油の酸化は危険!酸化した油の見分け方や酸化を遅らせる方法5選!

油は揚げるばかりでなく、ただ保管しておくだけでも、空気や熱、光など、さまざまな原因で酸化します。この記事では、油が酸化する原因や酸化しているかどうかの見分け方、油の酸化を防止して劣化を遅らせる5つの方法、あるいは酸化した油の悪影響と危険性などを、詳細に解説していきます。また、油の特徴を理解した上で、使い回しする際の注意点や、油の正しい捨て方の注意点などに至るまで、詳しく紹介します。

油の酸化は危険!酸化した油の見分け方や酸化を遅らせる方法5選!のイメージ

目次

  1. 1油の酸化について詳しく知りたい! 
  2. 2油の酸化の原因
  3. 3油の酸化を防止して劣化を遅らせる方法5選
  4. 4油が酸化しているかの見分け方と特徴
  5. 5酸化した油の悪影響と危険性
  6. 6油の正しい捨て方と注意点
  7. 7油は意識すれば酸化を遅らせることができる!

油の酸化について詳しく知りたい! 

人間ばかりでなく、油も疲労します。油の疲労とは、酸化という現象になります。その油の酸化について、ただ単に、揚げた料理の味が落ちるだけでは済みません。油の酸化は人の体にたいして、悪影響を及ぼす危険性も秘めています。ここからの記事では「油の酸化について詳しく知りたい!」という、要望にお応えします。

まずは、油が酸化する原因からはじめて、その酸化を防止して遅らせる方法や、油が酸化しているかどうかの見分け方、あるいは酸化した油の悪影響や危険性など、また、油の正しい捨て方と注意点にいたるまで、詳しく解説していきます。

油の酸化の原因

油の酸化の原因について、詳しく解説していきます。油が酸化する原因は、3つほど挙げられます。空気に含まれる酸素によるもの、油を加熱することによるもの、光を浴びることによるもの、以上です。この章では、油を酸化させる3つの原因である、油と「酸素・熱・光」の関係について、メカニズムなどを紹介します。

①空気による酸化

一般的に、酸化とは「電子を失う反応」と定義されています。しかし、電子の移動は人の目には見えませんが、鉄が錆びるとかリンゴの断面が変色する、という現象のかたちで確認することはできます。鉄の錆びとは鉄の失われた電子が酸素と結合して、酸化鉄になったものです。また、酸化した食品は通常では、元の新鮮な状態に戻ることはありません。

油についてもまったく同じことが言えます。そして、食品などが酸化を引き起こしやすい条件として、「空気中の酸素との接触」「加熱」「光」が、主な原因として挙げられるわけです。まず、空気中の酸素による酸化をみてみると、鉄における酸化鉄の生成に当たるのが、油の酸化の場合には、過酸化脂質の生成です。

過酸化脂質は人の体に有害な物質で、肝臓障害や動脈硬化を引き起こす可能性をもっています。DNAを損傷させる発がん物質とも指摘されています。ただ、すべての油が同じように酸化するというわけではなく、分子構造上、安定している飽和脂肪酸が多い油は酸化しにくく、逆に、不飽和脂肪酸が多い油は酸化しやすいという特徴をもっています。

また、油の酸化しやすさは「ヨウ素価」で見ることができます。ヨウ素価が高いほど酸化しやすい特徴をもつことになります。ヨウ素価130以上の「乾性油」と呼ばれる油で、エゴマ油・紅花油などです。ヨウ素価130~100の「半乾性油」は、コーン油・ごま油などで、ヨウ素価100以下の「不乾性油」は、オリーブ油・キャノーラ油などとなります。

②熱による酸化

空気中の酸素による油の酸化は、ある程度緩慢な経時劣化というものです。これに対して、熱による酸化は、空気によるよりも激しい劣化を伴います。一番激しい酸化は、燃焼という現象です。燃焼という酸化の激しさを示すのは、大きなエネルギーが発生することによって、発熱と発光という現象を伴います。

揚げ物をするような際の、油にたいする加熱は燃焼ほどではなくても、空気中の酸素との緩慢な酸化以上の激しい劣化を招く原因となります。揚げ油の使い回しが、危険な理由はここにあります。また、揚げ物をするような加熱ではなくても、温度が上がりやすい場所とか、熱源の近くに油を置く行為も注意点となります。

前章でも述べた、不飽和脂肪酸が酸化しやすいのは、構造に二重結合をもっているからです。中でも、二重結合が多い多価不飽和脂肪酸酸化を多く含む、リノール酸やリノレン酸などの油は、加熱に不向きになります。また、油が有害物質に分解されない限界の温度である、「臨界温度」というものがあります。

