甘鯛はどんな魚?旬と値段や刺身・焼き物などの料理も紹介!
甘鯛という魚をご存知ですか?「鯛」と聞くと皆さん真鯛のような魚を思い浮かべるでしょうが、サムネイル画像の見た目からもわかる通り、真鯛とは全く別物の魚です。旬の時期になると旅館でも出されるような高級料理で、名前の通り甘味があってとても美味しい魚です。甘鯛の美味しさや魅力を知ってもらうべく、こちらの記事では甘鯛の産地や旬の時期に値段、捌き方や食べ方などをわかりやすく紹介していきます!
目次
甘鯛との調理方法などを詳しく知りたい
皆さんはスーパーの魚コーナーで「甘鯛」という魚を見かけたことはありますか?数匹をパック詰めにしたものが売られている光景は見たことがあるかもしれませんが、大きなものはそうそうお目にかかれません。真鯛と比べるといささかマイナーな魚である甘鯛ですが、実は名前に反して真鯛とは全く別の魚です。
真鯛とひけを取らない上品な味の白身を持つ甘鯛ですが、家庭で調理する機会も滅多にないと思われます。こちらの記事では「甘鯛がどのような魚であるか」から始まり、甘鯛の旬や値段、捌き方や美味しい調理法まで、甘鯛の魅力を残さず知っていただけるような情報をまとめました。
甘鯛について旬の時期や値段などを解説紹介
まず「甘鯛」という魚ですが、「鯛」と名前に付いているにも関わらず、タイ科には属しません。スズキ目キツネアマダイ科に属する魚です。タイ科に属していないのに鯛に似ている点があるからという理由で名前に「タイ」と付く魚は200種類以上存在しており、「あやかり鯛」と呼ばれます。甘鯛もそのうちの一種です。
京都ではグジと呼ばれることもある甘鯛
「甘鯛」という名前は身が甘いことから、もしくは頭部の形が尼の頭巾に似ていることから付けられたそうですが、最も甘鯛が取り扱われていると言われる京都や、甘鯛の代表的な産地である福井県では甘鯛のことを「グジ」と呼ぶことがあります。この「グジ」という呼び方は、身が柔らかくグジグジしているから、グジグジと鳴くから、曲線的な頭の形を「屈頭(グジ)」と表したなど、様々な由来があります。
甘鯛には種類がある!
出典: https://hyoki.jp
日本で獲れる甘鯛は体の色で赤甘鯛、白甘鯛、黄甘鯛と3つに種類が分かれています。私たちがよく見る、グジと呼ばれる甘鯛は赤甘鯛です。こちらの記事で取り上げる「甘鯛」は赤甘鯛を指しています。日本で採れる甘鯛の中で最も漁獲量が多く、体が全体的に赤身を帯びています。
白甘鯛は獲れたばかりですと赤い色をしていますが、時間が経つにつれて白っぽくなっていきます。赤甘鯛より漁獲量が少なく、赤甘鯛よりも見た目にインパクトはありませんが、赤甘鯛以上に美味で、高級とされています。
赤甘鯛も体表やヒレに黄色い模様がありますが、黄甘鯛は頭部やヒレが鮮やかな黄色をしているのでわかりやすいです。3種の中で最も漁獲量が少なく、値段も一番安価とされています。繊維が弱く、鮮度が落ちるとすぐに味が落ちてしまうという特徴がありますが、こちらも美味しい魚です。
甘鯛の産地や旬の時期について
甘鯛は国内では主に山口県、長崎県、島根県、福井県などで獲られており、山口県、長崎県、島根県だけで甘鯛の漁獲量の半分を占めています。こうして見ると、甘鯛は日本海の南側に生息しているようです。京都では主に福井県で獲れる「若狭グジ」が旅館や料亭で用いられています。
甘鯛の産卵期は9月から12月頃です。魚は卵を持つ直前に最も栄養を蓄えるため、産卵期が一番味が良いと言われています。そのため、甘鯛の旬は9月から12月頃と言われており、釣り師も9月から12月頃の旬の時期を狙って甘鯛を釣るそうです。
ですが、福井県では夏から甘鯛の旬とされており、刺し網漁や延縄(はえなわ)釣りで捕獲されます。獲れた甘鯛が全て「若狭グジ」と呼ばれるわけではなく、釣りで捕獲されたものであり、見た目や鮮度が良く、大きさも申し分ない甘鯛だけが厳選されて「若狭グジ」と呼ばれます。
甘鯛の値段はどれくらい?
