2019年04月04日公開
2024年09月10日更新
フリットとはどんな調理法?フライと違う?上手なフリットのコツも!
フリットは、ふっくらとした衣が特徴的なフライに似ている揚げ物です。日本では野菜や小魚などをフライにして味わうことが多く、フリットとも同じように野菜や小魚を揚げることも多いです。フリットとフライはどこが違うのか、衣の違いをまとめています。基本的なフリットのレシピや美味しく作るためのコツ、衣にバリエーションを加えて小魚も美味しく食べられるアレンジレシピも紹介していきます。
フリットとは?
フリットは日本でいうフライに似ていますが、イタリア生まれの料理の一つで、サクサクとした衣に特徴のある揚げ物のことです。イタリアでは、小魚から魚介の切り身、季節の野菜、肉などいろいろなものをフリットにしています。日本ではフライや天ぷらのアレンジとして、イギリスではフリッター、フランスではベニエと呼ばれます。
フリットとフライの違い
フライを揚げる時には、下ごしらえした具材に、衣を順番につけるためにバットやお皿を数枚準備する必要がありますが、フリットの場合は衣を1回つけるだけなので調理の手順も簡単です。料理として見た時の、フリットとフライの違いをみていきます。
フライとの違いは衣
フリットとフライの違いは、衣にあります。日本のフライは、具となる食材に先ず小麦粉をつけ、溶き卵にくぐらせ、パン粉をつけて揚げています。フリットの場合は、卵を泡だてたメレンゲを使うのが特徴で、ここに小麦粉や牛乳、塩などを合わせて衣にして、具材にからめて揚げています。
フリットの衣はメレンゲを使う代わりに、ベーキングパウダーや炭酸水などを使うことでふんわりとした衣にしているものもあります。フライは衣の味は卵の味といった程度で、具材の味わいと後からかけるソースの味で食べますが、フリットの場合は衣にも塩やハーブなどを合わせることで、衣そのものも風味あるものになっています。
食感の違い
フライを食べると、衣の食感がサクサクっとした食感なのに対し、フリットは一口目はカリッとしていて中はホクホク、モチッフワッといった食感になります。メレンゲやベーキングパウダーによって、衣がふっくらとしたものを揚げるので、表面はカリカリになり、衣部分はもっちりとしたホクホクした食感になります。
フライにはソースやタルタルソースをつけて食べることが多いですが、フリットは、衣にスパイシーな味がついていることもあり、衣のカリッととふんわり食感を楽しむためにレモン汁をかけたり、塩をふるくらいで、濃い味のソースを添えることは少ないです。
フリットの調理方法
フリットを調理する時の特徴をまとめます。基本はメレンゲを使いますが、ビールや炭酸水を使う方法もあります。
基本は衣にメレンゲを入れる
フリットの基本は、卵の黄身と白身を分けて、卵白をしっかりと泡立て、角が立つほどのメレンゲを作ることにあります。メレンゲができたら、卵黄と小麦粉、水、塩こしょうをあわせたものに加え、ゴムベラなどでさっくりと混ぜます。
メレンゲを泡立てるのは手間ですが、しっかりと泡立てたものを衣にすることで食感がよくなり、表面がカリッとして噛んだときにふわっとする食感が得られます。
ビールや炭酸水でも作ることができる
フリットの基本的な衣はメレンゲですが、ふんわりとしたメレンゲを作るには手間がかかります。そこで、ビールや炭酸水を使い、ふんわりとした衣を作ることもできます。
ビールや炭酸水を使う場合は、小麦粉100gに対して、ビールや炭酸水を100ml合わせ、ひとつまみの塩とこしょうを少し混ぜて衣にします。ビールに含まれる炭酸とアルコールの働きで、サクサクっとした衣になり、冷めても美味しくいただけます。
ビールを使う場合でも揚げてしまうのでアルコール分はなくなるので、子どもでも食べられます。炭酸水を使う場合には、甘味のないものがおすすめです。
合わせる具材
フリットの具材に、特に決まりはなく、小魚、貝、魚、肉、野菜などから、ソーセージなどの加工品でも構いません。イタリアでは、ズッキーニの花、イカ、イワシといったフリットもあり、レストランなどではシーフードフリットの盛り合わせといったメニューがあります。
野菜を具材にするのであれば、じゃがいも、マッシュルーム、アスパラガスなど新鮮で旨みや香りがよくなる旬なものがおすすめです。魚肉ソーセージ、かまぼこといったものもフリットの具材になります。
