中濃ソースの代用はウスターとオイスターどっち？代用品の作り方も解説！

毎日のご飯作りの中で、「この調味料を使いたい」と思って冷蔵庫を開けたら、うっかり切らしていた、ということはよくありませんか？特に毎日のように使うしょうゆやみりん、砂糖などの調味料とは違って、ソース類はストックを忘れがちです。「中濃ソース」というソースがあります。トロっとして甘みのあるソースで、とんかつやコロッケなどの揚げ物にかけたり、千切りキャベツにかけるなど幅広い用途で使われています。

この中濃ソースがもしなくなってしまっていたらどうしますか？わざわざ買いに行くのも面倒だし、なにか家にあるもので代用できたら助かります。そこで今回は、中濃ソースは代用ができるのか？似たようなウスターソースやオイスターソースを使って中濃ソースの代用品を作り出せるのか？という疑問を徹底追及していきます。代用品の詳しい作り方も説明していきますので、いざという時のために覚えておくことをおすすすめします！
 

そもそも「中濃ソース」とは何なのでしょう？実はソースは全て中濃ソースも含めて「ウスターソース類」と呼ばれ、JAS企画では“野菜もしくは果実の作汁、煮出汁、ピューレー又はこれらを濃縮したものに砂糖類、食酢、食塩及び香辛料を加えて調整したもの、これにでん粉、調味料等を加えて調製したもの”と定められています。つまり、野菜や果物を濃縮したものに、糖類や塩分などを加えて作られたソースのことなんです。

中濃ソースもウスターソース類のひとつ、ということがわかりました。さらに細かく調べると、中濃ソースはJAS規格で「ウスターソース類のうち、粘度が0.2Pa・s以上2.0Pa・s未満のもの」と定義されています。実はウスターソース類は粘度、つまりソースのとろみ具合で3種類に分けられているのですが、一番とろみの少ないウスターソースと、一番濃い濃厚ソースの中間、ということで中濃ソースと呼ばれています。

中濃ソースの作り方は主にトマトや玉ねぎ、にんじんなどの野菜類、りんごなどの果実類、こんぶ、煮干し、スパイス類を使って一度沸騰して仕込み樽に移し、3～4ヶ月の熟成期間を経て手間ひま掛けて作られています。原料の野菜や果実の繊維質が含まれているため、独特のとろみがあります。味はウスターソースのスパイシーさと濃厚ソースの甘味が混じりあったような深みのある味わいが特徴です。

ちなみにソースはもともと海外にあったもの。ラテン語のsalsus(塩をした)に由来されていて、日本に伝わってきたのは江戸時代の中期あたりだそうです。ソースが本格的に日本で製造され始めたのは明治20年あたりで、しょうゆとみそが一般的な当時の日本ではあまり受け入れられなかったのですが、文明開化を迎え洋食が普及し始めてからは各メーカーがいろんなソースを販売しはじめ、日本にソースが普及していったと言われています。

ではウスターソース類、のウスターソースとはどう違うの？と気になります。ウスターソースはイギリスのウスターシャー地方が発祥で、ウスターソースという名前はその地名に由来しています。もともとイギリスのウスター市の主婦が、余った果物や野菜を有効活用しようとスパイスと一緒に保存したら、熟成ソースになっていたというのが始まりだそうです。ウスターソースは偶然から生まれたものだったのです。

ウスターソースは「ウスターソース類のうち、粘度が0.2Pa・s未満のもの」とJAS規格で定義されています。中濃ソースと違ってさらさらとしていて、味はスパイシーで辛口なものが多いのが特徴です。中濃ソースと比べてさらさらしているのは、製造の過程で野菜や果物のに含まれる繊維質を取り除いているから。ウスターソースの発祥地、イギリスではトマトソースの隠し味にウスターソースを数滴入れて飲むこともあるそうです。

中濃ソース類の中で一番粘度が高いのが濃厚ソースです。濃厚ソースはJAS規格で「ウスターソース類のうち、粘度が2.0Pa・s以上のもの」と定義されています。濃厚な味わいが特徴で、野菜や果物をふんだんに使っているので繊維質が多くしっかりとしたとろみがあり、ウスターソースよりもスパイシーさを抑えた甘みのある味わいに仕上がっています。とんかつソースとも呼ばれることもあり、そちらのほうが一般的かもしれません。

