2019年04月15日公開
2024年09月12日更新
八角とは?中華料理に必須のスパイス?特徴・味や使い方など解説
八角は中華料理において必須の、代表的なスパイスです。味や香りの特徴や使い方など、スターアニスとも呼ばれている、八角がどんなスパイスかを詳しく解説していきます。また、八角の栄養成分がもつ効能効果なども紹介するとともに、山椒やシナモンなどと八角の違いなども紹介します。北京ダックや東坡肉、杏仁豆腐などの中華料理を通じて、八角の使い方なども解説するとともに、八角を使った豚の角煮などのレシピも、いくつか紹介していきます。
八角とは?
八角は中国の代表的混合香辛料「五香紛」にも、桂皮・陳皮・花椒・丁香などとともに、含まれているスパイスです。八角は、中国原産の「トウシキミ」という常緑高木の果実を乾燥させたものです。
「アニス」や「茴香」(ウイキョウ)などと、アネトールという香り成分も同じことから、八角はよく「スターアニス」とか「大茴香」とか呼ばれたりしています。けれども、八角はシキミ科の樹木であり、アニスはセリ科の一年草、茴香はセリ科の多年草ということで、植物としてはまったく別物です。
中華料理には、川魚や豚肉の臭みを取るために使用されており、軽い甘みと苦みが特徴の香辛料です。また、八角がもつ栄養成分による効果効能は多岐にわたっています。八角がどんなスパイスか知りたい!という声に応えて、この記事では、八角の味や使い方、あるいは八角を使った「豚の角煮」などの、レシピを詳しく解説していきます。
八角の特徴
中華料理に欠かせない八角の特徴について、中華料理での使い方や、八角が「スターアニス」と呼ばれる由来、八角の原産地などを紹介していきます。
中華料理に欠かせないスパイス
八角は中華料理には、料理店ではもちろん、一般家庭においても欠かせないスパイスとなっています。日本における七味唐辛子のような存在の「五香紛」にも、八角は含まれています。八角は乾燥状態で市販されていますが、繊細な取り扱いが必要なことが特徴のスパイスです。
湿気や高温に弱く、一度に大量に購入しても管理しきれないため、本場中国でも使う分だけの少量購入が常識のようです。また、八角は強い芳香をもっているために、使う料理や使用量に注意をしないと、料理を殺してしまう危険性もあることも特徴です。
中華料理では煮込み料理やデザートなどにも使用されて、料理に奥行きをもたせる役割が特徴のひとつですすが、強すぎる芳香が人によっては好き嫌いの分かれるところでもあります。
「スターアニス」の由来は形と香りから
八角が「スターアニス」と呼ばれている由来は?と言えば、前にも触れたように植物としてはまったく異なる八角とアニスですが、八角の香りと形からきています。八角の香り主成分はアネストールといって、アニスの香り成分と同じものです。
また、八角は8個の袋状の果実が星状に配置されているところから、八角と名付けられたわけですが、星状のアニスということからスターアニスの呼び名が付いたようです。
生産地
中国が原産の八角はトウシキミと呼ばれる、成長すると10m以上にもなるような常緑高木です。樹齢6~7年で実をつけるようになり、50年以上に渡って収穫することができます。八角の生産地は、中国南部インドシナ半島および南インドで栽培されています。
特に、中国国内においても八角の生産量トップの、雲南省の富寧県は八角の故郷とも称されています。冨寧県の八角は、東南アジアや中東などにも多く輸出されいます。
八角の効能
八角は中華料理のスパイスですが、元来は漢方薬として古くから存在しています。したがって、八角に含まれる栄養成分による効能効果は、たんさんあります。ここでは、八角のもっている効能を詳しく紹介していきます。
インフルエンザ薬の原材料
八角が含んでいる成分に「シキミ酸」があります。このシキミ酸が、インフルエンザ薬であるタミフルの原材料として、一時期使用されていたことがありました。しかし、現在ではシキミ酸は、遺伝子組み換え大腸菌を用いた発酵法で生産されており、八角から抽出されたものは使われていません。
また、シキミ酸を含む八角を摂取したとしても、八角そのものがインフルエンザに効くことはありません。
胃腸の働きを整える
