ブリは出世魚で名前が変わる!順番と大きさや地域ごとの呼び名も調査!

ブリは出世魚と呼ばれ、スズキやボラと同じように5月5日の端午の節句などおめでたい席で食べられています。ブリは稚魚から成魚になるまでに成長段階に応じて順番に名前を変えて呼ばれています。その順番を追って呼び名が変わることから、「立派に成長して出世してほしい」と願いをかけて縁起物の一つとして食べられています。その出世魚のブリは体の大きさによって呼び名が変わりますが、地域ごとに呼び名が変わることも有名です。いったい地域ごとにどう呼ばれているのか、その大きさでどう味が変わるのか調べてみました。

ブリは出世魚で名前が変わる!順番と大きさや地域ごとの呼び名も調査!のイメージ

目次

  1. 1ブリってどんな魚?
  2. 2ブリは出世魚で名前が変わる!
  3. 3地域ごとに変わるブリの呼び名の違いとは?
  4. 4ブリの大きさと順番の味の違い!
  5. 5八面六臂のブリを食べてみよう!

ブリってどんな魚?

ブリはスズキ目アジ科に分類する海水魚の一種です。ブリは北西太平洋、日本海、オホーツク海、東シナ海に分布する回遊魚で、大型の肉食魚です。ブリの多くが群れをなして行動し、春から夏にかけて日本海や太平洋を北上し、秋口には沖合に南下しtます。稚魚の間はプランクトンを主食としますが、身体が大きくなるにつれてイワシやコアジなどを食べるようになります。

ブリは漁獲されるものはだいたい1m前後で体重は8kg前後で、その大きさによって名前が変わるので出世魚と呼ばれています。ブリの旬はたっぷりと脂を蓄えて南下する12月~2月の冬の時期が美味しいとされています。この時期のブリは寒ブリとも呼ばれ、重宝されています。この時期は日本海で漁獲量が増え、2月~3月には太平洋で多く漁獲されます。

ブリは出世魚で名前が変わる!

ブリはマグロやスズキ、クロダイなどと同じように出世魚と呼ばれていますが、その中でも最も有名な出世魚ではないでしょうか?また、ブリの大きさや地方によっても名前が変わるのも特徴の一つだと思います。ところで、そもそも出世魚って何でしょうか?いったいどういう基準で決められているのでしょうか?

出世魚とは?

出世魚とは「成長(稚魚から成魚まで)とともに呼び名が変わる魚」のことを言います。そもそも江戸時代までは武士や学者は元服したり、出世などをすると改名する風習がありました。有名なのは戦国武将、豊臣秀吉が木下藤吉郎と名乗っていた頃、その功績が認められて出世した際に、羽柴秀吉と名前を変えたことはよく知られています。

出世すると名前が変わる風習から出世魚は縁起のいい魚とされ、お祝いの贈り物やお祝いの席で使われるようになったとされています。また、ブリやスズキなどの出世魚は成長が早いことでも知られており、1年経つと、身体の大きさが一回り以上変わってきます。ただ大きさが変わるだけでなく、味も用途も商品価値変わっていきます。これをすべて同じ名前で呼ぶと取引するにあたり、お互いに誤解が生じてしまうかもしれません。

そこで成長に合わせて順番に呼び名を変えれば、用途に合わせた取引が可能になったとされています。また、料理店でもそれぞれの用途に合わせた調理法を選択できるので、出世魚として呼び名が変わった方が分かりやすいのではないかと思います。

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地域ごとに変わるブリの呼び名の違いとは?

出世魚のブリが成長によって名前が変わることは、前述しました。今度は地域ごとに見ていきたいと思います。呼び名の順番の最後はぶりになるのは地域ごとに変わりはないですが、大きさによったり、地域によって呼び名が随分と変わってきます。同じ出世魚でもボラ、スズキと比べても名前の変化の種類は多いです。それだけ日本各地でもブリが愛されてきた証じゃないかと思います。

地方によって順番や呼び名に多少の差はありますが、最後まで成長するとブリという呼び名になるのはどの地方も変わらないようです。基本的には、稚魚、35cm以下、35cm~60cm、60cm~80cm、80cm以上で分けられていることが多いようです。この順番で名前が変わって80cm以上になったものをブリと呼んでいます。一般にスーパー等で売られているのは、35cm~60cmや60cm~80cmで売られているものが多いようです。

地方でも名前が4回から5回変わるのが多いですが、高知県は7回も名前が変わるそうです。次に地方でも関東地方、関西地方、北陸地方の呼び名の変化について紹介します。

関東地方の呼び名

関東地方での呼び名の順番は、まず稚魚の「モジャコ」から始まり、体長30cm以下の「ワカシ」という名前に変わります。次に体長40cm~60cm未満の「イナダ」となり、体長60cm~80cmの「ワラサ」と呼び名が変わります。80cm以上になると「ブリ」と呼ばれます。モジャコからブリまでに4回名前が変わります。