コーン油・くるみ油の臨界温度は、低い140℃です。臨界温度が高いのはピーナッツ油が220℃で、オリーブオイルは210℃です。油の特徴の見分け方を承知して、酸化しにくい油を炒め物や揚げ物などの加熱用として使用するのも、体に悪影響が及ぶのを防止するために必要です。

③光による酸化 

空気中の酸素による酸化や熱による酸化を見てきました。残るもう一点があります。空気にも曝さない、熱源にも当てないだけではなく、光による酸化にも気をつけることが注意点となります。油を直射日光に晒すことは言うまでもありません。蛍光灯の紫外線も注意点の一つになります。

蛍光灯の光は、油を十分に酸化させる能力をもっています。その意味では、油は遮光性の容器に入った物を購入すべきです。あるいは、容器にアルミホイルを巻き付けるとか、冷暗所に保管するなどの工夫をして、酸化の原因から油を遠ざけることで、油の酸化防止を図ることが大切です。

油の酸化を防止して劣化を遅らせる方法5選

油が酸化する原因について詳しく述べました。原因が分かったのですから、油の酸化も防止することはできるはずです。しかし、残念ながら油の酸化を完全に防止することはできません。可能なことは、油の酸化を防止して劣化をできるだけ遅らせることです。油の酸化を防止する方法を5選して紹介します。

空気と光を防いで保管

ここまで解説してきたように、油を酸化させ、劣化させるのは空気中の酸素と光です。したがって、油の酸化防止は酸素と光から油を隔離して、極力油の劣化を遅らせることになります。油の購入後は、冷暗所が原則です。油によっては冷蔵庫のような低温では、逆に劣化するような種類の物もあります。

具体的には、コンロの下が最適でしょう。シンクの下もありますが、湿気の心配があります。また、油の容器の移し替えは酸素に触れる可能性を高めることにつながるので、おすすめできません。できるだけ酸素と触れ合うことの少ない、間口の狭い容器での保管がおすすめです。油の容器やポットの蓋を、開け放さないのは当然です。

揚げ物をした際にも、長時間にわたって揚げ油を空気に曝さないように、手早く熱いうちに濾してポットに保管します。何よりも、開封した油は早めに使い切るというのが基本です。

繰り返し使わない

油の酸化防止で、繰返し使わないというのは間違いありません。けれども、経済性の問題からそれを強くおすすめするのも憚れます。健康に対する悪影響や危険を考えたら、揚げ油は使い回しをせずに、一度使用したら廃棄するのが理想的です。しかし、2、3回の使い回しなら大丈夫なのでは?という考えかたも、現実論として認めざるを得ません。

ただし、油の加熱はここまで見てきたように、急激な油の劣化を招きます。このことも厳然たる事実です。このあたりの加減を考えながら、この後に紹介する油の酸化の見分け方なども参考にして、個々人が判断することが必要になってくると言えます。

注ぎ足さない

油を加熱使用すれば、油が酸化することは間違いありません。加熱使用しなくても、経時劣化は起きます。つまり、油はそこに置いておかれるだけで、程度の差こそあれ酸化・劣化することになります。前章で触れた、繰返し使わないということとも関連しますが、揚げ油の注ぎ足しはどうなのか?という問題があります。

理想論では、使い回しも注ぎ足しも避けるに越したことはありません。ここでも、経済的な問題がからみますが、油を注ぎ足した場合に油の酸化度は、元の油と注ぎ足した後の油で違うのか、あるいは違わないのかなどがあります。常識的には、酸化度はいくらかでも下がると推測できます。

しかし、古い油に新しい油を注ぐと、古い油の過酸化脂肪酸ラジカル(酸化し始めたもの)によって、新しい油の遊離脂肪酸(未酸化のもの)までがラジカル化してしまい、古い油自体が過酸化脂質に変化してしまう事態となるのです。そのために、油の注ぎ足しはおすすめできません

使用期間を守る

油の使用期間を守ることも、油の酸化防止に必要な注意点になります。使用期間とのカラミで、気をつけたいのは、油を販売している店で、どのような状態でどのような期間置かれていた油か、ということです。開封されていたというようなことはないでしょうが、陽の当たる陳列棚に長期間置かれていた油などは、あらかじめ避けなければなりません。

また、購入後にしても消費期限を守るのはもちろん、期限内であっても早めに使い切ることを意識する必要があります。多少不経済でも、小さめの単位や容器の油を選ぶのもおすすめになります。

臨界温度を守る

油の酸化防止に必要な注意点として、前に解説したように、油にはそれぞれに臨界温度というものがあります。リノレン酸やリノール酸は、限界温度以上の加熱でトランス脂肪酸へと変化します。フランスにおいては、リノレン酸が2%以上含まれている油は、揚げ油として許可されません。

