2019年04月17日公開
2024年09月12日更新
ウコギとは?米沢では生垣を食べる?春が旬「ウコギ」の特徴を調査
ウコギという植物を知っていますか?ウコギとは春が旬の山菜の一種でとても栄養豊富な植物です。また山形県の米沢市では生垣として植えられるなど特徴的な使われ方もしています。山菜なのに生垣にもなる不思議な植物ウコギですが、栄養豊富なだけでなく、さまざまな食べ方もできるのです。あまり馴染みのない春が旬の山菜、ウコギのレシピや食べ方、家でできるウコギの育て方や育て方のポイントについて調べてみました。
目次
ウコギは春の訪れを知らせる山菜
出典: https://tenki.jp
あまり馴染みのないウコギですが、実は全国に自生している山菜です。春先に新芽が出るため、春を知らせる山菜といわれています。今ではあまり知られていませんが、古くから春を代表する山菜として食べられてきました。馴染みが無いようで実は歴史があるウコギは葉から根元まで利用できる万能な春の山菜でもあるのです。
ウコギとは?
ウコギは春を知らせる山菜で、たらの芽やウドなども含まれるウコギ科の植物です。日本には7種が生育していて、山菜として食べられているのはヒメウコギがほとんどです。もともとウコギは日本の山菜ではありません。
また、山形県の米沢市では、ウコギの歴史とともに生垣としても使われています。山菜が生垣とは意外な使われ方ですが、そこにはウコギが持つある特徴が生かされていることがわかりました。
薬用として中国から伝わった
7種類生育しているウコギですが、食用となっているヒメウコギは中国原産です。日本には薬用として持ち込まれたのが最初といわれていて、平安時代には根や幹を煎じて漢方のひとつとして強壮剤として飲まれていたり、根や木の皮を天日干しにして、焼酎に漬け込んだりするなど幅広く利用されてきました。
1600年代に発行された「日葡辞書」には「根は薬用に、葉は和え物に、幹は酒に用いる」と記されています。また平安時代の「延喜式」には、朝廷にウコギの皮が献上されるほどウコギは薬用として重宝されていました。薬用として使われていたのはウコギの持つ栄養も関係しています。
米沢ではウコギが生垣に?
出典: https://tenki.jp
薬用として重宝されてきたウコギですが、山形県米沢市では生垣として使われています。これは戦国時代、上杉家を支えた智将・直江兼続の時代にさかのぼります。米沢でのウコギの栽培は直江兼続が始めたといわれその後、上杉鷹山が生垣として栽培することを推奨したと伝えられています。ウコギが生垣となったのは2つの理由があります。
まずはその葉の特性です。ウコギにはトゲがあるため生垣にすれば、人や動物などの侵入を防ぐことに向いているためです。そしてもうひとつは、芽は栄養が豊富で食べられるということです。上杉鷹山の時代、藩は財政難で藩主の上杉鷹山も質素な生活をしていました。
そんな中、ウコギを生垣として植えることで、防犯と食用とに役立つとして推奨したのです。時は戦国時代ですからいつ食糧難が来てもおかしくありません。つまりウコギは飢饉にも備えて生育されました。ウコギの生垣は上杉鷹山の質素に生活する心構えを表した米沢のシンボルでもあるのです。
味の特徴
米沢に春を告げるウコギですが、その味はタラの芽などに代表されるよう春の山菜らしいほのかな苦味があるのが特徴です。葉はシャキシャキとしていて、独特の香りを持っています。しかし、その香りと苦味が滋味深く、クセになる味わいで、米沢で長きにわたって愛されてきたのも理解できます。
ただ、アクが強いのも特徴です。アク抜きをしっかりしないと渋みが口の中に残ってしまいます。しっかりとアク抜きをすれば、ほかには無い味わいを楽しむことができます。
旬の時期
米沢に春を告げる山菜、ウコギですがその旬は新芽が伸び始める3月~6月です。この頃のウコギが一般的に食べられているもので、旬を迎えたウコギは柔らかく香り高いので好まれています。
また「新梢」と呼ばれ枝の先端や、幹の途中などから、新しい芽が少し伸びた状態のものもあり、これは8月下旬まで流通しています。旬の時期とはずれている新梢は葉の先端を摘んで食べます。
ウコギに含まれる栄養
米沢では生垣に使われるウコギですが、とても栄養が豊富な山菜です。その薬効と栄養成分から新たな健康食品としても注目を集めつつあります。旬を迎えたウコギの栄養成分は同じ山菜の追随を許さないほどです。山形では米沢のウコギの栄養成分や効能について研究されているほどなのです。
ポリフェノールなどの抗酸化物質
