小田原の「ういろう」は漢方薬?小田原名物の効能や値段・店舗を紹介!

「ういろう」というと小田原以外にも名古屋の名菓でもありますが、元々は中国、当時の元から伝えられた薬でした。現在もその薬の「ういろう」は小田原で売っています。小田原でういろうを売っている店は、1300年台後半に日本にやってきた中国人、陳延佑の子孫がやっているお店です。その店の本店はお城のような形をしており、観光スポットにもなっています。そんな薬の「ういろう」についてその効能や値段、それを購入できるお店などを紹介します。

小田原の「ういろう」は漢方薬?小田原名物の効能や値段・店舗を紹介!のイメージ

目次

  1. 1小田原には万能薬としてのういろうがある!
  2. 2小田原の万能薬「ういろう」を紹介!
  3. 3小田原のういろうの効能を紹介
  4. 4小田原のういろうの成分や飲み方について
  5. 5小田原のういろうが手に入る店舗や値段を紹介
  6. 6小田原の万能薬をぜひ手に入れて効果を実感してみよう!

小田原には万能薬としてのういろうがある!

ういろうと言えば細長い羊羹に似たお菓子を思い浮かべますが、元々は生薬を秘伝の方法で調合して作った薬の名前でした。この薬のういろうは万能薬とも言われており、多くの効能があります。そして、現在も小田原でこの薬のういろうは売られています。今回はそんなういろうについて詳しく紹介していきます。

小田原の万能薬「ういろう」を紹介!

お菓子よりも先にあったとされる薬のういろう

ういろうとは、14世紀に中国から日本にやってきた医学の知識のある陳延佑という人が、日本に来て自らを陳外郎(ちんういろう)と名乗ったことから由来しています。陳外郎の息子が京都に招かれ、中国の薬「霊宝丹」の処方を元に作った「透頂香」という薬が後に外郎家の薬、「ういろう」と呼ばれるようになりました。

お菓子のういろうには諸説がありますが、この「透頂香」を天皇に献上した時に、口直しとして一緒に出したお菓子から由来しているという説もあります。小田原以外にも日本各地にお菓子のういろうはあるので、中国から色々な人によって伝えられたお菓子という見方もあります。また、ういろうはその後650年にわたる歴史の中で、愛用された万能薬です。

小田原土産としてういろうを買いに来た人たちに、外郎家ではお菓子のういろうを出していたようで、それを郷里に帰った人が真似をして作ったという説もあります。

小田原の万能薬ういろうの歴史

「外郎家」の初代、陳延佑は中国、当時の元に使える役人でした。陳氏は医療や薬学に造詣が深く、元の朝廷では国の祭事や人事に関わる仕事をしていましたが、1368年に元王朝は明王朝により滅ぼされてしまいます。二朝に仕えることを恥じた陳氏は日本に渡り、筑前博多に住み陳外郎と名乗りました。医療の知識があるということで、その高名は当時の将軍、足利義満の耳にまで入るほどでした。

義満は陳外郎を再三京都に招かれましたが、陳外郎は出家してしまい京都に赴くことはありませんでした。そして陳外郎の息子大年宗奇が陳外郎に代わり、京都に赴くことになります。大年宗奇は幕府の近くに家を与えられ、外国の使者の接待役や朝廷の御典医などを任され、重用されました。その後、宗奇は朝廷の命で中国(当時の明)に一時帰国し、「霊宝丹」という万能薬として名高い薬の処方を日本に持ち帰りました。

当時の日本では、この「霊宝丹」がいろいろな効能があって便利であると瞬く間に各地に広まっていきました。当時の武士は戦に出る時に、これをお守りとして兜の中に持っていたそうです。すると兜の中で頭の熱によって薬の表面が溶け、良い香りがしたそうです。そこからは「霊宝丹」は当時の天皇に「透頂香」(とうちんこう)と名付けられました。

「透頂香」は「外郎家」が作った薬なので、その後「ういろう」と呼ばれるようになりました。大年宗奇の息子、月海常祐もその息子の祖田も優秀で、室町幕府には重用され続けました。その寵愛ぶりは祖田の子の定治を当時の将軍、足利義政は宇野源氏の跡取りとして養子にしたほどです。

