2018年08月31日公開
2024年07月31日更新
有機栽培の有機とは?有機栽培とは無農薬やオーガニックと違うのか調査!
有機栽培とはどのような栽培方法でしょうか?無農薬栽培やオーガニックとは違うのでしょうか?そもそも有機栽培の有機とはどういう意味なのかを調べることから有機とは何かを理解し、有機栽培とは何かを調べ、有機栽培について理解を深めてみましょう。そして、有機栽培された商品であることを確かめるには、内を目安にすればいいのかも重要なことです。曖昧な表記に惑わされることの無いように、最低限の知識を持って正規の有機栽培やオーガニック商品を上手に購入しましょう。
有機栽培の有機とは?
有機栽培の有機とは、有機JAS規格で定められている、有機農産物、有機加工物、有機畜産物、有機資料の4種類のことを言います。一分認められた有機許容農薬が使われる場合がありますが、有機とは基本的に農薬不使用であり、化学肥料も使わず自然の恵みを生かした農林水産業品や加工品のことです。
また有機とは、栽培する作物だけでなく、田畑に対しての基準も厳しく、有機作物によって多少の差はありますが2~3年以上化学肥料や農薬を、使用していない田畑で作られたもであることも基準となっています。この様に有機とは、自然の恵みだけから作物などを作っており、人にとって安全で安心なものですが、ただ単に安全な食材を作ることが目的ではないのです。
有機とは、自然界にある有機物を微生物が分解して、それを栄養素として植物が吸収し、光合成によっても栄養素を作ります。人間を含めて動物はその食物を食べて生きているという、地球上の食物連鎖で繋がり合っています。これを崩さない為の取組であり目的です。国際的な有機農業推進活動をしている、国際有機農業運動連盟では有機とは生態系、健康、配慮、公正の4項目を掲げて取組んでいます。
有機栽培について
有機栽培とは?
有機栽培の野菜、オーガニックのコーヒーなど、オーガニックや有機と書いてある商品を多く目にするようになりました。安全な食材を選んで買うようにしている人は、出来るだけオーガニックや有機栽培のものを買うようにしておられると思います。有機栽培やオーガニックと書いてあると農薬を使っておらず、身体に害が少なそうとか、安全そうとうい感覚でしょうか?
実際に有機栽培とはなにか?オーガニックとはなにか?と質問されると明確に答えられる人は、少ないのではないでしょうか?有機栽培とは、肥料や農薬が科学的に合成されたものを使わず、遺伝子組み換えの技術も利用せず、環境にも配慮したやさしい栽培方法と言えるでしょう。
有機栽培とは土づくりから
有機栽培とは、堆肥などの土づくりから始まります。農薬や化学肥料は一切使わずに、畑も2年以上農薬を使っていない健康な土で栽培する必要があります。つまり生きた土壌で自然の力のみで作物などを栽培するのですが、作り手によって使用する材料は様々です。また土作りのやり方も様々ですが、合成化合物を使用せずに、微生物の力を利用するところは共通していると言えるでしょう。
有機栽培の定義
以前は、有機栽培の農産物のガイドラインが法的な強制力を持たない為に、偽の有機栽培の農産物や、有機肥料で栽培した農産物を有機栽培の農産物と表示したりと、混乱があったために平成11年にJAS法の改正が行われ検査制度の整備や、有機栽培の表示規制に係わる指定の農林物資を指定したりと、有機栽培の表示の適正化を図ったそうです。
有機栽培とは、肥培管理・ほ場の条件・防除法・種苗などが特別な生産方法で栽培された農産物のみが、JASマークの表示ができます。ですから、有機栽培の農産物を生産したい場合は、事前に登録認定関より認定を受ける必要があり、その上でJAS規格の格付けが行われます。更に流通過程でも小分け業者にも、輸入業者にも認定制度がある厳しいものです。
ほ場の条件や種苗などにも詳細に基準が決められており、肥料や土壌改良資材に使用する生ごみ由来のものや、魚かす粉末や草木灰なども全て科学的に合成された物質を添加していないものであることとされています。また有機栽培の農産物の表示方法も決められており、「有機農産物」「有機栽培農産物」「有機農産物○○」「〇〇(有機農産物)」「有機栽培農産物〇〇」などがあります。
その他にも、「〇〇(有機栽培農産物)」「有機栽培〇〇」「〇〇(有機栽培)」「有機○○」「○○(有機)」「オーガニック○○」「○○(オーガニック)」とこれらのいずれかによって記載することと決まっています。
有機栽培とは、有機農業という表現で有機農業の推進に関する法律第2条によって定義されています。まず、化学肥料や農薬を使用しないということと、遺伝子組み換えの技術を利用しないことが基本であり、環境への負荷をできるだけ減らすというものです。
無農薬栽培との違いとは?
