2019年03月04日公開
2024年09月05日更新
つぶ貝とバイ貝の違いとは?正しい下処理方法とおすすめの食べ方も紹介
つぶ貝やバイ貝は、刺身や煮付けなどで様々な食べ方で親しまれている馴染みにある食材です。スーパーなどでも手軽に手に入り、自分たちで下処理を行い捌いて食べることもできます。しかし、つぶ貝にもバイ貝にも、猛毒とまではいかないものの毒があります。今回は、つぶ貝やバイ貝の違いについてや、バイ貝の正しい捌き方や下処理の方法について紹介します。また、刺身や煮付けはもちろん、他にもおすすめの食べ方があるので、それも合わせて紹介していきます。
バイ貝とつぶ貝の違い【つぶ貝編】
つぶ貝とバイ貝、名前も見た目も似ていますが、実は違う貝なのです。まずはつぶ貝とバイ貝の違いについて紹介していきます。
つぶ貝とは?
つぶ貝という言葉を耳にしたことがある人も多いかもしれません。しかし、つぶ貝とはある特定の貝を指した名称ではなく、食用される巻貝の一種を総称した呼び方です。旬は7月下旬から翌年4月頃と、美味しく食べられる時期が長いという特徴もあります。
つぶ貝と総称される貝の大きさは、数mmのものから数十cmに至るまで多種多様な貝です。その中でも代表的な貝の1つが、「エゾバイ科」に属する貝類です。
唾液腺に毒がある
つぶ貝は食用とされる貝ですが、全ての部分を食べられるというわけではありません。つぶ貝には唾液腺があり、「アブラ」とも呼ばれています。見た目が白くプルプルとしていて脂肪の塊に見えることから、このように呼ばれているようです。
この唾液腺には、「テトラミン」という毒があります。「つぶ貝のアブラを食べると酒に酔う」と言われるように、食べてしまうと中毒症状を起こします。つぶ貝を食べる時は、必ず唾液腺を除去するなど下処理を忘れてはいけません。
種類/味の特徴
つぶ貝の種類は多岐に渡ります。ここでは、つぶ貝に属する代表的な貝の種類と味について紹介します。エゾボラは、殻の高さが20cm、重量が1kgにもなる大きな巻貝です。コリコリとした食感は、鮑に勝るとも劣らないと言われています。
ヒメエゾボラは、エゾボラの中で最も小さく、貝特有の臭みがないクセのない味わいが特徴です。シライトマキバイは安く手に入る大きなつぶ貝で、甘みのある身が特徴です。
向いている料理
新鮮な生のつぶ貝が手に入ったら、刺身で食べることをおすすめします。下処理をしたつぶ貝を一口サイズにスライスするだけで完成です。少し手間をかけて酢飯を作れば、つぶ貝の握り寿司という食べ方もあります。
つぶ貝の煮付けも定番の食べ方です。つぶ貝を調味液で煮詰めるだけと簡単ですが、見た目は豪華な一品になります。ただし、つぶ貝をどのように調理して食べる場合でも、毒を摂取しないように下処理を忘れてはいけません。
バイ貝とつぶ貝の違い【バイ貝編】
続いてバイ貝の種類や、味、バイ貝が持っている毒について紹介していきます。またおすすめのバイ貝の食べ方も紹介していきます。
バイ貝とは?
バイ貝は、生物分類上、バイ科に属している貝類の総称です。日本各地の浅瀬に生息しているので、日本人にとって馴染みのある貝の一種です。
バイ貝は色の違いから、黒バイと白バイに大きく分けられます。黒バイは殻が黒く、旬は3月から7月頃です。一方、殻が白い白バイは通年水揚げされていますが、刺身で食べる場合は秋から冬にかけてが特に美味しいと言われています。
唾液腺の毒素テトラミン
バイ貝にも、つぶ貝と同様に唾液腺にテトラミンという毒があるので、必ず下処理の段階で取り除かなければいけません。全国で毎年5〜10名ほどの患者数が報告されています。
誤って食べてしまうと、食後30分〜1時間のうちに中毒症状が現れます。死ぬほどの重篤な中毒症状ではありませんが、激しい頭痛やめまい、酩酊感、ふらつきなどが起こります。この中毒症状が、酔っ払った時に症状に似ていることから、「アブラを食べると酒に酔う」という言葉が生まれました。
煮つけがポピュラー
バイ貝もつぶ貝と同様、刺身や煮付けで食べられます。中でも煮付けがポピュラーな食べ方です。バイ貝のうち、黒バイは高級品として扱われることが多く、料亭などで刺身として提供されることが多いです。
一方、白バイは、日本各地で水揚げされているので漁獲量も高く、比較的安価に手に入ります。たくさん仕入れて煮付けにすれば、晩御飯のおかずにもお酒のアテにもなる便利な一品が完成します。もちろん、白バイも新鮮なものが手に入れば、刺身として食べられます。
種類/味の特徴
黒バイはあずき貝とも呼ばれています。殻は黄土色からあずき色と濃い色をしており、表面に黒の斑点があるのが特徴です。わたに苦味やえぐみが無いので、酒と塩だけで味付けした酒蒸しなどでも美味しく食べることができます。
白バイはエッチュウバイとも呼ばれ、産地は能登半島から西側の日本海沿岸です。その名の通り、白い殻に包まれています。甘みがあるので、大きいものは刺身に、小粒のものは煮付けにすると美味しく食べることができます。