1504年、定治は北条早雲に招かれ小田原に来ました。その理由は1467年から約10年に続いた応仁の乱の影響です。この戦のおかげで京都は荒廃し、ういろうをつくる状況ではなくなってしまいました。そのため、定治は、京都の家や朝廷のご典医の職を弟に託し、当時関東で台頭していた、北条早雲の元に小田原へ転居したのです。この時は兄・弟どちらかの家が滅びても外郎家が残るように家を二分する決断をしたとのことです。
 

結局、京都の外郎家はその後、途絶えてしまいました。定治は小田原に移転してから「陳外郎宇野藤右衛門定治」を名乗るようになり、以後、子孫が代々「小田原のういろう」を作り続けています。これが外郎家650年に渡る歴史です。

5代目以降、現25代目まで、外郎家は小田原に居住し続けていますが、小田原は北條家の所領から、豊臣秀吉のものになり、徳川幕府のものになり、権力者は変わっていきました。小田原城が攻め落とされ、小田原の城下町に住む北条の家臣や商人たちは追放されるという危機もありましたが、外郎家はそれを逃れました。徳川幕府になると、江戸に移住するものも多かったようですが、その時も外郎家は小田原にとどまり、現在に至ります。

北条早雲が外郎家を小田原に招いた理由

ではなぜ、北条早雲は外郎家を小田原に招いたのでしょうか。小田原は北条早雲が大森氏から城を奪い、自らの領地として、1590年に豊臣秀吉に滅ぼされるまでの約100年間、北条氏の城下町として発展しました。その初期が外郎家が小田原にやってきた頃です。北条早雲は小田原を整備し、城下町として発展させるためにいろいろな人を招きました。その中の1人が外郎家でした。小田原は水や食料に恵まれ、防衛の面でも問題ない土地です。

城下町が発展し、人々が安心して住むためには、健康面での適切な医療が必要と早雲は考えました。そこで、目をつけたのが、京都で医学者として活躍し、将軍家や朝廷とのつながりが強かった外郎家でした。小田原にやってきた外郎家は北条家に大切にされ、製薬や医術はもとより、軍事顧問的な役割や薬を各地に持っていく中で、その土地の情報を集める諜報・外交官的な役割も担ったそうです。外郎家はただの薬屋ではなかったのです。

小田原ういろうと歌舞伎「外郎売」の関係

ういろうと言うと歌舞伎の「外郎売」の演目を思い浮かべる人もいるかもしれません。この「外郎売」は二代目市川團十郎が「小田原のういろう」の愛用者だったから作られたそうです。今の団十郎が13代目ですので、随分昔の話です。その当時、人気役者だった二代目團十郎は咳と痰の病気で声が出なくなりました。そんな時、小田原の万能薬「ういろう」を服用したところ、すぐに回復し、舞台に立つことができました。

感激した二代目團十郎は、江戸から2日間かけて、わざわざ小田原までお礼を言いに訪れたとのことです。そしてこの素晴らしい薬を、もっと多くの人に知ってほしいと、外郎売の演目を創り出しました。それが二代目團十郎の代表作となり、歌舞伎十八番として有名になりました。1718年が初演の外郎売はういろうを売り歩く僧が、ういろうの歴史から薬の効能や凄さを宣伝する口上が有名です。

その台詞回しが難しく、早口言葉のようなので、現在ではアナンサーが滑舌トレーニングに用いたりします。外郎売も最後にはこの薬のおかげでこんなにスラスラ難しい言葉が言えると言っています。

小田原の万能薬ういろうの特徴


小田原のういろうの特徴はまず、漢方薬だということです。これは原料が生薬なので、化学薬品と違って副作用や、常用性がありません。そのため誰もが安心して服用することができます。そして、小田原のういろうのもう一つの特徴は即効性があるということです。一般的な漢方薬は、3ヶ月以上飲み続けないと体に変化が現れないと言われていますが、ういろうは鎮痛剤等を含まないのに腹痛や胃痙攣などの痛みにすばやく効きます。

そして効果の範囲が広いということも挙げられます。ういろうを少量服用しただけで、広範囲の様々な症状に効果があることが、まさに万能薬と言われる所以です。小田原のういろうは、外見は仁丹のように直径2.3ミリほどの銀色の小さな玉です。飲みやすい形状なので、昔の人は印籠の中に入れて持ち歩きました。保存料などは使われておりませんが、品質が変わらないという特徴もあります。

小田原の万能薬ういろうは希少!その理由は?