無農薬栽培とは農薬を全く使わずに栽培することですが、それぞれの作物を栽培する期間に農薬を使っていないだけであり、以前に栽培されていた作物の時に無農薬で栽培されていたかどうかは、問われない為に土に農薬が残っているのでは?という印象を受けます。このため農林水産省では、無農薬という言葉を使うことを禁止しているそうです。
出典: https://horti.jp
オーガニックと有機は違う?
オーガニックと有機とは同じ意味であり、JAS法においては有機農産物加工品や有機農産物をオーガニック表記する際、登録認定機関の検査や認証を受けることで有機JASマークを付けるのが義務づけられています。
オーガニックという意味を辞書で調べると、有機のという言葉が出てきます。有機とは生物のみが作りだすことの出来る、炭素をの化合物であり、農業における有機(オーガニック)は肥料や堆肥が微生物の力で様々な原料を完全に分解したものを使用した栽培方法に使われていた名称で、現在では農薬や流通過程においても、厳しい規定が決められています。
また有機栽培や有機農産物という表記と同じ様に、オーガニックという表記しかない場合は、オーガニックとして認定されたものではありません。農林水産省の登録認定機関の検査を受け認定されたオーガニックのものは、JASの認定マークが必ず付いてオーガニックと表記することが許されるのです。
有機栽培とは豊かな生態系を生み出す
通常の栽培も、有機栽培も土を耕し、種を蒔き、苗を植え、作物の世話をし、収穫をするという一連の流れは大きく変わりません。一番違うところは土の中にあるのです。生態系で表現するならば、有機栽培は多くの微生物が土の中にいます。そしてその微生物を多くの小動物が食べます。さらに小動物を食べる虫がおり、その虫をたべる動物がいます。この連鎖が土を豊かに育ててくれます。
このような生態系のピラミッドは、大きければ大きい程、特定の生物が大量発生することが少なくなります。ですから土台である微生物をしっかりさせることで、野菜の病害虫の被害も抑えることが出来ます。では通常の栽培ではどうでしょう?あまり土のことは重要視されておらず、野菜が根を張れる場所にすぎず、病気になれば薬品を使い、栄養は直接与えることで成長させます。
通常の栽培方法では土の中の生物の多様性など、ほとんど関係がなく生態系ピラミッドも土台である微生物が少なく、逆三角形になっています。自然にできあがる生態系とは全く違っていますので、作物も自分を守る為の成分を作ることをしません。更には実になる受粉も人の手で行われれば、自然の生命力である種の保存の力も弱く、抵抗力のない植物となってしまいます。
野生の動物は自分で食料を確保し、自分で自分の身を守る本能と知恵を身に着け、強いオスだけがその血を受け継ぐ子孫を残し、より環境に適した子孫が増えていきます。しかし、一旦人間に飼われてしまった野生動物は、自然界のピラミッドの中で逞しく生き抜く力を奪われてしまうのです。農作物にもこれと同じことが言えるでしょう。
有機栽培のメリットとデメリットは?
