2019年02月15日公開
2024年09月04日更新
乳糖(ラクトース)の原料・成分とは?牛乳でお腹がゆるくなる原因!
乳糖とは、ラクトースとも呼ばれている、低甘味度の二糖類甘味料です。牛乳ばかりでなく、人など哺乳類の乳汁に含まれている成分で、牛乳や母乳などが乳糖の原料と言えます。乳糖とは牛乳に多く含まれる炭水化物で、100%が糖質です。乳糖はブドウ糖とガラクトースが結合した二糖類で、小腸でラクターゼという消化酵素によって分解・吸収されます。このラクターゼの分泌が少ない場合などに、下痢などの症状を発症して、乳糖不耐症が疑われます。この記事では、そんな乳糖をめぐるいろいろなポイントを解説していきます。
目次
乳糖(ラクトース)とは何?
乳糖とは?
乳糖とは一般的な牛乳100cc中に4.8g含まれる成分です。甘味は砂糖などと比べると1/5程度、ほんのりとした甘さと言えます。乳糖は小腸で分解酵素によって分解・吸収されてエネルギー源となったり、分解されずに腸内細菌のエサになったりします。乳糖は腸内細菌によって適度な酸性になることで整腸作用をもたらします。また、乳糖にはカルシウムやマグネシウム、鉄などの吸収を高める働きもあります。
出典: http://kenju.jp
牛乳のカルシウムが吸収されやすいのは、この乳糖があるからです。ブドウ糖や果糖、でんぷんなどいろいろな糖質がある中で、乳糖とは、牛乳や母乳など哺乳類の乳汁に由来する糖質です。
カロリーや糖質
牛乳の栄養成分を見てみると、普通牛乳(3.8%)100cc当りで、カロリーが67kcal、たんぱく質3.3g、脂質3.8g、炭水化物4.8gとなっています。牛乳のカロリーは、乳製品全体からみれば低い方です。糖質つまりラクトースはと言うと、牛乳の場合の糖質は食物繊維はゼロですから4.8g-0g=4.8g、炭水化物の4.8gがそのまま糖質量ということになります。
添加物として使われている?
添加物として使用されている乳糖は、原料の牛乳からチーズを造る時に副産物としてできる「ホエイ」というものから造られます。ホエイとはヨーグルトを冷蔵庫保管している時に、上澄みに出てくる水分のことです。添加物の用途としての乳糖は、乳製品の甘み調整のためです。乳糖には、乳糖不耐症のような症状を引き起こすことはあっても、牛乳アレルギーのような症状を引き起こすという副作用はありません。
乳糖(ラクトース)の原料や成分
原料
乳糖の原料とは何かと言えば、牛乳や母乳などの哺乳類の乳汁になります。牛で言えば原料である牛乳の糖質が乳糖です。二糖類である乳糖は小腸でラクターゼという分解酵素によって、ブドウ糖(グルコース)とガラクトースとの単糖類に分解・吸収されます。前章でも述べたように、分解・吸収された乳糖はさまざまな効能効果を発揮します。
成分:ブドウ糖
ブドウ糖とは、別名でグルコースとも呼ばれています。ブドウ糖や果糖、しょ糖等がある中で、ブドウ糖と果糖は単糖類でしょ糖は二糖類です。特に、ブドウ糖は単糖類ゆえに消化吸収されやすくて、脳のエネルギーに変換できる即効性をもっています。逆に、血糖値も急激に上昇させることになり、食べ過ぎを誘発します。ブドウ糖(グルコース)はガラクトースと共に二糖類のラクトース(乳糖)の成分を構成します。
成分:ガラクトース
ガラクトースとは単糖類で、グルコース(ブドウ糖)と共に、二糖類の乳糖の成分を構成します。分子式や分子量はグルコースと同じです。分解酵素ラクターゼによって、グルコースとガラクトースに加水分解されます。ちなみに、ガラクトースは通常の解糖系では分解されないので、グルコースに体内で変換されてから分解吸収されることになります。
牛乳でお腹が緩くなるのは乳糖(ラクトース)が原因?