小田原のういろうは、外郎家が運営している株式会社ういろうのみが製造販売しています。なぜそんないい薬ならもっとたくさんの会社が作ったり、販売したりしないのかと思われるでしょう。そうできない理由は、薬のういろうは化学薬品とは違って、原材料が漢方の薬草だからです。この材料の薬草が採れる場所が環境破壊で激減してしまい、ういろうが以前のように多く作れなくなってしまったと言います。

漢方の原料の生薬は、人の手ではなく自然が育てるからこそ、効能が優れているものが多いと言われます。そのため、これらの薬草を栽培することもできません。今生えている薬草を大事にしながら、細々とういろうを作っているので、生産数も限られ、年々希少性が高くなってきているのです。

小田原のういろうの効能を紹介

歯痛や乗り物酔いにも効くと言われる小田原のういろう

小田原のういろうは万能薬と言われていますが、その中でも歯痛や乗り物酔いにも効くというのはかなり驚くべきことです。というのも、歯痛などの痛みは一刻も早く消したいものです。一度小田原のういろうを服用した人は、一般の鎮痛剤よりも早く効果が現れると驚くほどです。

乗り物酔いに関しては、通常の酔い止めの場合、乗りものに乗る数十分前に服用しないと効果がないものが多いのです。しかし、小田原のういろうは酔ってしまったと感じてから服用しても効果があります。

万能薬と言われる小田原のういろうの効能

小田原のういろうの効能を見てみると、胸腹痛、胃痛、眩暈、霍乱、食中毒、霍乱、悪心嘔吐、鬱気、船車、乗物の酔い、咳、痰のつかえ、中寒、中暑、心悸亢進、滋養補血、胸悶、頭痛、開胃、整腸、歯痛、痙攣、牛馬家畜諸種の疾患、伝染病予防となっています。まさに万能です。子供も大人の半分の量で服用できるので、老若男女が使える薬です。

純正生薬製剤のため副作用や習慣性がない!

小田原のういろうは漢方薬だと先述しました。これは純正生薬製剤と言って、原料は100%生薬です。生薬というのは甘草や桂皮といった草や木の皮などの植物由来のもの、熊胆など動物由来のものなど、自然界にあるもので、食べ物にもされているものの中の、薬効成分のあるものです。その生薬を100%使っていますので、化学薬品と違って副作用や、常用性がないというわけです。

家畜にも効果がある小田原のういろう

小田原のういろうの効能記載を見てみると、牛馬家畜諸種の疾患というのがあります。つまり動物の病気にも効果があるということです。牛馬の疾患に用いるときには水に溶かして飲ませばいいようです。量は40から60粒、犬猫には、5から20粒、鶏には1から10粒服用すると良いと書かれています。動物にまで使える薬とは、まさに万能です。

飲みやすく即効性があるのも人気の秘密

小田原のういろうは2.3ミリと小さい粒ですから、水を使わずにも飲みやすいと言えます。そして先述しましたが、即効性があるというのも人気の理由と言えます。出先で腹痛が起こり、その場でパッと飲めて、すぐに痛みがおさまってくれるので、重宝されるわけです。

小田原のういろうのその他の効能

小田原のういろうは万能薬なので、効能も多いです。下痢、食欲不振、消化不良、便秘などの消化器系の不良からのどの痛みなどの風邪のような症状まで、どの成分がどのように働いてここまで広範囲にの万能性を発揮するのか、不思議なほど多くの効能があります。

小田原のういろうの成分や飲み方について

小田原の万能薬ういろうの成分

小田原のういろうの成分は丁香、龍脳、薄荷脳、麝香、萆襏(ヒハツ)、人参、阿仙、桂皮、甘草、蓬砂、縮砂と書かれています。丁香はクローブ、薄荷脳はミント、桂皮はシナモンですので、爽やかで胃薬っぽい生薬です。龍脳は香木に使われ、歯痛に効果がある生薬です。麝香も香水の原料になるもので、興奮作用があります。萆襏は胡椒の一種で、人参は高麗人参のことです。阿仙は染料によく使われ、胃腸薬としても使います。

甘草は喉の痛みや咳に効果がある生薬です。蓬砂には消毒作用が、縮砂はショウガの一種で体を温めてくれて、胃腸を整える作用があります。

小田原のういろうの飲み方

薬というものは、その効能を最大限に発揮させるためには、用法や用量がとても重要です。それを間違うと薬どころか毒にもなります。小田原のういろうではそのようなことがないように、販売する際はその人の症状を聞き、何粒どのように飲めばいいかをアドバイスをしてくれます。対面販売することできちんとした用法と用量を説明し、ういろうは一層効果を発揮してくれるのです。

