ワインの栓の種類と特徴を解説!開封後の保存は栓が重要!
ワインの栓はコルクだけではありません。いくつか種類がありますし、近年ではスクリューキャップやガラス製などのコルクのデメリットを排除し、扱いやすくなったものも広まりを見せています。開封後長期保存するには栓が重要です。今回は栓の種類とその特徴を紹介します。それにあわせて、抜けない場合の対処方法や栓抜きがないときの代用品、スパークリングワインの場合の注意点なども紹介します。保存方法を知れば、よりワインが身近で楽しいものになること間違いなしです。
目次
残ったワインを長持ちさせる時の栓はどうすればいい?
「ワインは一度栓を開けたら、その日のうちに飲んでしまわなければならない」という言葉を一度は聞いたことがある人は多いと思います。ワインは空気に触れた瞬間から酸化されていき、少しずつ味が変わってきてしまいます。
ですが、ボトル1本は量が多く、家庭ではなかなか1日で消費しきれません。開封後のものをもたせたいなら、空気が触れないようにすることが一番重要です。
一番簡単な保存方法は、もう一度栓をすることです。ワインの栓に重要なコルクについて種類やグッズ、栓抜きがないときの代用品、抜けないときどうすればよいかなど紹介します。
ワインの栓の種類別特徴
ワインに使われている栓といえば、やはりコルクです。ワインの多くはコルクが使われています。しかし一口にコルクといっても、実は様々な種類があります。ワインのコルク、そしてコルク以外のものについて紹介します。
天然コルク
多くの人が思い浮かべるのは天然コルクです。天然コルクはコルク樫の樹皮のみをはぎ、樹皮のコルク層を円筒形に型抜きして作られます。天然素材のため、出来上がったものの品質にばらつきがあるのが特徴です。
高級ワインに使用されるコルクは木目が細かく、長さも長くなります。しかしながら、近年では世界的にコルクの原料を調達することが難しくなっているため、違うタイプのものが使われることが増えています。
圧搾コルク
コルク樫の樹皮は、1回目のはぎとりでは表面に亀裂や凹凸が多く、加工製品の素材として使われません。その後、数年ごとに再度厚く成長した樹皮をはぎ取り、型抜きして天然コルクを作ります。
型抜きして残った樹皮、これを粉砕して接着剤とともに圧縮して作られたものが圧搾コルクです。天然コルクよりも安価なため、長期熟成させないワインに使用されることが多いです。
圧搾コルクと天然コルクを合わせたもの
圧搾コルクと天然コルクを合わせたものも存在します。端は天然コルクを使用し、真ん中は圧搾コルクが使用されています。
天然コルクと圧搾コルクを比べると、やはり粉砕したコルクの貼り合わせである圧搾コルクは強度が弱くなります。そのため、強度が必要とされる部分に天然コルクを張り、高級感と耐久性を持ち合わせながらも安価というのが圧搾コルクと天然コルクを合わせたものの魅力になります。
樹脂製コルク
コルク樫を使用した天然コルク・圧搾コルクには欠点があります。一つはコルク臭です。コルクの漂白に用いられる塩素系漂白剤とカビの反応により、不快臭であるコルク臭が生まれます。このような劣化をブショネと呼びます。
2つ目は天然素材であるため品質にばらつきがあり、高品質なものは調達に限界があることです。低品質なものでは空気を遮断しきれなかったり、液漏れを引き起こすことがあります。
これらの問題を解決したのが樹脂製コルクです。シリコンなどの樹脂を原料として作られるプラスチックのもので、カジュアルなワインに使用されることが多いです。コルク臭の心配はなく密閉性もあります。
しかし、樹脂製コルクにも欠点があります。コルクのすべりが悪い上、密度も高くスクリュー部分が太いオープナーでは開けにくいです。
スパークリングワイン用コルク
スパークリングワイン用コルクというと、きのこ型を想像するのではないでしょうか?もともとは円筒状の密度が高いずっしりと重いコルクが使われています。
スパークリングワイン用コルクはボトルにしっかり密着し、ガスを閉じ込めなければなりません。それだけではコルクが飛んでしまうため、スパークリングワインは瓶口周りを針金で留めているのも特徴です。
中には、この針金を外しただけでガスの圧力によりコルクがあがってくるものもあります。そのため、スパークリングワインの栓は機械でしっかり押し込まれます。そうすると、瓶口部分にあたるコルクがくびれてきのこ型になるのです。
