ビスクとはエビを凝縮した濃厚スープのこと!プロのような本格レシピ5選

ビスクとはエビの旨味を凝縮した超濃厚なフランスのスープのことです。高級食材であるロブスターやオマール海老を使うほか、ザリガニや蟹など甲殻類を使って作られます。その濃厚さと旨味が詰まったスープはフランス料理店やスープ専門店で味わうのが一般的です。本格的に作るには材料も手間もかかるエビのビスクですが、今回は家庭でも作れるレシピを紹介します。ビスクのアレンジレシピのおすすめも併せて参考にしてください。

ビスクとはエビを凝縮した濃厚スープのこと!プロのような本格レシピ5選のイメージ

目次

  1. 1ビスクとは?
  2. 2ビスクの基本の作り方と美味しく作るコツ
  3. 3ビスクのおすすめ本格アレンジレシピ5選
  4. 4ビスクの作り方をマスターしてプロ級の料理を作ろう!

ビスクとは?

ビスクとは、フランス料理では定番のエビや蟹など甲殻類を使ったスープのことです。ビスクの最大の特徴はその鮮やかで綺麗なオレンジ色と濃厚な味わいです。

レストランでしか食べられなかった本格的なビスクも、今ではスープ専門店によって手軽に食べられるようになってきました。スープ専門店「スープストックトーキョー」でもオマール海老のビスクはとても人気のある商品です。

ビスクが身近になってきたとはいえ、まだまだ日本での認知度は低く家庭で手作りすることは少ないかもしれません。今回はエビのビスクがどんなスープでどのような作り方をするのか詳しく紹介していきます。

名前の由来

ビスクの名前の由来には諸説あります。フランスのビスケー湾が由来とする説と、フランス語の「ビスキュイ」という言葉が語源という説です。

ビスキュイは焼き菓子のビスケットの語源にもなった言葉で、二度焼きするという意味があります。ビスクの作り方には、甲殻類の殻を焼くという工程があります。そのためビスキュイが語源となったのでは無いか?という説です。

フランスのスープの一つ

美食の国フランスには世界的にも有名なスープがたくさんあります。フランス人はスープが大好きで、様々な食材をスープにして楽しんでいます。日本人にも馴染みがあるビシソワーズやブイヤベースもフランスでは定番のスープです。

ビスクはロブスターやオマール海老、蟹やザリガニといった甲殻類の殻を香ばしく焼いて作られるスープです。焼いた甲殻類の殻を裏ごしした「クーリ」を使ったクリームベースのスープで、濃厚で滑らかな味わいが特徴です。

売り物にならないエビなどを活用

ビスクは元々、市場には出せない売り物にならないエビや、エビの細い脚の部分を使って作られたスープです。市場に出せないエビなどの甲殻類を焼くことで、美味しさを最大限に活かしたスープになっています。

アメリケーヌとの違い

ビスクと同じように甲殻類を使ったアメリケーヌというものがあります。作り方は同じようにオマール海老の殻を炒め、魚の出汁でのばしてから濾して作られます。同じような作り方をしますが、違いはスープかソースかという違いです。

アメリケーヌは、アメリケーヌ・ソースソース・アメリケーヌアメリカンソースと呼ばれるソースです。スープとして食べるのではなく魚介類に添えるソースとしてアメリケーヌは使われます。

アメリカのレストランで働いていたシェフがアメリカ人の友人に出した「オマール海老のアメリカ風」がアメリケーヌの語源となったと言われています。今は蟹やエビで作ってもアメリケーヌと呼ばれていますが、元はオマール海老で作ったものがアメリケーヌと呼ばれていました。

ブイヤベースとの違い

同じように魚介の旨味が楽しめるスープにブイヤベースがあります。ブイヤベースは世界三大スープに挙げられるフランスを代表するスープです。

ビスクはオマール海老や蟹などの殻を焼いてから濾しますが、ブイヤベースはムール貝や魚をコトコト煮込んで作られます。ニンニクとサフランを加えることも特徴で、具沢山なことから鍋料理と言われることもあります。

ポタージュ・コンソメ・ブイヤベースとの違いは?