フリットの作り方とコツ
フリットは、衣のメレンゲを作る段階だけが手間ですが、その衣さえ作ってしまえば、後は簡単に作ることができます。基本の衣の作り方、揚げ方のコツをまとめます。
衣の作り方
基本的なフリットの衣は、卵1個に小麦粉100g、冷たい牛乳または水100cc、塩ひとつまみを準備します。卵を卵黄と卵白に分けて、卵黄は小麦粉と牛乳、塩を入れて滑らかになるまで混ぜておきます。卵白は別のボウルでしっかりと泡立て、卵黄の方へ半量を良く合わせて、残りのメレンゲはさっくりと混ぜます。
しっかりと泡立てたメレンゲが、すべて潰れないようにするのがコツです。メレンゲは砂糖を少し加えると角がたちやすく、合わせる牛乳や水は冷えたものを使うとカラリと揚げられます。ふんわりさを保つために、ベーキングパウダーを小さじ1/2を加える作り方もあります。
揚げ方
衣をつけた具材を揚げる時のコツは、油の量は少なめでも良いですが温度をしっかりと揚げておくことです。油の温度が低いと、ふんわりとさせたい衣がベチャっとなってしまい、美味しく揚がりません。衣のカリッとした食感のためにも、油の温度は高めにします。
揚げ物用の鍋を使ってもいいですし、小さめのフライパンに4cmくらいになるように油を入れて揚げれば、1~2人分でも手軽に揚げることができます。具材の全体が油に沈むくらいの油を使った方が、カラリと揚がります。
美味しく揚げるコツ
揚げる時の油の温度は170~180度に熱して、そこに衣をつけた具材をいれたら、しばらくは菜箸などで触らないようにするのがコツです。片面がこんがりとしてきたら、裏返す程度で、表面全体がきつね色になるまで、何度もひっくり返したりしない方が、衣がはがれにくく、ふんわりと膨らんだ衣をつぶすことになりません。
フリットのおすすめレシピ
フリットはフライと違って、揚げてからソースをかけることがなく、味付けした衣と具材の旨みを味わうのが基本です。旬の野菜や、料理しにくい小魚もフリットにして、美味しく手軽に味わえるレシピを紹介します。
お野菜のフリット
- ブロッコリー中1個
- マッシュルーム4~6個
- ズッキーニ1本
- 卵2個
- 小麦粉60g
- 冷水50cc
- 塩、こしょう
- 揚げ油
- ブロッコリーは洗って小房に分け水気をしっかりととります。マッシュルームは汚れをふき、ズッキーニは1.5cmくらいの厚さに切り、キッチンペーパーで挟むようにして、切り口の水分をとっておきます。塩とこしょうを軽くふっておきます。
- 卵を黄身と白身見分けて、ボウルに卵黄を入れて溶きほぐし、冷水を加えて混ぜ、そこに小麦粉を加えて混ぜ合わせます。
- 別のボウルに卵白をいれて、塩をひとつまみいれてよく泡立てメレンゲを作ります。
- 2の卵液に3のメレンゲを切るように混ぜ合わせてます。
- 揚げ油を170度に熱して、野菜に4の衣をくぐらせてから揚げ油に入れます。
- 衣の外側が固まってきたら、回すようにして反対面も揚げて、全体が色づくまで揚げてできあがりです。
フリットの基本であるメレンゲを衣にした野菜フリットのレシピです。野菜は好みのものでよく、アスパラガス、カボチャ、レンコン、パプリカなどが彩りもよくおすすめです。丸ごと揚げられるキノコ類はそのまま衣をつけてよく、火の通りにくい野菜は厚さを薄めにして衣をつけてください。
そのまま食べても美味しいですが、レモン汁をかけたり、マヨネーズとケチャップを混ぜて簡単なオーロラソースを作って添えれば、野菜が苦手な子どもにも食べやすいレシピになります。
小魚のフリット
- 小魚10~20匹
- 小麦粉70g
- 片栗粉30g
- 炭酸水100ml
- 塩小さじ1/2
- 揚げ油
- 小魚は流水で洗って、キッチンペーパーで挟むようにして、しっかりと水気をふきとります。
- ボウルに、小麦粉、片栗粉、塩をいれて軽く混ぜ、炭酸水を注ぎ入れ泡立て器で良く混ぜます。
- 油を170度に熱します。
- 2のボウルに1の小魚をいれて衣を全面につけて、揚げ油にいれます。
- 2分ほどそのままにしたら、裏返して1分ほど揚げ、全体がカラリとしてきたら、火を強くして油の温度を高くして10秒ほど揚げて取り出し、出来上がりです。