甘鯛は高級魚とされていますが、スーパーでパック詰めされている小さい甘鯛はそれほど高価ではなく、安いと一匹百数十円ほどの値段で手に入ります。大きくて立派なものになると一気に値段が跳ね上がり、旬の時期には一匹で1キロほどのものになると約7000円ほどで売られています。
魚市場などで立派な甘鯛を買おうとすると高い値段のものばかりが目に入ってしまいますが、甘鯛の値段の高さの理由の一つに鮮度の落ちやすさがあるため、干物にしたものでしたら比較的安価で手に入ります。また、上で書いた甘鯛の産地のスーパーにある小さいものや、中国などから輸入したものでしたら加工前の甘鯛でも安い値段で売られていることがあります。
甘鯛の捌き方をマスターしよう
甘鯛は基本的に尾頭付きで売られています。また、お知り合いから釣った甘鯛をおすそ分けしてもらう機会もあるかもしれません。せっかくですから、甘鯛を綺麗に捌いて刺身や干物などにして美味しく食べたいものです。大きいものですと捌くのも一苦労ですが、そうでなければ他の魚と捌き方はそう変わりません。
甘鯛を三枚にさばいてみよう
下の動画で甘鯛の3枚おろしの仕方が詳しく説明されています。3枚おろしができれば甘鯛を様々な料理に使うことができます。また、綺麗にアラを取ればそれも料理に使えます。甘鯛は身が柔らかく水分も多く含んでいるので、よく研いだ包丁を使ってください。
動画で出てくる「すき引き」とは、うろこをしたの薄皮ごと切り取る手法です。甘鯛などうろこの多い魚ですと落とし残しが出たり、うろこが飛び散ったりしてしまいます。また、甘鯛は身が柔らかいので、刃を立ててうろこを落としたりうろこ引きを使ったりすると身が傷ついてしまいます。「すき引き」は慣れが必要ではありますが、身を傷つけず、うろこを綺麗に取ることができるので是非挑戦してみてください。
刺身にする場合は皮を丁寧に剥いでおこう
すき引きは皮ごとうろこを切り取る手法ですが、うろこ引きなどで先にうろこのみを取ってしまう場合は、皮を綺麗に剥ぐことが重要になってきます。皮が綺麗に剥げるか剥げないかで刺身の触感や見た目が大きく変わります。こちらも、よく研いで切れるようになった包丁を使ってください。
干物にする場合には背開きにしよう
甘鯛は刺身やお寿司など生で食べても美味しいですが、干物にすれば柔らかく水分を多く含んだ身が引き締まり、より濃厚な甘鯛の旨味が味わえます。市場で干物を買うのも良いですが、天気の良い日でしたら是非家庭で作ってみてください!
魚の捌き方には「背開き」と「腹開き」がありますが、基本的に干物には背開きを用います。背開きにすると身の厚みが均一になるので干しやすく、また背開きの方が身が崩れにくいというメリットがあります。
甘鯛を背開きする方法ですが、まずはうろこをしっかり取った甘鯛の背中に包丁を入れ、中骨に沿って包丁をスライドさせていきます。包丁が背骨に達したら、包丁を立てて腹骨を切っていき、腹側の皮が切れてしまわない程度に包丁を進めていきます。次に甘鯛を裏返して頭の骨を身の切れ目の延長になるように割ると、綺麗に甘鯛が開くようになります。開いたら、内臓や血をよく洗い流してください。
背開きを終えましたら、海水と同じくらいの濃度の塩水に1時間から1時間半ほど漬け込み、取り出した後はしっかりと表面の水分を拭き取ります。あとは風通しと日当たりの良いところに干物用のネットを吊るして甘鯛の開きを並べ、数時間干すだけです!
