ウミタナゴの釣り方/食べ方は?刺身のさばき方から塩焼き料理まで!
ウミタナゴは釣り人の間ではしばしば釣れても嬉しくない魚とか、食べても美味しくないと言われています。しかし、いざウミタナゴを狙って釣ろうとしても簡単には釣れるわけではありません。ウミタナゴの釣り方は意外と難しいくそして、食べ方に少し気を付ければ美味しい魚です。ここでは、初心者でも簡単に釣りデビューできる釣り方から、さばき方や美味しいお刺身などの食べ方を紹介します。釣りはその釣り方によって釣り人の個性がでると言われます。これをきっかけに釣りを楽しんでいただけたら嬉しです。
ウミタナゴってどんな魚?
スズキ系スズキ亜目ウミタナゴ科ウミタナゴ属に分類します。漢字で海鱮。淡水のタナゴも存在するため、海にいるタナゴでウミタナゴと区別しています。ウミタナゴは1種類とされていましたが、近年、海に生息しているウミタナゴ以外に、4種類のタナゴがいることがわかりました。
亜種として体の色が青みがかっているタナゴを「マタナゴ」別種として体が赤みがかっているタナゴを「アカタナゴ」と分類し、近縁種にオキタナゴとアオタナゴがの存在が確認されています。関東や西日本で釣り人がウミタナゴと呼んでいるのはマタナゴであることが多く、関東以南の太平洋岸に分布しています。学名でウミタナゴといわれている種類のタナゴは北海道中部以南の各地に分布しています。
ウミタナゴの特徴
海に住むタナゴは淡水のタナゴ姿形が似ていて、楕円の体系にやや尖った小さい口が特徴です。その姿でウミタナゴやマタナゴは背の部分が鉄青色で、お腹部分が銀白色です。アカタナゴは全体に銅赤色の体の色をしています。そして、釣り人はそれらの種類のタナゴ全てまとめてウミタナゴと呼んでいます。
主に沿岸部のアマモがたくさんある藻場や岩礁帯などに群れて棲息しています。肉食で小型の甲殻類やあみ類プランクトンなどを捕食しています。ウミタナゴは魚類では少ない卵胎生です。簡単にいうと哺乳類と同じ繁殖方法です。
受精されメスの体内で赤ちゃんが生まれます。受精から5~6ヶ月後体長5~7センチに成長した仔魚はメスの体外に生み落とされます。生み落とされたウミタナゴの仔魚は直ぐ、親と群れを作り回遊します。成魚の体長は20~25センチくらいでまれに30センチを超える大物もいます。
珍重されているウミタナゴ
東北地方では、卵胎生で仔を数多く産むウミタナゴを安産の願掛けとして妊婦に食べさせていました。江戸時代に書かれた書物に「食物和歌本草」という和歌形式で食物の効果や養生を紹介している本の中に「たなごこそ懐妊の薬、朝夕に食してその子難産もなし」という記述あります。ウミタナゴは美味しく、柔らい身をもつので妊婦さんには珍重されていました。
ウミタナゴは、しばしば「外道」と呼ばれることが少なくないです。釣り用語で外道とは目的以外の魚が釣れた時のその魚のことで、ウミタナゴは釣り人に標的になることがあまりない魚です。なので釣り人の中にはウミタナゴが釣れても海に戻してしまう事もあります。
ウミタナゴの釣り方
ウミタナゴの釣り方は色々あります。おおまかに、竿に付けて海に垂らした糸を巻き取るリールが必要な釣り方と、リールが無くても竿と仕掛けで出来る釣り方があります。延べ竿はリールを必要としなくて竿の先に糸を付けて使うシンプルな仕掛けで釣り初心者でも手軽に釣りを楽しめる釣り方です。もちろんリールが付いた竿でもウミタナゴはつれますが、ここではこの延べ竿につける仕掛けを紹介します。
ウミタナゴを釣るための仕掛けの作り方