ウコギの栄養成分の中でもっとも代表的なのがポリフェノール類です。中でも特徴的なのがウコギのポリフェノール類は抗酸化作用の強いクロロゲン酸が豊富に含まれているということです。高い抗酸化作用があるということは、体の老化の原因のひとつである「活性酸素」の働きを抑制してくれます。
活性酸素が抑制されることで、老化の対策になるだけでなく、がん細胞の増殖や動脈硬化など病気を抑えてくれます。また米沢の短期大学で行われたラットを使った研究では、血糖値が下がったという結果も出ています。
ビタミンやミネラルがたっぷり
旬のウコギにはビタミンやミネラルも豊富な栄養素として含まれています。中でもビタミンではビタミンAとビタミンCが豊富です。ビタミンやミネラルは、人間のエネルギーの素となる三大栄養素の炭水化物、脂質、たんぱく質などがエネルギーをはじめ筋肉や骨、皮膚などに働きかけるときの手助けをする栄養素です。
つまり体の基礎を作る栄養素として欠かせないものなのですが、現代人はビタミンもミネラルも不足しているといわれています。ウコギには現代人に足りない栄養を補ってくれるという特徴もあるのです。
ごぼうに匹敵する食物繊維
便秘対策などの代表的な食物のひとつがごぼうです。ごぼうは食物繊維がとても豊富なためです。実はウコギはこのごぼうに匹敵するほど食物繊維も豊富です。つまり便通を促進したり、腸内の有害物質を体外に排出する働きをしてくれるのです。
また、食物繊維というと、整腸作用などの特徴に注目されていますが、ウコギには食物繊維だけでなく、ポリフェノール類も豊富に含まれています。食物繊維とポリフェノールという2つが体に働きかけることで、糖尿病の改善にもなることもわかっています。
ウコギのおすすめの食べ方
栄養豊富な旬のウコギですが、馴染みが薄いためどんな食べ方をすればよいのかわからない人も多いのではないでしょうか?米沢などで食べられているウコギの定番の食べ方を紹介します。
定番はてんぷら
春の山菜の代表的な食べ方といえばてんぷらです。それと同じく、ウコギの定番の食べ方もてんぷらです。旬のウコギの新芽を摘んでアク抜きをして、衣を薄くつけ揚げたてんぷらはまさ春の逸品となります。シンプルに塩でいただけばウコギの持つ苦味や香りなど春の滋味深さや独特の風味を存分に味わうことができます。
おひたしや和え物
ウコギを茹でたおひたしや、かつおぶしや味噌を使った和え物もウコギの食べ方のひとつです。おひたしも和え物もせっかくの香りや苦味を失わないようしょうゆなどでシンプルな味付けをすることがおすすめです。またおひたしや和え物はお酒のおつまみとしてもおいしくいただける食べ方です。
郷土料理のウコギご飯
てんぷらと同じく代表的な食べ方がウコギご飯です。米沢では春の郷土料理として食べられています。新芽だからこそ、シャキシャキ感と同時に柔らかさを感じられ、栄養満点で春を感じるウコギご飯は今なお親しまれている食べ方です。
ウコギをつかったアレンジレシピ
定番のウコギの食べ方はわかりましたが、ほかには何か食べ方はないの?と思う方のため、ウコギを使ったアレンジレシピを紹介します。また、定番のウコギのレシピを簡単にしたレシピも紹介していきます。
簡単ウコギご飯
- 米1合
- ウコギ1パック
- 塩少々
- ゴマ適量
- 鰹節(好みで)
- ウコギはしっかり洗ったあと、塩を入れた湯で軽くゆでる
- ウコギの水気をしっかり切り、塩をまぶして刻む
- 炊けたご飯に刻んだウコギとゴマを適量入れてよく混ぜる
- 好みで鰹節を加える
アクが出るウコギですが、塩茹ですれば、クセが気にならなくなります。また、ゆでるのは1分以内位にしておかないと、シャキシャキした歯ごたえが楽しめなくなります。
このレシピでは、鰹節を好みにしていますが、ウコギの香りが気になる人は、鰹節とゴマを多めに入れることで気にならなくなります。また、ゴマではなく刻んだクルミを入れるレシピもあります。
ウコギのパスタ
- パスタ100g
- ウコギ適量
- にんにく1カケ
- 塩少々
- コショウ少々
- オリーブオイル適量
- アク抜きをしたウコギを刻んでおく
- パスタをゆで、フライパンでオリーブオイルを温めみじん切りにしたにんにくを加え香りが出るまで炒める
- ウコギとスパゲティーを加え塩コショウで味を整えてできあがり
パスタ初心者でも作れるレシピです。塩コショウだけのシンプルレシピなので簡単なだけでなく、ウコギが持つ香りなどを存分に味わうことができます。塩コショウだと物足りない人は、鷹の爪を加えたぺペロンチーノ風や、しょうゆを加えた和風パスタでも美味しくいただけます。
