2019年02月15日公開
2024年09月04日更新
エスカルゴとは?ブルゴーニュ郷土料理の食べ方やかたつむりとの違い!
エスカルゴとは、食用のカタツムリでフランスのブルゴーニュ地方の郷土料理でもあります。ブルゴーニュの郷土料理ではエスカルゴのバターガーリック焼きが一般的な食べ方で、フランス料理の前菜にも登場するお馴染みの食べ方です。エスカルゴは野生を捕獲することもできますが、環境破壊や乱獲の影響で絶滅の危機に追いやられています。そんなエスカルゴは時間や工数がかかる下処理が必要な食材です。簡単に手に入る缶詰や冷凍が主流です。エスカルゴとは何か?味や調理方法、カタツムリとの違いなどを紹介します。
目次
エスカルゴとはどんな食べ物?
エスカルゴはブルゴーニュの郷土料理
フランス料理でお馴染みのエスカルゴは、カタツムリの中でも数少ない食用のカタツムリです。貝殻ごと調理されて提供される姿に驚く人も少なくありません。そんなエスカルゴはフランスのブルゴーニュ地方の郷土料理です。ガーリックバターで食べるエスカルゴはフランスのブルゴーニュ地方で昔から食べられてきた郷土料理です。エスカルゴとは何か?野生のエスカルゴや調理方法などについて紹介します。
フランスでの食用エスカルゴは4種類
エスカルゴとは食用のカタツムリです。食用となるエスカルゴは4種類です。ブルゴーニュ地方の郷土料理でもこの種類を超えることはありません。まずは本物のエスカルゴとも言われるエスカルゴ・ド・ブルゴーニュです。そしてエスカルゴに似たグリが二種類、プチ・グリとグロ・グリです。養殖も可能な種類であるため出回っています。最後にトルコのエスカルゴです。こちらも養殖できる種類です。
古代ギリシャやローマ帝国でも食べられていた
エスカルゴはフランスのブルゴーニュ地方の郷土料理ですが、その昔は、古代ギリシャの時代からローマ帝国で食べられていました。古代ギリシャでは珍味として重宝されていた食材でもあるのです。古代ギリシャでは、グルメな人が多く、エスカルゴをグルメの一つとして食べていたという説もあります。エスカルゴの飼育場も完備し、大きく育ててから調理して食べていた歴史があります。
エスカルゴの収穫について
野生のエスカルゴは激減している
フランス料理では、主に前菜として登場するエスカルゴですが、ブルゴーニュ種は絶滅の危機にあります。フランスではフランス国家の保護指定動物にも指定されています。その理由はエスカルゴの乱獲です。生態系を崩すような乱獲により野生のエスカルゴが激減しています。エスカルゴ・ド・ブルゴーニュは養殖による飼育も難しい種別であるため、個体数が激減して野生のエスカルゴは貴重な存在になっています。
フランスのブルゴーニュ地方で郷土料理として登場したころは、野生のエスカルゴがたくさん生息していました。しかし乱獲と環境破壊により個体数が激減し、郷土料理の地元ブルゴーニュ地方でも野生のエスカルゴを簡単に捕獲することはできません。東欧地方などから輸入せざるを得なくなっています。
野生のエスカルゴの収穫には法律が
絶滅の危機にあるエスカルゴは野生の状態で捕獲するのに厳しい法律で守られています。産卵期の4月から6月までは全体的に捕獲禁止になっている他、個体も3センチ以上に成長したものに限られます。法律に違反してエスカルゴを捕獲すると厳しい処罰があります。1個あたり750ユーロ以下の罰金ととても高額な罰が下されるのです。フランス政府も絶滅危機を乗り越えようと法律を施工しエスカルゴ保護に臨んでいるのです。
野生のエスカルゴの下ごしらえは大変
野生のエスカルゴは食べられる状態にするまでに大変な下ごしらえが必要になります。郷土料理のブルゴーニュ地方でもオーブンに入れれば食べられる市販のエスカルゴを購入することが多くなっています。昔ながらの調理法を行っているのは数少なくなっています。エスカルゴはまずエスカルゴを探して捕まえる事から始まります。さらに一週間くらいエスカルゴを寝かせて、お腹の中をきれいにする処理をします。
そしてエスカルゴを殻と身に分けて、さらによく洗います。ようやくここでエスカルゴに下味をつけることができます。最後にエスカルゴを調理します。捕獲してから10日以上かかります。時間も労力もかかるため野生のエスカルゴを捕獲して調理する過程は激減しています。
缶詰めや冷凍されたものを食べるのが一般的
エスカルゴの本場フランスでもエスカルゴは家庭で簡単に調理して食べられるように缶詰や冷凍されたものを販売しています。購入すれば、工数をかけずにその日の夜の食卓に並べることも可能です。缶詰や冷凍したものはすでに殻から取り出した状態になっているため、とても調理しやすいのです。ブルゴーニュ地方でも簡単に調理できるエスカルゴとして重宝されています。
エスカルゴの養殖
エスカルゴ・ド・ブルゴーニュは本物のエスカルゴとして重宝されますが、養殖はあまり行われていません。その理由は採算の問題です。フランスではエスカルゴは庶民の食材なので価格はそんなに高くありません。しかし養殖で育てるためには2年もかかります。時間がかかる割に販売価格が安いため、事業として成り立たない事情があります。一方プチ・グリやグロ・グリは成長も早く採算がとりやすいため養殖が盛んなのです。
エスカルゴの味やブルゴーニュ地方での食べ方とは?
