスの味に近づけることができます。ご飯は普通に白いご飯でも、味を変えて炒飯にしても美味しく頂けます。
ソースはお好みで、酸味と辛味のある定番のサルサソースをかけると本格的な味を楽しめますが、辛い味が苦手な方はケチャップをかけても頂けます。またサルサソースは、みじん切りにした野菜とにんにく、レモン汁、トマトジュース、タバスコなどから家にある材料を選んで、自分好みに調整すればより美味しく作れるでしょう。
タコライス誕生の秘密
メキシコ料理のタコスを由来としたタコライスは、どのように沖縄で誕生して広まっていったのでしょうか?沖縄でタコライスが誕生した秘密について迫ってみましょう。
米軍基地近くのパーラー千里で誕生
タコライスは1984年、沖縄米軍基地近くのキャンプ・ハンセンのゲート前に広がる飲食店街にあった「パーラー千里」の創業者・儀保松三さんが提供したことで生まれました。儀保さんはもともと米兵向けのバーを経営していましたが、米兵同士の喧嘩があるたびに商売にならないことが繰り返されていました。
そんな中で変動相場制によりお金に余裕がなくなった若い米兵のために、安くてボリュームのある料理を出そうと、元中華料理店の店舗を借りて商売を始めました。バー時代に人気のあったタコスをアレンジして、ご飯にタコスの具材をのせた「タコライス」を提供すると、その美味しさと安さ、ボリュームが評判となりました。
元中華料理店の店名「千里」にちなんで、「パーラー千里」と名付けられました。タコライスは全く新しいメニューだったため、最初はなかなか上手くいかなかったものの、少しずつ売れ始めていきます。やがて米兵だけでなく、沖縄の地元の人々や観光客も集まってくるようになりました。
評判となり沖縄の名物料理に
タコライスの人気が広がっている中、儀保さんはタコライスを特に商標登録しなかったため、沖縄の他の飲食店でも真似をして提供し始めるようになりました。あっという間に個性的な料理として沖縄県内の各地に広がっていき、沖縄の名物料理としての地位を得たのです。
パーラー千里はその後チェーン展開をして、同系列の「キングタコス」という店舗を沖縄各地で展開しています。今や日本のみならず、ニューヨークやロサンゼルス、フロリダにも広まっているタコライスですが、パーラー千里の味を楽しめるのは沖縄で2019年現在6店舗のみです。
本店であるパーラー千里は、カウンターと3席のほどのテーブル席が並ぶこじんまりとした店構えです。店内には多くの有名人のサインが並び、休日には行列になるほど多くの観光客や沖縄の地元の方々でにぎわっていました。テイクアウトする人も多く、タコライスは沖縄の人々にとって、大阪のタコ焼きと似ている感覚で定着しているようです。
パーラー千里はすでに閉店?
そんなタコライス発祥の店・パーラー千里は2015年6月29日に閉店しました。理由は人手不足ということで、同系列のキングタコスでは、パーラー千里と全く同じ味を楽しむことができます。
キングタコスの本店は、沖縄・金武町の米軍基地キャンプ・ハンセン近くにあります。現在キングタコスの社長は、パーラー千里の創業者である儀保さんの孫・島袋さんです。30歳の若さで会社を引き継ぎ、お店の名前に負けないように頑張ってタコライスを作ろう、という気持ちを込めて「キングタコス」と命名されました。
今ではキングタコス系列店を島袋さんの一族で経営しており、祖父である儀保さんが与えてくれた「家族の宝」であるタコライスを家族でつないでいくという強い思いで、パーラー千里の意思を引き継いでいるようです。
タコライスの美味しい作り方
沖縄のソウルフードであり、今やおしゃれなカフェなどでも目にすることがあるタコライスですが、家でも簡単に作ることができます。家で美味しく作るには、どんな作り方があるのでしょうか?タコライスを簡単に美味しく作れるレシピを紹介します。
材料
- 合いびき肉200g
- 玉ねぎ半分
- レタス2枚
- ミニトマト6~7個
- Aケチャップ大さじ4
- Aウスターソース大さじ2
- Aカレー粉小さじ1
- A塩、こしょう少々
- ご飯2人分
こちらのレシピは、なるべく家にある材料で作ることができるレシピです。クックパッドで7000件を超えるつくれぽが寄せられている、人気のあるレシピです。辛味のある調味料やスパイスを入れていないので、辛いものが苦手な方や子供でも食べることができます。辛いのが好きな方はタバスコやチリパウダーを加えます。
作り方
- 玉ねぎはみじん切りにし、レタスは千切りにします。ミニトマトは4等分に切っておきます。
- Aがついた調味料を別のボウルで混ぜておきます。
- フライパンにサラダ油大さじ1を熱し、合いびき肉を炒めてタコミートを作ります。空いているところに玉ねぎを入れて一緒に炒めます。
- 火が通ったら塩こしょうを加えて、Aの調味料を入れて少し煮詰めます。
- 器にご飯を盛って、レタス、トマト、タコミートを盛り付けたら出来上がりです。
玉ねぎを十分炒めてから調味料を入れることで、玉ねぎの辛さが抜けて甘くなります。お好みでとろけるチーズをのせたり、目玉焼きや温玉などをのせて美味しくアレンジすることもできます。
お好みでサルサソースを手作りすると、より本格的なタコライスを楽しむことができます。材料は玉ねぎ、にんにく、トマトジュース、レモン汁、タバスコ、お好みでパセリなどのハーブ、塩こしょう、オリーブオイルです。すべての材料を混ぜ合わせて、冷蔵庫に入れて味を馴染ませたら完成です。
沖縄名物のタコライスを食べてみよう
普段レストランのメニューなどでよく目にする沖縄発祥の料理・タコライスは、メキシコ料理のタコスにその名が由来しており、ご飯の上にタコスの具材をのせた沖縄のソウルフードです。沖縄の米兵たちのために作り出されたタコライスは、パーラー千里から誕生して、あっという間に沖縄全土へと広がっていきました。
現在でもパーラー千里を受け継いだキングタコスが、伝統ある味を守りながら沖縄でタコライスを提供し、地元の方だけでなく観光客にも人気があり賑わっています。海外でも人気のある地位を獲得してる沖縄名物・タコライスをぜひ食べてみて、沖縄の味を堪能してみましょう!