2019年03月03日公開
2024年09月06日更新
しそ油とは?えごま油/亜麻仁油の比較と効果効能7選!
しそ油と呼ばれる油があるのは知っていますか?知っているという人もいれば、初めて聞いたという人もいることでしょう。でもそんなしそ油がどんな油なのかまで知っている人は本当に少ないのではないでしょうか?さらにしそ油はよくえごま油と書かれて売られていることがあったり、亜麻仁油と比較している紹介文があったりと、それぞれの違いに迷った人もいることでしょう。しそ油とえごま油、亜麻仁油との違いや、それぞれの栄養成分や効果効能を比較した場合の違い、しそ油の正しい使い方や注意点についてもまとめてみました。
しそ油とえごま油/亜麻仁油との比較
しそ油を普段から使っているという人は、まだまだ少数派なのではないでしょうか?そんなしそ油は良くえごま油の名で売っていたり、亜麻仁油と比較されたりします。まずはしそ油とえごま油、そして亜麻仁油との違いを、それぞれ比較しあいながら紹介します。
しそ油の特徴
しそ油は米油と同様にアジア固有の油であり、欧米では馴染みのない油でもあります。日本では縄文時代には利用されていた痕跡が見つかっているなど、太古の昔から利用されてきたものであり、その名前のとおりにシソ科の植物の種子から絞った油です。
ヨーロッパではセージやラベンダー、ミントなどのシソ科のハーブが良く使われていますが、しそ油も同じシソ科の植物を使っているだけあって、ほのかにシソの香りがします。とても酸化しやすくて日持ちがしないだけでなく、時間がたつと共に独特の生臭さが強くなってくる特徴があります。
しそ油とえごま油の違い
しそ油はよくえごま油としても売られています。ですがしそ油とえごま油に違いは無いのでしょうか?しそ油というからには、シソの葉を集めて絞っていると考えている人が多いことでしょう。ですが実際のシソの葉には油は0.2%しかないため、とても絞れるものではないのです。
そんなシソの葉と比較して、えごま油の元になるえごまの種子には油が35%~40%も含まれています。えごま油の老舗店・大田油脂のホームページでも「えごま油の知名度が低かったためしそ油として売っていた」と書かれていて、しそ油とは本来えごま油のことなのです。
しそ油と亜麻仁油の違い
しそ油と良く比較される油として亜麻仁油があります。しそ油と並べて紹介されることも多い亜麻仁油ですが、しそ油と亜麻仁油は原料から利用のされ方まで、全くの別物なのです。
亜麻仁油はリネン繊維の原料となる亜麻の種子です。亜麻はアマ科の植物であり、しそ油の原料となるえごまとも全く別の植物なのです。
亜麻は日本では江戸時代に種子を薬として使っていた記録があり、中国から簡単に輸入できたため、限られた地域で栽培されていました。明治から昭和初期までは繊維用として、北海道で広く栽培されていました。
日本での亜麻仁油の歴史は浅く、2000年以降に衰退していた亜麻栽培の復活が試みられるようになってからです。亜麻仁油は食用としてだけでなく工業用としても使えるため、その評価は年々高まり北海道の特産品になっています。
食用としての亜麻仁油は、しそ油とその栄養成分を比較すると良く似ているため、栄養効果だけで見れば代用品として使えます。ただしその独特な味と香りから味の評価は真っ二つに分かれていて、人によって使い勝手に大きな違いのある油です。
しそ油の栄養成分と効果効能7選
しそ油はその原料となるえごまの豊富な栄養分を含んだ油です。その栄養の豊富さから、福島県では食べると10年長生きすると言われ、「じゅうねん」という別名も持っています。
そんな栄養成分が豊富なしそ油には一体どんな効果効能があるのでしょうか?しそ油に含まれている栄養成分と、その効果効能をまとめてみました。
コレステロールを下げる
しそ油には豊富な脂肪酸が含まれています。そんな脂肪酸の中でもα-リノレン酸の含有量が60%近い油は、他の油と比較してもこのしそ油と亜麻仁油だけなのです。
このα-リノレン酸はω3必須脂肪酸と呼ばれる栄養成分で、体内で魚の健康成分としても有名なDHAやEPAに変化する特徴があります。そのためα-リノレン酸の持つ効果効能は多岐にわたりますが、そのひとつがこのコレステロールの低下効果なのです。
コレステロールが低下することにより、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中といった生活習慣病予防に効果効能があるだけでなく、血管を健康に若く保つ効果効能も期待することができます。
美肌効果