味はほとんどない
エスカルゴそのものは味がほとんどありません。家庭料理でも高級フランスレストランでもエスカルゴは味付けが重要になります。エスカルゴを美味しい状態にするには、下味をつけるところから丁寧に調理する必要があります。これは野生のエスカルゴを利用する場合も缶詰や冷凍のエスカルゴを利用する場合も同じです。
代表的な食べ方はガーリックバター風味
日本でもお馴染みのエスカルゴの代表的な食べ方はガーリックバター風味です。エスカルゴのガーリックバター風味はブルゴーニュ地方の郷土料理の食べ方と同じです。下ごしらえを終えた後にエスカルゴを殻に入れてパセリやニンニクのみじん切りを入れてバターを乗せてオーブンで焼く方法です。バターの風味が香るさっぱりとした味に仕上がるのが特徴です。口に中にバターとガーリックの香りが広がります。
食べる際に必要な道具
エスカルゴ料理は貝殻に入った状態で提供されます。食べ方はエスカルゴ専用の道具を使用します。エスカルゴディッシュ、エスカルゴトング、エスカルゴフォークを使った食べ方が一般的です。エスカルゴディッシュとはエスカルゴを乗せる皿です。エスカルゴトングとは殻を挟み抑える道具です。エスカルゴフォークとは細くて小さなエスカルゴ専用フォークです。ブルゴーニュ地方の家庭にはどの家にもある道具です。
他にも調理法が色々
殻に入れてバター焼きにするのが一般的なエスカルゴの食べ方ですが、他にも食べ方はあります。椎茸にエスカルゴを入れて焼く食べ方やアヒージョ風にアレンジすることもできます。サラダの具材としてエスカルゴを使用する方法もあります。パンに乗せて焼く方法や、衣をつけて揚げる食べ方もあります。いろいろな食べ方にアレンジすることができるのもエスカルゴの魅力です。
エスカルゴは下味がポイント
エスカルゴは下味をつける工程が最も大事です。これを怠るとどんな美味しい調理をしてもイマイチな味になってしまいます。下味を付ける煮込み作業はエスカルゴの味を左右するといっても過言ではありません。下味の付け方は野菜、ハーブ、白ワインなどをベースにエスカルゴを一晩煮込みます。缶詰や冷凍のエスカルゴも簡単な下味加工が処理されているものもありますが、高級品以外は下味作業は必須です。
エスカルゴとかたつむり・ナメクジの違いとは?
エスカルゴとかたつむりの違い
エスカルゴとカタツムリは同じ軟体動物門腹足綱に属しています。エスカルゴはカタツムリの一種ですが、食用として衛生管理された特別な種別です。カタツムリとは陸貝であること、蓋がなく、触角は2対あり、殻の中に内臓があるなどの定義があります。陸貝でもカタツムリには属さない生物も数多くいます。もともと海で生息する貝でしたが、水生の巻貝が進化し陸で生活できるようになった経緯があります。
エスカルゴとナメクジの違い
ナメクジとはカタツムリの進化版です。貝を背負わなくても生きていけるように進化しているのです。カタツムリの貝をとってもナメクジにはなりません。カタツムリとは全く別の進化過程をたどった別の生物です。完全に貝がなくなっていない、進化途中のナメクジの個体もあります。陸で生活するにつれて身軽なほうが動きやすい、敵から身を守りやすいなどの理由により進化して貝がなくなっています。
かたつむりやナメクジを食べるのは危険
エスカルゴがカタツムリの一種であったり、ナメクジと似ているからと言って、カタツムリやナメクジを食べるのは危険です。それは寄生虫がカタツムリやナメクジの中に潜んでいるからです。実際にカタツムリを食べて死亡したケースも報告されています。エスカルゴは食用として施設で養殖されたり野生でも一週間以上寝かせる処理を怠りません。そのためカタツムリやナメクジを食べるのはとても危険なのです。
エスカルゴはフランス料理で有名な食用かたつむり!
フランス料理の前菜として馴染みのあるエスカルゴとはフランスのブルゴーニュ地方の郷土料理の食材です。全世界に生息するカタツムリの中で唯一食用として食べることのできるカタツムリです。料理として提供されるまでには多くの工数と時間を要する食材ですが、乱獲や環境破壊により野生のエスカルゴは絶滅危機にまで陥っています。フランス料理でエスカルゴを食べる時には背景を思いながら食べてみたいものです。