デカンタとは?デカンタージュの意味と方法!向いている・いないワインは?

デカンタ・デカンタージュの意味を知っていますか?デカンタとは、ワインをボトルからグラスに直接注ぐのではなく、いったん別の容器に移し替えるときに使うガラス製の酒瓶です。この移し替える行動をデカンタージュと言います。そういわれてみると、ソムリエがデカンタージュするスタイリッシュな光景が頭に浮かぶ人も多いのではないでしょうか?デカンタージュはただおしゃれなだけでなく、ワインをより美味しくする技法でもあります。デカンタ・デカンタージュについて、よく混同されがちなカラフェについてもあわせて紹介します。

デカンタとは?デカンタージュの意味と方法!向いている・いないワインは?のイメージ

目次

  1. 1デカンタとカラフェとは?
  2. 2デカンタージュ(デキャンタージュ)の意味
  3. 3デカンタージュの方法
  4. 4デカンタージュに向いているワインと向いていないワイン
  5. 5デカンタージュでワインの深みを格上げ

デカンタとカラフェとは?

デカンタを知っていますか?ワインを楽しむうえで登場するデカンタ、またはデカンタージュという言葉、聞いたことはあっても意味をきちんと知ったことがある人は少ないと思います。

デカンタと同様耳にするのがカラフェです。カラフェに関連してカラファージュという言葉もあります。カラフェ∸ジュの言葉の意味はデカンタージュよりも知らないかもしれません。

今回はデカンタ・カラフェについて意味ややり方などについて紹介します。ワインをより良く楽しむために、ぜひデカンタ・カラファージュについて知ってください。

デカンタとは?

デカンタ(decanter)とは、卓上用のガラス製の酒瓶のことを意味します。語源はフランス語です。ワインなどをボトルからグラスに直接注ぐのではなく、デカンタと呼ばれる別の容器にいったん移してからグラスに入れるために使用されます

デカンタに入れることで、ワインに対し様々な効果が期待できます。その効果のために、いろいろな形状のデカンタが見られます。静かに注ぎやすくなっているもの、広めの口でワインの酸化を促進させるもの、ワインに触れる空気の量を調節しやすいもの、ワインを注ぐときに優雅な仕草がとれるよう工夫された形状のものなどです。

シンプルながらも計算されたデザインのものが多く販売されています。デカンタには容量や形状に決まりはありませんが、ワインボトル1本分以上の容量が入るものがほとんどです。

カラフェとは?

ではカラフェとはなんでしょう?カラフェ(carafe)とは、水差しという意味をさすフランス語です。ワイン専用の容器でなく、様々な飲み物に使われます。そのため大きいサイズのものから、容量が小さいものもあります。いろいろな種類があるのはデカンタと同じです。

カラフェがお店でワインに使われる場合は、ボトルの半量を注いでハーフボトルとして提供されることが多くあります。しかしながら、日本においてデカンタとカラフェは存在が混同されがちです。

カラフェをデカンタの使用目的として使うこともできますし、見た目的にもお互い様々なものがあるため、区別がたいへん難しいです。カラフェの一種であるデカンタという考えもできます。デカンタとカラフェは、はっきりと区別する意味はあまりないと言えるでしょう。

デカンタージュ(デキャンタージュ)の意味

デカンタは、ワインなどをボトルから別の容器(デカンタ)にいったん移してから、グラスに入れるために使用されます。この行動をデカンタージュと言います。デカンタージュすることにいったいどんな意味があるのでしょう?

先ほど少し触れましたが、デカンタージュをすることでワインに様々な効果が期待できます。主に演出効果、ワインの温度を適温に上昇させる、ワインを開かせる、古いワインから澱(おり)を取り除かさせることができます。特に重要なのがワインを開かせることと、澱を取り除くことです。

ワインを開かせる

ワインの乾杯

ワイン用語で「ワインが閉じている」、「ワインが開いている」と表現することがあります。ワインが閉じているという意味は、タンニンの渋みや酸味が突出して感じられ、香りに広がりのない状態を指します。熟成が進んでいない若いワインに多い現象です。

それに対し、ワインが開いている状態とは、タンニンの渋みや酸味の角が取れてまろやかになり、複雑な風味が豊かに感じられるようになったことを意味します。栓を抜いてすぐに開いている状態を楽しめるワインもあれば、抜栓してから何時間もかけないと開かないワインもあります。