スクリューキャップ
スクリューキャップは1970年頃から使用されるようになりました。スクリューキャップは安物に使われているイメージが消費者に強く根付いていますが、実際はそんなことはありません。
近年ではニュージーランドで90%以上のシェアを獲得し、近くのオーストラリアでも多く使用されるようになったため、シェアは非常に広がっています。スクリューキャップは天然コルクや他のコルクと比べてコストが低いこと、手軽に開けられるメリットがあります。
当然コルク臭のリスクはありませんし、コルクと比べ空気をほぼ完ぺきに遮断するため、瓶内でのワインの熟成がよりゆるやかに進行するというメリットもあります。コルクの乾燥に気を使う必要がないため、ボトルを横に寝かせて保管する必要もありませんし、コルクが崩れて瓶内に落ち風味に影響を与える心配もありません。
それでも大衆的なイメージが強く、コルクのほうが消費者の人気があります。特に中国ではコルクの湿り気具合で本当に高級なものかを見極める方法というものが広まっており、コルクのワインこそ高級というイメージが根強くあります。
ガラス栓
スクリューキャップはコルクの消費を抑えようというエコな観点からも広まりをみせています。それと同様、近年広まりつつあるのがガラス栓です。
コルクのガラスバージョンのようなもので、栓抜きがいらず開け閉めが簡単にできるのが特徴です。ドイツを中心に浸透してきています。本場ではヴィノ・ロックと呼ばれ、見た目もおしゃれです。
ワイン開封後の保存方法
家庭で開封後のワインを保存するとき、瓶口をラップで包み輪ゴムでとめる人は多いのではないでしょうか?美味しく保存するには栓を使ってしっかりと瓶口をふさぎ、空気に触れさせないことが重要です。
それに加え、もっと持たせたいときは次の5つの保存方法を行うと、格段に長持ちさせることができます。
真空状態で酸化を防ぐ
ワインを美味しい状態で長期間とっておくには空気に触れさせないことがもっとも重要です。ボトル内の空気をぬいて真空状態にする、もしくは真空容器に入れて保存することをおすすめします。
ボトル内を真空にするポンプや、真空ハジーボトル(ボトル内が常に真空になっており、そのまま保管しても酸化を防いでくれるグッズ)などを利用すると簡単に酸化を防ぐことができます。
栓をするとともに空気を抜いてくれるグッズもあります。ただ、スパークリングワインは炭酸が抜けてしまうため、真空状態にするのは難しいです。スパークリングワイン用のものをしっかり使いましょう。
冷蔵庫で保存
保存に適した場所は冷暗所です。明るい場所では光によって劣化し、劣化臭を発生させる場合があります。温度の変化がある場所だと熟成が進み、風味が落ちてしまうこともあります。どの家庭でも必ずある一番の保存場所が冷蔵庫です。
冷蔵庫は保存に適した温度になっています。特に野菜室に保存すると開け閉めする確率が低く温度変化が少ないですし、冷蔵庫内でも湿度が比較的高い場所でもありますので、乾燥の影響がでにくくなります。通常は横向きに、スパークリングワインは立てて保存しましょう。
窒素ガスを利用
出典: http://iewine.jp
窒素ガスをボトルに入れるのも長持ちさせる保存方法の一つです。ボトルの中に無味無臭の窒素ガスを注入し、空気中の酸素濃度を下げて酸化を防ぎます。窒素ガスはワインショップ等で数千円で購入でき、一回の使用量は少ないためコスパも悪くないです。
真空にするには力がいる場合もありますが、窒素ガスは楽に保存することができます。スパークリングワインの場合は窒素ガスより炭酸ガスをおすすめします。
実際、ボトル内にいれるガスは窒素ガスでなくともかまいません。アルゴン・炭酸ガス・ヘリウム・ネオン・クリプトン・キセノンなどの不活性ガスならどんなガスでも代用してかまいません。窒素ガスはこれらの不活性ガスの中で最も安価なため使用されています。
ですが窒素ガスより、アルゴンガスのほうが空気と比べ比重が重いため、酸素を確実に追い出します。少し高いですが、高級なワインを保存するならアルゴンガスがおすすめです。
小瓶に移す
真空にするアイテムもない、窒素ガスもない場合は小瓶に移すことをおすすめします。残ったものを小瓶に移し替え、瓶の中の空気量を少なくすると酸化スピードを遅らせることができます。洗ったハーフボトルを使うのがおすすめです。