ういろうの通常の用法は、大人は1回10から20粒を1日3回から4回、白湯で服用します。慢性の症状の場合は1回2から6粒、急性の場合には1回に30から60粒を服用してください。効能別に効果的な服用方法もあります。下痢や腹痛などの場合はぬるま湯で、気分が悪いときや乗り物酔いの場合には冷たい水で飲むと効果が増します。

慢性的な症状の場合は苦味はありますが、1粒を口に含み30分くらいかけて溶かして服用するのを1日1回から2回行ってください。喉の痛いときも数粒を口に含み自然に溶かすことで、成分が喉にいきわたっていきます。そうすることで効果がより出てくると言います。

小田原のういろうの味は?

小田原のういろうは「良薬口に苦し」のことわざにあるように、少し苦いようです。仁丹も苦いので、それと似ています。しかし同時に、すっきりとしたさわやかな後味でもあります。これは小田原のういろうの表面を銀でコーティングすることで、直接強い苦味を感じにくくしているからです。薄荷脳も入っているので、小田原のういろうの効能には口臭を消す効果もあり、服用すると口の中がさっぱりとしたさわやかになります。

小田原のういろうが手に入る店舗や値段を紹介

小田原のういろうは通販などでは入手できない

先ほども書きましたが、小田原のういろうは自然の生薬を原料としているので、近年は特にたくさんの量を作ることができなくなりました。そのため、本当に必要としている人に売りたいということで、「株式会社ういろう」では通販などでは売らず、必ず対面販売しています。小田原のういろうを販売するときは、その人の症状を聞き、何粒、どのように飲めばいいかをアドバイスをしてくれます。

そのため、ういろうは効果を最大限に発揮し、すぐに効果を現わしてくれます。したがって小田原のういろうは小田原に行かなくては手に入りません。わざわざ小田原に行ってまで欲しい人だけが入手することができるということです。

ういろう本店の場所と営業時間

小田原のういろう本店の場所は小田原駅から徒歩13分、箱根登山鉄道箱根板橋駅徒歩16分の場所にあります。ういろう本店がある場所は小田原城の南あたりで、城下町の中心地です。小田原ういろう本店の外観はまさにお城の天守閣のような姿なので、遠くからでもすぐに見つけることができます。650年もの歴史を持つ小田原のういろう本店ならではの格式の高さを感じる店舗です。

ういろうは効果が高い万能薬なので愛用者も多く、本店は数々の文学作品や浮世絵にも描かれるほど有名でした。小田原の本店のういろうの営業時間は10:00〜17:00で、定休日は毎週水曜日、第三木曜日、12月31日、1月1日です。
 

ういろうの値段は?

小田原のういろうは効能も多く、万能薬と言われるものなので、値段は高めです。また、希少価値の高い生薬が原料になっているので、どうしても値段が上がってしまいます。小田原のういろう本店には1000円の箱、3000円の箱、5000円の箱の3種類の値段設定の商品があります。目的に合わせて購入できるように3種類設けています。ですが、ほとんどの人は5000円の箱を購入するようです。
 

1000円の箱はういろうが141粒入っています。3000円の箱の中には423粒が3つの密閉されたビニールパックに分けられて入っています。つまり、1袋141粒です。5000円の箱には728粒入っており、それが4つのパックに分けられています。1袋あたりは182粒になります。1粒あたりの値段は1000円と3000円の箱の場合、7円ちょっとです。それに対して5000円の箱の場合、6.86円になります。

小田原のういろうは用途によりますが、1回に服用する粒数が多いので、急性のものでなければすぐに141粒だとなくなってしまうということもあり、値段も5000円の箱を買う方が1粒あたりは安くなるので、5000円の箱をほとんどの人が購入しているようです。また、小田原のういろうは長持ちするので、多く買っておいても心配ないということもあるかもしれません。

小田原のういろうは小田原ういろうのお店に来ないと手に入りません。そのためわざわざ遠くから買いに来る常連さんも多いことも想像できます。それゆえ5000円の箱を買うことになるのです。

小田原のういろうには購入制限がある

しかし、遠くからわざわざ小田原のういろう本店までやってきたとしても、ういろうを購入できるのは1人で2箱までと購入制限が設けられています。これは先述しましたが、希少な生薬が環境破壊でさらに入手困難になっており、小田原のういろうを今まで通りに作ることができなくなってきたからです。

