サードウェーブコーヒーとは?次のフォースウェーブ(第4の波)は豆が鍵?

サードウェーブコーヒーと呼ばれる大きな波が、アメリカの珈琲界から海を渡って日本に上陸して数年が経とうとしています。そして更にサードウェーブコーヒーの次世代のトレンド、フォースウェーブの潮流もすぐそこまで迫っています。珈琲はどのように進化を続けているのでしょうか?今回は日本独自の珈琲文化との関係を踏まえながら、珈琲界における流行の変遷を解説していきます。是非、珈琲を片手に読んでみて下さい。

サードウェーブコーヒーとは?次のフォースウェーブ(第4の波)は豆が鍵?のイメージ

目次

  1. 1珈琲にも流行がある
  2. 2ファーストウェーブコーヒーとは
  3. 3セカンドウェーブコーヒーとは
  4. 4サードウェーブコーヒーにまつわる用語の解説
  5. 5サードウェーブコーヒーの歴史
  6. 6サードウェーブコーヒーの特徴
  7. 7サードウェーブコーヒーの味
  8. 8サードウェーブコーヒーのブランド
  9. 9フォースウェーブコーヒーとは
  10. 10サードウェーブコーヒーのまとめ

珈琲にも流行がある

近頃、珈琲に関連する話題の中で、サードウェーブコーヒーという言葉をよく耳にします。直訳すると「珈琲第3の波」です。ということは、当然「第1の波」「第2の波」も存在したわけで、更にいうなら「第4の波」もすぐそこまで来ています。巷を賑わせるサードウェーブコーヒーとは一体何でしょうか?そしてフォースウェーブコーヒーとは?まずは珈琲界のムーブメントをおさらいしましょう。

ファーストウェーブコーヒーとは

珈琲黎明期

ファーストウェーブコーヒーと呼ばれる、珈琲が大衆化し大量消費された時代の始まりは、1800年代後期でした。とあるアメリカの企業家が、当時はまだマイナーだった珈琲という飲み物を一般家庭に普及させれば莫大な利益を手にできると考え、珈琲の販売を始めたのです。

その頃は、珈琲豆の質を維持する保存方法もなく、結果的に珈琲豆の産地に近い地方でのみ、珈琲の大量販売が始まりました。しかし、中には粗悪な珈琲豆も混じっており、安いけれど不味い黒い飲み物というイメージが一般的なものであり、その販売姿勢は批判を浴びることもあったのです。

インスタントコーヒーの発明

その後、1900年代になると、輸送技術の発達や珈琲豆の真空パック方法の開発によって、サンフランシスコやニューヨークといったアメリカの大都会でも珈琲が普及し始めました。そして珈琲文化にとって大きなポイントである、インスタントコーヒーの発明が行われました。

実は、インスタントコーヒーを発明したのは日本人、加藤サルトリ博士でした。1930年代に、現在でも世界の珈琲業界をけん引するネスレが大々的にインスタントコーヒーの販売を開始して大人気となりました。これにより珈琲の消費は爆発的に増えていったのです。

缶コーヒーの発明

実は、インスタントコーヒーだけでなく、缶コーヒーを発明したのも日本人なのです!1969年、UCC上島珈琲の創業者による発案で缶コーヒーが誕生しました。当初は邪道扱いされて、なかなか消費者に受け入れられなかったのですが、翌1970年の日本万国博覧会(大阪万博)でお披露目され、一躍、脚光を浴びることになったのです。缶コーヒーは大ヒットとなり、おすすめの新商品としてメディアの話題をさらったのでした。

セカンドウェーブコーヒーとは

シアトル系の波

1960~1990年にアメリカで起こったセカンドウェーブは、シアトル系チェーン店により形成されました。その代表は、やはりスターバックスコーヒーでしょう。1971年にアメリカで創業し、チェーン展開で世界中の珈琲シーンを彩る企業に成長しました。今では約90ヵ国で22,000店以上が営業しています。スターバックスコーヒーの日本進出は1996年のことでした。

銀座にできた1号店を皮切りに、日本中へ網をめぐらすように広がっていきました。ロゴ入りの紙コップや専用ボトルを手に街を歩くのがお洒落とされ、「スターバックスコーヒー、おすすめの新商品」「スターバックスコーヒー、おすすめのフレーバー」などの話題が度々メディアにも登場したのも記憶に残っているでしょう。エスプレッソやラテといった飲み方も広く認知されるようになり、一大ムーブメントを築いたのでした。

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カフェという空間

また、カフェは単純に珈琲を飲むだけの場所ではなくなってきました。珈琲以外の目的メインで訪れる人も少なくありません。多くのスターバックスコーヒーや、同じくシアトル系のタリーズでは、カウンター席にコンセントが設けられています。ノートパソコンを広げて仕事や勉強にいそしむ人の姿を目にすることも多々あるでしょう。また、話題の新商品は、お洒落な自己を演出するツールにもなっています。