ウコギの切りあえ
- ウコギ1パック
- 味噌(好みのもの)適量
- くるみ(刻んだもの)適量
- ウコギはアク抜きをし、水気をしっかりきっておく
- 味噌の表面に焼き色をつける
- 水気をきったウコギと味噌、刻んだくるみを包丁でたたきながら混ぜあわせる
お酒のおつまみでも、ご飯に乗せて食べても美味しいウコギの切りあえのレシピです。味噌の塩気がウコギにマッチ、くるみが食感にアクセントを与えます。ウコギの香りが苦手な人は味噌が香りを消してくれるので、食べやすくなります。
ウコギチャーハン
- ご飯200g
- ウコギ1パック
- 小エビ適量(ぶつ切り)
- 鷹の爪1本(小口切り)
- 長ネギ(小口切り)適量
- ごま油適量
- 塩コショウ適量
- ウコギはアク抜きし刻んでおく
- フライパンでごま油を温め、鷹の爪を炒め香りが出たらウコギと長ネギ、小エビをいれ炒める
- 塩コショウで味を整えてできあがり
ごま油で香ばしさを出したウコギのチャーハンレシピです。味と食感にアクセントを加えるため小エビをプラス、鷹の爪でピリッと感を出しているので、飽きずに食べることができます。塩コショウだけでなく、しょうゆを加えても美味しくできあがります。
ウコギの選び方と保存方法
ウコギはなかなか馴染みのない山菜のためよいウコギの選び方や保存方法がわかりづらいのではないでしょうか?野菜でも山菜でも新鮮なものを選ぶのは普通のことですがウコギにの選び方にはもうひとつポイントがありこれにはウコギのある特徴が関係していました。また購入後の保存方法について説明します。
ウコギの選び方
ウコギ新芽を摘んで食べるので、選び方のポイントになるのは、ウコギの長さです。ウコギは成長が早いのが特徴で長いと硬さなどが出てきてしまいます。そのため選ぶときは5cm以内の長さのものを選びましょう。大きいウコギは硬いだけでなく苦味も強くなってしまうので、せっかくのウコギのおいしさを味わうことができなくなってしまいます。
ウコギの保存方法
良いウコギを選んだら、次は保存方法です。ウコギを保存するのに適しているのは冷凍ですが、山菜類は繊維が多いのが特徴です。そのため冷凍してしまうと、繊維質だけ残って歯ごたえがなくなったりします。これはウコギも同じで、長期保存にはむいていません。
ウコギを保存するときは、まずしっかり塩を入れた湯でアク抜きをしてください。その後冷水にさらし、しっかり水分を抜いて小分けにしたものを冷凍してください。翌日などに調理する場合はビニール袋などに入れて野菜室で保存してください。
ウコギの育て方!おうちでもできる!
生垣として生育されているウコギはそれ以外だと山などに自生しています。しかし、生垣として使われるということは家で育てられるということです。そして育て方もとても簡単なのです。ここでは苗木からの育て方や、そのほかの育て方について説明します。
苗から育てる方法
ウコギの基本的な育て方として、まずは苗木を植えるのが良いでしょう。苗木からの育て方として気をつけるのは肥料のやり方と時期です。まずは苗木の育て方から説明します。苗木は日当たりが良く水はけの良い場所に植えてください。苗木の周りに腐葉土と緩効性の化成肥料を入れ馴染ませるのが育て方のポイントのひとつです。
夏にかけてどんどん成長するウコギですが、若葉が出る前と晩秋の葉が散ったぐらいの時期には化成肥料を株の回りにまいておくことを忘れないでください。これがウコギの育て方のもうひとつのポイントです。冬を越えたウコギが春を迎えるころには新芽を摘んで食べることができます。
挿し木で増やす方法
もうひとつのウコギの育て方は挿し木をする方法です。挿し木をすることで、ウコギを簡単に増やすことができます。挿し木での育て方は切った枝を土に挿しておくだけです。葉からやる場合はあらかじめ水に1時間以上漬けておき、その葉を土に植えるだけです。
また、土ではなくポットなどで挿し木をする場合の育て方としては、ポットに赤玉土、腐葉土、肥料を入れておき挿し木、発根するまで日陰で管理してください。1ヶ月以上はポットで管理、根が張ったが様子を見て、その後土に移しましょう。
ウコギで春の味を楽しんでみては?
米沢では生垣として生育されているウコギは実は歴史も古く、春の訪れを知らせる美味しくて栄養豊富な山菜ということがわかりました。育て方も簡単なので、せひ自宅で育ててて、レシピを参考に滋味あふれる採れたての春の味覚を楽しんでみてはいかがでしょうか。