最初から残ると分かり切ってる場合は、開けたら小瓶にすぐ移し替えれば酸化がより防げます。小瓶の注ぎ口ぎりぎりになるまで注ぐのがコツです。
スパークリングワインの場合は普通のものだと内圧で破裂、もしくは栓が飛んでしまうことがあるのできちんとスパークリングワイン用のものを使いましょう。
しっかりと栓をする
最後、大事なのはとにかくしっかりと栓をすることです。抜いたコルクしかない場合はコルクの反対側を瓶口にさせば空気を遮断してふさぐことができます。
真空にする、窒素ガスを利用する保存方法とくらべるとやはり酸化スピードは速いですが、なにもしないのと比べたらやはり酸化スピードは遅くなります。しっかりと栓をして、ワインを保存しましょう。
スパークリングワインは再栓することができませんので、スパークリングワイン用のグッズを購入するか、完全に飲み切るようにしましょう。
ワイン開封後の保存に使える栓やグッズ
開封後の保存には栓や真空にするグッズが重要だと、前述を読んで感じたと思います。家で保存して楽しむのに、最低限あると便利なグッズ3つを紹介します。
真空ポンプ
一つ目は真空ポンプです。ワインショップならどこでも売ってるアイテムで、二千円~三千円ほどの予算で購入できます。基本的にゴムとプラスチックの特殊栓と小型の手動ポンプがセットになっており、ポンプを使って瓶内の空気を外に吸い出し、瓶内を真空にします。
手軽なグッズのため完璧に真空になるわけではないですが、ただ栓をするだけと比べたら圧倒的に酸化を防ぐことができます。
有名なのはバキュンというオランダのブランドです。デザインもいくつもあり、好みのものを選ぶことができます。一度購入すれば何度でも使えるため、おすすめです。
ワインストッパー
ワインストッパーはコルクよりしっかりと空気をシャットアウトできるグッズです。真空ポンプ機能付きのものが多く、密閉力も高いため酸化させずしっかりと長持ちさせることができます。
ストッパーにはいろいろ種類があり、密閉力が高いものもあれば、日付管理ができるストッパーなどもあります。おすすめなのが注ぎ口付きのストッパーです。
注ぎ口のことをポアラーと呼びます。ポアラー付きのものだといちいち外す手間も省けますし、注いだときの美味しさアップも狙えます。ポアラーはただの注ぎ口と違い、ワインを適度に空気に触れさせて香りと風味を良くしてくれます。家に一つはあると便利です。
シャンパンストッパー
シャンパンやスパークリングワインを好むひとはシャンパンストッパーがとても重要です。これまでも紹介してきた通り、ガスを含むものは栓が大きく作られており、人間の力では再利用することができなくなっています。
とくに工夫のないものの場合、中の炭酸がどんどん抜けてしまうか、内圧に負けて抜けてしまうことがあります。専用のものはとても重要です。シャンパンストッパーは、炭酸ガスが抜けないようにしっかりと栓をしてくれるアイテムです。
基本的にシャンパンストッパーの構造は、ゴムやシリコンなどの弾力性のある素材でボトル口を塞ぎ、金具でしっかりと固定するものです。大抵の瓶であれば簡単につけることができます。
炭酸が抜けにくくするため、加圧してガスの気抜けを防ぐ加圧式シャンパンストッパー、ストッパーをつけたままシャンパンをそそげるシャンパンセーバーなども人気です。
ワインの栓が抜けない理由と対処法
コルクは抜けないことがまま起き、困ったことがあるのではないでしょうか?無理やり抜こうとするとコルクが割れてしまい、瓶内に破片が落ちてしまうこともあります。コルクが抜けない理由と、抜けないときの対処法について紹介します。
抜けない理由
コルクが抜けないときはたいてい、コルクが硬くて抜けないことが多いです。コルクが硬いと感じるのはなぜでしょう?コルクは乾燥していると硬くなります。
若いワインはコルクに十分湿気が浸透しておらず、硬くてなかなか抜けないということが多いです。年代ものの場合はコルクにワインが染みこみ、柔らかくなっていて抜けないことはめったにありません。逆にコルクがもろくなっていて割れてしまう危険性があります。
硬いと感じないのに抜けないときは栓抜きがしっかりと刺せてないことが多いです。栓抜きをきちんと刺さないと力が上手にかからず、コルクが抜けなくなってしまいます。
対処法
栓抜きがしっかりと刺さってないときはきちんと垂直に刺しなおせばいいですが、コルクが硬くて抜けないときはどうすればいいでしょう?基本的な抜けない場合の対処法が次の通りです。