この小魚のフリットのレシピでは、メレンゲを作らずに炭酸水でふんわりとした食感をだします。片栗粉を加えることで、サクッとした食感になり、油から取り出す直前に高温にすることで、油の切れがよくなります。味は薄く塩を衣につけているだけですが、小魚の塩分やほろ苦さを味わえます。
小魚は豆アジ、稚鮎、シシャモなどがおすすめのレシピです。10cmくらいになる小魚であれば、内臓と頭をおとしてから揚げると食べやすくなります。お好みで衣にこしょうやドライパセリを加えると、小魚のにおいを和らげるレシピになります。
カマンベールのフリット
- カマンベールチーズ1個
- 卵1個
- ビール100cc
- 小麦粉100cc
- 塩、砂糖各少々
- 揚げ油
- カマンベールチーズは6~8等分にカットします。
- 卵は卵黄と卵白に分け、卵白に砂糖をひとつまみ加えて角が立つまで泡立てます。
- 卵黄はボウルにいれて、ビールとよく混ぜ合わせ、そこに塩と混ぜた小麦粉を加えダマにならないように混ぜます。
- 卵黄と小麦粉を合わせたところに、2のメレンゲをさっくりと合わせます。
- カットしたカマンベールチーズに4の衣をつけて、190度に熱した油で表面をさっと揚げて、出来上がりです。
カマンベールチーズはそのままでも食べられる食材なので、フリットの衣だけを揚げるつもりで、高温で短時間で揚げます。メレンゲを作る時に砂糖を少し加えることで、角が立ちやすくなります。
そのままでも美味しく食べられますが、ブルーベリージャムやイチゴジャムなどを添えると、デザートとしての味わい方もできるフリットレシピです。
エビの生ハム巻きのフリット
- エビ8~10尾
- 生ハム4~5枚
- バジル
- 小麦粉1カップ
- ビール1カップ
- 塩少々
- 揚げ油
- エビは殻をむき、尻尾も取り除き、背ワタを取ります。キッチンペーパーで表面の水分をとります。
- エビにちぎったバジルをのせ、生ハムを巻きつけます。
- ボウルに小麦粉、塩少々をいれて混ぜ、そこにビールをくわえて、ざっくりと混ぜ合わせます。
- 2のエビを3の衣にくぐらせてから、170度に熱した油に入れます。
- 片面の衣がかたまりふっくらとしてきたら、裏返して反対側も揚げます。
- 全体が揚がったら、油を切ってできあがりです。
エビだけを小魚や野菜のフリットのように揚げてもよいのですが、生ハムを巻くことで、食べた時の塩気とバジルのさわやかさがアルコールによく合うレシピです。フレッシュなバジルの代わりに、ドライバジルを衣に混ぜるレシピもおすすめです。
このままでも美味しくいただけますが、レモン汁やマヨネーズに細かく切ったピクルスを混ぜた簡易なタルタルソースを添えると食べ応えが増します。
鶏ささみのスパイシーフリット
- 鶏ささみ3~4本
- 塩小さじ1
- 砂糖大さじ1/2
- 水100cc
- 小麦粉60g
- カレー粉小さじ1/3
- 炭酸水70cc
- 揚げ油
- 鶏ささみは筋を取り除き、斜めに食べやすい大きさに切ります。
- ボウルに水、塩、砂糖をいれて混ぜ、そこにささみを入れて馴染ませ、冷蔵庫で1時間ほど置きます。
- 2を取り出しキッチンペーパーで表面の水気を取り除きます。
- ボウルに小麦粉、カレー粉をいれて混ぜ合わせ、そこに炭酸水を加えて全体を混ぜます。
- ささみに4の衣をつけて、180度に熱した油にいれて、2分ほどしたら裏返し、1~2分ほど揚げてできあがりです。
衣にカレー粉を混ぜて、スパイシーな味わいにしているレシピです。この衣は小魚や野菜のフリットにもおすすめです。イカやジャガイモ、カリフラワー、ちくわなどもスパイシーな衣がよく合います。
鶏のささみは薄切りにすると揚げる時間を短時間にでき、ざっくりと大きなまま揚げれば、食べ応えのある一品になります。揚げる前にひと手間ですが、砂糖と塩の水に漬けることで、揚げた後にささみがパサつくのを防ぐことができます。
フリットを自宅で作ってみよう!
フリットはフライと違い衣がさっくりとして、塩やレモン汁をかけるだけでも美味しく食べられる料理です。卵白を泡立てメレンゲを生地に合わせるレシピが基本ですが、ふんわりとした食感はビールや炭酸水を使うことでも代用できます。野菜や魚介、加工食品など具材のバリエーションや衣の味付けも好みでできるので、自宅でも作ってみてください。