多価不飽和脂肪酸の含有量が多い油は、加熱調理に向きません。臨界温度を超えての調理は、人の体に悪影響や危険を及ぼす可能性を高めることになり、油の臨界温度を守ることは重要です。揚げ物におすすめできるのは、臨界温度の点からいえばピーナッツ油やオリーブ油です。

油が酸化しているかの見分け方と特徴

油が酸化しているかの見分け方と特徴を紹介します。前章で、油の酸化を防止して劣化を遅らせる方法について述べました。そこで、油が酸化している際の見分け方がポイントになることを、再三触れてきました。見分け方を7つほど紹介します。

臭い

油には元来、かすかな匂いはあるのが特徴です。しかし、油が酸化し劣化している場合の見分け方は、匂いは不快な臭いに変わっていることす。こんな時は、使い回しなど考えずに迷わず油を廃棄して、新しい油を使用します。

油が酸化しているかの見分け方に、味の特徴があります。これは食用油を使う際の一番のポイントですから、誰もが分かることでしょうが、重いザラっとしたイヤな食感が舌に残ります。

油の酸化した見分け方にはがあります。色には、油そのものと揚げたもの双方に共通した特徴があります。褐色がその特徴になります。揚げ時間が短い割に、揚げ物が濃い色に変色するのも特徴です。

粘り

油が酸化している見分け方に粘りがあります。あぶらの粘りは、油の温度が下がった時に出てくる特徴があります。新しい油がサラッとしているのに比べ、酸化し劣化した油はドロッとしています。

油が酸化している見分け方にも注意点になります。通常、油が発煙するのは240℃以上です。それより低い200℃以下で発煙するのは、油が酸化しているサインでもあります。

泡の様子

油の酸化の見分け方には泡の様子も注意点になります。新しい油も泡が出ますが、これはすぐに収まります。酸化した油の泡は、炭酸飲料のように発泡し続けます。

揚がり具合い

油が酸化したのか見分け方には、揚がり具合も注意点になります。酸化した油で揚げた揚げ物は、ジト、ベタとした感じが付きまといます。風味も悪く、いつまでも胃に残留感があって、胸やけや吐き気の不快感が残ります。

酸化した油の悪影響と危険性

ここまで油の酸化についていろいろと解説してきました。酸化した油がもたらす悪影響と危険性について紹介します。

肝臓へ負担をかける

酸化した油で揚げられた揚げ物もたらす悪影響と危険は、これまで述べてきたように過酸化脂質という成分によるものが考えられます。そして、これを分解できるのは、人の体では肝臓だけです。過酸化脂質を過剰に摂取した場合に、肝臓に過大な負担がかかる上に、肝機能障害や脂肪肝を引き起こす原因となります。

動脈硬化を引き起こす

酸化した油の悪影響と危険性は、脂肪の一種であるコレステロールも酸化してしまうことにあります。この酸化コレステロールは、血管に悪影響を与える恐れがあります。悪影響は動脈硬化を引き起こす危険性もはらんでいます。

発がんの可能性あり

酸化した油の悪影響と危険性は、過酸化脂質の一成分であるスーパーオキシドアニオンにあります。スーパーオキシドアニオンはDNAを損傷させる発がん物質であると、考えられています。

油の正しい捨て方と注意点

油の正しい捨て方と注意点について紹介します。油の使い回しはおすすめできませんが、油の捨て方では大いに牛乳パックなどを使い回ししましょう。

牛乳パックを使う

油の捨て方でおすすめなのが、牛乳パックの使い回しです。飲みほした牛乳パックにこれも使い回しになる新聞紙や紙タオルを詰めて、廃油をしみこませます。水も同時に加えて口を粘着テープで止めたら捨て方OKです。

油凝固剤を使う

油の捨て方で定番なのが、油凝固剤を使う方法です。市販品の凝固剤で燃えるごみとして完了する捨て方になります。

可燃ごみ

牛乳パックを使い回しておこなう捨て方と似ていますが、可燃ごみとしてポリ袋で出す捨て方です。新聞紙やウエスなどを詰めて冷めた油と水をしみこませて、口をしっかり閉じて可燃ごみとして出す捨て方になります。

油は意識すれば酸化を遅らせることができる!

油の酸化について、さまざまな角度からここまで解説してきました。酸化の原因やその防止策、酸化した油の見分け方、酸化した油の悪影響や危険性、廃油の正しい捨て方に至るまで詳しく紹介しました。これらの記事を参考にしていただければ、油は意識すれば酸化を遅らせることが可能です!

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