有機栽培のメリット
有機栽培とは化学合成物を使用していないので、自然に近いかたちで農作物がつくられており、栄養価も高く、味も大変美味しいと言われています。無農薬なため植物は自分を守る手段として、抗酸化物質を多く作りだすことから、通常の野菜よりもフェノール系の抗酸化物質を多く含んでいることが解っています。この抗酸化物質は野菜自身を守るだけでなく、食べた人にも嬉しい作用があります。
抗酸化物質は、活性酸素を除去する作用がありますので、老化の防止や身体全体の細胞を守ってくれます。また有機栽培とは化学合成物が人の身体にも、地球にも蓄積しません。化学合成物が人の身体に日々の食事により、徐々に蓄積されていくと知らない間にじわじわと、健康を蝕まれていきます。有機栽培とは無農薬とは違い、畑そのものへの農薬の規制が厳しく土壌に農薬が含まれていません。
現代ではキャベツ畑に蝶々が全く飛んでいないことに、違和感を感じられる人がいったいどのくらいおられるでしょうか?モンシロチョウなどは、キャベツなどに卵を産み付けるため、通常であればキャベツ畑に蝶々がひらひらと舞っているのが、当たり前なのですが、農薬が散布されている為に蝶々は卵を産むには安全ではないと判断しているわけです。
それと同じ様に、土の中にもミミズが住んでいる畑は、無農薬であり安全な土壌ということが言えます。目に見えない微生物の力も土壌を肥沃にしてくれますので、微生物が死んでしまうような環境では、作物の成長にも影響があるでしょう。また日本人の主食である米ですが、春になると田植えが行われ、そこから秋の収穫の間に何度か農薬の散布が行われます。
田んぼの幅ほどの長いホース状のものに小さな穴が開いていて、田んぼ一面に農薬が撒かれるので、白い煙の様な農薬が風に吹かれて周りの畑や田んぼにも飛び散っているのが肉眼でも確認できます。あなたが実際にその目で、その状況を見たならそこで収穫された米を躊躇なく食べることがでるでしょうか?農薬とは虫が付かない為のもので、つまり殺虫剤であり、多量であれば人も死に至ります。
佐渡では農薬を使っていた田んぼに住んでいたタガメをコオロギが食べ、そのコオロギをトキが食べたことにより、トキが体調を崩してしまうという事例がありました。それをきっかけに佐渡では無農薬に近い製法で稲作が行われ、トキの絶滅を防止しているそうです。有機栽培とは自然を守るための手段としての役割があることが、これらから理解ができるでしょう。
有機栽培のデメリット
有機栽培とはメリットばかりではありません。生産者の側から見た有機栽培とは、収穫量に限界があり、効率的に考えると大変不利な栽培方法と言えます。限りなく無農薬の状態で栽培しますので、病害虫の被害が多くなり、面積あたりの収穫量がどうしても減ってしまいます。また収穫量が減る理由としては、土壌中の窒素減少もあります。
通常の農業では合成肥料などで窒素の補充をしますが、有機栽培とは合成肥料を使わない代わりに、窒素の固定に役立つクローバーや豆類などの根粒菌と共生している植物を、畑に一緒に植えます。温暖な地域では、冬であってもこれらの植物が育ちますが、寒さの厳しい地域では冬の窒素固定が課題となります。この非食用植物の利用で日本においては、とりわけ問題であるのが、農地の狭さです。
有機栽培での環境に対する問題は、窒素やリンなどが河川に流出することです。これは通常の農業でも同じ様です。窒素やリンの河川への流出により、藻が発生し水生生物が窒息死してしまいます。しかし、有機栽培では窒素肥料を撒いたり、化石燃料を燃やしたりしないので通常の農業と比較すれば、二酸化炭素や窒素酸化物の排出量は少ないのです。
しかし、メタンガスによる汚染を比べると、有機栽培の方が汚染が大きいようです。その他の有機栽培のデメリットはと言うと、全てを有機栽培で賄うことができないことです。例えば、1キロの赤身の牛肉を得るためには、20~50キロのこくもつが必要だからだそうです。作物は人が食べるだけでなく、家畜などの飼料としても使用されていますので、有機栽培でその全てを置き換えるには収穫量が問題となります。
日本での有機栽培の畑の普及状況
近年では健康志向が強くなり、有機野菜やオーガニック野菜に注目が集まっています。また、レストランなどでも有機野菜を使用したメニューを多く見かけるようになりました。しかし日本国内の耕地面積に対して、有機栽培の畑の割合は1%にも達していません。有機農業先進国のヨーロッパ各国の足元にも及ばないどころか、アジアの中でも日本は韓国や中国よりも低い普及率となっています。
なぜ日本で有機農業が増えないのか?