ボトルを横にしておく
コルクが乾燥すると、硬くなって抜けなくなってしまいます。そこでボトルを横にして置くと、ワインがコルクに染みこみ、コルクが柔らかくなって抜けやすくなります。ボトルを横にして保存するとよいと言われるのはこれが理由です。
また、湿気たコルクは乾燥したコルクよりしっかりと空気を遮断して酸化を防いでくれます。とくに若いワインを購入したときはボトルを横にして置くようにしましょう。
ネジで抜く方法
栓抜きが上手に使えないときはネジを使うのも一つの手です。ネジをコルクに刺し、その頭をくぎ抜きで抜くとコルクが抜けます。力がかけやすいため、抜けないコルク以外でもこのほうが抜きやすいかもしれません。
栓抜きやネジがなくても、壁掛けフックなどを代用することができます。コルクが途中で割れてしまったときは、良く洗ったネジを刺しこみ、ペンチでネジを掴んで抜くとコルクを抜くことができます。
スクリュープルや二枚刃の栓抜きを使う
一般的に良く知られている栓抜きはテコ式(ウイング型)と呼ばれ、羽のような持ち手の中心に垂直にスクリューがあるものです。これよりもさらに力いらずで簡単にできるのがスクリュープルです。
アメリカの石油発掘技術者が開発したもので、コルクの中央にスクリューを刺し、頭の部分を回すだけで抜くことができます。
二枚刃式オープナーも使いやすいです。2枚の刃をボトルとコルクの間に差し込み、ボトルからコルクを剥がすように抜くことができます。途中で割れてしまった場合も使えるのでおすすめです。
ワインの栓抜きが無い時の代用
栓抜きがない場合、身近なものを代用して抜くことができます。栓抜きがないときの代用方法について紹介します。
靴を使う
一つ目の代用品は靴です。靴を代用品として使うことができます。やり方は次の通りです。まずボトルを持ち、瓶の底を靴のかかと部分に押しあてます。あとはそれを壁に叩きつけるだけです。
壁を叩くたびにコルクが抜けていきます。これは空洞現象という物理現象です。空洞現象とは、キャビテーションとも呼ばれ、液体の流れの中で圧力差により短時間に泡の発生と消滅が起きる物理現象のことを言います。
超音波洗浄機などはこの空洞現象を利用し、泡を発生させることで物体の表面から汚れを落とします。今回の場合は、簡単に言うと泡が発生し消滅する際の衝撃でコルクが押し出されるという現象が起きているのです。
靴を使わなくても、割れなければなんでも良いのでタオルなどを代用してもかまいません。壁に叩きつけるときは割れないように気を付けましょう。
ネジで代用する
栓抜きの代用品、二つ目はネジです。前述でも紹介しましたが、ネジをドライバーでくるくると刺しこみ、ペンチで抜くことでコルクを抜くことができます。
ペンチがないときはフォークで代用できます。小さなくぎも代用品になります。くぎをコルクに打ち付けて、くぎ抜きで抜く方法です。
ナイフを使う
ナイフも代用品になります。小さめなナイフを用意し、ナイフの先端をコルクの真ん中に刺し、奥まで入れます。ナイフを回すようにしながらゆっくりと引き抜くとコルクを抜くことができます。
強い力でナイフを回すとコルクがボロボロになってしまうので、ゆっくりと回すのがコツです。刃物を使うので、十分注意して行ってください。
中に押し込む
最終手段はコルクを中に押し込むことです。栓抜きを使っても栓抜きの代用品を使ってもコルクが抜けない、もしくは割れてしまったときは、コルクを中に押し込んでしまいましょう。
スプーンの柄などを使い、コルクを中へ押し込みます。割れてしまっている場合はコルクくずが中に沈んでしまいますので、注ぐときは濾して注ぐようにしてください。
ワインの栓の特徴を理解して開封後も長期保存
ワインの栓は一般的に知られているコルク以外に、圧搾コルク・天然コルクと圧搾コルクをあわせたもの・樹脂製コルク・スパークリングワイン用コルクなどがあります。近年ではエコの観点・扱いやすさからスクリューキャップやガラス栓なども広まりを見せています。
栓はワインを保存するのに重要なポイントです。栓がなければ当然酸化してしまいますし、コルクが乾燥してしまえば空気が入り込み、酸化が進んでしまうことがります。
開封後に保存するには、真空ポンプ・ワインストッパー・シャンパンストッパーなどのグッズも重要です。ワイン栓の特徴を理解し、これらのグッズを使って飲み残したワインを長期保存しましょう。家庭での晩酌がより楽しい自由な時間になります。