玉ウキ仕掛け:延べ竿の中で基本的な仕掛けで、玉ウキを使った仕掛けです。竿は渓流や清流といった川釣りの竿でもつかえます。ウキは直径10~12ミリ程度の色は蛍光色のオレンジや黄色などが見やすいです。ウキの表面が水面ギリギリに浮くように板オモリで調整するとウミタナゴが餌に食いついた微細な感触、アタリと言いますがそのアタリが分かりやすいです。釣りバリは細軸の袖かカエシが無いヘラスレなどのハリがお勧めです。
シモリウキ仕掛け:小粒の玉ウキを3~5個ミチイトにセットした仕掛けで数個つけたウキの浮力が分散されウミタナゴの微細なアタリが玉ウキ仕掛けより分かりやすいです。ウキのサイズは直径9~12ミリくらいを使います。
高感度仕掛け:感度に優れたハエ釣り用の発泡ウキや小型のヘラウキを使った仕掛けです。シモリウキと同じようにウミタナゴの微細なアタリが分かりやすいのが特徴です。ですが波がある時にはおすすめしない仕掛けです。海が凪ぎの状態でこの仕掛けの力が発揮されます。
仕掛けハリの補足
仕掛けの中で釣りバリは何種類かあります。ここで紹介しハリ針は「袖」という種類のハリです。ハリ全体の軸が長めにできていてハリに食いついている魚をハリから外しやすく、軸とハリ先が平行なため海の中で魚にハリに付いた餌だけ取られず、魚がハリに引っかかりやすい特徴があるハリで、口の小さい小型の魚を釣るのに適しています。カエシとはハリの先が矢印の矢の部分が片方無い針です。
ウミタナゴがかかりやすくなる釣り方
ウミタナゴの生態から海藻が生い茂った場所に群れているので、その場所にコマセを水で薄めたものを海にまくことで海の中のウミタナゴが海面に集まってきます。コマセは一気海に撒かないで、小まめに撒きます。その集まってきた魚の中に餌が付いた仕掛けを垂らします。ウキから下の糸の長さは1.5メートルから始めて、アタリが出るまで適宜糸の長さ調整します。このコマセを使って魚を集めて釣る釣り方はよく魚釣りで使う方法です。
ハリに付ける餌は主にアミエビや小粒のオキアミ、ジャリメなど使います。餌はハリにつけますが、ただハリに付けると海に入れたときに波で取れてしまう事があるので、しっかりハリに餌を付ける方法を2つ紹介します。餌はオキアミを使用した時の付け方です。
ハリ先をエビのお尻の部分から入れてお腹を通って頭までハリ先を通す方法が「腹掛け」反対にオキアミの背の部分にハリを通す方法を「背掛け」と言います。あとは、オキアミの頭の部分を取り除いてハリに付けたりもします。この釣り方はウミタナゴの食いつきが悪い時にお勧めの方法です。ジャリメは見た目が中々のグロさなので、足がいっぱいある虫に抵抗ない方におすすめです。
釣り餌の補足
コマセとは、魚を集めるために海にまいたり、仕掛けのカゴに詰めたりするための餌の事です。餌を撒いて魚を寄せ集めていることから、ヨセエとかマキエなどとも呼ばれています。コマセには魚のエサの好みの分だけ種類があります。目的の魚の好みでアミエビにさなぎ粉や青のりを加えたコマセなどがあります。アミエビだけのコマセでも魚は集まります。
アミエビとは、体長1~2㎝くらいのサクラエビ科に分類されるエビの一つです。オキアミとはエビの様な形をした体長3センチのプランクトンのひとつです。ジャリメとは石ゴカイという環形動物門多毛鋼に分類される動物で見た目ムカデです。
ウミタナゴのアタリの見分け方
ウミタナゴのアタリは、ウキが沈んだり横に走ったりします。その時軽く竿を立てウミタナゴにハリをしっかりさします。竿についた糸が強く引っ張ったり逆に緩んだりとか強いアタリではなく、スゥーとウキが沈んだり横に動きます。