サードウェーブコーヒーにまつわる用語の解説

スペシャリティコーヒーとは

「From seed to cup」を合言葉に、珈琲豆から消費者の手に渡るカップの中の珈琲までの、どの段階においても、品質や工程の管理が徹底していることが大前提となっています。欠点のある豆の混入を防ぐために、珈琲豆の生産地での栽培から収穫や選別といった作業に始まり、輸送を経て焙煎に至る過程の全てで厳重な品質管理がなされているのです。

そして、高い焙煎や抽出の技術により、生産地の個性が感じられる最高の1杯を提供する、それがスペシャリティコーヒーの理念です。

シングルオリジンとは

最も簡単に表すと、「ブレンドしていない単一品種の豆」となりますが、実際は物凄く細かくカテゴライズされたものがシングルオリジンです。例えば、「コロンビア産の豆」というのではなく、「コロンビアの○○農場で△△さんが育てた珈琲豆」というのが「単一」の意味になります。

よくスーパーの野菜コーナーで生産者の顔写真が貼られた「このトマト、甘太郎を作ったのは埼玉県田中農場の田中さんです」などのポップと共におすすめ野菜が販売されていることがあります。これがトレーサビリティに優れたシングルオリジンです。

サードウェーブコーヒーの歴史

アメリカでのサードウェーブコーヒー

アメリカでのサードウェーブコーヒーの流れは、1990年代後半頃から徐々に広まり始めました。サードウェーブコーヒーという用語が初めて使われたのは、2002年のことです。その後、現在まで継続しています。より美味しい珈琲を飲むために、珈琲豆の生産者や特色を尊重したシングルオリジンの豆にこだわり、1杯ずつ大切に煎れられます。

どんな珈琲を提供するかは、珈琲店オーナーの嗜好や技術に影響されますので、大手がチェーン展開をするよりも、地元で愛される小箱のカフェが増えていきました。そこから多店舗展開をする珈琲店も出ましたが、いずれも地域に根付いた、おすすめの珈琲を提供する店であることに変わりはありません。

日本でのサードウェーブコーヒー

珈琲店オーナーがおすすめの豆を吟味し、客のために1杯ずつ丁寧に珈琲を煎れる。この状況は何かをイメージできませんか?そうです。これは、懐かしい昭和の「喫茶店」のスタイルなのです。この形は古くからあったものなのですが、日本のおもてなしと何事にもこだわる精神は、1970年代の珈琲専門店ブームで珈琲界にも花開いていたのです。

ライフスタイルの変化に伴い、店構えやコンセプトに違いは見られるものの、既存の珈琲文化は確実に日本のサードウェーブコーヒーの中に生きています。かつてを知っている人には懐かしく、若者には新しく感じるのも、サードウェーブコーヒーの魅力なのです。

サードウェーブコーヒーの特徴

サードウェーブコーヒーの珈琲豆

シングルオリジンの珈琲豆をフェアトレードで、というのがサードウェーブコーヒーの一般的な流れです。フェアトレードとは、立場の弱い発展途上国で生産された作物などを、大手の資本が買い叩くことなく、適正かつ継続的に商取引することをいいます。珈琲の他にもチョコレートや紅茶といった作物が対象となっており、発展途上国の人々に、寄付ではなく貿易を行う事で生活の改善や自立を目指してもらう目的で始められました。

これに似たダイレクトトレードというのもサードウェーブコーヒーが提唱する珈琲豆の仕入れ方法です。ダイレクトトレードとは、仲介業者を省いて、珈琲の生産者が直に輸入会社のバイヤーと取引することです。バイヤー側は生産地の状況を詳しく把握すること事ができますし、生産者はバイヤーと直接値段交渉ができるというメリットがあります。

サードウェーブコーヒーの器具

サードウェーブコーヒーの流れは、消費者の珈琲に対する知識を深めることにも繋がりました。以前に比べて豆や珈琲の煎れ方などへの興味と理解が格段に高まったのです。これは大きなトレンドに対してのメディアの影響などもありましたが、ひとえに小さなカフェを経営するオーナーそれぞれの努力のたまものといえるでしょう。珈琲の仕事に携わるひとりひとりがサードウェーブコーヒーのムーブメントのけん引者でもあるのです。

店によっては、おすすめの珈琲の他に、客がリストの中から豆を選び、煎れる器具を選ぶことができます。例えば、「エチオピアのイルガチェフをフレンチプレスで」という具合です。

この時、あまり珈琲に詳しくなくても、店員に訊けばおすすめの豆や器具の特徴を丁寧に教えてくれます。こうして、ユーザーは知っていくのです。また、サイフォン珈琲の専門店や、水出し珈琲がウリの店など、珈琲を煎れる器具の差別化を図るカフェも増えました。