バイ貝の下処理方法と捌き方
バイ貝が手に入ったら、下処理をしなければ食べることはできません。捌き方を間違ってしまうと、毒のある唾液腺を取り残してしまうことにもなります。ここからはバイ貝の下処理方法と捌き方について紹介していきます。
殻の割り方
もし殻付きのバイ貝が手に入ったら、殻を割るところから下処理が始まります。まず、包丁のみねや金づちなど硬いもので殻を叩きます。バイ貝の殻は薄いので、強い力を加えなくても割ることができます。
もし殻を他の用途で使いたい場合は、キリなど先の尖った工具を使用して身を取り出します。バイ貝のフタの付近にキリで穴を開け、そこから身を引っ張り出します。
内臓と唾液腺を取る
続いてバイ貝の捌き方ですが、バイ貝が殻から取り出せたら、綺麗に水洗いして身と内臓を切り離します。次に身に付いている唾液腺を取ります。テトラミンによる中毒症状を起こさないよう、残すことなく除去します。
捌き方は、まずバイ貝の身を真ん中で縦半分に切ります。すると左右両側に中央付近に白い脂の塊が付いています。これが唾液腺です。バイ貝はコリコリとした食感であることからわかるように、硬い肉質です。唾液腺は身に比べて柔らかい見た目を持っているので、すぐに見分けることができます。これで下処理は完成です。
塩もみか塩ゆでをする
下処理が完了したバイ貝は、塩もみが塩茹ですることによってぬめりを取り除きます。ボウルに下処理を済ませたバイ貝と塩を適量入れ、揉んでいくと黒っぽいぬめりや汚れが出てきます。ある程度塩もみしたら水洗いし、再度塩もみしていきます。3回ほど行えば綺麗になります。
塩茹でする場合は、初めて茹でた時にアクがたくさん出るので、その段階で一度水洗いします。その後、再度15分ほど塩茹でします。
バイ貝のおすすめの食べ方
バイ貝が手に入っても、食べ方がわからない、と感じている人もいるかもしれません。下処理に慣れれば、簡単に調理することができます。最後にバイ貝のおすすめの食べ方を紹介します。全て2人分の材料を表しています。
刺身
- バイ貝3〜4個
- 塩(塩もみ用)適量
- 包丁のみねなどを使って、バイ貝の殻を割ります。
- 内臓と唾液腺を取り除きます。
- バイ貝を5mmの厚さにスライスします。
- ボウルにスライスしたバイ貝と塩を適量入れて塩もみし、水洗いします。
- ぬめりが取れたら水洗いし、完成です。
新鮮で大きいバイ貝が手に入ったら、刺身で食べることをおすすめします。ほどよい硬さのコリコリとした食感はクセになります。内臓と唾液腺さえ取れれば、捌き方も難しくないので、料理初心者でも簡単に作ることができます。
煮付け
- バイ貝10個
- 塩(塩茹で用)適量
- 水150ml
- 醤油大さじ1杯
- みりん大さじ1杯
- 酒大さじ1杯
- 砂糖大さじ1杯
- バイ貝を殻ごと塩茹でし、ぬめりを取ります。
- ふたの部分にキリで穴を開け、身を少し引っ張り出します。
- 身の表面にうっすらと緑色の管が見えるので、その部分を包丁で身を割いて管を露出させます。
- 緑色の管を引っ張り出すと唾液腺が一緒に取れます。
- 唾液腺を取ったバイ貝を水洗いし、鍋に入れ、水と調味料を加えます。
- 中火にかけ、沸騰したら弱火にして5分ほど煮たら完成です。
バイ貝を煮付けにする場合は、殻が付いたままの方が見栄えがよくなります。殻を付けたままのバイ貝から唾液腺を取り除くのは、少しコツがいります。もし難しい場合は無理せずに殻から出して唾液腺を取り除くことをおすすめします。
バイ貝のパスタ
- パスタ160g
- バイ貝10個
- 塩(塩もみ用・パスタを茹でる用)適量
- 水400ml
- 白ワイン50ml
- 玉ねぎ3分の1個
- トマト2分の1個
- 塩小さじ2分の1杯
- 黒胡椒少々
- バイ貝を殻ごと塩もみし、ぬめりを取ります。
- ふたの部分にキリで穴を開け、唾液腺を取り出します。
- バイ貝と水、白ワインを鍋に入れて中火にかけ、煮立ったら火を弱めてアクを取ります。
- バイ貝を取り出し殻から外し、一口大に切ります。
- 玉ねぎとトマトをみじん切りにし、バイ貝とともに鍋に戻します。
- 別の鍋に湯をわかし、塩を入れてパスタを茹でます。
- パスタを湯切りして器に盛り付け、5. のソースをかけたら完成です。
貝を使ったパスタといえばアサリが有名ですが、バイ貝でも同様に美味しく作ることができます。刺身や煮付けなど和食に飽きたら、洋食にチャレンジしてみるのもいいかもしれません。
バイ貝の毒を正しく処理して美味しく食べよう!
いかがでしたか?つぶ貝とバイ貝の違いについて説明してきました。つぶ貝とバイ貝の旬の時期は逆転しているため、1年中どちらかの貝を美味しく食べることができます。
つぶ貝もバイ貝も捌き方はそれほど難しくなく、様々な食べ方があります。毒のある部分にだけは気をつけて下処理を行い、刺身や煮付けなど好みの食べ方で美味しく食べてください。