モゾモゾとした微細なアタリなので、いつの間にか餌が取られていたりします。少しでもウキが沈んだと思ったら軽く竿を立ててみましょう。ウミタナゴのアタリはアジのアタリのように強くブルブルとかコツンと竿に伝わってくるアタリではないので、気づきにくいアタリです。
ウミタナゴのさばき方
ウミタナゴは成魚で20~25センチと小型の魚です。小さ目のウミタナゴになるとと3枚におろすのはなかなか至難の業です。そんな時は塩焼き用のさばき方が簡単な方法です。
3枚におろす
3枚おろしは難しいと思われがちですが簡単にさばけます。お刺身にするにはまずは3枚おろしにしてから様々な形のお刺身になるので、このさばき方にチャレンジしてみてください。このさばき方はだいたいの魚の基本のさばき方です。
まずは鱗を引き落とします。胸ビレ背ビレなどヒレの部分は鱗が残りやすいので丁寧に鱗を落とす。胸ビレから腹びれに沿って頭をおとします。
お腹から内臓を取り出したらお腹の中の中骨に付いている血わたを歯ブラシなどでこすって落とし水洗いします。この作業を丁寧にしないと、お刺身や生のまま食べる時生臭さが残るのでしっかりとお腹は掃除しましょう。魚のお腹の掃除が終わったら水気をふき取っておきます。尾ビレから背ビレに沿って中骨まで包丁を入れ切り開きます。裏返して反対側も同じように切り開きます。
塩焼き用のさばき方
三枚おろしと同じように鱗を丁寧に取り除いたら、ウミタナゴの頭を右に向けその状態からお腹に小さく切り込みそこから内臓を取り出す。ウミタナゴの頭を右にしてお腹を切るさばき方の理由は、盛り付ける時魚の頭が左に来るよう盛り付けるためお腹の切れ目が見えないようにするさばき方です。
ウミタナゴのお腹を切った身の反対側の身にして飾り包丁を入れる。飾り包丁をすると火の通りが良くなり中の身が生焼けにならずに済みます。あと魚が焼けた時の見た目も綺麗にしあがります。
ウミタナゴを料理しよう!
ウミタナゴはスズキと同じように白身の魚です。身は柔らかく味は淡泊であっさりしています。食べ方は一般的な白身魚と同じ考えです。ウミタナゴの旬は冬から春にかけての繁殖期前のたくさん栄養を身に蓄えた期間で、その身は深い味わいと甘味がより一層たのしめます。旬の時期に釣って直ぐの新鮮なウミタナゴは、ブリやタイに劣らない美味しいお魚です。
ウミタナゴの刺身
ウミタナゴのお刺身は他の魚の刺身に比べると身が柔らかいですが、旬のウミタナゴは油が乗っていてブリやタイと同じくらい美味しいと言われています。旬のウミタナゴを釣った時にはお刺身で味わってみて下さい。
三枚におろしたウミタナゴの身に付いている皮を剥しとります。身と皮を包丁の先や爪などで少しはがして身と皮の間に包丁を入れ、皮の部分をキッチンペーパーなどので持ち滑らないようにしっかり持ちゆっくり皮を引っ張ります。その時包丁は身と皮の間に寝かせるように動かさず置いておき、皮を持った手の方を引っ張り動かします。腹骨や指に当たる骨は包丁で切り落とします。
釣ったウミタナゴを火を通さず生のままの食べ方の時は、釣ってすぐ生きているうちに内臓を取り出すことをお勧めします。ほとんどの魚の内蔵には寄生虫がいます。ウミタナゴは寄生虫が稀に居る事があるので、用心のためと鮮度を保つためにします。あとお刺身の切り方ですが、細造りにする食べ方や飾り切りをする食べ方をお勧めします。
寄生虫は少しでも体の一部が傷つくと死んでしまうので、魚のみを細かく切るとか、食べる時魚の身をよく噛んで食べるなどすることで寄生予防になります。あとは調理中は気を付けて魚の身を目視することも大事な予防の一つです。寄生虫は見ればわかる程度の大きさです。あと、ウミタナゴに限らず生食は気を付けましょう。