デカンタージュすることで、ワインを空気に触れさせて酸化させることができます。酸化させることで、閉じているワインを開かせることができるのです。

グラスに注がれたワインを飲む前に、グラスの中でワインをクルクルと回すスワリングによっても、ワインに酸素を溶けこませることができます。しかし、グラスでは空気に触れる面積が小さく時間がかかるうえ、スワリングのやりすぎはマナーに反します。デカンタージュすることでマナー良く、ワインをより美味しく味わうことができるのです。

澱を取り除く

デカンタージュするもう一つの重要な目的は澱(おり)を取り除くことです。澱とは、ワインに含まれる沈殿物のことを意味します。年代物のワインによく見られます。澱には苦みがあるため、ワインが渋くなり本来の美味しさを味わえなくなってしまいます。

ワインをデカンタに注ぐときはボトル内で澱が舞わないよう、ゆっくりと上澄みのみを注ぐのがポイントです。特に年代物のワインの中でも、タンニンの豊かなブルゴーニュの赤ワインや、熟成がすすんだブルゴーニュの白ワインなどは、デカンタージュで澱を取り除くことで雑味がなくなるといいます。

澱を取り除くと同時に、ワインを空気に触れさせ開かせることで、より美味しいベストコンディションのワインを楽しむことができます。デカンタージュはとても重要なワインの技法なのです。

カラファージュとは?

デカンタージュに対し、カラファージュワインをボトルからカラフェに移すことを意味します。あまり大きな違いはありません。

しかし、カラフェはボトルワインの半量を注いでハーフボトルとして提供したり、ハウスワインをグラスに分けやすいよう、ボトルワインから移し替えるなど、サービスのしやすさやテーブル演出のために用いりやすいものも販売されています

デカンタはワインボトル1本以上入るものなので、ここが最も大きな違いです。サービスしやすいようワインを移し替えるついでに、ワインを空気に触れさせ開かせるのがカラファージュと言えるでしょう。

デカンタージュの方法

デカンタージュはワインを美味しく楽しむのにとても大切な技法です。デカンタージュの基礎知識を覚えたら、次はぜひ自分でデカンタージュを実践してみましょう。デカンタージュの方法について詳しく紹介します。

デカンタの選び方

デカンタには様々な素材・形状のものが用意されています。主な素材はガラス・耐熱ガラス・ステンレスなどです。形状は広口のもから細口のもの、デザイン性の高いものなどあり、いざデカンタを選ぼうとすると迷ってしまいます。

デカンタを選ぶときに大事なのは、どのようなワインに用いるかを考えることです。まだ熟成年月が浅く、ボトル内熟成が進んでいない若いワインほど、デカンタージュすることで開かせることができます。若いワインを飲むことが多いなら、空気に触れさせやすい胴体が広いタイプのデカンタを購入するとよいです。

逆にボトル内熟成が十分に進んだヴィンテージもののワインの場合は、デカンタージュで空気に触れさせるよりも、主に澱を取り除くことが大事な目的になります。ヴィンテージもののワインを美味しく飲みたいならば、細口のデカンタを購入することをおすすめします。

デカンタにはテーブルを華やかに演出する優雅なデザインのものや、ユニークな形のものなどデザイン性に高いデカンタも多くあります。しかしながら、デザイン性の高いデカンタはその分値段も高く、デザインによっては破損しやすいというリスクがあります。洗いにくく管理しづらいものもあり、よっぽど心に響いたものでなけでばオーソドックスなデカンタを選んだほうがよいです。

お気に入りのデカンタを見つけて、気軽にワインをデカンタージュしてみましょう。日々の晩酌をより味わい深くしてくれます。デカンタが用意できない場合は、清潔な空き瓶に漏斗などを使って移し替えたり、スワリングしてからフタして待つなどの代用手段があります。

デカンタージュの方法

次にデカンタージュの方法を紹介します。まず、コルクの屑がボトルに入らないよう気を付けながらコルクを引き抜き、ワインボトルの口を布巾で拭きます。デカンタにごみや埃が入らないよう注意してください。

次に利き手にワインボトル、反対の手にデカンタを持ちます。ワインボトルは下のほうを包むように、デカンタはくびれている細い部分を持ちます。

ワインボトルとデカンタ、両方を傾けてゆっくりとワインをデカンタに注ぎます。ワインボトルが不安定になりますので、デカンタを持つ手の親指を立て、ボトルにそっと添えて支えると安定して注ぐことができます。

