「すあま」とは関東の和菓子で関西では通じない?かまぼことの違いも!

「すあま」と、言います。あなたは知っていましたか?どうやら関東の和菓子のようです。関西では、まったくの無名です。関西人も「すはま」なら承知している人は少なくないでしょう。すあまの見た目は、かまぼこのように見えます。すあまは上新粉を使って造る餅菓子です。そんな、すあまと混同しそうな「ういろう」やすはまとを比べながら、味などの違いを詳しく探って、すあまの正体を明かしてみようと考えています。

「すあま」とは関東の和菓子で関西では通じない?かまぼことの違いも!のイメージ

目次

  1. 1すあまとは?
  2. 2すあまとかまぼこの違い
  3. 3すあまとういろうの違い
  4. 4すあまとすはまの違い
  5. 5関東の餅菓子「すあま」を食べてみよう!

すあまとは?

すあまは関東の和菓子

すあまを見たことも聞いたこともない関西の人から、見たことも食べたこともある関東の人まで、いろいろな方がいます。関東の人でも、耳にしたことはあるが、見たことも食べたこともない人がめずらしくはありません。すあまは江戸時代に、木場のあたりで作られたのが始まりのようです。上新粉を使った餅菓子で和菓子の一種です。素材そのままの未着色のものは白色ですが、外側を食紅でピンク色に着色したものもあります。

また、クチナシの実などで黄色に着色したすあまもあります。すあまは中に餡などを仕込まないのが基本的で、それがすあまのひかえめな甘さの特徴になっています。仕上げに巻きすで巻いて、蒲鉾のような形状に仕上げるのが一般的です。祝い事などで、関東では紅白そろえたすあまが提供されることが、めずらしくありません。

関西では知名度が低い

関西ではすあまを見たことがあるとか、食べたことがある人が多いとは言えず、知名度の低い食べ物です。同じ上新粉で作るういろうが、すあまに近い餅菓子に当たるかもしれません。関東のすあま、関西のういろうとも言われる所以です。けれども、すあまとういろうは製造方法や味、食感などすべて面で異なる別種の餅菓子と言えます。いずれにしても、すあまの知名度は関東と関西では雲泥の差となっています。

味は?

前章でも触れたように、すあまは餡をくるまない餅菓子です。上新粉に砂糖を加えて湯で捏ねて蒸し上げたものを、熱いうちに臼で突き上げたものです。関東では硬くならない餅として珍重されてきました。餅よりも上品な上新粉のモチモチとした食感と、ほんのりとした淡い甘さが特徴となっています。甘いものが苦手な人でも、口にできる餅菓子です。

すあまとかまぼこの違い

かまぼこにそっくり?

ネットに溢れている関西系の人の、すあまを見た際の感想は一様に「かまぼこ?」というリアクションがほとんどです。たしかに、すあまを能書きなしで目の前に出されたら、そう思うのもやむをえません。見慣れている関東の人でも、手に取ったり食べたりしなければ、間違える余地は十分にあります。それくらいに、すあまはかまぼこにそっくりです。

味の違いは?

すあまとかまぼこの、味の違いは言うまでもありません。かまぼこについては、今さら説明の必要もないくらい、万人が承知しているでしょうから省きます。すあまはこれまでに幾度かのべたように、餅菓子であり和菓子ですから、基本的には甘い味がします。もちろん、醤油もわさびも付けません。淡い甘さですから大人の男性にも抵抗感は少ないはずです。あえて言えば、甘みの付いたすあまと塩気の付いたかまぼこの違いです。

食感の違いは?

すあまとかまぼこの食感の違いは?言うと、似てもいるけれど、やはり全然違います。かまぼこは何といっても、歯ごたえのある弾力があります。すあまの食感はモチモチしていますが、弾力があるという感じではありません。かまぼこのように幾度も咀嚼する必要はなく、餅菓子ですから歯にくっつくようなこともありますが、基本的には柔らかい食べ物です。上新粉のすあまと魚のすり身のかまぼこの違いです。

すあまとういろうの違い

ういろうとは?