本当に欲しいという人にいきわたるようにということで購入制限を設けたのですが、これも小田原のういろうを常用する人が多いということの現れでもあります。5000円の箱には4パック入っていますので、1パックずつ小田原のお土産にしてもいいですね。遠方から来て、小田原のういろうを入手しようとする人にとってはかなり厳しいルールですが、そのおかげでより多くの人が小田原のういろうの効能を体験することができるのです。

小田原のういろうの印籠容器

小田原のういろうは昔から万能薬として有名で、旅に出る時などには必ず持たせたと言います。江戸時代の旅はどこまでも歩かなくてはなりませんので、荷物は少ない方がいい訳で、そんな時に何にでも効く小田原のういろうはお守りのように重宝されました。その当時、ういろうなどの薬を持ち歩くために印籠が使われていました。小田原のういろうではその印籠型の容器を今も本店では売っています。赤、グレー、ピンク、黒の4色です。

この印籠型の容器には「ういらう」の文字と外郎家が天皇家から賜った「五七桐紋」が描かれています。この桐の紋は天皇家にゆかりのある、とても格式の高い家でしか使われない紋で、外郎家が大変高貴な家柄であることを示しています。この印籠型の容器は見た目がかわいらしく、その上、小田原のういろうの小さな粒が取り出しやすい仕組みになっています。1つ1500円なので小田原のういろうとセットにして、お土産にも最適です。

本店には博物館もあり!

小田原のういろう家本店には「外郎博物館」が併設されています。ここは明治18年築のお蔵を利用した小さな博物館で、平成17年に開設しました。この建物も貴重なもので、しっかりした蔵造りのため、関東大震災も耐えた建物です。外郎家は初代の陳延祐から650年、25代にわたる歴史のある名家で、5代目の定治が小田原に移住してからでも500年の歴史があります。

小田原でもっとも古い商家である外郎家の歴史や、小田原のういろう本店の独特の店構えの理由、「ういろう」の名前の由来、お菓子と薬のういろうの起源、歌舞伎十八番「外郎売」との関係などを、外郎家ゆかりの品々を展示しながら紹介しています。見学したい人は本店の店員さんに言ってみましょう。入館無料ですが、 博物館内はガイド付きで案内をしてもらえます。

本店の昔の写真や看板、ういろうを作る道具など貴重な資料が展示され、外郎家の650年に渡る歴史を感じられるはずです。

ういろうでは「お菓子のういろう」も取り扱いあり!

小田原のういろうではお菓子のういろうも売っています。お菓子のういろうは外郎家の2代目の大年宗奇が作り出したものです。宗奇は室町幕府の中で外国使節の接待なども担当しており、その接待に用いたのが、お菓子のういろうです。外郎家のお菓子なのでういろうと呼ばれるようになりました。これは米粉を使用した蒸し菓子で、室町時代から製法はほとんど変わりませんが、黒糖で味付けされたものがオリジナルと言われています。

黒糖の原料はサトウキビで、そのサトウキビは、貴族の栄養剤として琉球から輸入されていたものを使ってお菓子にしたのです。宗奇が医療や薬学に詳しく、そのルートを確保していたから、ういろうというお菓子も作ることができたというわけです。当時、甘いものは貴重品で、それゆえ「ういろう」が有名になったのでしょう。

お菓子のういろうは江戸時代までは外郎家の接待用と先祖におまつりするために作られており、販売されるようになったのは明治以降です。お菓子のういろうの種類は様々なものがあって、一般的な棒状の羊羹のような形状のものは、白、茶、小豆、黒の4種類あり、1本700円です。また砕いた栗が入った「栗ういろう」900円も人気があります。小田原のういろう本店でしか買うことができないのが「菊桐ういろう」1200円です。
 

これは春のみの限定の商品です。通常のういろうは棒状ですが、このういろうは円形で外郎家の家紋の桐と菊をかたどっています。菊は薄ピンク色のういろうの中に桜葉入りの白あんが入っています。桐は抹茶地に黒あんが入っています。どちらも上品な味で、ツルツルのモチっとした食感が美味しいお菓子です。これは特別な方へのお土産におすすめです。

その他にも「ういろう羊羹」は1本1500円で、白、茶、小豆本練、黒、栗の5種あります。「ういろう最中」は1個200円で、桐型のものには求肥入りの黒あんが、印籠型のものには白小豆と栗が入った白あんが入っています。「錦甘露」12個入り1500円、6個入り800円は丸くてかわいらしい一口サイズのお菓子です。小豆、抹茶、ゆず、梅、芥子の実、ごまの6つの味があります。

「和らび餅」6個入り1000円も非常に人気があります。これは中にこしあんの入った丸いわらび餅です。室町時代のわらび餅は餡入りの丸いものだったそうで、伝統的なスタイルです。きな粉もあんこも甘さ控えめで美味しいです。お菓子は薬のういろうとは違い、地方発送してくれます。

小田原のういろう本店にはカフェもある!