干物用のネットはホームセンターなどで売られています。また、塩水の濃度は好みで調節してください。甘鯛の干物の作り方を覚えてしまえば、他の魚を干物にすることもできます。魚焼きグリルや七輪で手作りの干物の美味しさを味わってみてください!
甘鯛の刺身や焼き物の作り方
甘鯛は鮮度が良ければシンプルに調理するに限ります。刺身にしても、焼き物にしても柔らかい身と名前の通りの甘味がダイレクトに感じられます。上の記事を参考に頑張って捌いてしまえば、あとはほとんど手間をかけずに旅館や料亭の味が家庭でも再現できます。
甘鯛を刺身にする方法
上でも動画を紹介しましたが、甘鯛は綺麗にうろこと皮、内臓を取り除き、柵状に捌きます。これで刺身の準備はできました。甘鯛は身が柔らかいので、あまり薄く切る必要はありません。好みの厚さに切って、ワサビ醤油やポン酢で食べてください。
甘鯛は身が柔らかく皮に弾力があるので、刺身にする際は皮を綺麗に剥ぎ取ることが重要ですが、湯引きをすれば皮に程良い食感が残った状態で身と一緒に美味しく食べることができます。身に皮が付いたまま三枚におろして腹骨と中骨を除き、皮の面を上にしてキッチンペーパーを被せ、上から熱湯をかけます。熱湯が皮全体にかかったら、すぐに氷水でしめます。あとは水気を切り、好みの厚さに切ってください。
皮が付いている刺身は「松皮造り」と呼ばれています。皮にも甘鯛の旨味が詰まっているだけではなく、皮は身にはない弾力を持っているため、食感が楽しく、皮を剥いで作る刺身とはまた違った美味しさがあります。大きな甘鯛が手に入ったのでしたら、2種類の刺身を食べ比べするのも良いでしょう。
甘鯛の刺身は昆布締めもおすすめ
もし大きい甘鯛の柵がとれて、刺身にするには多すぎるのでしたら、刺身の余りを昆布締めにして2日目に食べるのがオススメです。昆布締めにすることで余計な水分が無くなり、鮮度の落ちやすい甘鯛を次の日もおいしく食べることができます。
甘鯛を柵状におろしたら、まずは両面に塩を振って冷蔵庫で30分ほど置き、余計な水分を抜きます。30分経ったら甘鯛から抜けた水分をキッチンペーパーなどで吸い取りましょう。昆布は表面を布巾などで軽く拭き、バットの大きさに合わせてカットしたら、バットの底に敷き詰めていきます。その上に下処理をした甘鯛を並べ、上にまた昆布を重ねます。あとは冷蔵庫で寝かせて、好みの味になるのを待つだけです。
30分寝かせるだけでも昆布の旨味が甘鯛に移りますが、ややあっさりしています。1日ほど寝かせておくと昆布の旨味が移るだけでなく、食感も変わっていきます。初めて昆布締めを作るのでしたら、小まめに味見をして好みの締まり具合を見つけてみてください。長い時間寝かせた甘鯛がお好みでしたら、包丁で切りづらくなりますので、先に刺身の形に切ってから締めてください。
甘鯛を塩焼きにしてみよう
新鮮な旬の甘鯛が手に入ったら刺身など生の状態で食べたくなるでしょうが、甘鯛の柔らかくしっとりとした身と淡泊な旨味は、塩焼きにしても活きてくれます。小さい甘鯛なら塩焼きにした方が頭や背骨の間の細かい身も余さず食べることができます。
甘鯛を塩焼きにするのでしたら、皮を残して焼く必要がありますので、手間ではありますが丁寧にうろこを落としてください。うろこを落としたら腹を割いて内臓を取り、塩を振って30分ほど置いておきます。あとはグリルでじっくり焼くだけです。甘鯛は身が柔らかいので、ひっくり返すときなどに身が崩れないよう、グリルを予熱したりグリルに油を塗ったりすることをオススメします。