ちなみに、中濃ソースと似たような粘度のオイスターソースも調べてみました。オイスターソースは日本では牡蠣油とも言われるように、オイスター(牡蠣)の旨味を濃縮させて作られたソースです。オイスターを塩茹でした時に出る煮汁を加熱し、小麦粉やでん粉でとろみをつけ調味して作られています。オイスターの旨みと風味が強く、炒め物や焼きそばなどの麺料理に使うととても美味しいので、中華料理には欠かせない調味料です。

実はこの中濃ソース、西日本ではマイナーな存在です。西日本在住の人に聞いても中濃ソースのことを知らない人もいるくらいです。東日本では、一家に一本の中濃ソースがスタンダードなのに、西日本ではソースといえばウスターソースや濃厚ソース(とんかつソース)が主流で、フライにもキャベツにもウスターソースをかけて食べています。なぜ中濃ソースが西日本で普及しなかったのか、それは関西の「粉もん文化」が原因です。

西日本ではお好み焼きにしょうゆやウスターソースを調合したソースを使っていましたが、昭和27年頃広島のオタフクソースがお好みソースを販売しました。このお好みソースが関西で一気にうけ、粘度の高いソースをお好み焼きやたこ焼きにかける文化になりました。この流れで、もともとあったウスターソースに、粉もんに使われる濃厚ソースの複数使いがスタンダードになりました。中濃ソースは入り込む余地がなかったのです。

ここからは、本題の中濃ソースの代用品について紹介していきます。中濃ソースの代用品にはいくつか提案があるので、ひとつずつ説明していきます。まずは一番作りやすい濃厚ソースを使った代用品の作り方です。作り方は濃厚ソースと酢、ケチャップを使います。混ぜる割合は濃厚ソース3：酢1：ケチャップ1を目安にお好みの濃さに調整してください。

濃厚ソースの甘味に、酢とケチャップの酸味を加えることで、中濃ソースのあの複雑な味を再現することができます。酸味が追加され、ソースのとろみ具合も緩和されることで、そのまま揚げ物にかけて出しても、代用品だとは気づかれないはずです。中濃ソースをうっかり切らしていても、濃厚ソースが家にある、という場合は、この代用品の作り方を試してみてください。

ウスターソースと中濃ソースは実は成分が似ているので、ウスターソースをそのまま中濃ソースの代用品として活用することもできます。ただし、こちらの方法はウスターソースそのもののさらさらとした口当たりなので、とんかつやコロッケなどに直接かける、という使い方ではなく、料理の隠し味に使うときの代用品として使うのがよいでしょう。

家にもしウスターソースと濃厚ソースの両方がある場合は、ウスターソースと濃厚ソースで代用品を作ることができます。作り方は、ウスターソース1に対し、濃厚ソースを1の割合でよく混ぜ合わせてください。ウスターソースのさらりとした食感、スパイシーな味わいが、甘みのある濃い濃厚ソースと混ぜ合わせることで、ちょうど中間の濃厚ソースが作れるというわけです。こちらは料理にかけても隠し味にも両方使えます。

オイスターソースは家にあるのに、中濃ソースが家にない、という場合は、オイスターソースを使って中濃ソースの代用品を作ることができます。作り方はオイスターソースに、お酢を少したすだけです。オイスターソースには含まれていないお酢を足すことで、中濃ソースの味に近づきます。こちらは、オイスターソースの旨みが濃く出るので、オイスターを活かした野菜炒めや焼きそばなどの調味料として使うのがおすすめです。

うっかり手元に切らしていた濃厚ソースの代用品の作り方を紹介してきましたが、ここからは中濃ソースやウスターソース、オイスターソースを使った代用中濃ソースのレシピをご案内します。今夜の献立にぴったりの手軽な絶品レシピばかりですので、覚えた代用中濃ソースを使って作ってみてください。

メンチカツの中にキャベツを入れたヘルシーなフライです。玉ねぎを傷めずに使うことで、ジューシーに仕上がります。作り方はボウルに合いびき肉150g、キャベツのみじん切り60g、玉ねぎのみじん切り1/4個、卵1/2個、代用中濃ソース大さじ1/2、塩コショウを入れてよくこねます。4等分して、形を整えます。小麦粉、卵、パン粉の順に衣をつけて、170℃の油で火が通るまで揚げます。仕上げに代用中濃ソースをかけたら完成です。