ポタージュといえばコーンポタージュが真っ先に思い浮かぶ人も多いと思います。スープよりもとろみがあるものがポタージュと分けて考える人もいます。しかしフランスでは、ポタージュといえば汁物全般を指す言葉です。

ビスクもブイヤベースもコンソメを使ったものも、全てポタージュというカテゴリの中の料理名ということになります。フランスではスープはポタージュの中の一種類でパンが添えられたもののことを言います

ビスクの基本の作り方と美味しく作るコツ

ビスクを自宅で作るのは難しくないのでしょうか?甲殻類の殻を焼き、濾して作るとなるとかなり手間がかかります。ビスクの基本のレシピとはどのようなものか見ていきましょう。

本格的なエビのビスクの作り方

海老のビスクの作り方には簡単なものから本格的なものまでありますが、まずは家庭でも作りやすい材料で作れるビスクを紹介します。材料も少なく簡単な作り方ですが、本格的なビスクの工程通りの作り方になっています。

材料

  • 海老の殻
  • バター
  • 玉ねぎ
  • 人参
  • 料理酒
  • トマトの水煮
  • コンソメ顆粒
  • 牛乳
  • 塩こしょう
  • パセリ

今回動画で紹介するビスクは作り方は本格的ですが、材料は日本でも手に入りやすいもので作られています。料理酒とコンソメを使い、簡単に手に入る材料で本格的な味を再現しています。

作り方

  1. バターを鍋に熱し、海老の殻を中火で2分こんがりするまで炒めます。
  2. みじん切りにした玉ねぎと人参を加え、しんなりするまで3分炒めます。
  3. 料理酒を加え、アルコールが飛ぶまで1分炒めます。
  4. トマト水煮、コンソメを加え水分がなくなるまで5分煮詰めます。
  5. 粗熱をとったらミキサーで粉砕します。
  6. こし器で濾したら、鍋に戻し牛乳を加え煮立てないよう弱火で煮ます。
  7. 塩こしょうで味を整えて、盛り付けたらパセリを散らして出来上がりです。

簡単な材料と必要最低限の時間で作られる、家庭でも真似しやすいレシピになっています。海老の殻はこんがりするまで炒めるのがポイントになります。芳ばしい香りがするまで丁寧に炒めてください。

ミキサーで粉砕するときは火傷に気をつけて粗熱を取ってから行います。こし器で濾すときはなるべく目の細かいこし器を使うのがおすすめです。牛乳を加えたら煮立たせないよう弱火で煮ましょう。

この動画の作り方を見ても分かる通り実はビスクは、手間はかかりますが決して家庭で作れない料理ではありません。使う道具もミキサーとこし器となべがあれば作ることができます。

材料も、海老でも蟹でも好きな甲殻類で作ることができ、安い海老でも十分美味しいビスクになります。ビスクはもともと売り物にならない海老で作られたものです。高級感のあるビスクは、特別な日のおもてなしにおすすめです。

美味しく作るコツ

ビスクにはそれぞれの工程に美味しく作るためのコツがあります。美味しく仕上げるためのコツを知れば自宅でも失敗なく美味しいビスクに仕上がります。

殻ごと炒める

ビスクの美味しさは何と言っても、濃厚で海老のエキスがたっぷりの旨味にあります。その海老の旨味を引き出す大切な工程が海老の殻を炒めることです。

海老は殻付きのまま炒めることで、旨味が凝縮された本格的なレストランの味になります。海老の頭も濃厚な味噌が詰まっているので捨てずに使います。ビスクの作り方はそれぞれのレシピで微妙に異なりますが海老の殻を炒めることは絶対しなくてはならない大切な工程になります。

香味野菜で臭み取り

ビスクを作る上で欠かせない野菜が香味野菜です。それぞれのレシピによって材料に若干の違いはあるものの香味野菜は必ず使われます。

人参、玉ねぎ、セロリ、ニンニクなどの香味野菜はそれぞれが合わさることで深みのある味わいになります。海老の臭みをとる効果もあり、海老の美味しさを引き出してくれます。

2時間以上煮込む

ビスクをより本格的に仕上げる場合は、コトコト煮込んで海老の旨味を余すところなく引き出す時間が必要になります。先ほど紹介した動画のレシピは、煮込み時間は数分のお手軽バージョンです。本格的なビスクは、実は2時間以上もコトコト煮込んで作られます。

じっくりコトコト煮込むことで炒めた海老からのエキスと、香味野菜のエキスが溶け合って旨味が凝縮したスープになります。途中で水分がなくなるので足しながらじっくり煮込みます。時間はかかりますが手間暇がかかる分、より本格的なビスクに仕上がります。