有機栽培の技術にはコストや手間がかかりますし、それに加えて有機JAS認証の取得において、栽培日誌などこまごまとした書類管理や、農薬や肥料の規定だけでなく、防虫ネットなど畑の周辺環境にも厳しい規定が決められています。更に毎年、有機JAS認証は更新料が必要であり、そのための審査費用・有機JASマークのシール代・パッケージ代まですべて農家の負担なのです。
そして経営リスクの面から見ても、大きな病害虫の被害に対して農薬の制限があるので、収穫量が激減してしまうリスクが大きいのも、普及に足止めがかかっている原因の一つと言えるでしょう。これらの理由から一度は取得しても更新をしない生産者も多いようです。では、有機栽培の先進国であるヨーロッパと日本は何が違うのでしょうか?
ヨーロッパの一部の国では、有機栽培によって作られた農産物に対して安心や安全だけでなく、他にも価値があると評価されており、有機栽培を行う農家に対して補助金制度があるそうです。更に国民の理解度と感心が高いことも、日本と大きく違うところと言えます。ヨーロッパの有機栽培先進国では、不ぞろいな形の野菜や、虫食いの野菜も普通に売られているそうです。
そもそも有機栽培で作られた野菜の価値とは形の良さや、虫食いが無いことではなく、美味しい野菜が身体に害のある化学合成物を使わずに作られ、環境にも優しい栽培方法であることに価値があるという認識が日本人には、まだまだ欠けているので普及が難しいのではないでしょうか?また、手間とコストがかかる有機栽培の野菜は、どうしても価格が高くなってしまいます。
固定した取引先のない農家では、リスクの方が大きく、有機JAS認証を受けるメリットがないのではないでしょうか?しかし、農薬を使わずに美味しい野菜を提供したい生産者は少なくありません。有機JAS認証がなくても、有機栽培をし環境にも配慮した農業を行っている生産者がおられることを、多くの人に知ってもらう必要性も感じられます。
日本で流通している有機栽培の食品を紹介
有機栽培の「コーヒー」
有機栽培のコーヒーにおいても、きちんと有機JAS法により有機認定を受けたモノのみ有機やオーガニックなどの表示販売が可能となります。珈琲には世界各国で栽培されており、ほぼ一年中どこかの生産地で収穫が出来る農産物で、収穫量は多いですがJAS有機の認定を受けた農園は多いとは言えないのが現状です。更に焙煎という加工の工程でも有機コーヒーとして表示できる豆は、非常に少ないのです。
前述した通り、流通過程や袋詰めの工程などでも、有機認定を受ける必要があるため、珈琲豆は海外の生産地から輸入や、焙煎、粉砕、袋詰めと工程が多く、有機JASマークが付いていない焙煎豆であっても、有機栽培やオーガニックと誤認されるような、紛らわしい表示で、無農薬コーヒーや無化学肥料栽培コーヒーなどの様なものも、皆無でないのが現実のようです。
JASマーク付きの生豆を仕入れていても、仕入れ時と加工工程管理の有機認定の取得もしていなければ、オーガニックや有機と表示出来ませんし、オーガニックや有機を連想するような表記もしてはいけないことです。ただし、有機JAS認証生豆を原材料に使用している旨のコメントであれば可能のようです。ですから、消費者である私たちがJAS認定をどこまでされているのかを、見極める知識を持つ必要があります。
ムソーのオーガニックコーヒー浅煎りは200g入りで1000円前後で購入できます。ペルー・グァテマラ・ブラジルのオーガニックコーヒー生豆を原材料とした、アメリカンタイプの浅煎りで中細挽きのコーヒーです。ムソー株式会社は、自然食品・有機食品・無添加食品の研究開発及び販売を行っている会社で、無農薬といった曖昧な商品ではなく、食に対して意識の高い企業です。
企業理念に、まじめに作られたものを、まじめにお届けする。とあるように、大地のめぐみと食卓を結ぶ、すなわち命と命を繋ぐ、食文化ブランドを私たちに届けてくれる、安心の企業です。もう一つ有機栽培珈琲豆を紹介します。茅乃舎珈琲から販売されている有機栽培珈琲も安心のJASマーク認証の珈琲です。豆の産地はコスタリカで、一粒一粒完熟した豆だけを収穫し、澄んだ伏流水で育ったものです。
また豆の旨味を引き出す希少な対馬産の備長炭を使った、炭火焙煎のハイローストで、花のような香りと明るい味わいの、新しい珈琲の味が楽しめます。100g入りで1296円で購入できます。