ういろうは和菓子の一種で、古くは室町時代にすでに原形の「黒糖ういろう」が存在しています。その意味では、すあまより長い歴史をもつ和菓子になります。ういろうは小田原より以西の、西日本で広く知られている食べ物です。ういろうと言えば名古屋が有名ですが、ういろうは各地で作られてきており、名古屋の専売特許ということではありません。ういろうは、一般的には羊羹のように長い四角形をした棹物の形で売られています。

味や食感の違い

すあまとういろうの味や食感の違いは?というと、甘みは、すあまよりもういろうの方が強いと言えます。食感はモチモチしていても柔らかくて、手や歯にくっつくのがすあまで、ういろうの食感は柔らかみの中にしっかりとした噛み心地があります。硬さ弾力だけからいえば、羊羹の次がういろうで、その次にすあまが来ます。甘みは逆に、すあまの次がういろうで、続くのが羊羹と順に甘みが強くなります。

見た目

同じ和菓子の、すあまとういろうの見た目による違いは、羊羹を基準にすると分かりやすいかと思います。羊羹に近いのはういろうです。たとえば、切り分けた時などに、糖分によるベタつきはあっても、ういろうが手や歯にくっついてくるようなことはありません。一口に切り分けたすあまは、見た目も羊羹やういろうほどシャキッとはしていません。羊羹よりもういろうよりも、ややグタっとしているのがすあまです。

作り方

すあまとういろうの作り方の違いを紹介します。すあまの作り方は、上新粉を湯で練ってから、砂糖を加えて臼で突いたものを蒸し上げます。蒸し上がったものを巻きすで巻いて、形を整えてから切り分けます。これにたいして、ういろうは米粉と砂糖を水で混ぜて練り上げて、型に入れたものを蒸し上げます。蒸し上がったものを、いろいろな形に切り分けたものがういろうです。

原料の違い

すあまとういろうの原料の違いは?と言いますと、すあまの原料はシンプルです。すあまの原料は、上新粉と砂糖に色付けに使う食紅ぐらいです。けっこう素朴な食べ物と言えます。ういろうは、米粉と砂糖(かつては黒糖が多かった)に、小豆や抹茶などいろいろな素材を香りづけに混ぜ込みます。また、最近では米粉ではなく、すあまと同じように上新粉を材料としているういろうも増えてきました。

すあまとすはまの違い

すはまとは?

すはまとは?鎌倉時代に京都にあった「松寿軒」で考案された和菓子です。大豆や青豆を煎って挽いた「州浜粉」に、砂糖と水あめを加えて作った和菓子の一種になります。この豆飴の断面が州浜紋に似ているために、州浜という名が付けられたのです。現在では、州浜粉を使用した菓子全体を「すはま」と呼ぶようになっています。大豆だけを使った黄色い砂浜と、青豆を加えた青と黄色の染め分けの砂浜が基本としてあります。

味や食感の違い

すあまとすはまの違いと言えば、三題噺のごとくなりますが、すあまとすはまの味や食感の違いを紹介します。すあまのあじや食感は再三、紹介しました。すはまのあじや食感はどうでしょう。砂糖だけでなく水あめも加わった甘みはしっかりとあります。大豆の香ばしさがあふれる中に、食感もたしかなものがあります。すあまが柔なら、すはまは剛と言えなくもありません。

見た目

すあまとすはまの見た目の違いは、ずいぶんと異なります。すあまは色も紅白二色がほとんどです。すはまは色とりどり色彩をもっています。すあまは見るからにモチモチの柔らかい感触があります。すはまは大豆の甘さや香りばしさを、しっかりとした食感と共に楽しむ和菓子です。関東でほんのり柔らかいすあまを、中部で甘めの弾力あるういろうを、京都で大豆の香りたっぷりのすはまを食べ比べてみてはどうでしょう。

作り方

すあまとすはまの作り方の違いを紹介します。すあまについては度々紹介しました。すはまはどうでしょうか?煎った後に挽いた州浜粉に、砂糖や水飴を加えて練り上げてから、棒状に形を整えます。蒸したり、臼で突いたり、巻きすで整えたりという、すあまの工程はありません。したがって、すあまとすはまでは言葉が似ていても、原料や作り方、見た目、味や食感に至るまでかなり違うことが分かります。

原料

すあまとすはまの原料の違いは、明確に異なります。すあまは何度も述べたように、上新粉と砂糖にせいぜい食紅です。すはまは大豆や青豆に砂糖や水飴になります。現在では、他にもきな粉や黒砂糖などいろいろな素材の色や味を多彩に加えています。すはまは、すあまのようなモチモチとしたものでなく、ういろう以上で羊羹未満の、歯ごたえのある和菓子です。

関東の餅菓子「すあま」を食べてみよう!

すあまの正体をあれこれと明かしてみたつもりですが、どうでしょうか?存在自体を知らなかった人もいたのではありませんか。たしかに、関西では「それ、何?」という存在でした。それでも、すあまについていろいろ詳しく探ってみました。すあまとかまぼこやういろう、すはまが、どう違うのかは分かりました。関東独自の和菓子であり、餅菓子であるすあまを食べてみよう!ではありませんか。

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