干し椎茸の戻し方の基本はコレ!時短のコツや戻し汁の使い方も伝授
日本の秋の味覚を代表するキノコ。その中でも椎茸はその食べ応えや旨味で和食はもちろん中華にも欠かせない食材です。実は椎茸は生椎茸よりも干し椎茸の方が栄養価も高く美味という事をご存知でしたか?保存も利いて、味も良く、しかも栄養価が高い干し椎茸は理想的な保存食です。そして干し椎茸は戻し方で味も栄養も決まってくるのです。今回はこの干し椎茸とその戻し方のコツ、そしてとっておきの時短テクニックや戻し汁の活用までお知らせします。
目次
干し椎茸とは?干し椎茸に種類はあるの?
和食によく用いられる干し椎茸。その名前の通り椎(しい)の木になる茸を干したものですが、椎だけではなく櫟(くぬぎ)や栗の木など多くの広葉樹の枯木に発生します。干し椎茸は戻し汁から美味しい出汁が取れる事から古来東アジアでは精進料理に必須の食材でした。しかしながら古代・中世においては栽培ができず、高級食材としてしられていました。日本には9世紀頃に渡来したと考えられています。
干し椎茸は日本でも主として和食で良く利用されており、煮染めやお正月のお節には欠かせない食材です。この干し椎茸は成長の度合によって名称が異なっており、気温の低い時期に育って肉厚でかさが開いていないものを冬菇(どんこ)、気温と湿度が高い時期に一気に成長し、厚みが薄く、かさが開いているものを香信(こうしん)と呼びます。また、その中間に位置し両方の良い点を備えているものを香菇(こうこ)と言います。
干し椎茸の中でもいわゆる冬菇は特に珍重されており、その中でも特に肉厚でかさがパックリと割れているものは「花冬菇」と呼ばれ、高級食材として扱われています。
干し椎茸に含まれている成分
干し椎茸が生の椎茸と比べて圧倒的に優位にあるのは先ず保存の便利さです。其れに次ぐのが味の良さ。乾燥させている干し椎茸の方が味が濃いのです。また、乾燥の過程でレンチオニンとグアニル酸も増します。レンチオニンは椎茸のい香り成分で、血栓症の予防に効果があると言われています。次のグアニル酸はアミノ酸の一種で旨味成分です。干し椎茸は生椎茸に比べてこのグアニル酸の割合が圧倒的に高いとされています。
他にもビタミンD、ビタミンB2、ナイアシンといったビタミン類やカリウムなどミネラル類も豊富なのが干し椎茸の特徴です。特にビタミンDに関しては干し椎茸と生の椎茸では圧倒的な差がありますが、これは天日干ししたものに限られます。安価な干し椎茸は機械乾燥させていますので、良く選んで天日干しのものを選ぶのが干し椎茸を購入する時のコツです。
基本の干し椎茸の戻し方
干し椎茸のポテンシャルを引き出す事が出来るか否かはすべて干し椎茸の戻し方にかかっています。基本となる干し椎茸の戻し方のコツをしっかりとマスターすることによって、栄養価の高い椎茸を料理に使う事が可能となります。
基本の干し椎茸戻し方のコツ1・水で洗う
干し椎茸は乾燥の段階で虫がついていることもありますので、戻す前に汚れなどをしっかりと落とすことができるように流水で水洗いします。水洗いが完了したら干し椎茸を容器に入れます。しっかりと密封できるタッパー類がオススメです。
基本の干し椎茸の戻し方のコツ2・冷水でもどす
干し椎茸の戻し方の最大のコツが「冷水でもどす」ことです。常温やぬるま湯ではなく、かなり冷たい水を用いるようにします。冷水を使う事によって干し椎茸の旨味が増してきます。コツは乾し椎茸の傘の裏側が冷水で浸るようにし、ヒタヒタより少し多いめの水を容器に入れることです。冬菇であれば約10時間、香信であれば約5〜7時間が目安です。干し椎茸のサイズをみて戻す時間を調節してください。
干し椎茸を戻す時間が多少長くても問題ありませんが、あまりにも長過ぎるとグアニル酸が椎茸から抜けてしまいます。美味しい干し椎茸を美味しいまま利用するには、利用する時間から逆算して冷水に浸けるタイミングを間違えない事です。
時短で美味しい干し椎茸の戻し方とそのコツ
基本の干し椎茸の戻し方のコツを学びましたが、急な来客や、料理の途中で椎茸が必要な事が気がついたり等、どうしても急ぎで必要になる時があります。何とか時短できないか悩む時の「裏技」を以下にまとめました。困った時のコツです。
時短での戻し方1:電子レンジで時短するコツ
出典: https://bskt.in
一番手っ取り早いのは電子レンジでの時短ワザです。基本の戻し方と同じように流水で干し椎茸を洗ったら耐熱容器に並べます。少しでもはやく戻るように椎茸の軸はこの段階で手で折っておきます。そこに干し椎茸と同量の水を入れます。水の量は目分量で結構です。耐熱容器に水を入れたらラップして電子レンジで加熱します。500wで3分ほど加熱してください。