関西地方の呼び名

次に関西地方の呼び名の順番を紹介します。稚魚の「モジャコ」は関西でも呼び名は同じです。次に体長が30cm以下の「ワカナ」に名前が変わり、体長30cm~50cmの「ツバスもしくはヤズ」と呼び名が変わります。50cm~60cmまでのものを「ハマチ」と呼び、体長60cm~80cmのものを「メジロ」と順番に名前が変わります。最後に80cmを超えたものを「ブリ」と呼びます。

関西ではお馴染みの「ハマチ」は体長が40~60cmであったり、50~60cmであったり、関西でも地方によって大きさに差があります。また、養殖物のぶりをハマチと呼ぶことも多いので、少し混乱してしまうかもしれません。関西ではモジャコからブリまでに5回名前が変わります。
 

北陸地方の呼び名

最後に北陸地方での呼び名を順番に紹介したいと思います。北陸地方は稚魚の呼び名は関東地方、関西地方のように「モジャコ」ではありません。北陸地方では稚魚を「ツバス」と呼びます。次に体長が30cm未満のものを「コズクラ」、体長が30cm以上40cm未満のものを「ハマチ」となり、40cm以上60cm未満のものをフクラギと呼びます。「ハマチ」を飛ばしてその次の順番の「フクラギ」と一緒にする場合があります。

60cm以上70~80cm未満のものを「ガンド」と呼び、80cm以上のものを「ブリ」と呼びます。北陸地方の呼び名は関東地方と関西地方と比べて、全然違ってきます。地域によってここまで名前が変わるのは出世魚のブリならではないでしょうか?下の表は出世魚ブリの地域ごとの呼び名の一覧になっています。代表的な3つの地域以外の呼び名も書いてあるのでぜひ見比べてください。

ブリの大きさと順番の味の違い!

次に出世魚のブリの大きさと順番によってどう味が違うのか、どんな料理に使われることが多いのかを見ていきたいと思います。

モジャコの大きさと味は?

モジャコは出世魚ブリの稚魚のことで体長10cm未満のものをいうことが多いです。地域によってはツバスと呼ばれたり、モジャッコと呼ばれたりします。卵から孵化してから20cmくらいまでになるまではホンダワラなどの流れ藻や漂流物にくっついて生活することから「モジャコ」(藻に生息する小さい魚・雑魚)と呼ばれています。

モジャコは、ブリの養殖の天然の種苗として採捕されることも多いです。出世魚のブリはモジャコから成魚のブリになるまで3年の月日を有するとされています。ブリは卵から孵化させることが難しく費用もかかるため、多くの養殖業yさは春先から初夏にかけて、太平洋側を中心にモジャコ漁が行われています。

モジャコは小さいため、刺身で食べるには向いてはいません。モジャコは唐揚げにして頭も骨も一緒にバリバリと食べるのがおすすめです。もしくは玉ねぎとお酢と一緒に南蛮漬けにしても美味しいです。もともと養殖に種苗として利用されるのでスーパーなどで見かけることはほとんどありません。漁師町(尾鷲など)の食堂ではメニューとして出しているところもあるそうです。

ワカシの大きさと味は?

ワカシは出世魚ブリの幼魚で体長は30~35cm以下です。それよりも大きくなるとイナダと呼ばれます。ワカシは関東の呼び名で関西ではツバス、北陸ではコズクラと呼ばれています。ワカシはブリやイナダ、ワラサと比べても脂が少ないのが特徴です。その分身の弾力があり、プリプリとした食感を楽しむことができます。そのプリプリとした食感から刺身に向いている魚です。

ワカシを刺身にする時は、頭を落とし、一気に腹に包丁を入れ内臓を取り出します。そこから三枚におろしていきます。ワカシは身の若く身の弾力があるので三枚おろしにしやすい魚です。そこから皮を割き、毛抜きで丁寧に中骨を抜くと簡単に刺身を作ることができます。

ワカシの脂は少なめなので、脂を足す意味でもカルパッチョにも向いている魚です。ワカシの刺身にネギやカイワレ大根、お好みで人参や大根などの野菜や、タイム、バジルなどのハーブを添えても美味しいです。オリーブオイルにレモンを絞って少量の醤油と香辛料をかけて食べてみてください。

ワカシは刺身以外でも美味しい魚です。焼き魚はワカシの美味しい食べ方の一つだと思います。内臓をとったワカシに塩をふりかけ、グリルで10分ほど両面を焼くと出来上がりです。ワカシは出世魚ブリに比べると脂身が少ないのでさっぱりと食べることができます。レモン汁をかけるとさらにさっぱりと食べることができます。

イナダの大きさと味は?