しそ油にはα-リノレン酸のほかにも多くの飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸といった有益な脂肪酸や、ポリフェノールも多く含まれています。α-リノレン酸の効果でコレステロールが掃除された血管は、血流も良くなり肌にも必要な栄養が行き渡ります。
さらにα-リノレン酸には老化予防効果もあり、滑らかで柔らかく潤いのある肌を保つ効果効能があります。しそ油をにきびなどの吹き出物に塗ると、肌の余分な微生物を退治して肌の状態を改善してくれる、嬉しい美肌効果もあるのです。
認知症の予防・改善
しそ油に含まれるα-リノレン酸が体内でDHAやEPAに変化することは紹介した通りです。そのためα-リノレン酸には健全な脳細胞を作る効果や脳細胞全体の健全化に効果を発揮し、神経伝達機能の改善にも効能を発揮します。
このα-リノレン酸はアルツハイマーやボケといった脳の衰えや脳疾患の予防だけでなく、子供の脳の発育を助ける栄養成分としても注目されています。
不眠症の改善
しそ油に含まれるα-リノレン酸には、脳を正常化させることで抑うつ効果もあり、さらにコレステロールの低下効果で全身の血の巡りを良くします。この結果不眠の原因ともなっているストレスの軽減効果や、胃腸の不調の改善、さらに冷えにも改善効果があり、不眠の原因を取り除くことができるのです。
心臓発作のリスクを低下
しそ油に含まれるα-リノレン酸のコレステロール低減効果で、動脈硬化の改善が促されることにより血流が良くなり心筋梗塞のリスクも低減されるため、心臓病や心臓発作のリスクも自然と低くなります。
1日に1.2gのα-リノレン酸を6年間摂取し続けた結果、男女とも59%の心臓発作のリスクが下がったというデータもあるのです。
喘息や気管支炎の緩和
しそ油に含まれるα-リノレン酸の効果には、この他にも抗炎症作用があげられます。喘息や気管支炎は、軌道の炎症によって起こる病気です。そのため抗炎症効果のあるα-リノレン酸は、気管の炎症を抑え喘息や気管支炎を改善する栄養成分でもあるのです。
喘息や気管支炎で悩んでいる人には、しそ油は有効成分たっぷりのおすすめの健康油と言えます。
抗菌作用
しそ油には美肌効果のところでも触れたように、余計な雑菌を殺菌する抗菌作用があります。この抗菌作用により雑菌を殺して炎症を抑えたり、傷口に塗って消毒液の代わりにすることもできます。にきびや吹き出物以外でも、髭剃りの後に塗っても肌を整える効果が期待できます。
しそ油の使い方と注意点
しそ油はとても優れた効果効能を持つ成分を豊富に含んでいますが、一方で使い方にいくつか注意点があります。先にも紹介した酸化しやすい点も、しそ油を扱う上での注意点のひとつと言えます。しそ油の使い方とその注意点についてまとめてみました。
しそ油は加熱しない
しそ油は加熱してはいけない油と言われています。元々酸化しやすいだけでなく、加熱することで栄養が壊れてしまい、さらにアクロレインという有害物質が発生してしまうからです。このアクロレインは揚げ物を長時間揚げていると気分が悪くなる原因とされています。
このアクロレインは車の排気ガスやタバコの煙にも含まれていることから、その有害性はわかりやすいことでしょう。ただし一方で180度で10時間加熱しても大豆油との比較では劣化は進んでいたものの、α-リノレン酸も90%以上残っていて、栄養的にも食品衛生上支障があるほどではなかったとする論文もあります。
この論文の結果からわかることは、揚げ油や炒め油としての使い方は避けたほうが良いですが、弱火で仕上げる程度であれば最後に足せば大丈夫ということになります。原料のえごまの実を軽く炒って食べる使い方もあるので、軽く加熱する分には気にしなくていいでしょう。
マリネやドレッシングに使う
しそ油の使い方の注意点として過熱禁止が基本であることを考えると、一番おすすめの使い方はしそ油を冷たいままで使う使い方ということになります。マリネオイルやドレッシングとしての使い方が一番良い、ということです。
しそ油2に酢1を合わせたら、塩コショウで味を調えることでドレッシングのベースが完成します。後はお好みでハーブを入れてオリジナルドレッシングにしたり、ベースのままでの使い方でも十分に楽しめます。
そのまま飲んでも大丈夫
しそ油の注意点を踏まえた使い方として、そのまま飲むという使い方もあります。しそ油は一般的な油と違い癖があるので、そのまま飲むのはちょっと抵抗があるかもしれません。なので他のドリンクで割って飲めば、比較的楽に飲むことができるようになります。
あまり油だけで飲むという使い方はしませんが、他の油と違い加熱は控えたほうが良いという注意点を持つしそ油らしい使い方、と言えるでしょう。
摂取量の目安は?