加熱時間が過ぎたら電子レンジから容器を出して、ラップをしたままの状態でそのまま15分ほど放置します。15分経過して、椎茸が柔らかくなっていたら完成です。この電子レンジで時短する方法では、30分ほどで干し椎茸を戻す事ができるので非常に困った時に便利ですが、厚みのある冬菇にはあまり向きません。傘の薄い干し椎茸が適しています。
時短での戻し方2:お湯で時短するコツ
次に紹介する時短のコツはお湯で干し椎茸を戻す方法です。基本の戻し方と同様に先ずは流水で干し椎茸の汚れを落とします。次に、本来なら冷水で戻すところをお湯で戻します。お湯の温度は50〜70度位に設定してください。ボールに干し椎茸を並べたら干し椎茸と同量のお湯を入れます。椎茸の傘の部分が全体的にお湯に浸かるように調節します。
お湯で干し椎茸を戻す時の最大のコツは砂糖を一つまみ入れる事。実はお湯で戻すとグアニル酸が急激に流出してしまい、椎茸の方に旨味が残らなくなるのですが、それを防ぐ為に砂糖を入れる事で浸透圧を変化させます。これで出来る限り椎茸の旨味を残すことが可能になるのです。最後にラップをして1時間です。
時短での戻し方3:そのままで時短するコツ
3つ目はそのまま干し椎茸を直接調理する方法での時短のコツです。この方法は煮物などにのみ用いられます。干し椎茸の柄の部分を切り取ったものを、直接煮こんでいる鍋に投入します。この時指で砕きながら入れるのがコツです。干し椎茸をそのままの大きさが必要な場合や煮物でない時はつかえない時短テクニックですが、最も時間を節約できる戻し方でもあります。
オススメの時短での戻し方!スライスして時短するコツ
今まで3つの時短のコツでは時間を優先するため折角の干し椎茸の旨味成分を十分に活用できていません。と言っても冷水で戻すには時間がかかってしまいます。最後の時短のコツは両者の折衷的な方法です。この方法は途中までは基本の戻し方と同じ方法です。流水で干し椎茸を洗い、タッパーなどの容器に入れます。椎茸の傘が被る程度の水を入れてしっかりと蓋をしたら冷蔵庫に入れます。1時間程経ったら容器から椎茸をとり出します。
少し戻った椎茸の軸を取り除き、傘の部分をスライスします。大きさは細くなればなるほど早く戻りますので、調理するレシピと相談の上でサイズを決めてください。スライスした椎茸はそのまま元の冷水の容器に戻して再び冷蔵庫へ。この後30分から1時間ほどで干し椎茸は戻ります。
この時短の戻し方では冷水を用いているので、比較的旨味が強い椎茸となるのが大きな利点です。勿論途中でスライスをする手間や他の戻し方と比べたら時間がかかることが上げられますが、干し椎茸が持つポテンシャルを活かした戻し方となっています。レシピによってはこの戻し方を活用してください。
干し椎茸の戻し汁について
干し椎茸が生椎茸に比べてかなり栄養価が高いという事はすでに申し上げた通りですが、干し椎茸の戻し汁も非常に栄養価の高い、美味しい「出し汁」となります。
干し椎茸の戻し汁には干し椎茸からしみ出た香り成分と栄養素が染み出しています。古来戻し汁は美味しい「出汁」として利用されており、特に生臭を厭う仏門においてはかつおだしなどの動物性の出汁に取って代わる貴重な旨味成分として利用されてきました。一般家庭においても煮物などにこの干し椎茸の戻り汁を入れると格段に味がよくなります。
料理によっては戻し汁を使わないこともあるかと思いますが、その時は折角の戻し汁を保存するようにしましょう。冷蔵庫で3日ほどは日持ちします。また、冷凍すれば一月ほどは大丈夫です。冷凍する時は氷を作る製氷皿に戻し汁を入れて凍らせするのが何かと便利です。凍ったらタッパーなどの容器やジップロップなどに入れて冷凍しておきましょう。
干し椎茸の戻し方のまとめ
干し椎茸の戻し方のテクニック、如何だったでしょうか?栄養価を考えると冷水でゆっくり時間をかけたほうが美味しく戻るというのは少々手間かもしれませんが、その分の見返りは非常に大きいので出来る限りこの方法を実践したいところです。どうしても時間が無い時は今回紹介した時短テクニックを活用してください。
また干し椎茸の戻し汁にも旨味と栄養がたっぷりです。絶対に棄ててしまわないようにしてください。冷凍保存しておくと必要な時に簡単に使えるのもポイントが高いところ。和食の基本の出汁の一つですが、積極的に洋食や中華にも採り入れて美味しくて健康な食生活を送りましょう。