有機栽培の「ルイボスティー」
ルイボスは南アフリカ共和国のケープタウンの北部に広がる、セダーバーグ山脈の限られたエリアにだけ自生している、世界中で唯一この地だけのマメ科の植物です。乾燥した気候と30℃以上の暑さを好む植物の為に、限られたエリア以外での栽培が出来ません。太陽の照りつけが厳しく、雨も少なく寒暖差の激しい、半砂漠である地で驚異的な力を生み出し生き延びているので、高い抗酸化作用を持っています。
ルイボスはノンカフェインで低タンニンですので、赤ちゃんや妊婦さんも安心して飲めるお茶です。またポリフェノールの一種であるフラボノイドが含まれていて、健康効果や美容効果も持ち合わせている素晴らしいお茶です。そんなルイボスティーで有機JAS認定を受けていれば言うことなしです。TIGERのプレミアうルイボスティーは20包入りで1512円で購入できます。
有機栽培の「米」
お米は日本人の主食ですから、日本全国様々な地域で様々な人が、あらゆる品種のお米を作っています。また農法も様々ですので、数えきれないほどの味があります。毎日食べるお米ですから、より身体に安心なものを選びたいものです。お米の有機栽培とは、他の農産物と規定は同じですが、有機JAS認定を受けるのに必要な費用や年会費などの問題から、登録をしていない農家も少なくないようです。
また、費用だけでなく使用できる肥料の材料や様々な事情で、有機栽培でお米を作っていても、認定の手続きをしない実情があるようです。そんな中でも有機JAS認定を受けて、頑張っている農家のお米を紹介したいと思います。金沢県の農産工房、金沢大地ですが、金沢と能登半島二つのエリアで育てておられます。金沢市郊外のエリアは、多くの動植物が生息し、水鳥の多い地域です。
もう一つの能登半島エリアは平成23年に世界遺産に登録された地域で、静かな山あいの田園地帯で、自然豊かで、様々な動物と遭遇するような自然環境です。そんな地域で、生態系や自然環境に可能な限り負荷をかけないお米作りをされています。このようなエリアで有機栽培された、「井村さんのオーガニック特選米奥能登当目産コシヒカリ」は、白米5kgが8424円、玄米が7776円で購入できます。
有機栽培の「野菜」
他の農作物にも言えることですが、無農薬で栽培されていない作物は農薬によって虫や病害虫から守られている為、自ら守るための成分を作り出す必要が無くなっています。また野菜が吸収する栄養分も化学肥料によって補われますので、栄養価が低い野菜となってしまいます。有機栽培などのように無農薬で育った野菜は、自分で自分を守る為に病害虫にも強くなります。
有機栽培された野菜は、形が不ぞろいで不格好になりやすいのですが、人に個性があるように野菜にも個性がありますから、本来の野菜の形と言えるでしょう。しかし、可能な限り無農薬に近い状態で作られる有機栽培の野菜は、農薬や化学肥料を使って育てられた野菜よりも、栄養価が高いことが分かっています。そして味も野菜本来の濃い味も特徴の一つです。
無農薬でなく化学肥料を使った野菜は、人間の都合に合わせて作られたと言える点もあります。例えば、流通過程においてサイズごとに箱詰めされますので、できるだけ真っすぐ同じ形に育った方が、規定の箱に詰めやすいですし、スーパーで陳列される際にも、硬いの綺麗なものから売れていきます。これは、消費者である私たちが見た目に拘った結果から生まれたとも言える皮肉な現状なのです。
野菜に虫が付いていたとクレームを出していませんか?野菜に虫が付いているということは、農薬をあまり使っていない証拠なのです。そうやって考えてみると、虫も付かないほど大量の農薬を使った野菜と、虫が食べたくなるほど美味しい安全な野菜と、あなたはどちらを選びますか?虫は洗えばとれます。しかし、農薬は洗っても表面のものしか取れません。
有機野菜は宅配でいつでも購入することが出来ます。というよりも、近くに有機野菜を常に売っている店がないならば、ネットで注文して宅配してもらうのが一番新鮮な有機野菜が手に入ると言えるでしょう。ちなみに、ビオ・マルシェの宅配では、オーガニック100%の野菜を宅配してもらえます。初回は送料無料でお試しセットが1500円ですので、有機野菜の味を試してみてはいかがでしょうか?