小田原のういろう本店は外観がお城のようで驚きますが、中に足を踏み入れるとさらにその豪華さに驚きます。木がふんだんに使われ、天井は大きな格天井になっています。格天井は将軍など位の高い人にだけ許されているものなので、外郎家のくらいの高さがここでもわかります。正面には大きなショーケースが並んでおり、そこにはういろうやお菓子のういろうなどの商品がずらっと並んでいます。
 

さくらさくら

出典:

店の右側には和風のカフェが併設されています。カフェの中も木造で甘味処のような印象です。椅子は座面がタタミ風のものになっており、落ち着けます。このカフェのメニューには月替わりの上生菓子とお抹茶のセット600円や酒饅頭とお茶のセット600円、白玉ぜんざい600円などが並びます。季節限定のものもあって楽しめます。さくらさくら600円は桜の塩漬けの入った桜あん、生クリームムース、桜ゼリーの三重奏ムースです。

季節限定のものには、涼風という夏場限定の和風のパフェ600円や秋限定の紫イモプリン600円もあります。コーヒーやオレンジジュースもあります。ういろう本店で買物をしたら、ここで休憩してみてください。小田原のういろう併設のカフェの営業時間は10:00~17:00で、毎週水曜日、第3木曜日、大晦日、元旦は休みです。

小田原のういろうのういろう以外の漢方薬

外郎家が作る薬の中ではもちろん、ういろうが1番人気の商品ですが、これ以外にも漢方薬を作っており、それらも人気があります。「妙香散」は男女問わず、更年期の症状に効能があります。その他にも頭痛、めまい、のぼせ、耳鳴りなどを鎮めてくれます。こちらの値段は90包で9000円、15包で1600円です。

「振出し五香湯」は冷え性、風邪症状の改善が見込める漢方薬です。これはティーパックタイプで煮出して使う漢方薬です。これは30日分で8000円、4日分で1200円です。

小田原の万能薬をぜひ手に入れて効果を実感してみよう!

今回は小田原のういろうについて紹介しました。ういろうというと棒状のお菓子を思い浮かべますが、これは名古屋や京都など小田原以外の場所にも銘菓として売っています。しかしういろうは元々、お菓子ではなく万能薬と言われる薬でした。そのういろうは、14世紀に中国の元王朝が滅亡したことで日本に渡ってきた陳外郎の子孫が作ったものです。そしてその子孫が16世紀初頭に小田原に移住し、約650年に渡り作り続けています。

そんな長い歴史のある万能薬のういろうは、自然の生薬を原料にした漢方薬です。そのため、副作用や常用性もなく、体に優しい薬です。そのため老若男女が安心して服用することができます。その反面、歯痛や頭痛など急性の痛みにも即効性を発揮し、効果があります。もちろん慢性的な病状にも効果はあります。

ういろうは漢方薬ですが、広範囲に効能があるという特異性があり、食中毒、腹痛、めまい、乗り物酔い、咳、痰、疲労回復など様々な症状に効果があります。小田原のういろうは動物にも使用でき、牛、馬、犬、猫、鳥にも使えます。そんな便利な薬、小田原のういろうは愛用者も多いのですが、昨今の環境破壊で原料の生薬が手に入りにくくなってしまい、今までのように製造することが困難になってきています。

そのため小田原のういろうでは店舗にての対面販売しかしていません。その上、1人あたりの購入制限を設けており、なるべく多くのういろうを必要とする人にいきわたるようにしています。小田原のういろうは万能薬なので、旅先などでは小田原のういろうさえ持てば、色々な薬を持って行かなくて済むので便利です。そんな人気の万能薬、小田原のういろうを入手し、その効果を試してみてください。

ういろうはその効果と使い勝手の良さで、一度服用すると手放せなくなるかもしれません。小田原のういろう本店に行ってういろうを買って、小田原観光してみてはいかがでしょうか。

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