中国の本草学史上において、もっとも権威のある「本草綱目」には、八角が芳香性健胃薬・鎮痛剤・駆風剤・腹部膨張・嘔吐などに効果があると謳われています。「日本薬局方」においても、胃腸薬の原料として使われているウイキョウ油の原料として規定されていて、整腸作用のあることが認められています。
八角のもつ芳香成分であるアネトールやリモネンなどには、胃腸を刺激して消化機能を活発化させてくれる働きがあり、健胃整腸の作用をもっています。
風邪の予防
八角の香り成分である、リナロールやリモネンなどの精油成分には、抗菌・抗ウイルス作用のあることが報告されています。このために八角の摂取は、風邪やインフルエンザの予防や、咳や喉の痛みなどの呼吸器系の症状軽減に役立つと期待されています。
風邪予防の観点から、八角のハーブティーを飲んだり、咳止めシロップの原料として、八角が配合されていることもあるようです。
冷え性やむくみの改善
八角の芳香成分である、リモネンは柑橘系の皮にも多く含まれている成分で、交感神経を刺激することによって、毛細血管を拡張する作用があると考えられています。さらに、利尿作用もあることから体内の余分な水分を排出し、これらが冷え性やむくみの改善に役立つ期待されています。
また、八角には豊富な鉄分が含まれていて、貧血の予防や改善からも、血流改善や代謝向上効果が見込まれています。
抗酸化作用
八角にはケルセチンやケンフェロールなどのフラボノイド類や、チモールやクマリンなどの芳香成分の、抗酸化作用をもつ成分が豊富に含まれています。抗酸化物質の補給が老化の予防に役立ったり、活性酸素による皮膚細胞へのダメージ軽減にも役立つことで、若々しい肌を保つ美容にも大きな効果が期待されています。
動物実験段階ですが、八角のもつ成分にはがん発生の抑制にも効果があるのでは、という研究報告もなされています。
八角の味
八角は香りの強いスパイスですが、味はというとそれほどに押しの強い味ではありません。ほのかな甘みと苦みが特徴になります。好きと嫌いが分かれる味でもあります。使い方によっては料理を奥深さをもたらしたり、あるいはぶち壊したりもします。
山椒との違い
山椒との違いということでは、八角も山椒も、木の実という点では同じということができます。中華料理ではどちらも多用しますが、日本では八角よりも山椒の方が伝統的に使用されてきました。スパイスとしては、八角よりも山椒の方がピリッとした辛みがあって、はるかにスパイシーです。
原産地の関係もあって、八角は中華的で山椒は日本的なイメージがつきまとうのは避けられません。強さで言えば、味は山椒に軍配が上がり、香りは八角に軍配が上がりそうです。
シナモンとの違い
八角はシキミ科のトウシキミという常緑高木の果実です。シナモンは、ニッケイ属の複数の樹木の樹皮から採取される、香辛料になります。漢方薬としては、シナモンは「桂皮」と呼ばれています。八角とともに、五香紛の一成分でもあります。中国や日本のみならず、全世界で料理に使用されている香辛料です。
熱帯地方が生産地という点は、八角と似ています。八角とシナモンとの違いは、先に述べたように八角は果実でシナモンは樹皮を利用しています。また、シナモンとの比較では、八角の方がスパイシーと言えます。甘みは明らかにシナモンの方が強いです。
そのために、シナモンは菓子などの甘い味の料理に多く利用されています。味にクセをもつ肉料理に向く八角とは対照的です。八角とシナモンは、適性料理も違うということになります。
八角の使い方
八角(スターアニス)は川魚とか豚肉やジビエなどの、クセをもつ食材にたいして、その特徴をいかんなく発揮します。あるいは、杏仁豆腐に添えたりと、シナモンほどではありませんが、甘いデザートにも活かされることもあります。中華料理の代表選手ともいえる、「北京ダック」「東坡肉」「杏仁豆腐」に関して、八角の使い方を紹介します。
北京ダック
食べたことがあるかどうかはともかく、誰もが耳にはしている料理「北京ダック」は、中華料理としてあまりにも有名です。八角(スターアニス)の使い方は五香紛として、この料理に使用されます。
下処理したアヒルを丸焼きにして食べる北京ダックは、焼き上げる際に処理された後の腹部に、香味野菜やスープ、調味料が仕込まれていて、北京ダックの味を奥深いものに仕上げています。その調味料に八角が含まれているわけです。究極の宮廷料理のひとつ北京ダックを、高級な味に仕立ているのが八角でもあります。