しっかり漉す

じっくり煮込んだ海老と香味野菜は一旦取り出したらミキサーで粉砕します。これで海老と香味野菜の旨味がたっぷりのペーストになります。さらにペーストをこし器で濾して、クーリというエキスにします。

このクーリがビスクの旨味の素であり、ビスクの美味しさを決定づけるものです。クーリは海老を殻ごと濾して作られているので、美味しさがぎゅっと濃縮しています。それをトマト缶と牛乳や生クリームで伸ばすことでビスクは作られます。

美味しいビスクにするためにはこし器は、なるべく目の細かいものがおすすめです。目が細かいと滑らかな口当たりのビスクになります。

仕上げのバター

仕上げにバターを入れると濃厚なコクが加わって一気に本格的な味わいのビスクになります。最後のバターを加えることで海老の美味しさが引き立ち、濃厚で美味しいビスクになるのでぜひ仕上げに入れましょう。

ビスクのおすすめ本格アレンジレシピ5選

ここからはビスクのおすすめアレンジレシピを5選紹介します。本格的なオマール海老を使ったビスクのほか、手軽で家庭でも作りやすい桜海老や甘エビのビスクのレシピも参考にしてください。

桜エビのビスク

  • 桜海老
  • バター
  • じゃがいも
  • 人参
  • 玉ねぎ
  • 赤ワイン
  • トマト缶
  • 牛乳
  • コンソメ顆粒
  • おろしニンニク
  • 醤油
  • ケチャップ
  • 砂糖
  • 生クリーム
  • 粉チーズ
  • 薄力粉
 
  1. 鍋にバター、桜海老を入れます。
  2. 角切りにしたじゃがいも、人参、玉ねぎを加え炒めます。
  3. 炒めたら赤ワイン、トマト缶、牛乳と全ての調味料を加えます。
  4. 煮立ったら火を弱火にし、野菜に火が通るまで20分ほど煮込みます。
  5. 野菜に火が通ったら、生クリーム、粉チーズを加え2分ほど煮込みます。
  6. とろみが足りない場合は、茶こしで小麦をふるって入れてちょうどいいとろみにします。

海老の代わりに桜海老を使う、家庭でも真似しやすいアレンジレシピです。使う材料は多いのですが、桜海老と野菜を炒めたら材料を全て入れて煮込むだけです。どの家庭にもある食材で濾す工程がないので初心者にもおすすめのレシピです。

オマール海老のビスク

  • オマール海老1尾
  • 玉ねぎ1/2個
  • トマト1個
  • ブーケガルニ1パック
  • オリーブオイル大さじ1
  • ブランデー大さじ1
  • 水600ml程度
  • 塩少々
  • 粉末パプリカ小さじ1
  • 生クリーム100ml
  • バター10g
 
  1. オマール海老をさばき、爪を外し味噌はスプーンで別容器に取り出しておきます。
  2. 玉ねぎは薄切りにし、トマトは2cm角に切ります。
  3. 鍋にオリーブオイルと玉ねぎを弱火で炒め、透き通ってきたらオマール海老の頭を加えてさっと炒めます。
  4. ブランデーを加えて混ぜたら、水、ブーケガルニとトマトを加え強火にします。
  5. 沸騰したらアクを取って弱めの中火にし、そのまま30分ほどにます。
  6. オマール海老の身と爪は蒸して、身を取り出しておきます。
  7. 30分煮たら、ザルなどでしっかり濾します。
  8. 濾したものに取っておいたミソと、爪の身を加え、弱火でミソの色が変わるまで煮ます。
  9. パプリカパウダーを加えたら火を止め、ミキサーにかけて鍋に戻します。
  10. 塩で味を整え、再び弱火で生クリームを加えます。
  11. フライパンにバターを溶かし、オマール海老の身をサッと焼きます。
  12. 盛り付けたら出来上がりです。

オマール海老を使った贅沢な本格レシピです。オマール海老を使う機会はなかなか無いものですが、もしも作る機会があったらぜひビスクに挑戦してみてください。

甘エビのビスク

  • 甘エビの頭
  • 玉ねぎ
  • 人参
  • トマト(トマト缶)
  • 白ワイン(あればブランデー)
  • ニンニク
  • 生姜
  • オリーブオイル
  • 生クリーム
 