その他にも、ふるさと21というサイトでは、産地直送の無農薬野菜や有機野菜を注文することができます。セット野菜、オクラ、ピーマン、じゃがいも、カボチャ、きゅうり、インゲン、ニンニク、サツマイモ、人参、ビーツ、自然薯など様々な有機栽培の野菜が購入できますので、おすすめのサイトです。
有機栽培の「果物」
果物の有機栽培とは、他の農産物と違って果実は毎年収穫しますが、果実が成る木は植えてから数年から数十年経ったものまであります。ですので、今年から有機栽培を始めたからと言っても、苗木から実が成るまでには年数がかかりますし、現状収穫できている果樹園での有機JAS認定の取得となると、土壌や木自体の残留農薬のことなどを考えると、なかなか難しいことでしょう。
実際に長野県でリンゴと桃とスモモの有機栽培をされている白鳥農園では、3種類とも有機JAS認証を取得していますが、桃の認証取得は国内で2人目で、スモモでは国内初の認証取得、リンゴでは国内3人目でした。この農園はもともと化学農薬を使用しておらず、化学肥料の使用量も一定以下ということを示す、特別栽培農産物のガイドラインを取得していたそうです。
また、この白鳥農園の初代である現在の責任者のお父さんが、ミネラルや微生物の有効活用の研究者だったことから、まだ無農薬に世間があまり関心がなく、有機栽培という言葉すらなかった時代に、麦飯石や済、牡蠣殻を大量に使用して土づくりから無農薬のリンゴ栽培をはじめたところからスタートしたそうです。
有機農産物の中でも最難関と言われている果物ですが、インターネットが普及した現代ではそれすら購入することが出来るのです。先程紹介した、ふるさと21というサイトでも購入できます。また白鳥農園さんは、白鳥フルーツ農園のサイトから注文することが出来ます。
有機栽培の「大豆」
先程紹介した金沢大地では、無農薬・無化学肥料でオーガニック大豆も育てています。大豆の有機栽培で使う堆肥も自然循環機能を活用し、自然界にいる微生物の有機物を分解する力を利用して作っています。微生物が分解するのには時間を要する為入手が難しく、堆肥の素になる糞も、どのような餌を食べた動物のモノかを確認できるものを探すのも、なかなか難しいそうです。
ですから金沢大地では、餌に抗生物質を使用していない鶏の糞を主原料として、自分たちの作った有機栽培のもみ殻や米ぬかを使い、自ら堆肥を作っておられます。自社の施設内で数か月間寝かせ、微生物の作用で完全に発酵したものを、堆肥として使っており、醗酵堆肥は臭いも気にならないそうです。
大豆畑の収穫が終わった冬の間に、自ら作った有機肥料を畑に鋤き込み、土づくりを行い土を豊かにすることで、その土が豆を育てるという考えのもとに大豆が育てられています。毎年、初夏に種まきをし、梅雨が明けると紫色の小さな可愛らしい花が咲くそうです。それと同時に雑草も伸びてきますので、夏の間は夏草との闘いのようです。そうして11月初旬頃までに収穫され出荷されます。
そしてまた冬になると堆肥を鋤き込み土づくりをするということを繰り返されます。こうして数十年同じことが繰り返されて、優れた土壌の畑が作られるのです。
有機栽培とは厳格な基準がある生産方法だった!
有機栽培とは何かを詳しく紹介してきました。大変な手間とコストをかけて食の安心・安全と環境への配慮を考えられている栽培方法ということがわかりましたが、JASの認証を受けるには少しハードルが高い理由があることも見えてきました。病害虫を駆除する農薬が身体に影響がない訳がないと思いませんか?少しだから大丈夫ではなく、少しずつ身体に蓄積されていくのです。
もっと多くの有機栽培の生産者が増えて、出来るだけ安全な食材を使いたいものです。しかし、想像以上に有機JAS認証を受けるには、厳格な基準があることも解りました。そんな大変な認証をクリアし、高いリスクと向き合いながら生産されている、有機農産物に対しての認識をもっと多くの人に広め、日本も有機農業の先進国になれるよう、消費者の意識も変えていく必要がありそうです。