北京ダックは、その皮に一番の旨みがあって、切り取った皮をバオピンという小麦粉の皮で作られた薄餅で、ネギやキュウリ、甘い味噌タレとともに包んで食べます。
東坡肉
中華料理の定番中の定番でもある「東坡肉」(トンポーロウ)は、中国北宋の詩人蘇軾が考案した料理ということで有名です。東坡肉は、蘇軾の号である蘇東坡に由来しています。浙江省料理の一つで、杭州名物の豚肉を煮込んだ料理になります。
東坡肉は長崎に至って「東坡煮」、沖縄に至って「ラフテー」、日本に至って「豚の角煮」の原型とも言われています。東坡肉は多量の砂糖を使用した甘い味付けが特徴で、八角(スターアニス)の使い方としては、その風味を活かした代表的な料理でもあります。
杏仁豆腐
中華料理のデザートとして、有名かつ人気の「杏仁豆腐」は、八角(スターアニス)を豆腐やシロップに活かした料理になります。また、八角の使い方は特徴ある形を活かして、仕上げに杏仁豆腐の天に飾るのもアクセントとなって好評です。
杏仁には薬品用の苦杏仁と、食品用の苦みの薄い甜杏仁とがあって、杏仁豆腐に使用するのは甜杏仁です。甜杏仁から搾り取った白い汁を、寒天で冷やし固めたものが杏仁豆腐で、八角(スターアニス)の香り付けがなされています。
現在の日本で食べられている杏仁豆腐は、杏仁の粉末などを使った簡易なものに。果物などを混ぜ込んだフルーツポンチ風の杏仁豆腐が一般的となっています。
八角を使ったレシピ
八角を使ったレシピを紹介します。まずは、日本において大人気のレシピである「豚の角煮」をはじめ、「キャベツの八角風味漬物」の料理レシピになります。
豚の角煮
- 豚バラ肉1kg
- 茹で卵2個
- ネギの青い部分1本分
- 皮つき生姜薄切り5枚
- ネギの白い部分5cm
- 煮汁(水2カップ・八角2片・酒、醤油各大さじ5・砂糖大さじ4)
- 鍋に水をたっぷり入れて、5cm角に切った豚肉とネギの青い部分、生姜を加えて中火にかけます。アクを取りながら30分ほど煮たら、豚肉を取り出して水気をしっかりとふき取ります。煮汁を2カップ分取り置いておきます。
- ネギの白い部分は白髪ネギにしておきます。
- 別の鍋に煮汁と茹で汁に豚肉を入れて、強火にかけます。煮立ったら弱火に変えて茹で卵も加えます。落し蓋をして1時間ほど煮込んだら、落し蓋を取って中火にして煮汁にとろみが付くくらいまで煮込んで火を止めます。
- 豚肉を器に盛って、白髪ネギを飾り、好みで溶き芥子を添えたら完成です。
中華料理の東坡肉が原型の「豚の角煮」のレシピです。この豚の角煮のレシピのポイントは、豚肉を下茹でする前に5cmに切り分けておくことです。調理時間の短縮と味がしみこみやすいという、豚の角煮を作る際に、二つのメリットがあるレシピです。
八角が香る、甘辛いとろけるような豚の角煮が出来上がります。東坡肉に似てはいますが、やはり豚の角煮は日本の和食と言えそうです。
キャベツの八角風味漬物
- キャベツ大4枚
- 漬け汁(水50cc・醤油大さじ1・砂糖小さじ2・八角1片・鷹の爪1本)
- 酢大さじ2
- 鍋に漬け汁の材料を入れて、弱火でひと煮立ちさせてから、火を止めて酢を加えて常温に冷ましておきます。
- キャベツは大きめのざく切りにします。
- ジッパー袋にキャベツと冷ました漬け汁を入れて、よく揉みこんだら空気を抜いて冷蔵庫で2時間保管したら完成です。
豚の角煮などの、こってりしたものを食べた後には最適の「キャベツの八角風味漬物」のレシピになります。風味をよくするために、漬け汁を一度加熱してから冷ますところがこのレシピのポイントになります。簡単で八角の風味を引き出した中華風のレシピです。
八角を使って一味違う料理を作ろう!
中華料理に必須のスパイスである、八角の特徴から八角の栄養成分がもたらす効能までを紹介してきました。あるいは、八角の味や香り、北京ダックをはじめとする八角の主な使い方、八角を使った豚の角煮のレシピなど、さまざまな八角の使い方やレシピなどを、ここまで詳しく紹介してきました。
ここに紹介した記事を参考にして、ヘルシーで香りの高い八角を使った一味違う料理を作ろう!ではありませんか。