  1. 甘エビの頭はヒゲをハサミで切りとります。
  2. 野菜はざく切りにします。
  3. ニンニクと生姜と玉ねぎ、人参をオリーブオイルで炒めます。
  4. 野菜が炒まったら甘エビの頭を加えます。
  5. ある程度炒めたら、オーブンでカラッと焼きます。
  6. 焼けたらトマトと白ワインを加え、強火にかけます。
  7. 水を加えたら30〜45分ほど煮込みます。
  8. ミキサーにかけたら、濾します。
  9. 生クリームを加え、温めたら出来上がりです。

甘エビは殻が柔らかく家庭でビスクを作る場合はおすすめの海老です。今回は海老の頭だけを使ったレシピになっています。刺身用で甘エビを買うけれど頭は捨てていたという人にもおすすめです。甘エビのヒゲは焦げやすいので、ハサミでカットして焦げないようにしましょう。

ビスク風トマトクリーム鍋

  • 有頭海老5尾
  • 豚ももスライス300g(白身魚でも可)
  • 玉ねぎ1個
  • セロリ茎部分2本
  • キャベツ5枚
  • ほうれん草1/2束
  • A・創味シャンタンDX10g
  • A・料理酒100ml
  • A・水300mlA
  • A・牛乳100ml
  • A・カットトマト缶1/2
  • A・ニンニクすりおろし1かけ
  • A・砂糖大さじ1
  • 塩適量
  • バター10g
  • 生クリーム適量
  • 粉チーズ・オリーブオイルお好みで
 
  1. 海老は殻をむき、身は背わたを取り酒、塩、片栗粉で洗います。
  2. セロリ、ほうれん草、キャベツはざく切りにします。
  3. 玉ねぎは繊維を断つように、5cmは幅に切ります。
  4. テフロン加工の鉄鍋で海老の殻を乾煎りします。
  5. 白っぽくなったら水を加え、殻を押しつぶし出汁を出します。
  6. 海老の殻は取り出し、Aの材料を加えます。
  7. 塩で味を整え、野菜を加えていきます。
  8. 最後に豚肉、海老を加えて火を通し、生クリームを一周回しいれバターを加えます。
  9. お好みで粉チーズ、オリーブオイルを加えて完成です。

ビスクの濃厚な旨味を鍋で堪能するアレンジレシピです。鍋の締めにはやはりパスタがおすすめです。海老の旨味を最後まで味わい尽くしてください。

ワタリガニのビスク

  • ワタリガニ(足)1キロ
  • バター25g
  • A・玉ねぎくし切り1個
  • A・人参薄切り1本
  • A・ニンニク(潰す)2かけ
  • A・セロリ(葉)1/2本
  • ブランデー1/2カップ
  • B・鶏スープ2リットル
  • B・塩小さじ1/2
  • B・ローリエ1枚
  • 牛乳500ml
  • トマトピュレ600ml
  • 生クリーム1/2カップ
 
  1. ワタリガニはよく洗い、水気を切ります。
  2. バターを熱した鍋で、殻を潰すようにしながら炒めます。
  3. ワタリガニの色が変わって、いい匂いがしてきたらAの野菜を加えます。
  4. 野菜がしんなりしてきたらブランデーを加え、アルコールを飛ばします。
  5. Bの材料を加えたら蓋をして、ごく弱火で1時間半煮込みます。
  6. 粗熱を取り、ミキサーに入れて撹拌します。
  7. 粗めのザルで漉したら牛乳を加え、さらに細かいザルで漉します。
  8. 鍋に入れトマトペースト、牛乳を加え中火で煮ます。
  9. 塩で味を整え、生クリームを加えたら出来上がりです。

海老の代わりにワタリガニを使ったビスクのレシピです。ワタリガニの殻は硬いので、扱いには注意してください。濾す作業を何度か繰り返すことで滑らかなビスクになります。

ビスクの作り方をマスターしてプロ級の料理を作ろう!

フランスの伝統的な料理であるビスクはエビのエキスを余すところなく味わえる超濃厚スープです。本格的なビスクを作るとなると手間はかかりますが、家庭でも作ることはできます。

ビスクの高級感のある味は大切な人のおもてなしや記念日などの特別な日におすすめです。じっくりとコトコト煮込んで作る本格ビスクを時間があるときに作ってみませんか?

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