イナダは出世魚ブリの子供で体調が30cm~50cm前後のものを言い、関西地方ではハマチ、北陸地方ではフクラギと呼ばれています。最近ではハマチを養殖もの、イナダを天然ものと区別して呼び分けることが増えてきました。イナダは食欲旺盛な魚でこの時期よりイワシやアジなどの魚を捕食するようになります。生後約3年で産卵をし始めます。

春から夏にかけてがイナダの旬であり、この時期にはしっかりと脂が乗っています。鮮度の見分け方は、腹に張りがあり、体表面の青みが輝いているもの。えらの内側の部分が鮮やかな薄紅色をしていること。血合いの部分が黒ずみがなく、鮮やかな薄紅色をしていることなどです。切り身では表面につやがあって、鮮やかな色をしていることなどが挙げられます。

旬のイナダは栄養価の高い魚でもあり、EPAやDHAが豊富に含まれており、糖尿病・動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞の予防効果があるとされています。抗酸化作用のあるビタミンEも多量に含まれています。ビタミンB1 、B2 も豊富で不眠症や疲労感を和らげる働きもあります。

イナダは生で食べても、焼いて食べても、煮て食べても美味しい魚です。刺身にすると旬だと脂はしっかりと乗っていますが、ブリに比べるとあっさりと食べることができます。身が引き締まっているのでしっかりとした弾力を感じることができると思います。焼き物では、照り焼き、塩焼き、香草焼きなど様々な食べ方ができます。天ぷらにしても煮つけにしても美味しい魚です。

ワラサの大きさと味は?

ワラサは出世魚ブリのひとつ前の順番の呼び名で、体長が60cmから80cm未満のものを言います。関西地方ではメジロ、北陸地方ではガンドという名前で呼ばれています。ブリの旬は冬ですが、ワラサは晩秋くらいに一番脂がのって美味しい時期になります。ワラサの英語名で「黄色い尾」、「琥珀色の魚」という意味をもち、顔から尾までに黄色い線が走っているのが特徴です。

ワラサもイナダと同じように栄養価が豊富です。特にEPA、DHA、タウリン、ビタミンB1、ビタミンB2、POAが豊富に含まれています。POAは、脳の血管を丈夫にして脳梗塞等の予防に最適な栄養素です。また、タンパク質量は牛肉と同等に含まれています。

旬のワラサは脂もしっかりのっていますが、ブリほどの脂ではないのでさっぱりと食べることができます。皮もカマの部分も美味しいので色々な料理に応用することもできます。定番としては、出世魚ブリと同じようにブリ大根ならぬワラサ大根も美味しいです。ワラサは青魚ですが、しっかり調理をすれば臭みが少ないので、美味しく頂けると思います。煮込めば煮込むほど味が染みて美味しいです。

次にお勧めな食べ方は照り焼きです。養殖のブリみたいな脂はないのですが、魚自体のうまみが強いので、照り焼きのような濃い味付けにも負けていません。脂でこってりしたブリの照り焼きよりも脂身が少ない分さっぱりと食べられるのでヘルシーです。

ブリの大きさと味は?

ブリは大きさによって名前が変わる出世魚の順番の最後尾です。ブリの生育のスピードは速く、1年で32cm前後、2年で50cm、3年で60~65cm、4~5年で体長が80cmを超えブリと呼ばれるようになります。ブリの旬は冬で最も脂がのって美味しいです。出世魚のブリはその美味しさから人気の魚で養殖も盛んに行われており、1年を通して、ブリが売られていない日がないくらい人気です。

出世魚ブリのおすすめの食べ方は、「ぶりのしゃぶしゃぶ」です。特に養殖のブリを食べる時は脂が多いので、しゃぶしゃぶで食べれば余分な脂を落とせるし、熱が加わることで旨味も凝縮するので刺身とは違った味わいを楽しめます。ポン酢にくぐらせると食べると、ポン酢でさっぱりとしたブリの甘い脂が口の中でとろけていきます。個人的にはブリの一番美味しい食べ方と思っていますのでぜひお試しください。

八面六臂のブリを食べてみよう!

出世魚ブリについてその名前の由来、成長するにしたがって名前が順番に変わっていくことを紹介してきました。また、同じ出世魚のボラやスズキなどとは違い地方によっては呼び名が全然違う面白い魚です。また、身体の大きさによって味わいが変わり、その段階に応じての食べ方や調理の仕方も変わってきます。みなさんも一度ブリが成長するにつれ、どう味が変わっていくのか食べ比べてみましょう。

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