ボトルの下1cmほどの部分には澱が溜まっています。澱がデカンタにはいらないよう、ボトルのネック部分を下からライトで照らしながら慎重に移し替えます。ソムリエも非常に気を使う部分ですので、ゆっくり慌てずデカンタージュしましょう。

ボトルをデカンタに当てないことも大事です。クリスタル製など、繊細なデカンタはボトルが当たることで欠ける恐れがあります。エレガントさもとても重要です。こうして、ゆっくり注ぎ込むことでワインを十分空気に触れさせることができます。以上がデカンタージュの方法です。

澱がない場合

澱がないワイン

澱がないワインのときは全く澱を気にせず、ワインをデカンタに注いで良いものでしょうか?若いワインの場合、澱がほとんどないことがあります。その場合は澱を気にする必要は当然ありません。その分、たっぷり空気に触れさせることに重点を置いてください。

ゆっくりデカンタの壁を伝うように注ぐことで、ワインをたっぷり空気に触れさせることができます。逆に、デカンタにワインボトルを立てるように、勢いよく注ぐのも空気を混ぜ込むように触れさせることができるので、ワインの味や香りを開かせることができます。

デカンタージュのベストな時間

砂時計とハリネズミ

ワインを飲むとき、デカンタージュはどのタイミングでやるべきでしょう?ワインを飲む直前でしょうか、それともワインを飲む前に時間をおいてやるべきでしょうか?これは非常に難しい問題です。

どの程度空気に触れれば飲み頃になるかは、ワインの熟成具合はもちろん、原料となるブドウの種類や産地、造り手の考え方、醸造過程などによっても異なります。本来、ワインは栓を抜いてからしばらく時間をおくことで、自然に空気に触れて飲み頃になるといわれています。

そのため、コルクを抜いてから飲み頃までに要する時間は、ラベルに印字されている年代が新しいものほど長め(約2~3時間)、古いものほど短かめ(約30分~1時間程度)とされています。デカンタージュはこの時間を短くするために行うものです。

しかし、ワインは個性豊かなお酒です。デカンタージュしながら香りの変化を確かめ、飲み頃を見極め探ることが重要になります。これを探ることもワインを楽しむ楽しみの一つです。

デカンタージュに向いているワインと向いていないワイン

若いワイン・古いワインによってデカンタージュの目的は変わってきます。デカンタージュに向いているワインと向いていないワインもあるのでしょうか?デカンタージュに向いているワインと向いていないワインを紹介します。

向いているワイン

棚に並ぶ様々なワイン

デカンタージュすることでワインの香りや味に確かな変化が生まれますが、どのようなワインにもデカンタージュが必要なわけではありません。デカンタージュによって味や香りが良くなるものがある一方で、逆に風味を損ねるワインもあります。デカンタージュに向いているワインは主に成熟したワイン若い赤ワインです。

成熟したワイン

成熟した赤ワインや、ミネラルの豊富なヴィンテージ白ワインには、熟成の過程で生じる澱が含まれています。デカンタージュすることで澱のない部分をとりだし、心地良いタンニンの味わいだけを残すことができます。赤ワインの渋みが苦手な方は、ソムリエにデカンタージュしてもらうと飲みやすくなる可能性もあります。

若い赤ワイン

実は若い赤ワインはデカンタージュをほとんどしません。しかし赤ワインは酸味やタンニンが強くなりがちなため、デカンタージュが有効な場合もあります。

若い赤ワインを空気にたっぷり触れさせることで、若さからくる刺激をやわらげ、ワインそのものの香りや味がより引き立ち、より美味しく感じられる場合もあります。特に渋みが強いボルドータイプ(アメリカ・チリ・オーストラリア産のカベルネ・ソーヴィニヨン種の赤ワインなど)のワインはデカンタージュに向いています。

向いていないワイン

向いてない白ワイン

デカンタージュが向いていないワインはタンニンや酸味が強くならないものです。白ワインスパークリングワインはタンニンを感じることが少なく、低めの温度で心地よい酸味とフレッシュな果実味を楽しむことが多いワインです。むやみやたらにデカンタージュすると味が損なわれてしまいます。これらのワインはデカンタージュに向いていません。

デカンタージュでワインの深みを格上げ

ワインをデカンタージュするソムリエの姿は、とてもスタイリッシュでかっこいいものです。華やかながら、ワインを美味しくするために重要な役割を担っているデカンタージュ、ぜひ自宅でも実践してみてください。ワインをより深く味わいましょう。

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