二糖類の乳糖の消化酵素
ラクターゼとは二糖類の乳糖を、ガラクトースとグルト―スに分解消化する酵素です。ラクターゼは人の小腸上皮細胞に多く存在します。ラクターゼは牛乳などに含まれる乳糖(ラクトース)を加水分解するのに重要な酵素であり、この酵素の不足は乳糖不耐症として消化器症状を引き起こすことがあります。
日本人に多い乳糖不耐症
ここまで、牛乳などの乳糖を分解・吸収するメカニズムを説明してきました。けれども、日本人には牛乳を飲むと、お腹が緩くなる人が多いことをよく耳にします。これは乳糖を分解できずに起きる「乳糖不耐症」というものです。よく誤解されるのは、これをアレルギーと混同していることです。乳製品アレルギーはあくまで免疫系の問題になります。乳糖不耐症は小腸での物理的な問題であり、深刻さもアレルギーほどではありません。
乳糖不耐症の症状
人を含む哺乳動物のほとんどは、離乳するとともにラクターゼの活性が低下します。その低下程度は人によってさまざまですが、低下した人が牛乳などの乳糖を含んだ食物を摂ると、腸内に消化しきれない乳糖が残ることで、下痢などを始めとする乳糖不耐症の諸症状が発生します。症状として下痢が多い理由は、乳糖が大腸内で浸透圧を上げてしまうことにより、腸壁から水分が出て軟便化し、浸透性下痢となるからです。
あるいは、乳糖と腸内の微生物が結びつくと、腸内の酸性度を高めることになります。そのPHが6を下回ると大腸が刺激されて、蠕動運動が強まることも下痢の原因になります。
乳製品における乳糖とは?
ヨーグルト
乳製品の中の一つでヨーグルトは、製造工程で原料乳にヨーグルト菌を添加した上で、乳酸発酵して造ることが一般的です。発酵中に、原料乳の乳糖は3~4時間で95%近くが分解されます。これであれば、先天性の乳糖不耐性の方でなければ、ヨーグルトを摂取しても乳糖不耐性による症状が発生することはありません。また、牛乳ではなくヨーグルトでカルシウムを摂取すれば、カルシウムの吸収に都合の良い腸内環境に整えられます。
チーズ
乳製品の中の一つである、チーズに乳糖が含まれないのは、ヨーグルトのケースより分かりやすいです。前にも触れましたが、冷蔵庫内で保管したヨーグルトの表面には、ホエーという水分が分離しています。この状態を合理的に造るのがチーズの製造工程です。分離されたホエーには、ほとんどの乳糖成分が含まれています。チーズやヨーグルトにも多少の乳糖は残留していますが、乳糖不当症を引き起こすほどではありません。
原料に「乳糖」の記載があればアレルギーに注意
乳製品の中で原料に「乳糖」と記載されている商品もあります。この場合は、乳糖不耐症の方は避けるような注意が必要です。けれども、乳糖不耐症と牛乳アレルギーは別ものです。牛乳アレルギーは症状も乳糖不耐症より深刻で、食物アレルギーの一種です。原因物質は牛乳に含まれるたんぱく質で、ラクターゼの不足により乳糖を分解しきれないことから起こる、乳糖不耐症とは、この点でも異なります。
乳糖不耐症の人はどうすればいい?
アジア人の95%は乳糖を分解できない
乳糖不耐症の人はどうすればいいのか?と、言う点について初めに述べたいことは、哺乳類である、人は授乳期を過ぎるとラクターゼの活性の低下が本来であって、にもかかわらず成人しても乳糖不耐とならない人が多く存在することの方が特異的である、ということです。これに対する説明としては、食生活などによる順応説や遺伝子変異説などがあるが、それらを棚に上げても、民族や人種による乳糖不耐症の発症頻度の違いがあります。
アジアでの乳糖不耐症発生頻度は95%と高い数字になっています。同じヨーロッパ人でも、伝統的に牧畜を営んできた北ヨーロッパでは発生頻度は低いものになっています。これらのことから推定できるのは、牛乳を習慣的に摂取することは、長い時間のスパーンのなかでですが、乳糖不耐性を無くすまで行かなくとも減らすことにつながっていそうである、ということです。
ヨーグルトやチーズなら大丈夫
乳糖不耐症については、ここまで述べてきたことで分かっていただけたと思います。では、乳製品から栄養素を摂取したい場合にはどうすれば良いのか?乳糖が含まれる牛乳ではなく、ヨーグルトやチーズがおすすめになります。再三、触れましたが、ヨーグルトやチーズには、乳糖はほとんど含まれていません。また、牛乳や母乳ではなく、乳糖を含まない特殊ミルクや乳糖分解乳に代えることも必要です。
牛乳は一日に少しずつ
乳糖不耐症というのは、ある固定化された症状や状態ではありません。要するに個人によって当然ですが程度の差があるものです。特定の個人でさえも、日によって多少症状が違うものです。先天的な乳糖不耐症の乳児は別ですが、成人した人で一滴も牛乳が飲めない人もいないはずです。自分がどの程度の量なら症状が出ないかを手探りしながら、牛乳を一日に少しずつ飲み進めるのも、一つの有効な手です。
乳糖でお腹が緩くなる人はチーズやヨーグルトで代用しよう!
乳糖の正体を探って、ここまで詳しく紹介してきました。乳糖不耐症が何であるか、またそれに対する対処法もすこしは、分かっていただけたと考えます。乳製品をそれでも摂取するならば、乳糖でお腹が緩くなる人はチーズやヨーグルトで代用しましょう!