作り方はボウルに合いびき肉400g、ベーコン2枚、玉ねぎ1/2個、にんじん1/3本、ブロッコリー40g、しいたけ2枚のみじん切り、塩コショウ適量、ナツメグ適量を入れよく混ぜます。耐熱のパウンド型に入れ、230度のオーブンで20分焼きます。粗熱がとれたらパウンド型から出し食べやすい厚みにカットします。残った肉汁を小さなボウルに入れ代用中濃ソース50ml、粒マスタード大さじ1と混ぜ、ミートローフにかけたら完成です。

作り方は、にんにく1片と玉ねぎ1個は粗みじん切り、鶏もも肉300gは一口大に切り、塩を揉み込んでおきます。フライパンににんにく、オリーブ油大さじ１を入れ弱火にかけ、香りが立ったら玉ねぎを加えしんなりするまで炒めます。玉ねぎをフライパンの隅に寄せて、鶏もも肉の皮目から焼き色がつくまで焼きひっくり返したら水を加え沸騰したらアクを取ります。    

さらにトマト缶1缶と砂糖大さじ1、代用中濃ソース大さじ1、塩大さじ1を加え中火で5分煮込み、器に盛り刻みパセリをちらしたら完成です。このまま食べてももちろん美味しいですし、パスタやグラタンに使っても美味しくいただけます。アレンジは無限大なので、お好みでいろんなバリエーションを楽しんでください。

作り方は、ケチャップ大さじ6、代用中濃ソース大さじ1/2、牛乳大さじ4、塩小さじ1/2、こしょう適量をすべて混ぜておきます。玉ねぎ1/2個、ピーマン1個、ソーセージ3本は食べやすい大きさにカットします。野菜類をオリーブオイルで炒めて、炒め終わったらフライパンから取り出します。代用中濃ソースを入れたソースをフライパンに流し込み、ぷつぷつとしてくるまで弱火で混ぜながら温めます。

取り出した野菜類をフライパンに戻し、ソースに合わせて火を止めます。スパゲティ150gはを表示時間より1分短くゆで、ソースにパスタのゆで汁を入れてソースを伸ばし、バター小さじ1を追加します。ソースにスパゲティを入れて1分間炒めます。ナポリタンを盛り、上から粉チーズをかけたら完成です。まるで喫茶店で出てくるような昔懐かしいナポリタンスパゲティができます。おいしいのでぜひ作ってみてください。

節約おかずの味方、豚こまを使ってこっくりとしたハヤシライスを作りましょう。隠し味の代用中濃ソースが味の決め手です。作り方は、ポリ袋に塩小さじ1/2、こしょう少々、小麦粉大さじ2を入れ、豚こま切れ肉を200g入れてよくまぶします。たまねぎ1個は1cm厚さのくし形に切り、しめじ1パックは小房に分けます。フライパンにサラダ油大さじ2を熱して豚こまをいため、にんにく、たまねぎを入れ、少し色づくまでいためます。

しめじを加えて赤ワイン1/4カップを加え、ふたをしてひと蒸しします。トマトケチャップ大さじ4、代用中濃ソース大さじ3、ウスターソース大さじ1、水カップ1を加えます。4～5分間煮て、塩・こしょう各少々で味を調えます。熱いご飯にバター大さじ1と塩・こしょう各少々、生のまま細かく刻んで水けを絞った春菊を混ぜ、お皿に盛り付けたら、ハヤシライスをたっぷりとかけて完成です。

喫茶店で出てくるようなふわふわの卵サンドのレシピです。作り方は、玉子2個をほぐして豆乳大さじ2、塩少々を加えてよく混ぜます。食パン2枚はトーストします。フライパンに油を入れ強火で熱したら、一気に玉子を加えてフチが盛り上がったら箸で盛り上がった部分を中心に持っていき流れた卵液を混ぜながら、半熟になったら火を止めます。トーストしたパンの片面それぞれに代用中濃ソースをぬって、卵を挟んだら完成です。

中濃ソースの代用品の作り方を紹介してきましたが、参考になりましたか？この方法を知っていれば、これからは中濃ソースがなくて焦ることも、困ることもありません。また、ソース類は意外と使い切れないことが多いので、代用品の作り方を知っていると、何本もソースを買わなくてよくなり、節約にもつながります。中濃ソースの代用を活用して、毎日の献立に活かしてください！