甘鯛のおすすめ料理の簡単レシピ
甘鯛は淡泊でありながら上品な旨味が身に詰まっている魚ですので、シンプルな調理法、味付けで食べることをオススメします。生で食べても焼いて食べても美味しいですが、蒸したり揚げたりしても美味しく食べることができます。また、甘鯛は醤油仕立ての味付けにもよく合います。
フライパンで作る上品な味わい「甘鯛の酒蒸し」
酒蒸しは甘鯛をサッパリと食べるのにうってつけの調理法です。また、野菜を一緒に蒸すことで一皿で野菜も摂取できます。蒸し器を使うのも良いですが、フライパンでも簡単に酒蒸しが作れます。
甘鯛はウロコを取り、三枚におろしてから食べやすい大きさに切り分けます。今回はウロコのみ落としても、すき引きにしても構いません。切り分けた甘鯛に塩を振り30分ほど置いて、余計な水分を除きます。その間に野菜は食べやすい大きさに、昆布はフライパンに入る大きさに切りましょう。
フライパンに野菜、昆布、甘鯛の順番に入れ、上から料理酒を振りかけ、蓋をして火にかけます。甘鯛の大きさ、厚さや野菜の種類にもよりますが、10分から20分で蒸しあがります。蒸しあがったら昆布を取り除き、ポン酢をつけて食べてください。野菜は何でも合いますので、冷蔵庫にあるもので好みの野菜を使ってください!
サクサクがやみつきに「甘鯛の松かさ揚げ」
甘鯛は身も勿論おいしいですが、調理法次第で皮やウロコまで余さずおいしく食べることができます。特に松かさ揚げはサクサクしたウロコとフワフワの身を一度に味わうことのできるおトクな料理で、立派なウロコを持つ甘鯛ならではの料理といえます。
甘鯛はウロコの付いたまま三枚におろし、食べやすい大きさに切って塩を振ります。30分ほど置いたら表面の水分を軽く拭き取り、片栗粉をまぶし、180度に熱した油でカラッと揚げます。ウロコが開いたら油から上げる合図です。油の温度が低いとウロコが開かず、食感も悪くなるので、しっかりと熱してください。
ウロコごと食べられる焼き方「若狭焼き」
福井県の若狭地方には「若狭焼き」という甘鯛の調理法があります。焼く前に醤油仕立ての下味をつけ、うろこごとじっくり焼き、香ばしいウロコまで味わうという料理です。淡泊な味を引き立てる味付けといえば塩ですが、若狭焼きも塩焼きとはまた違った奥深い味わいに仕上がってくれます。
甘鯛を漬ける調味料は、料理酒と醤油、みりんを合わせたものです。一度煮立てて、冷ましておきます。甘鯛はウロコが付いたまま三枚におろし、腹骨を除いて、食べやすい大きさに切ります。切った甘鯛を冷ました調味料に漬け、冷蔵庫で一晩寝かせます。ここまで済ませばあとはグリルで焼くだけですが、強火で焼くとウロコが立ってしまうので、弱火でじっくり焼いてください。
甘鯛の味を旬の時期に味わってみよう!
いかがでしょう、甘鯛の魅力は伝わったでしょうか?料亭や旅館で食べたらいいお値段のする甘鯛も、スーパーや市場で買ったり海で釣り上げたりしたものを自宅で調理すれば、お手頃な値段でおいしく食べることができます!今までに甘鯛を見かけたことはあるけど食べたことのないという人は、是非今度見かけた際に手にとってみてください!