サードウェーブコーヒーの味

サードウェーブコーヒーに至るまで

ファーストウェーブコーヒーの頃は、珈琲が安くて不味い時代でした。そして、セカンドウェーブは深煎りの珈琲豆を使った深いコクと苦味が味の特徴でした。濃厚な珈琲の味わいは、ファーストウェーブの大量消費されたアメリカン・コーヒーとは全く逆の方向を目指したのです。その波はカフェオレやカフェラテ、そしてアレンジ珈琲へと広がりを見せました。

サードウェーブコーヒーは浅煎りで

サードウェーブコーヒーは浅煎りの豆が基本といわれています。珈琲豆自体の味と、ふくいくとした香りを楽しむことができるのは浅煎りならではといえるでしょう。深煎りに比べて豆の個性ともいうべき酸味を敏感に感じ取れるので、珈琲が持つ味のイメージが広がったのも、この波の特徴です。スッキリした味わいに適度な酸味、そして余韻としての甘み。これらを兼ね備えた珈琲がおすすめの1杯となったのでした。

また、ラテアートが一世を風靡し、芸術性の高いおすすめラテアートを写真に撮るためにカフェを訪れる客が行列をなしたのも、記憶に新しいでしょう。これは、素敵な写真を撮ってネットにアップするSNS文化の普及のタイミングと見事にマッチしたのです。このラテアートの流行は世界規模で、バリスタによるラテアートの世界大会も開催されたほどでした。

サードウェーブコーヒーのブランド

2015年、アメリカのカリフォルニア州に本社を構えるブルーボトルコーヒー・カンパニーが日本再上陸を果たしました。これはネスレのグループ企業で、サードウェーブコーヒーの最大手といえるでしょう。現在日本国内では8店舗が営業中です。また同年、サンフランシスコを拠点とするフォーバレルコーヒーの提携店も栃木にオープンしました。

こちらではフォーバレルコーヒーでトレーニングしたバリスタがフォーバレルコーヒーの豆を使って煎れる珈琲が人気となりました。店内のインテリアやテラス席の様子も本場のフォーバレルコーヒーを再現したもので、そのこだわりようが話題になりました。お洒落な店内で店おすすめのシングルオリジンが楽しめるようです。次にアメリカ珈琲ブランドの波がやって来るのはどこの都市か気になるところです。

フォースウェーブコーヒーとは

第4の波はすぐそこまで

現在も継続中のサードウェーブコーヒーですが、珈琲の専門家たちは第4の波の到達を前にざわついています。第4の波、フォースウェーブコーヒーは、一体どんなものになるのでしょうか?色々な推測がされる中、そのひとつの可能性が「珈琲豆を個人的に極める」です。スペシャリティコーヒーを用い、プロの技術で美味しい珈琲を飲むことに飽き足らず、焙煎も自分でしてみようというムーブメントが起きるかもしれません。

焙煎にこだわる

確かに、自家焙煎を掲げるカフェもよく見掛けるようになりました。生豆を購入して個人で焙煎までできれば、よりそれぞれの嗜好に合う珈琲を飲むことができるようになるのです。パナソニックが発売した自宅焙煎機は現在10万円ほどですが、普及と共にもっと手に入れやすくなるかもしれません。その他、色々なメーカーから焙煎機が発売されています。こだわり始めたらキリが無さそうな世界です。

煎れ方にこだわる

第4の波のもうひとつの予測は、「珈琲の煎れ方を個人的に極める」です。サードウェーブコーヒーの器具の章で書いたフレンチプレスやサイフォン、水出し珈琲用の用具などを個人で揃え、豆に応じた抽出方法を選択して楽しむという可能性です。既に始めている珈琲好きの人はいるでしょうが、それがもっと一般化するのかもしれません。

個人が好きな豆を買い、焙煎して器具を使い分けて煎れる。よりコーヒーが個人的に特別なものへと進化するのでしょう。こうなったら第5の波は、珈琲の苗木を買って育てるところから始まるのかもしれません。と、そんな冗談はさておき、フォースウェーブコーヒーは、カフェでおすすめの珈琲を飲むだけではなく、個人レベルでの珈琲豆や煎れ方の追及といった、新しい世界を見せてくれそうです。

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サードウェーブコーヒーのまとめ

以上、珈琲の流行の変遷をみてきました。ますます珈琲は多様化の道を歩んでいます。眠気覚ましに、デザートのお供に、お洒落アイテムとしてなど、珈琲の楽しみ方は人それぞれですが、色々な珈琲を飲み比べるうちに、きっとお気に入りの1杯が見つかる筈です。そして街角で素敵なカフェに遭遇したら、入って珈琲を頼んでみましょう。もしかしたら、飛び切り美味しいサードウェーブコーヒーのお店かもしれません。

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