しそ油の効果を得るためには、1日で大体2gほどが理想と言われています。量で言うと小さじ1/2ほどの少量です。ドレッシングで使う分でも、十分な量を簡単に取ることができます。
そのため今度は摂り過ぎないようにすることも注意点のひとつとなります。しそ油も油であることに変わりはなく、しかも栄養の豊富な油です。摂り過ぎれば栄養過多の危険性がでてくるのです。しそ油を使うときは注意点に気をつけ、上手に付き合うようにしましょう。
肌荒れの場所に塗る
しそ油に含まれるα-リノレン酸には、アレルギー症状を抑える抗ヒスタミン特性があるため、アトピーやアレルギー反応による皮膚炎の症状を緩和させることが期待できます。敏感肌でも使えるだけでなく保湿効果も高めてくれるため、肌荒れを起こしたときは患部に塗ると改善効果が期待できます。
しそ油の美味しい食べ方とレシピ
しそ油は使い方に注意点はあるものの、身体にも美味しい成分をたっぷりと含んだ、優れた油であることに変わりはありません。他の油とひとあじ違い、いろいろな使い方で楽しむことができます。しそ油だからこその食べ方やレシピを紹介します。
おひたしにかける
しそ油をおひたしにかけるだけで、さっぱりとした味のおひたしにコクとシソの風味を足すことができます。炒め物とはまた違ったコクのある、野菜の味をそのまま楽しめるおすすめの使い方です。
納豆に入れる
しそ油を納豆に入れる食べ方は、認知症予防にとても相性の良い組み合わせの食べ方です。しそ油のα-リノレン酸が脳の発達に効果的なことは先にも述べたとおりですが、納豆に含まれる良質の植物性たんぱく質が、脳の神経細胞同士のつながりをサポートしてくれるのです。
しそ油と納豆の組み合わせは脳の活性化にとても効果的な組み合わせであり、認知症の予防におすすめの食べ方と言えるのです。
味噌汁に数滴垂らす
しそ油が他の油と違い熱に弱いことは先に述べましたが、注意点のところでも述べたように出来上がった料理にかける程度の熱であれば問題はありません。そのためしそ油を味噌汁に数滴垂らして食べるのも、しそ油を手軽に取れる食べ方としておすすめです。
しそ油を手軽に摂る方法としておつゆまで飲みきりたいものです。塩分過多にならないように、味付けは薄めにするのがおすすめです。
芽キャベツの粒マスタードサラダ
- 芽キャベツ適量
- 粒マスタード(瓶入り)小さじ2
- 醤油大さじ1
- りんご酢大さじ1
- しそ油大さじ1
- 砂糖小さじ1
- 唐辛子適量
- 芽キャベツは半分に切って茹でます。
- ドレッシングの材料を混ぜ合わせます。
- 芽キャベツの水気をキッチンペーパーなどでふき取ったら、ドレッシングで和えます。
- 小鉢に盛り付けたら、唐辛子を飾って完成です。
梨とマーマレードのサラダ
- 梨1個
- マーマレード大さじ2
- レタス適量
- きゅうり1本
- ピーマン1個
- 玉ねぎ1/4個
- にんにく1かけ
- 粗塩小さじ1/2
- しそ油大さじ1
- 全ての野菜を適当に切ります。にんにくはみじん切りにします。
- 切った野菜と塩を揉み混ぜてから、マーマレードと油を合わせて完成です。
枝豆の胡麻ゆかりレモントースト
- 食パン1枚
- 枝豆20粒~30粒
- ピザ用チーズ1つまみ
- 黒煎りごま適量
- ゆかり粉少々
- レモン汁小さじ1/2~お好み
- しそ油小さじ1/2
- パンに枝豆とチーズを乗せます。ごまを振って色よくトースターで焼き上げます。
- ゆかり粉(赤しそ)を振ってレモンを絞り、しそ油を回しかけたら完成です。
しそ油の保存方法
しそ油は酸化しやすいため、保存方法にもいくつかの注意点があります。賞味期限も合わせて、しそ油の保存方法を紹介します。
賞味期限
しそ油の賞味期限は、未開封のものでも大体半年ほどです。商品によっては1年ほどもつものもありますが、えごまの栄養が壊れないように低温圧搾で作られたしそ油の場合なら、なおのこと半年をめどに使い切るのがおすすめです。賞味期限に関わらずしそ油の栄養や効果効能を求めるのであれば、そのくらいが妥当なのです。
ちなみに開封後は1ヶ月~2ヶ月以内に使いきるようにします。酸化しやすいため、栓をしっかり閉めても長くはもたないことを意識して使いましょう。
保存方法
しそ油はとても酸化しやすいため、光や熱、酸素や金属といった酸化を促すものには触れないように保存しましょう。遮光性の高い箱に入れてから、冷蔵庫で保存するのが一番です。購入する際にも光・紫外線に強い「遮光瓶」に入っているものを買うのがおすすめです。
ただし日本のえごま油の多くは、透明ガラスの瓶に入って売られているものがほとんどです。透明の瓶よりも色つきの瓶に入ったものを選ぶなど、買う段階でも品質の劣化しにくい商品を選びましょう。
しそ油の効果効能を積極的に取り入れよう!
しそ油は扱いには注意が必要ながら、健康にとても良い古くから日本に根付いている油です。単なる健康のためだけでなく、いつもと一味違った油としてもしそ油を楽しんでみませんか。