ウミタナゴのなめろう
淡泊な味のウミタナゴに適した食べ方がなめろうです。刺身用に骨や皮を取り除いたウミタナゴの身を味噌とネギなどと細かく刻んでいく料理です。しそやミョウガの薬味が効いた美味しいなめろうです。薬味が無くても生姜と味噌だけでも十分美味しくしあがります。
お刺身用に骨や皮を取り除いたウミタナゴの身を細かく切り、輪切りの長ネギとミョウガ、みじん切りのしそ、味噌を加え更に包丁で細かくしながら合わせる。器にもり白ごまを散らす。
ウミタナゴの塩焼き
塩焼きはシンプルな魚の食べ方ですが、刺身などの生食とは違い、焼いた身はふっくらして味わい深い食べ方です。ここではフライパンでできる簡単な魚の塩焼きを紹介します。塩焼き用にさばいたウミタナゴの水気をふき取り、魚身の両面に塩をふり15分くらい置いて身に塩をなじませます。15分後魚身から水分が出てくるので、キッチンペーパーで軽くふき取ります。胸ビレや尾ビレなどのヒレに塩をしっかりつけます。
フライパンにクッキングシートを敷いてサラダ油をシートに薄くしき、火にかけフライパンが熱くなってきたらウミタナゴを盛り付けの時に、魚の頭が左になる面を下にして置き焼きます。弱めの中火で10分くらい様子を見つつ焼きます。反対の面も様子を見ながら5~10分焼きます。
ヒレに塩を付ける理由。魚を焼くと胸ビレや背びれ尾ビレなどのヒレが黒焦げになるので、焼く前にお塩をヒレに擦りつけてあげると黒焦げにならず綺麗に仕上がります。
ウミタナゴの煮付け
淡泊な味のウミタナゴに甘辛い煮汁が柔らかい身にしみた、ウミタナゴの美味しい食べ方です。お豆腐やゴボウなど加えても美味しくいただけます。
塩焼き用にさばいたウミタナゴを使います。鍋に酒、醤油、砂糖、みりん、スライス生姜、水を入れて一旦沸騰させます。煮汁が少し冷めたら魚を煮汁の中に入れて落し蓋をし中火で5分煮ます。アクが出てくるので、時々蓋をあけてアクを取ります。火を弱めて煮汁を身にかけながら煮汁が3分の1くらいになるまで15分くらい煮ます。
ウミタナゴのアクアパッツァ
アクアパッツァとは魚介類とトマトオリーブオイルなどと煮込んだナポリ料理です。淡泊な白身の魚のウミタナゴにうま味が染みた洋風煮魚です。塩焼き用にさばいたウミタナゴを使います。あさりの塩味がありますが、味が足りない時はお好みで塩をたします。お酒は白ワインでももちろん美味しくしあがります。
あさりは水に塩を加えた塩水に入れて一晩おいて砂出しをしておきます。ウミタナゴに塩をふりあさりは貝どうしこすり合わせて洗います。フライパンにオリーブオイルを敷いてウミタナゴを焼きます。スライスしたにんにくを加えウミタナゴの両面焼きます。あさりと半分にカットしたミニトマトを加え、そこにお酒と水を加えあさりの口が開くまで蒸し焼きにします。仕上げに小葱をちらして完成です。
ウミタナゴを釣って美味しく食べよう
今回紹介した釣り方は簡単な仕掛けで、初めて海釣りをする方におすすめです。他にもサビキといった釣りの仕掛けもあります。ハリがたくさんついた仕掛けで仕掛け同士が絡まりやすいので扱いが大変です。ただ釣れる時は一度に大量に釣れる事ができるので、これもまた楽しい釣りです。
慣れてきたら色々な仕掛けやリールを組み合わせて釣りを楽しんでみてください。また、自身で苦労して取った食材で料理したご飯は格別な味になる事でしょう。魚の食べ方は色々ありますが、三枚おろしとか魚のさばき方を難しく考えず、腹わらと鱗さえ取れて焼けばたいがい美味しくいただけます。釣りたて新鮮てだけで魚はみな美味しくいただけます。